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2016年度(2017年3月期)連結業績のレビューと分析更新日:2017年10月4日

経営環境

世界経済は、2010年をピークに成長率が鈍化傾向にあり、中国経済の世界経済成長への寄与度が3割近くまで達する状況になっています。このため、中国経済の動向が各国経済に与える影響が大きくなっています。その中国は、大規模な経済対策後の在庫や設備などの調整局面にあり、景気は緩やかに減速傾向にあります。一方で、米国においては、雇用や所得の改善を背景に個人消費が回復し、欧州では緩やかな回復となりました。新興国経済には中国の景気減速の影響も含め、一部弱さが見られました。また、原油市場は世界的に供給過剰が続いており、原油価格の低迷は、欧米のエネルギー関連企業の収益悪化や国際金融資本市場におけるリスクオフの動きなど、世界経済にマイナスの影響を与えています。
また、2016年は、英国で国民投票が実施されて欧州連合離脱(ブレグジット)が決まり、米国で「アメリカファースト」を掲げるトランプ大統領が選出された影響からか、先進国で保護主義に向かう潮流が強まっています。この結果、世界経済の先行きは不透明感が増す状況となっています。
国内経済は、雇用・所得に改善の兆しはみられ、企業の業況感も改善をみせたことから生産面を中心に回復基調は続いているものの、企業の設備投資や個人消費には今一つ力強さが見えない状況が続きました。 市場環境を、当社の事業分野別に見てみますと国内の住宅分野では、新設住宅着工戸数が消費増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響から完全に脱し、2016年度の着工戸数は前期比5.8%増の97万4,137戸となり、2期連続の増加となりました。一方で、塩ビ管などの水インフラ関連分野では、マンション着工が2期ぶりにふたたび減少となりましたが、官需は2015年度の補正予算執行や2016年度の当初予算早期執行により、公共投資は底堅く推移しました。
海外では、業種ごとにまだら模様の事業環境となりました。エレクトロニクス分野では、近年需要をけん引してきたスマートフォンやLCDの在庫調整などで需要が伸び悩みました。一方、車輌・輸送分野は、主力の自動車向け製品が引き続き欧米を中心とした先進国で堅調に推移しました。このほか、比較的景気の影響が軽微なライフサイエンス分野では、新興国の生活水準向上の影響を受けて中国を中心に拡大し、先進国の需要は引き続き安定的に推移しました。
また為替については、期初2016年4月(始値)は1ドル=112円、期末2017年3月(終値)は1ドル=111円と安定した水準になったものの、期中は円高傾向が続き、特に6月から9月までは1ドル=100円に近い水準で推移した結果、当社における2016年度の年平均為替レートは1ドル=108円、1ユーロ=119円となり、前年に比べ、円高傾向が顕著でした。

為替レート ナフサ価格(石化用ナフサの輸入CIF)

経営成績および財政状態の分析

1. 2016年度の経営成績の分析

(1)売上高

2016年度の売上高は1,065,776百万円(前期比2.8%減)となりました。
このうち、住宅カンパニーの2016年度の売上高は前期比2.4%増の484,975百万円となりました。2016年度は、新築住宅事業の受注が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。新築住宅事業は、2016年4月に発売した「Gシリーズ」が建替向けに好調だったことに加え、分譲住宅が順調に推移したことにより受注は前期を上回りました。
エネルギー自給自足率100%を可能にした「スマートパワーステーション“100% Edition”」を中心に太陽光発電システムと蓄電池の一体訴求をさらに推進するとともに、全国で大型分譲地の販売を強化しました。
リフォーム事業は、当社が販売した住宅への定期診断の徹底を図るとともに、建築後15~25年のお客様に対しパッケージ商材を中心に訴求したことにより、「高耐久・外装リフレッシュ」や「水廻り・設備」メニューが伸長しましたが、熊本震災の補修対応の影響や太陽光発電システムの販売が低調に推移したことなどにより、売上は前期を下回りました。
環境・ライフラインカンパニーの2016年度売上高は前期比6.2%増の240,332百万円となりました。2016年度は、国内事業の収益性改善施策の進捗と海外の事業構造改革の効果発現などにより、増収増益となり営業利益は最高益を更新しました。国内事業は、「製造総原価方式」の導入や出荷標準化などの収益力強化策により原価低減が進捗したことなどにより、増収増益となりました。海外事業は、事業構造改革の影響により売上は減少したものの、一連の構造改革の効果発現や航空機向け成形用プラスチックシート事業の米国新工場のフル稼働による販売数量の増加により、収益は大幅に改善しています。
高機能プラスチックスカンパニーの2016年度売上高は前期比5.6%減の357,526百万円となりました。2016年度は、為替の影響やエレクトロニクス分野の苦戦により減収となりましたが、他の戦略事業分野の高機能品の販売が伸びたことなどにより、5期連続増益となり、最高益を更新しました。エレクトロニクス分野は、第3四半期以降は回復基調にあるものの、上半期までのスマートフォンやタブレットなどモバイル端末の生産調整の影響により、両面テープなどの販売が減少しました。車輌・輸送分野は、中国、欧米を中心とした海外の需要が安定的に推移したことなどにより、高機能品を中心に販売を伸ばしましたが、円高の影響により 売上は減少しました。住インフラ材分野は、塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂や耐火材料の販売が堅調に推移しました。
ライフサイエンス分野は、国内外の検査薬・検査機器の販売が国内外ともに順調に推移しました。

売上高

(2) 営業利益

2016年度の営業利益は96,476百万円(前期比7.4%、 6,653百万円増)となりました。

営業利益および営業利益率

(3) 営業外損益

営業外収益については、持分法による投資利益の計上が259百万円増加したことなどにより、前期と比較して2,402百万円増加しました。営業外費用については、支払利息の計上が537百万円減少したことに加え、為替差損の計上が2,346百万円減少したことなどにより、前期と比較して1,244百万円減少しました。

(4) 特別損益

特別利益については、投資有価証券売却益6,935百万円を計上しました。特別損失については、事業譲渡損4,988百万円、投資有価証券評価損4,534百万円、減損損失3,573百万円、固定資産除売却損2,500百万円の合計15,596百万円(前期比11.1%、1,564百万円増)を計上しました。

(5) 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、2016年度の税金等調整前当期純利益は前期に比べて4,900百万円増加し、82,851百万円となりました。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は60,850百万円(前期比7.4%、4,196百万円増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

2. 財政状態

(1)資産、負債および純資産の状況

2016年度末の総資産は前期末から7,596百万円増加し943,640百万円となりました。

(資産)

流動資産については、前期末より31,588百万円増加し、466,101百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が41,884百万円増加したことです。また、固定資産については、23,992百万円減少し、477,538百万円となりました。

総資産および総資産経常利益率

(負債)

支払手形、電子記録債務、買掛金、未払費用などの仕入債務が合計で4,041百万円、有利子負債が合計で8,603百万円減少したことなどにより負債合計では18,797百万円減少し、373,090百万円となりました。

有利子負債および有利子負債自己資本比率

(純資産)

2016年度末の純資産は26,393百万円増加し、570,549百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益60,850百万円、配当金の支払15,541百万円などの増減による利益剰余金45,349百万円の増加と、円高影響による為替換算調整勘定4,876百万円の減少です。

自己資本および自己資本当期純利益率

(2) キャッシュ・フロー

2016年度における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末より22,752百万円増加し、当期末には89,856百万円となりました。
2016年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

2016年度において営業活動の結果増加した資金は108,229百万円(前期は71,389百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益82,851百万円、減価償却費34,843百万円に加えて、事業譲渡損4,988百万円、投資有価証券評価損4,534百万円などの増加要因が、法人税等の支払額16,395百万円、たな卸資産の増7,466百万円、投資有価証券売却益6,935百万円などの減少要因を上回ったためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

2016年度において投資活動の結果減少した資金は44,057百万円(前期は23,715百万円の減少)となりました。これは、保有する積水ハウス株式会社の株式の一部等の投資有価証券の売却および償還による収入18,165百万円などの増加があった一方で、主に重点および成長分野を中心とした有形固定資産の取得35,241百万円を行ったことや、定期預金の純増19,103百万円などがあったためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

2016年度において財務活動の結果減少した資金は39,633百万円(前期は41,726百万円の減少)となりました。これは、自己株式の取得16,356百万円、配当金の支払額16,063百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)に加えて、有利子負債の純減9,232百万円などがあったためです。

キャッシュ・フロー フリーキャッシュ・フロー

事業等のリスク

事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避および発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めています。
また、文中の将来に関する事項は、2016年度末において当社グループが判断したものです。

(1) 為替レートの変動

当社グループにおける海外事業の現地通貨建ての資産などは、換算時の為替レートにより円換算後の価額が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、必要に応じて通貨変動に対するヘッジなどを行っていますが、予測を超えた円高が進行した場合などには、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料の市況変動

当社グループの高機能プラスチックス事業、環境・ライフライン事業を中心に、塩化ビニル・オレフィン・鉄などの原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、そのスプレッドを十分確保することができなかった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 海外での事業活動

当社グループの海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変動、産業基盤の脆弱性、テロ・戦争・その他の要因による社会的または政治的混乱などのリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性があります。

(4) 住宅関連税制および金利の動向

当社グループの住宅関連事業は、国内の住宅取得に関連する税制や消費税、金利動向などの影響を受けています。これらの動向が住宅関連事業に影響を及ぼし、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(5) エレクトロニクス関連市場の動向

当社グループの高機能プラスチックス事業におけるエレクトロニクス関連事業が対象とする市場は、業界の特性として需要の変動が激しいため、短期間に需要が縮小した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(6) 公共事業の動向

当社グループの環境・ライフライン事業には、官公庁向けのものが含まれており、公共投資の動向の影響を受けています。公共投資は、政府および地方自治体の政策によって決定されるため、今後、公共投資が削減された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 産業事故災害

当社グループの工場において、万一、火災・爆発などの産業事故災害が発生し、当社グループの業務および地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償などを含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(8) 知的財産・製造物責任(PL)

当社グループにおいて知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

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