トップメッセージ
株主、投資家の皆様へ
はじめに
3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様には、心よりのお悔やみとお見舞いを申し上げます。ここに、当社の2011年度の業績について、ご報告させていただきます。
当社は、グループビジョンに「際立つ、高収益なプレミアムカンパニー」を掲げた5年計画の中期計画「GS21-SHINKA!」(2009年度-2013年度)を推進しています。
この計画は、2010年度までを1st Stage、2011年度から2013年度を2nd Stageとする2段階の計画となっています。その1st Stage(2009年度~2010年度)の最終年度となる2010年度は、「成長需要の的確な取り込み」と「収益体質強化の仕上げ」に主眼を置いた施策を着実に実行した結果、当初(2009年4月)に目標としていた営業利益400億円を大幅に超える493億円を達成することができました。
現在は、2nd Stage(2011年度~2013年度)に入っており、「1.バリューチェーン展開による事業拡大」、「2.グローバル展開の加速」、「3.新成長セグメントの開拓」の3つをテーマとする成長戦略を推進しています。事業分野別には、当社が成長分野に位置付けている「フロンティア7事業※」を中心として収益拡大を図り、計画最終年度の2013年度に営業利益800億円を目指していきます。
※フロンティア7事業:AT関連事業、IT関連事業、MD関連事業(以上、高機能プラスチックス)、管路更生事業、水インフラ海外事業、機能材事業(以上、環境・ライフライン)、住環境事業(住宅)
2010年度(2010年4月1日~2011年3月31日)を振り返って
当社グループの2010年度は、当社が成長事業と位置付ける「フロンティア7事業」やアジアを中心とする新興国での需要の伸びに対応した施策で、成長需要の獲得に成功しました。2010年度の売上高は、フロンティア7事業では前期比11%増、アジア地域では前期比23%増と大幅な伸びを達成し、その結果、連結売上高は前期比6.6%増の9,155億円となりました。
収益体質強化については、固定費削減やコスト削減などの施策を引き続き推進することで、狙い通りの強化を図ることができました。国内の一部事業に関しては競争が激化する状況ではありましたが、価格に関しても、スプレッド(売値から原材料費を引き、コストダウンの効果を足したもの)をほぼ維持できました。増収と収益体質強化が順調に進んだ結果、営業利益については、前期比37.2%増と大幅な増益を確保しています。2010年度当期の営業利益493億円は、2000年度のカンパニー制導入以降の最高益となりました。
なお、3月に発生した東日本大震災により、被災地域にある当社生産拠点の一部でも軽微な損傷はありましたが、現在は通常通り生産活動を行っております。

※2011年度計画は4月27日発表の数値です。最新の計画についてはIR説明会の資料をご覧下さい。
中期経営計画「GS21-SHINKA!」 1st Stage(2009年度~2010年度)の総括
今回の中期経営計画GS21-SHINKA! 1st Stageでは、リーマンショック以降の景気低迷を、構造改革による収益体質の強化と需要拡大が見込まれる分野・地域への特化を進めることで乗り切り、その後の成長に向けた力を蓄えるということでスタートさせました。
初年度となる2009年度には様々な構造改革を実施することで損益分岐点の大幅引き下げを実現し、2010年度には先進国を中心とする回復需要や新興国での成長需要を確実に獲得することで、収益を大幅に回復し、当初の目標を上回る成果が得られました。この間に、海外を中心とした戦略事業強化を実施し、また住宅事業の高収益体質を確立しました。国内需要の縮減や競争激化で、環境・ライフラインカンパニーは苦戦しましたが、それでも構造改革の推進で黒字体質への転換を果たしました。
さらに、将来に向けた備えという観点からも、欧米地域で中間膜、管路更生、メディカルの事業ポートフォリオを拡充し、タイでは住宅事業の海外市場進出を狙った住宅生産・販売会社の設立を行うなど、2011年度以降のさらなる成長のための戦略投資や事業強化策についても、着実に進捗しています。
収益目標に関しても、計画スタート時に掲げた2010年度に営業利益400億円という目標を大きく超過し、営業利益493億円を上げることができました。
これらの成果を収めることができたことから、中期経営計画GS21-SHINKA! 1st Stageについては、順調に計画を達成することができたと考えています。
2011年度計画(2011年4月1日~2012年3月31日)(2011年4月末時点)
※下記の「東日本大震災の影響」と「市場環境」に関しては、2011年度第1四半期終了時点での明らかになった状況をふまえたご報告をさせていただいています。この二つに関する2010年度決算説明会(2011年4月27日)時点での予測をご確認されたい方は、 アニュアルレポート2011(Version1)をご覧ください。また、2011年度上期を総括して、震災が 当社業績にどのような影響を与えたのか (2011年10月末時点)をまとめております。そちらについては、レポート 「東日本大震災の上期業績への影響(総括)」をご覧ください。
東日本大震災の影響と市場環境※
2011年度に震災による影響として想定される事項についてですが、期初に立てた予想に対して、第1四半期を終了した時点で状況が明らかになってきたものについて、表のように見通しを修正させていただきました。
震災による影響(1Q終了時点)
ここでは、特に業績に大きな影響を与えうる事項を、期初予想との差異をふまえながら、カンパニー、事業ごとに状況をご説明させていただきます。
住宅カンパニーでは、今期の受注計画を策定するにあたり、震災の影響を勘案した市場見通しを立てました。上期は消費手控え等の影響により一時的に市場は冷え込み、第2四半期から回復し始め、復興関連需要や潜在需要の顕在化によって下期はさらに上向くと予測しました。これに対し、第1四半期は、一定の消費手控えはあったものの影響は大きくなく、また、東北エリアの一部では復興関連需要が発現し始めています。第2四半期は、一部住宅取得支援策の打切り前の駆け込みが予測されるなど、第1四半期より消費マインドは改善し、市場環境もやや上向く見通しです。
一方、被災地域を中心とした復興関連需要や、他地域での建替えなどの潜在需要発現が本格化するのは下期以降となる見通しです。
環境・ライフラインカンパニーでは、期初には、ライフライン復旧のための塩ビ管の需要や、その後の本格的な復興街づくりのための需要、耐震・耐災害ニーズの高まりから発生する耐震パイプ等の需要が第2四半期頃から発現してくると想定していました。
これに対して、第1四半期は、主に仮設住宅用の塩ビ管など喫緊のライフライン復旧需要が発生しました。一方で、本格的な復興関連需要の発現は、下期以降にずれ込みそうです。また、耐震・耐災害ニーズに対応する耐震パイプ等の需要の本格化も下期以降になりそうです。
一方、高機能プラスチックスカンパニーでは、期初、特にAT(車輌材料)関連事業、IT(電子情報材料)関連事業について、サプライチェーン上の問題発生に伴う最終製品の生産調整実施等により、需要が予想を下回るリスクがあると見込んでいました。しかしながら、第1四半期終了時点で想定より早く回復に向かっており、需要は第2四半期以降、正常化する見通しです。
このように、総じてマイナス影響は期初の想定を下回る見通しで、国内の市場環境は不透明感が解消されつつあります。一方で、海外市場は期初見通しの通り、新興国の成長などにけん引されて堅調に推移し、欧米市場も緩やかながら回復しています。
重点施策
2011年度については、「国内復興への対応」と「グローバル市場への対応」の二つを重点施策として実行していきます。
「国内復興への対応」では、まずは喫緊のライフライン復旧への全面的協力を行います。仮設住宅建設や塩ビ管の緊急生産・供給に対応します。
その後予想される本格復興に向けたフェーズでは、当社が得意とする耐震性の高いパイプや、耐震性・自然エネルギー活用に優れた高性能住宅などを積極的に供給し、災害に強い街づくりに主導的な役割を果たしていきます。
一方、「グローバル市場への対応」としては、液晶関連材料、自動車用中間膜など当社がグローバル市場で高シェアを持つ製品に関して、安定生産・供給を維持し、この分野での世界的な供給不安を解消します。また検査薬に関しても同様に安定的生産・供給を行っていきます。
「国内復興への対応」と「グローバル市場への対応」のいずれにおいても、当社の強みを活かして、果たすべき役割を果たすことで、社会の要請に応え産業の復興に寄与する事業推進を目指します。
計画
2011年度の事業計画として、「フロンティア7事業」を中心に需要を獲得し、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス全てのカンパニーで収益を拡大させます。
利益面では、想定される原料高には売値アップとコスト削減で対応し、固定費については成長投資以外を抑制することで、収益体質を維持していきます。
これらの計画の着実な実行によって、2011年度は売上高9,800億円、営業利益570億円を目指します。
財務戦略と株主還元方針
当社の財務戦略は、経営上の最重要課題の一つである企業価値増大と株主の皆様への積極的利益還元を果たすことを基本方針に掲げています。この基本方針のもと、株主の皆様への毎期の還元は、連結配当性向30%を目途としています。2010年度に関しては、この基本方針に沿って期末配当を3円増配して8円とし、中間配当金5円と合わせて、年間13円の配当を実施させていただきました。内部留保資金は、将来の企業価値増大に必要な資金として、研究開発費や設備投資、戦略投資、投融資などに充当します。
キャッシュ・フローは、設備投資、財務体質強化、株主還元に充当します。中でも設備投資に関しては、戦略事業強化のための戦略投資に重点を置き、今後の成長に欠かせない設備投資、M&A、海外での事業体制構築を進めます。
最後に
3月に発生した東日本大震災は、直接的な被災を受けた東北地方だけでなく、日本全体に大きなダメージを与えています。当社に関しても一部の生産設備等に軽微な損傷はありましたが、現在は通常通り稼動しています。また、震災発生直後には困難が予想されていた部材の調達に関しては、急速に状況が改善しており、当社の生産計画への影響は当初予想されていたほどではなさそうです。一方で、当社のお客様に関してはまだまだ震災影響が明らかになっておらず、お客様の計画次第では、当社の今後の生産・販売にも影響が及ぶ可能性があります。
当社は、創業以来、地球環境の保全へ貢献する製品や、人のくらしに役立つ製品といった社会の要請に応える製品の開発を進め、事業を行ってきました。当社は、このような状況においても、製品や事業を通じて社会的な課題の解決に貢献すると同時に、株主の皆様も含めたステークホルダーの期待や要望に応えられるような経営を進めていきたいと考えております。
皆様には、変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2011年6月
代表取締役社長
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