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社長メッセージ

代表取締役社長 髙下貞二

積水化学グループは、社是である「3S精神」における「企業活動を通じて社会的価値を創造する」を実践し、1947年の創業以来一貫して、ひとの暮らしや社会基盤における社会的課題の解決に役立つさまざまな商品やサービスの提供を行ってきました。

当社グループは、社是の実践を通じて、経済的価値を増大させると同時に、社会的にも価値のある存在であり続けてきたと考えています。そして、グループの理念実現を支えるのが、中長期でグループが目指す姿を示した「グループビジョン」であり、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略(中期経営計画等)」です。

現在の中期経営計画「SHINKA!-Advance 2016」(2014年度~2016年度)においても、企業の経済性を追求する事業活動、社会性を実現するCSR活動を推進することを定めており、経済的、社会的両面における持続的な価値提供を目指しています。

2015年度は、この考えに基づく事業活動を通じて、過去最高益を更新することができました。さらに、その成果から得たキャッシュを次なる成長に振り向けると同時に株主様に対しては積極的な株主還元も行っています。同時に、当期は中長期的な価値提供につながる企業活動による事業基盤整備に関しても進展をみせ、CSR経営を進化させました。そして、今後の活動の手綱ともなるコーポレート・ガバナンスの強化策を実施しました。

  • 営業利益は3期連続で最高益を更新
  • 経営基盤強化も順調に推移
  • 2016年度も最高益更新が目標に
  • 持続的な価値創造の基本は、「稼ぐ」と「変える」の好循環
  • 持続的な価値提供には欠かせないガバナンス体制の強化を推進
  • 企業価値向上と社会へのさらなる価値提供に向けて

営業利益は3期連続で最高益を更新

2015年度は、先進国の緩やかな景気回復基調など追い風の下でスタートしましたが、中国経済の減速、資源国や新興国の低迷で次第に事業環境が悪化し、特に2016年に入ると、急激に円高が進んだことに加え、欧州の金融不安や米国の経済成長への懸念の再燃など、さらに一段悪化した厳しい状況の中での事業運営を強いられました。

当社の2015年度業績は、FIT(エネルギー固定価格買い取り制度)の先行きに対する過度の懸念台頭により2014年に国内スマートハウス受注が低迷し、当期の期初受注残不足による住宅カンパニーの減収減益が発生しましたが、その分を高機能プラスチックスカンパニーの、「環境快適材料」を成長領域と位置づけている車輌・輸送、病気の早期発見を担う「検査薬システム」での成長に注力しているライフサイエンスなど、グローバルに展開する戦略分野の順調な伸長等による利益成長が上回り、加えてポートフォリオ改革を進めている環境・ライフラインカンパニーの着実な収益改善も貢献しました。その結果、全社営業利益は対前年41億円増の898億円となり、過去最高益を更新しました。急激な為替変動に伴う為替差損が経常利益に影響を及ぼしましたが、最終利益についても過去最高の567億円を上げることができました。

当社は利益に関しては、持続的成長に向けた投資と積極的な株主還元に充てることとしており、業績に応じた、かつ安定的な配当政策に基づき、過去最高益を更新する業績となった2015年度は、前年から年間配当を3円増配し、1株当たりの年間配当金30円を実施しました。

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経営基盤強化も順調に推移

このように2015年度は過去最高益を更新すると同時に、中長期的な成長を支える人材、知財の分野での施策を推進し、環境保全に向けた取り組みを行いました。これら人材、知財、環境に関する具体的な施策や取り組みは、「CSR中期計画」(2014年度~2016年度)に基づき進めており、計画2年目の2015年度では、「人材」の分野においてグローバルな人材の育成、ダイバーシティなどの面で一定の成果を収めました。

また、「環境」の分野では、環境負荷の低減と自然環境保全に取り組む一方で、環境貢献効果のある製品の拡大による環境負荷低減を目指しました。さらに、今後の環境貢献、すなわち温室効果ガス削減に効果を期待できる製品として、2015年度には安全と長寿命の両立を実現した大容量フィルム型リチウムイオン電池の開発を完了させ、2016年度以降の出荷にめどをつけました。

このほか、取引先等を含めたサプライチェーンにおいて、人権・労働・環境への配慮を進めました。2015年度は、CSR調達を通じた取引先の環境・人権への配慮状況、コンプライアンスや安全衛生への取り組みを確認し、日本国内での作業を終了させると同時に、北中米を皮切りにして海外での作業を開始しました。

髙下貞二社長のインタビュー風景1

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2016年度も最高益更新が目標に

2016年度は、現在の中期経営計画の最終年度となります。中期ターゲットである営業利益率8%、ROE10%については既に前倒しで達成することができました。残る一つのターゲットである、最終年度の全社営業利益1,000億円も、2015年末時点では、その達成が射程内に入ってきたと考えていました。しかしながら、2016年に入ってからの円高進行や次期消費増税実施時期に対する不透明感の台頭など、事業環境の変調を鑑み、2016年度スタートとしては、為替や国内住宅市場などマクロ要因の前提を保守的に置いた上での5%の利益成長で営業利益940億円(最高益更新)を狙う計画としました。

高機能プラスチックスカンパニーは、前年までと同様に戦略分野の高機能品でグローバルに「数量・構成」を伸ばし、為替影響を受けながらも増益計画を組むことができました。住宅カンパニーでは、2015年度下期に対前年プラス転換したスマートハウス受注の好調を、マイナス金利を追い風に継続していくことでの増益を果たします。環境・ライフラインカンパニーでは、前年度実施の海外事業の構造改革効果発現等により、既に増益の多くを手中に収めています。

利益の絶対額に加えて、重視する経営指標である営業利益率、ROEについては、営業利益率8.6%(前期比0.4ポイントアップ)、ROE11.0%(前期比0.1ポイントアップ)を目指します。

2016年度は、混沌とした事業環境下ではありますが、投資や構造改革など、これまでの打ち手の効果を着実に享受して今年度の最高益更新を確実なものにすること、加えて、私が社長就任以来掲げている3つの方針「収益力強化(事業の選択と集中・効率経営)」「フロンティア開拓(新市場の開拓)」「協創・イノベーション(新製品・新事業の創出)」を強力に推 し進め、次なる飛躍に向けての地固めを加速することにこだわり、持続的利益成長の足は止めない所存です。

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持続的な価値創造の基本は、「稼ぐ」と「変える」の好循環

2015年度は厳しい事業環境の中でも最高益を更新し、2016年度も更新を計画しています。このように最高益更新を継続できている要因は、近年の体質改善によって一つ一つの製品の盛衰に左右されないよう、事業ポートフォリオの構築と組み替えがスムーズに進んだことにあると考えています。

現在の事業ポートフォリオは、1997年度の消費税率引き上げを挟みそれまで利益の大部分を創出していた住宅事業の収益が乱高下し、2000年度、2001年度と全社として2年連続の赤字に陥った時に実施した抜本的な戦略転換がベースとなっています。

この戦略転換では、その時々の市場ニーズにマッチした好調な事業で「稼ぐ」と同時に、その稼いだキャッシュを元に常に、新たなニーズの創出やビジネスモデルの改革によって事業を「変える」ことで次に「稼ぐ」事業を準備するという好循環を生み出すことを目指しました。カンパニー別に見ると、住宅カンパニー、高機能プラスチックスカンパニーでは早くから、好循環を生み出したことから、この10年を振り返ると継続的に利益を積み上げることができています。一方、環境・ライフラインカンパニーでは、国内有数の技術をもって打ち出した海外成長戦略が苦戦を強いられ、若干他のカンパニーに後れを取りましたが、2015年度における戦略のスピーディな再転換の結果、いままさに抜本的構造改革の成果が収益につながる時期を迎えています。

ここで大切なのは、ある年度だけ突出して「稼ぐ」のではなく、常に持続的・安定的に高収益を上げることです。そのためには、ホームランのような爆発的ヒット商品に頼らず、次々とヒットを打ち続けることです。そのために当社では、自社にしかない「際立ち」を武器に競争優位が構築できるかどうか、市場には本当に成長性があり当社の参入が可能かどうかなどのポイントから、勝算があるかどうかを精査してきました。そのような試行錯誤が、現在につながっているのだと考えています。

ただし、現在の好調さはこの先を保障するものではありません。われわれには既に、2020年の東京オリンピック後に訪れるであろう、決して楽観視できない国内市場の変化が見えており、常に立ち止まることなく、新たな道を切り開いていくことが必要です。持続的・安定的な利益成長には、「稼ぐ」と「変わる」のサイクルを常に新しくしていく必要があり、そのために「収益力強化(事業の選択と集中・効率経営)」「フロンティア開拓(新市場の開拓)」「協創・イノベーション(新製品・新事業の創出)」の3つをキーワードとした取り組みを全社的に推進していきます。

3つのカンパニーを統括する立場にいる私自身としては、今後もカンパニー単位での事業ポートフォリオの組み替えが適切に行われているかをチェックすると同時に、積水化学グループ全体としての最適な事業ポートフォリオ構築に向けて、M&Aや事業売却に対する最終的な決断を下す立場にあると考えています。

髙下貞二社長のインタビュー風景2

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持続的な価値提供には欠かせないガバナンス体制の強化を推進

ここまでご説明してきた価値提供の取り組み、成長戦略の実行と構造改革の遂行には、経営トップの迅速かつ大胆な意思決定を後押しするような攻めと守りのバランスのとれたコーポレート・ガバナンス体制が不可欠なのはいうまでもありません。

2015年6月から東京証券取引所の上場規則としてコーポレートガバナンス・コードが適用されました。このコードは、当社の目指すガバナンスの方向に一致しており、この内容に沿って必要な対策を進めることは、当社にとってのガバナンス強化の好機ととらえました。

そこで、株式の政策保有・議決権行使の方針を含む資本政策を適正に実行すること、株主との建設的な対話に関する基本方式に基づき双方向コミュニケーションを強化すること、さらに環境変化に迅速に対応し、経営の透明性・公平性を確保するために必要なガバナンス体制のありかたを定めること、などからなる「コーポレート・ガバナンス原則」を制定、開示しています。

また、コーポレート・ガバナンスに関する議論の中で常に俎上に載る取締役をはじめとするマネジメントに対する報酬設計については、新制度の導入を図りました。ストックオプションに代わる新制度では、株式付与ESOP信託と呼ばれる方式を活用した株式交付型のインセンティブ制度を導入し、今まで以上にマネジメントが当社グループ全体の中長期的な業績向上、企業活動に対する貢献意欲を高めると同時に、株主重視の経営を改めて意識させることを目指しています。

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企業価値向上と社会へのさらなる価値提供に向けて

2016年度は、4期連続となる過去最高益更新を目指して、これまで取り組んできた成長戦略と事業構造改革を継続していきます。 同時に、中長期的な企業価値向上を見据え、そのための基盤となる人材育成(人材での際立ち)、顧客満足の向上(CS品質での際立ち)、自然資本へのリターンへの貢献(環境での際立ち)などに対する取り組みも進めていきます。

企業価値向上ひいては、社会に対するさらなる価値提供のために、グループ一丸となって、取り組んでいく所存です。

皆様には、変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2016年8月
代表取締役社長

髙下貞二

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