HOME > 新着情報 > 2017年 > 世界初の「熱可塑CFRP連続異型成形技術」の確立と事業化について

世界初の「熱可塑CFRP連続異型成形技術」の確立と事業化について

印刷用ページ 2017年2月27日

積水化学工業株式会社

  積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下貞二、以下「当社」)はこの度、熱可塑CFRP*1の連続異型成形技術(以下、「本技術」)を世界で初めて*2確立し、2017年度に熱可塑CFRP事業を開始します。

*1 CFRP=炭素繊維強化プラスチック   *2 2017年2月現在、当社調べ。


  本技術は、従来の一般的なCFRP生産プロセスと比較して、生産性を大きく高めるとともに、大型・長尺品の生産を容易化することができます
  今後当社は、まずはインフラ分野向けに熱可塑CFRP製品の開発・提供を進めるとともに、非常に大きな市場である輸送用機器向け熱可塑CFRP製品の開発を進めていきます。


1.CFRPについて

  CFRPは、軽さと強度を併せ持つことから、金属を代替する素材として輸送用機器を中心に様々な製品への応用が進み、その市場規模は約1.2兆円*3と推定されており、今後さらに拡大していくと考えています。

*3  2015年度。出典「炭素繊維複合材料(CFRP/CFRTP)関連技術・用途市場の展望2016(㈱富士経済)


  CFRPには、炭素繊維に液状のプラスチック原料を含浸させた後に熱で硬化させる「熱硬化型CFRP」と、加熱してやわらかくしたプラスチックを炭素繊維と一体的に成形する「熱可塑型CFRP」があります。本来、長尺・大型な製品を連続的に作るためには熱可塑型CFRPが有効ですが、これまでの技術やプロセスでは、長尺・大型と高強度を同時に発現できる製品を作ることが困難であったため、市場のほとんどを熱硬化型CFRPが占めています。しかしながら、熱硬化型CFRPも長尺化や大型化、連続生産などの生産性にはいまだ課題が残り、また、リサイクルが困難です。


2.本技術のポイント

  この度開発に成功した本技術は、次の3つの要素技術がポイントとなっています。

(1)炭素繊維の前処理技術(開繊技術)

  熱可塑CFRPは、前述の通り加熱してやわらかくしたプラスチックと炭素繊維を一体的に成形しますが、熱硬化型と異なりプラスチックが液状レベルまでにはならないため、炭素繊維にプラスチックが含浸しづらいという欠点があります。そこで当社は、粘度の高いプラスチックでも炭素繊維に含浸しやすいよう、束状の炭素繊維を一本ずつバラバラにする独自技術(開繊技術)を開発しました。

(2)複合連続押出成形技術

  当社のパイプやフィルムなどで培われてきた押出成形技術を発展的に活用し、炭素長繊維と熱可塑性樹脂の複合連続押出成形技術を開発しました。これにより長尺・大型化が容易になるとともに、高生産性を実現します。

(3)異型成形技術

  複合連続押出成形技術に加えて、特殊リブ構造*4を連続かつ同時に成形できる技術を開発しました。

  これにより従来型のCFRPと比較しても高強度化と軽量化の同時実現が可能です。

*4 鋳造物やプラスチック成形品の裏側に、補強のために作られた板状突起部分


  なお、本研究開発成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の支援を受けて行われた研究成果の一部です。


3.熱可塑CFRP製品の生産プロセス

熱可塑CFRP製品の生産プロセス

 ※PP:ポリプロピレン


4.熱可塑CFRPの用途展開および第1弾製品について

  本技術を活用して生産される熱可塑CFRPは、「超軽量」・「長尺・大型」・「高強度」・「高生産性」を兼ね備え、かつ熱可塑性であることからリサイクル性にも優れた、競争力ある製品であると考えています。
  これらの特徴を活かし、インフラ・土木・建築分野(風車、トンネル、道路、河川施設等)や輸送用機器など幅広い分野での製品の開発・提供を進めていきます。
  まずは、第1弾として、豪雨時に地下街や地下鉄への浸水を防止するための止水板(減災用構造体)の製品化にめどを付け、2017年度中に発売予定です。


■熱可塑CFRP製止水板の特徴

 ①超軽量 (従来品<大型アルミ板>の約1/3~1/4)
 ②易設置性(一人で運搬・設置ができる。設置時間従来比1/2)
 ③高止水性(止水板基準クリア:20L/Hr)






ロール状のCFRP板を引き伸ばすだけで簡単設置

ロール状のCFRP板を引き伸ばすだけで簡単設置


5.生産・事業体制

  熱可塑CFRP事業は、当社環境・ライフラインカンパニーが展開していきます。環境・ライフラインカンパニーでは、官民インフラ向けのパイプや航空機向け成形用プラスチックシート(板材)、合成木材の既存事業があり、熱可塑CFRP事業とのシナジーを創出できると考えています。


以上


本件に関するお問い合わせ先

積水化学工業株式会社
 【報道関係のお客様】
  経営戦略部 広報グループ
   TEL:03-5521-0522 FAX:03-5521-0510
 【一般のお客様】
  熱可塑CFRP事業担当 メールアドレス:cfrp@sekisui.com

ページトップへ