魅力品質物語

快適エアリーへの道のり > 第3章 ウォームファクトリー①営業の現場


2005年10月発売以降、ウォームファクトリーの採用率は一気に伸び始めた。バリアフリーヒーティング時代に伸び悩んだことが嘘のように。そのきっかけは、やはり“体感”だった。

最初に、中部エリアのいくつかの展示場でウォームファクトリーが採用された。そして、展示場で実際にその暖かさを体感した営業担当者やお客様の反響が、口コミで広がり始めた。

同じ頃、首都圏エリアでは、営業をはじめとする社員向けの1泊2日の工場研修が盛んに行われていた。研修初日の夜、ウォームファクトリーを設置した展示棟を使ったところ、稼働中の室内へ足を踏み入れた途端、参加者から口々にこんな言葉があがった。

「あ、スリッパいらない」
「ダイニングのタイルも冷たくないぞ」

ウォームファクトリーの暖かさを、文字通り“体感”した瞬間だった。様々な説明のアイデアも生まれた。まさに“体感”が、商品への"自信"につながった。これを機に、首都圏エリアのウォームファクトリー採用率は上昇し始めたという。

また、ウォームファクトリーを設置した展示場では、次々と玄関が自動ドアに改装されていった。一般的に住宅展示場の玄関は、お客様が入りやすいよう開け放している。その上で、室内を暖めるためエアコンもフル稼働しているのが実情。自動ドアにした理由は、もちろんウォームファクトリーのせっかくの暖気を逃がさないために。そして、エアコンを使わず、それほど電気代もかからずに、この暖かさが保てると説明するのが主流になった。これこそ、セキスイハイムにしかできない、独自性だった。その当時を知る営業担当者たちは口を揃えたように言う。「とにかくお客様の評判がよかった」。

また当時、リビング内階段を設けたり、建具をできるだけ排除したり、ホールや廊下のスペースを少なくするプランを採用するお客様が増えていた。このオープンプランで難しいのは、心地よい温度環境を保つこと。空間全体を一定の温度に保つために、居室ごとにエアコンをつけようとすると相当の台数になるし、だからといってフロア全体に床暖房をいれると、今度はとんでもない金額になる。そうした要望に、フロア全体を床下から暖めるウォームファクトリーは、新たな選択肢としてお客様のニーズとピタリと合った。

さらに、ウォームファクトリーは当時、セキスイハイムの訴求の中心であった太陽光発電システム+オール電化とも相性がよかった。このシステムを採用すれば、安い深夜電力に加え電力会社の通電割引も使えるので、日々の光熱費を大幅に抑えることができた。当時、環境にも家計にもやさしい太陽光発電システム搭載の住宅はセキスイハイムの顔にもなっていた。ウォームファクトリーの日々の電気代を気にして、採用を躊躇しているお客様にとって、太陽光発電システムとウォームファクトリーの組み合わせは受け入れやすいしくみだった。

開発部門の三隅によると、ウォームファクトリーは住宅そのものが基礎断熱仕様にさえなっていれば、床下に追加の設備をいれるだけなので比較的改修工事が容易。それもあって、ウォームファクトリーは全国の展示場にあっという間に広がった。

夜の展示場体験会。初日、大盛況の幕開け

2007年に入っても、依然ウォームファクトリーは好調だった。

毎冬、工夫を凝らした様々なイベントが、各地でみられるようになってきた。“夜の展示場体験会”(以下、夜展)は、この年、熊本で始まった。セキスイハイム九州の井上は言う。「展示場をフル活用しようというのが取り組みの発端でした。普通、展示場にお見えになるお客様は、やはり土日が多いです。それで平日もお客様にたくさん来ていただくにはどうすればいいかと。それまでも夜に展示場を開けることはありましたが、予約制にしていたので、ご案内のDMをお送りしても、なかなかレスポンスはありませんでした」

そこで予約制をやめ、開催期間中は18時から21時まで営業担当者が常に待機し、お客様をお出迎えしやすいよう展示場を開放した。そうすれば予約をしていないお客様もふらっと入りやすい。

井上が言うには、夜展ではウォームファクトリーの暖かさを体感してもらうことが目的だが、あえて事前には伝えなかった。

「休日の昼間は人が多くて、ゆっくり見学できません。それにご家族がゆっくり家で過ごされるのは夜、だから“夜の雰囲気を知ることが家づくりでは大事です”と開催案内のDMでは、夜に家を見ることの大切さをアピールしました。暖かいですよとまでは、あまり具体的に書いてなかったと思います」
それは、お客様に“期待していなかった床の暖かさ”を感じていただきたいから。要はサプライズ。

そして、大勢のお客様に来ていただくために、様々な工夫と改善を行った第1回目の夜展では、なんと2日間で来場者数は、想定を上回る34組に達した。来場されたお客様に差し上げるノベルティも2日目は足りなくなりそうだと慌てて調達したほど。

井上曰く、「私の経験したイベントでは一番来場者数が多かったです。36坪ほどのオープンハウスに同じ時間帯に13〜14組のお客様がいらっしゃいました。洗面所にも1組、浴槽に入っている方も1組、キッチンには2組…。営業マンもあちこちで説明していましたね。
普通こうしたイベントは、サッと見て帰られる方が多いのですが、この時は滞在時間も長かった。みなさん30〜90分はいらっしゃって、それに一番びっくりしました」。

なぜ、そんなに滞在時間が長くなったのか。井上はその時の光景をこう語る。
「普通は、ソファや椅子に座って商談するので、大勢お客様が来られたら、あふれた方は立っていないといけません。でも、ウォームファクトリーだと“床”が暖かいから、お客様が『暖かいね』と言って床に座られる。だから、営業マンも隣に座ってカタログや図面を広げて説明します。あっちにもこっちにも、床に座ってらっしゃるお客様がいて、見たことのないような様子でした」

この大盛況の夜展で手応えを感じた井上は、この冬、夜展を毎月開催し、一組でも大勢のお客様にウォームファクトリーの暖かさを体験してもらうことに注力した。

井上健二氏
セキスイハイム九州株式会社 井上
夜の展示場体験会
内容も毎年進化を重ねているDM

次々に新しいアイディアで現場、大いに盛り上がる

営業の現場では回を重ねるごとに、独自の工夫などが活発にみられるようになっていった。「たとえば、お客様がお見えになったら駐車場で少しお待ちいただき、まず外観についてしばらく説明します。身体が冷えてきたなと思ったら室内へご案内する。そうすると、入った途端『暖かい!』と。実はそれが、ちょうど寒い夜道を歩いて仕事や外出から帰ってきたときの感じです。自動車でやって来て、暖まった身体のままドアツードアで入ると、普段の感覚を実感できませんからね」

冬に、暖かさのありがたみを感じるのは、夜だけではない。早朝もだ。家族の誰よりも早く起床し、朝ごはんや弁当を準備する主婦の方にとって、早朝の冬の寒さは相当に辛いもの。千葉の柏エリアの展示場では、“朝のあったか食事会”(以下、朝展)への取り組みが始まった。

朝展は、早朝ご家族で来場していただき、簡単な朝食サービスをするという内容。外の寒さと展示場の暖かさを比較でき、より温度差を実感していただきやすい。また、主婦の方にとって、実際に朝食の準備をする時間帯に、室内の暖かさを体験することで、より実感も湧きやすい。ウォームファクトリーの良さが発揮できる時間に、ぜひ体感して頂きたいという狙いだった。

この夜展・朝展活動は瞬く間に全国へ普及し、販売会社ごとにオリジナルの工夫もなされ恒例のイベントとして定着した。このように、営業、技術のすべてで、ウォームファクトリー拡販という同じひとつの目標に向けて尽力が続いた。

朝のあったか食事会
お客さまにお送りしたDM
朝桐 大介氏
朝食メニューの例

言葉で足りない部分を補う“体感”という偉大な説得力

バリアフリーヒーティングが発売された頃、開発部門の堤と朝桐が「体感してもらえれば、良さは伝わる」と語っていたとおり、体感の場を与えられたウォームファクトリーは販売促進活動の中心になる。

朝桐はその急展開を“怖いくらい”と表現する。「ウォームファクトリーが売れ始めた時は、やっとわかってもらえたかと思いながらも、逆に怖いくらいでした。製品としては大きくは変わっていないのに、“これだ”と思うとこんなに一気に採用数が伸び始めるのかと。営業の方々の伝える力はすごいと思いました。もともと売れると思って開発していましたが、私の予想をはるかに凌ぐ勢いでした」

朝桐の言うとおり、バリアフリーヒーティングとウォームファクトリーは同じシステム。なのに、採用率にこれほどの差が出るとは。体感の“場”ができたこと、これが大きな影響を与えたのは言うまでもない。

この後、ウォームファクトリーを軸に、冬のキャンペーン活動は、セキスイハイムの毎年恒例の大イベントへと成長していく。実は、その過程に大きく関係しているのが“ネーミング”だ。そう、冬になるとテレビからよく聞こえてくる「あったかハイム」というネーミング。ここには事業部の徹底したブランド戦略があった。


快適エアリーへの道のり
2005年10月	ウォームファクトリー発売
2007年下期	九州で“夜の展示場体験会”始まる
2009年2月	千葉で“朝のあったか食事会”始まる
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