積水化学グループのCSR経営について

2010年7月23日
積水化学工業株式会社

環境貢献製品売上高比率21%

■生産段階での温室効果ガス排出量24%削減



 積水化学工業株式会社(社長:根岸修史)および積水化学グループでは、CSR経営を推進していくための必要な要件を、「環境」「CS品質」「人材」という3つの“際立ち”と、「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示と対話」という3つの“誠実さ”と定め、事業を通じて社会に貢献することを目指して、取り組みを進めています。 2009年度からのCSR中期計画では、事業活動のさまざまな面で社会にとって価値を創出する「貢献」と、社会から信頼を得る企業、人づくりとしての「信頼」を取り組みの柱として、CSR経営を進化させています。


1.2009年度の総括  

 

活動項目

主要実施項目と目標

2009年度の実績

環境

環境貢献製品の売上拡大

売上高比率 23%

21%(1,786億円)

温室効果ガス(CO2)
排出量の削減 

総排出量  15%削減
 (1990年度比)

24%削減

CS品質

外部損失費の改善

外部損失費 15%削減
 (2008年度比)

10%削減

重要品質問題発生の撲滅

重要品質問題 0件

重要品質問題1件発生

人材

グローバル人材の確保と育成

グローバル社員制度、
グローバルトレーニー制度の整備

学び自ら挑戦する風土

キャリア・アドバイザーの養成

多様な人材が活躍する職場/働きがいのある職場

ワーク・ライフ・バランス施策の実施



2.2009年度の取り組み事例

■環境

1)主要実施2項目が目標を達成
 独自の環境経営指標「セキスイエコバリューインデックス」※、CO2排出量の2項目について、 2009年度目標を達成しました。
 「セキスイエコバリューインデックス」については、2009年度に2007年度比1.4倍の目標に対し1.4倍となり、日本国内の生産段階におけるCO2排出量については、2009年度に1990年度比15%削減の目標に対し24%削減となりました。
※セキスイエコバリューインデックス:環境付加価値(金額換算)/総合環境負荷(係数換算)

2)環境貢献製品に3品目を追加
 エコロジーとエコノミーを両立させ、社会とともに持続的な成長を目指す積水化学グループでは、製品を通じた地球環境への貢献を取り組みのひとつの柱としています。2006年度には独自の「環境貢献製品基準」を設定し、環境貢献製品の拡大を図っています。2009年度は3製品を環境貢献製品に追加、これまでに35製品を認定しています。今後は製品創出を促進するための仕組みづくりなどを行うとともに、第三者による助言・提言の取り入れなどで社会的な信頼の向上にも努めていくとともに、環境貢献製品の社会的効果を広く社会に訴えていく工夫に努めていきます。

3)オフィスにおける環境負荷の低減 CO2排出量9.6%を削減(国内オフィス)
 
世界各国の事業拠点を対象に「昼休み世界一斉消灯キャンペーン」(2008年4月から開始)の実施や
控えめなエアコンの設定温度などにより、オフィスにおけるCO2排出量の削減にも取り組んでいます。国内オフィスでのエネルギー消費によるCO2排出量は9.6%の削減となました。
 またオフィスにおける廃棄物発生量削減活動も進めています。オフィスの廃棄物は大半が紙であることからコピー用紙の使用量削減の取り組みを進め、国内オフィスでのコピー用紙は2007年度比7.5%の削減となりました。

4)セキスイボード(株)でバイオマスボイラによりCO2を削減
 
セキスイハイムの外壁を生産するセキスイボード(株)の群馬事業所では、これまでの重油ボイラに代えて木チップを原料とするバイオマスボイラを導入し、2009年8月から使用を開始しました。この燃料の転換によって年間約3,000トンのCO2排出量を削減できる見込みです。国内生産事業所では住宅カンパニーの10%、積水化学グループ全体の約1%に相当するCO2排出の削減となります。

5)積水化学自然塾の継続と拡大
 
積水化学グループでは、事業活動における環境配慮だけでなく、世界各地のあらゆる事業所で継続的に自然保護活動を行っていくことも、生物多様性の保全に必要であると考えています。1991年に環境問題に対する取り組みについての方針を制定し、1997年から自然保護活動を本格的にスタートさせました。各事業所での取り組みを積極的に展開するとともに、自然保護活動を推するリーダーの育成を行う「積水化学自然塾」を継続的に実施し、2009年度までで49回開催累計632人が参加しました。

CS品質

1)生産力革新センターの取り組み「3つのゼロ活動」「モノづくりHANDBOOK」
 
コーポレートが中心となって「モノづくり革新」を推進し、2006年度からの4年間で、外部損失費32億円減少(2004年度比)、クレーム対応費用43%減少(2004年度比)、労働災害件数9%減少(2008年度比)、MFCA(マテリアルフローコスト会計)ロスコスト7億円削減(2008年度比)の改善効果が得られました。
 このような取り組みを進めていくために、積水化学グループの生産力強化活動における考え方を集約した「モノづくり HANDBOOK」を2009年度に作成しました。積水化学グループがモノづくりにおいて常に大切にしてきた「安全なくして品質なし、安全と品質なくして生産性なし」「ゼロにこだわるモノづくり」「モノづくりは人づくり」を骨子に、「安全」「5S※」「方針管理」「品質管理」「標準化」「設備保全」「グループ改善活動」について基本的な事項をまとめ、生産現場での活動に活かしています。英語や中国語、韓国語の海外版も同時に作成し、海外におけるモノづくり力の強化にも役立てています。
※整理・整頓・清掃・清潔・しつけ

 
2)お客様と経営層が直接対話する「CAT(Customer And Top)ミーティング」の継続
 
2005年度から、住宅カンパニーや住宅販売会社の経営層がお客様から直接ご意見を伺う「CAT(Customer And Top)ミーティング」を継続的に実施しています。2009年度は、1,411回開催し、4,583人のお客様からご意見を伺いました。お客様の声の活用事例としては、設備機器の改良や選択できるメニューの追加だけにとどまらず、お客様への説明ツールの改善や定期点検などのお客様とのコミュニケーション内容の充実など、多岐にわたっています。また、2009年度には新たな展開として、東京セキスイハイム(株)において、CATミーティングに一度ご参加いただいたお客様同士が複数回会議を重ねていただき、アドバイザリーボード的な観点から提案をいただく取り組みを実施し、より広い視野での販売会社の経営全般に対する、積極的な提言をいただきました。

人材

1)グローバル人材の確保と育成 
 積水化学グループでは、生産拠点の海外進出、海外での事業拡大など積極的に事業のグローバル化を図っており、グローバルに事業を展開するうえで、グローバル人材の確保と育成が急務となっています。日本人従業員が海外で活躍していくために、若手から段階的に学ぶ機会としてのグローバル社員研修、海外勤務の経験を得るためのグローバルトレーニー制度などを実施しています。また外国人従業員の積極採用も行っています。

2)モノづくりマイスター職制度を導入
 
従業員一人ひとりが、自らキャリアを形成するために必要とされるのが、明確なロールモデルです。積水化学グループでは、次世代製品開発を牽引し、多くの技術者のリーダーとなる「スペシャリティ職」制度を運用しています。2009年度には、製造部門において卓越した技能を有する「モノづくりマイスター職」制度を導入しました。「モノづくりマイスター職」に任命された従業員はその高度な専門技術を活かしてあらゆる事業で活躍すると同時に、各事業所において他の従業員にとっての具体的な目標となり、従業員のキャリア形成の意識促進につながっています。

3)従業員のキャリア形成を支援するために、キャリア・アドバイザーを養成
 
従業員が中長期的な視点に立って自発的にキャリア開発ができるよう支援するため、2007年度からキャリア・アドバイザーの養成を進めてきました。2009年度は人事・教育担当者など15人が社内講座を修了し、各職場・各地域で従業員のキャリア支援を進めています。

4)ワーク・ライフ・バランスの推進
 
積水化学グループでは、メリハリのある効率的な「会社生活」を送ることで、自己啓発や家族だんらんなどの「個人生活」、さらに地域交流やボランティア活動などの「社会生活」をも充実させることを推奨し、「積水化学グループのワーク・ライフ・バランス」と位置づけています。その考え方を浸透させていくために、労使協働の検討機関を設置し、グループ全体への浸透・推進の具体策(労働時間削減策や有給休暇取得促進策など)を検討しています。

■CSRマネジメント

1)国連グローバル・コンパクトへの参加
 
CSR経営を進化させていく姿勢のひとつとして、2009年3月に国連グローバル・コンパクト(GC)※への支持を表明し、GCが掲げる人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則の実現に向け、積水化学グループ全体で取り組んでいます。また日本国内におけるGC署名企業の集まりであるグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークにも参画しています。
※国連グローバル・コンパクト:アナン前事務総長が提唱し、企業のリーダーに支持を呼びかけたもの。



3.2009年度に実施した社会貢献活動

■次世代に向け事業特性を活かした教育プログラムを開発
 
「住宅」「化学」という積水化学グループの事業特性を活かした教育支援活動“住まいと環境”学習プログラム、「化学教室プロジェクト」を2008年度から本格的にスタートしました。授業のカリキュラムにあわせた内容とし、先生と共同で授業を実施することが特徴です。

1)環境と共生する住まいについて考える授業“住まいと環境”学習プログラム
 
住宅の役割や暮らしにともなう環境負荷について学び、環境に配慮した家づくりを体験できるプログラムです。先生が主体となり、積水化学グループの従業員が“エコハイムコーチ”として授業をサポートします。2009年度は関東・関西・九州の各エリアで中学校と高校を対象に9校で実施しました。

2)化学のおもしろさを体感できる授業「化学教室プロジェクト」
 
高機能プラスチックスカンパニーの開発研究所(大阪府三島郡)で、自ら手をあげた従業員が中心となって、研究所の地元の中学校を対象に化学のおもしろさを体感できる教育プログラムを開発しました。2008年12月からスタートし、初年度は中学校1年生を対象に、2009年度は2年生・3年生での授業を、先生と共同で実施しています。
 このほか、自然に学んだ基礎サイエンスの知見を活用しようとする大学・研究機関への助成「積水化学 自然に学ぶものづくり研究助成」も継続しています。

■従業員一人ひとりが参加できる社会貢献の継続と拡大
 
多くの従業員が身近なところで参加できる社会貢献活動にも取り組んでいます。

1)「TABLE FOR TWO(TFT)」
 
社員食堂の定食1食につき20円を追加で支払い、開発途上国の学校給食に寄付する「TABLE FOR TWO(TFT)」を、2008年5月から東京・大阪・京都の3事業所で採り入れ、2009年度には5事業所に拡大、累計で約61万円分を寄付しました。

2)「Book Magic」
 
不要な本やCDを売却し、その売上をNPOに寄付することで開発途上国の教育サポートプログラムに役立ててもらう「Book Magic」を2009年度から開始しました。一年間で4事業所に広がり、約5万円分を寄付しました。今後活動の拡大を進める予定です。


 

 

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