IT(電子材料)分野における事業展開について

2011年12月6日
積水化学工業株式会社

■FPD分野においてモバイルソリューションへ軸足をシフト

■エネルギー分野への注力

■IT分野の主力生産拠点 多賀工場に導電性微粒子の生産設備を増設

■2013年度、IT分野において売上高 530億円を目指す
 

 

 積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史、以下当社)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:松永隆善)では、2009年度から5カ年の中期経営計画「GS21-SHINKA!」において、IT(電子材料)、AT(車両材料)、MD(メディカル)の3戦略事業分野の拡大を掲げ、積極的に戦略投資を実施するなど強化を図ってきました。
 これまで当社グループのIT関連事業は、微粒子群やシール剤、各種接合テープや保護フィルムなどを中心とするフラットパネルディスプレイ(以下FPD)分野や、基板・半導体分野(※1)などにおいて機能材料を展開してきました。
 近年、注力してきたFPD市場は、テレビ用大型パネル、パソコン用中型パネルの需要が停滞する一方で、タブレット型パソコンやスマートフォン用の中小型パネルの需要が増加しています。
 当社グループとしては、このような市場環境に対応し、IT関連事業の業容を拡大すべく、下記の施策に取り組みます。

 ※1:基板・半導体分野

電気回路の形成に、多種多様の電子部品を搭載したプリント基板が用いられている。

 

当社では、このようなプリント基板製造に必要な樹脂、テープ等を展開

 

1、モバイルソリューション分野へ軸足をシフト

 FPD分野については、今後市場の成長が見込まれるタブレット型パソコン、スマートフォン用の中小型パネル関連製品など、モバイルソリューションに注力します。タッチパネル関連では、本年4月に株式会社鈴寅を買収し、設立した積水ナノコートテクノロジー株式会社(以下SNT社)が手がけるITOフィルムの品揃えを拡大するとともに、当社の両面テープ製品とのコラボレーションによりシェアの拡大を図ります。スマートフォン関連では、高機能な両面テープなどに加え、画面の有機EL化に対応して導電性微粒子やシール剤の拡販に注力します。
 これにより、2010年度に売上高50億円であったモバイルソリューション関連製品を160億円まで拡大(構成比13%→30%まで)させます。

 

2、エネルギー分野への注力

 市場の成長が見込まれるLED材料や太陽電池、リチウムイオン電池といった電池材料などエネルギー分野において、新製品開発を加速し、製品ラインアップの拡充を図ります。LED材料では、放熱基板シート、封止剤、レジストなど、電池材料ではバックシート一体型封止材、低抵抗ITOフィルム、セパレーターなどに注力します。
 これにより、2010年度に売上高30億円であったエネルギー関連製品を80億円まで拡大(構成比8%→15%)させることで売上計画の達成を目指します。

 

3、成長に向けた投資

 当社IT分野の主力生産拠点である多賀工場において、モバイル機器向けに使用される導電性微粒子製造設備の増設を行っています。これまで同工場では、他にも両面テープのクリーン塗工設備、FPC(フレキシブルプリントサーキット※2)用離型フィルムの生産設備などを増設してきました。今後は、SNT社におけるITOフィルムのスパッタリング(※3)成膜設備の増設など、成長に向けた拡大投資を継続的に実施していく予定です。
 

 ※2:フレキシブルプリントサーキット

柔軟性があり大きく変形させることができるプリント基板

 ※3:スパッタリング

薄膜として付けたい金属(ITO:酸化インジウム錫など)をターゲットとして設置し、高エネルギーのイオン粒子を衝突させて、ターゲット表面の原子、分子を外に弾き出し、被着体に膜を成膜する方法

 


IT分野の主力生産拠点 多賀工場(滋賀県)

IT分野の主力生産拠点 多賀工場(滋賀県)

 

4、事業目標

 当社IT分野において、2013年度の売上高530億円を目指します。


 

【ご参考】


 
1)製品ポジショニングの変化(2010年⇒2013年)

製品ポジショニングの変化(2010年)

製品ポジショニングの変化(⇒2013年)



 2)IT関連製品の生産拠点一覧

工場名

場所

生産品目

 多賀工場

 滋賀県犬上郡多賀町

 両面テープ、離型フィルム

 滋賀水口工場

 滋賀県甲賀市

 導電性微粒子、液晶用スペーサー、UVシール剤

 武蔵工場

 埼玉県蓮田市

 フォトマスク用保護フィルム、光学用保護フィルム

 SNT社

 愛知県蒲郡市

 ITOフィルム


 

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