高感度・薄型の圧電センサーを開発しました

~居眠りや疲労の検知、高齢者の体調見守りなど、幅広い用途を検討~
2014年4月14日
積水化学工業株式会社

 積水化学工業株式会社(社長:根岸修史、以下当社)高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤敬太)では、独自で設計した超緻密発泡構造を有するポリオレフィンフォームを材料とした、「高感度」、「薄型」、「フレキシブル」、「高耐久(電圧性能の保持)」の各機能を併せ持った圧電センサーを開発しました。
 今後は、就寝中や車両運転中、ウェアラブル機器による体調管理等の用途開拓を進めます。

 

Ⅰ.開発の背景について 

 当社は、グループビジョンにおいて「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓することを掲げ、住関連や車両材料、電子材料、メディカル分野向けに様々なプラスチック製品を提供しています。
 また、当社では、ポリオレフィンフォームに関する知見を長年積み重ねてきております。現在は、断熱性、緩衝性、成型性などに優れるポリオレフィンフォームを、モバイル端末向けのテープ基材・シール材、車両内装材、工業製品、住宅建材向けなどに幅広く展開しています。
 高発泡ポリオレフィンフォームにおいては、業界トップシェア(当社推定)を有しており、また、世界に10の生産拠点(日本、韓国、中国、タイ、英国、オランダ、ドイツ、米国2カ所、オーストラリア)を持つなど、幅広くグローバルに事業を展開しています。

 

Ⅱ.開発した高感度・薄型圧電センサーの概要について 

 

1.構造・機能

 この度開発した圧電センサーは、ポリオレフィンフォームとアルミの複合シートで、検知した圧力を電気信号として表示するものです。

 

 

 

構造・機能

 
2.センサー原理 

 帯電させたポリオレフィンフォームに圧力がかかると、圧縮される際のわずかな形状の変化により電荷が発生します。この電荷がアルミシートに伝わり、電気信号として表示されます。

 

 

センサー原理

 

3.技術の独自性・スペックなど

 この度当社は超緻密発泡構造を有するポリオレフィンフォームを独自に設計し、従来のポリオレフィンフォームでは不可能であった「永久帯電」を実現し、高耐久性(圧電性能の保持)を可能にしました。

  ①  スペック

 

 

耐久性

:80℃ RH95% 3ヶ月、-20℃ 3ヶ月、屈曲500回、高圧2MPa

 

 

感度

:30mV/N(対象=脈拍)

 

 

厚さ

:700μm

 

 

精度

:回路処理により、脈拍、呼吸、いびき、体動への分離抽出が可能

  ②  規格サイズ 

 

 

2×2㎝から100×100㎝の大面積まで生産可能です。

  ③  デザイン性

 

 

フレキシブル性を活かし、自由なデザイン設計が可能になります。

  ④  汎用性

 

 

特殊なプラスチックシートを材料とする従来の圧電センサーと比べ、今回の開発品は汎用のポリオレフィンをベースとしているため、より幅広い分野への製品提供が可能になります。

 

4.用途例

 開発した圧電センサーは、心拍や脈拍、呼吸などにより生じる体表面にかかる微弱な圧力も検知することが可能なことから、在宅時や車両運転中の体調管理・検知、ウェアラブル機器などの用途を想定しています。

 

・居眠りや疲労を検知するための車両シート

 

・体調の長期モニタリング用の測定寝具

 

・高齢者の見守りマットシート

 

・ウェアラブルセンサー

 

Ⅲ.今後の展開について 

 今後は、さまざまな用途展開を目指し幅広く事業パートナーを募って連携を進め、豊かなヘルスケアの実現に向けて取り組みます。
 既に高感度・薄型圧電センサーのサンプル提供は可能で、2014年5月21~23日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2014」への出展を予定しています。

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