2018年度(2019年3月期)の連結業績のレビューと分析

更新日:2019年9月3日

経営環境

2018年の世界経済は、前年に引き続き緩やかに回復しました。ただし2018年は、2017年のような世界各国・地域における同時進行の景気回復とは異なり、各国・地域間で回復に差がみられました。中でも、2018年後半から2019年初めは全体としては引き続き緩やかに回復していますが、中国やドイツ等、アジアやヨーロッパの中で弱い動きがみられています。

今後については、リーマンショック後の2011年以降継続してきた景気回復が、米国・中国間の通商問題や英国のEU離脱の行方などの不確実性の拡大により、先行き不透明感が高まっています。

国内経済の2018年度は、2012年11月を底にした緩やかな回復基調が継続しました。世界経済の緩やかな回復を追い風に、企業収益は過去最高となり、雇用・所得についても改善しています。さらに、個人消費や民間企業設備投資など国内需要も、持ち直しており、好循環が続いています。

市場環境を、当社の事業分野別に見てみますと国内の住宅分野では、新設住宅着工戸数が2期ぶりに増加しました。貸家が前年に続き低調でしたが、一戸建ての持ち家の伸びによって着工戸数を押し上げました。2018年度の着工戸数は前期比0.7%増の95万2,936戸となりました。なお、戸建住宅のうち持家は前期比2.0%増の28万7,710戸、戸建分譲住宅は前期比5.1%増の14万4,905戸でした。

塩化ビニル管などの水インフラ関連分野では、マンション着工は好調であり省施工化に資する高付加価値な製品の出荷が伸びました。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックや都心の再開発などによって、建設投資は安定的に推移しています。

海外では、厳しい事業環境となりました。エレクトロニクス分野では、スマートフォンの需要が減退しました。車輌・輸送分野は、主力の自動車向けで欧州・中国の市況悪化の影響を受けました。このほか、比較的景気に左右されないライフサイエンス分野では、新興国が引き続き拡大傾向にあり、先進国の需要は安定的に推移しました。

為替については、期初2018年4月は1ドル=109円台でスタートし、期末2019年3月は110円後半となりました。期中の推移をみると、1ドル108円から113円のレンジで比較的穏やかに推移しました。なお、当社2018年度の年平均為替レートは1ドル=111円、1ユーロ=128円となり、ほぼ前年並みの水準でした。

経営成績および財政状態の分析

1. 2018年度の経営成績の分析

(1)売上高および営業利益

積水化学グループは、2018年度を中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の「核」となる年と位置づけ、量的成長(未来への成長投資)と質的転換(たゆまぬ構造改革)の取り組みを強化するとともに、新事業や融合施策を推進し、中期経営計画の狙いである「新次元の成長」の加速を図りました。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点に立ち、働き方改革や現場力の磨き上げ、ガバナンスの強化にも取り組み、経営品質の底上げを図りました。

一方で、スマートフォン関連製品や中国・欧州における自動車関連製品の市況が想定以上に悪化したことに加え、これまで実施してきた戦略投資や研究開発に伴う固定費の増加や原材料価格上昇の影響を受けました。

その結果、積水化学グループの2018年度の売上高は1,142,713百万円(前期比3.2%増)、営業利益は95,686百万円(前期比3.6%減)、経常利益は93,146百万円(前期比0.8%減)となり減益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は66,093百万円(前期比4.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6期連続して最高益を更新しました。

このうち、住宅カンパニーの2018年度の売上高は前期比1.8%増の506,729百万円、営業利益は前期比2.8%増の39,002百万円となりました。当期は、新築戸建て住宅の受注・売上が堅調に推移したことに加え、リフォーム事業の収益体質強化が進んだことにより、増収増益となりました。

新築住宅事業は、共働き・子育て家族向けの鉄骨系ユニット住宅の新商品「パルフェ-bjスタイル」などの商品ラインアップを拡充したことにより、戸建て住宅が順調に推移し、受注棟数は前期を上回りました。さらに、モデルハウスの拡充や営業人員の増員、体感型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」を拡大するとともに、販売用土地の仕入れや建売住宅の販売に注力しました。

リフォーム事業は、蓄電池などの戦略商材の拡販により、受注金額は前期を上回りました。さらに、間接部門の効率化を中心とした収益体質強化を進めるとともに、お客様へのエネルギー自給自足を提案することにより、お客様との接点強化に注力しました。

環境・ライフラインカンパニーの2018年度の売上高は前期比0.0%減の239,193百万円、営業利益は前期比1.5%増の15,007百万円となりました。2018年度は、集合住宅着工数の減少や建設工事遅延などの影響を受け、汎用品の販売数量が減少しましたが、国内の重点拡大製品や米国の航空機向け成形用プラスチックシートなどの販売が拡大しました。一方、原材料価格上昇や固定費増の影響を重点拡大製品の販売拡大でカバーしたことなどにより、営業利益は3期連続して最高益を更新しました。

配管・インフラ分野は、汎用品が苦戦したことに加え、第4四半期にはプラント管材需要減少の影響を受けましたが、省施工化を特徴とする重点拡大製品・新製品や管路更生資材などの販売が拡大し、売上はほぼ前期並みとなりました。

建築・住環境分野は、災害復旧需要により建材の販売は堅調に推移しましたが、集合住宅着工数減少によりユニットバスの販売が減少したことなどにより、売上は前期を下回りました。

機能材料分野は、米国の航空機向け成形用プラスチックシートの販売が順調に回復したことに加え、欧州・米国を中心に鉄道枕木向け合成木材の採用が拡大し、売上は前期を上回りました。

高機能プラスチックスカンパニーの2018年度の売上高は前期比6.7%増の412,011百万円、営業利益は前期比5.8%減の54,478百万円となりました。2018年度は、戦略投資やポートフォリオ改革の効果などによる高機能品の販売拡大と、新規連結の効果がありましたが、戦略投資に伴う固定費の増加や原材料価格の上昇、さらに市況の急激な悪化の影響を受け、増収減益となりました。

エレクトロニクス分野は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の需要が大幅に減少したものの、基板・半導体向け製品など非液晶分野の拡販が進捗し、売上は前期を上回りました。

車輌・輸送分野は、第3四半期以降、中国や欧州の自動車生産台数が大きく減少したものの、合わせガラス用中間膜のメキシコ工場の新ライン立ち上げが寄与し、売上は前期を上回りました。とくに、2017年度第2四半期から連結対象となった積水ポリマテックグループが、エレクトロニクス分野、車輌・輸送分野の売上増加に寄与しました。

住インフラ材分野は、中東や韓国などにおける建築需要減少の影響により塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂の販売が減少したものの、連結対象となった積水ソフランウイズ株式会社を中心に耐火材料の販売が順調に拡大し、売上は前期を上回りました。

ライフサイエンス分野は、海外を中心に検査薬需要が堅調に推移し、売上は前期を上回りました。

(2)営業外損益

営業外収益については、為替差益を1,018百万円計上したことなどにより、前期と比較して12百万円増加しました。営業外費用については、特定外壁点検保全費用の計上が2,282百万円増加しましたが、為替差損の計上が無くなったことなどにより、前期と比較して2,748百万円減少しました。

(3)特別損益

特別利益については、投資有価証券売却益3,411百万円を計上しました。特別損失については、減損損失1,274百万円、固定資産除売却損1,373百万円の合計2,648百万円(前期比28.8%、591百万円増)を計上しました。

(4)親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、2018年度の税金等調整前当期純利益は前期に比べて433百万円減少し、93,908百万円となりました。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は66,093百万円(前期比4.2%、2,633百万円増)となりました。

2. 財政状態

(1)資産、負債及び純資産の状況

資産

2018年度の総資産は前期末から29,569百万円増加し1,023,706百万円となりました。

流動資産については、前期末より10,836百万円増加し、470,037百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が8,114百万円減少しましたが、営業債権が合計で3,710百万円、棚卸資産が合計で21,729百万円増加したためです。

また、固定資産については、18,733百万円増加し、553,669百万円となりました。

負債

支払手形、電子記録債務、買掛金、未払費用等の仕入債務が合計で428百万円、有利子負債が合計で7,522百万円増加したこと等により負債合計では9,581百万円増加し、390,960百万円となりました。

純資産

2018年度末の純資産は19,988百万円増加し、632,746百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益66,093百万円、配当金の支払19,713百万円等の増減による利益剰余金の増加と、自己株式の取得による減少14,571百万円、その他有価証券評価差額金9,518百万円の減少です。

(2)キャッシュ・フロー

2018年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末より8,110百万円減少し、当期末には68,613百万円となりました。2018年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フロー

2018年度において営業活動の結果増加した資金は85,213百万円(前期は82,272百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益93,908百万円、減価償却費38,789百万円に加えて、前受金の増4,271百万円等の増加要因が、法人税等の支払額21,925百万円、たな卸資産の増21,288百万円、投資有価証券売却損益3,411百万円等の減少要因を上回ったためです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

2018年度において投資活動の結果減少した資金は62,553百万円(前期は60,881百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却及び償還による収入5,745百万円などの増加があった一方で、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得60,082百万円、無形固定資産の取得6,111百万円等があったためです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

2018年度において財務活動の結果減少した資金は31,539百万円(前期は35,981百万円の減少)となりました。これは、有利子負債の純増3,427百万円などの増加要因があった一方で、配当金の支払20,616百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、自己株式の取得14,571百万円等があったためです。

事業等のリスク

事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避および発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めています。

また、文中の将来に関する事項は、2018年度末において当社グループが判断したものです。

(1)為替レートの変動

当社グループにおける海外事業の現地通貨建ての資産などは、換算時の為替レートにより円換算後の価額が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、必要に応じて通貨変動に対するヘッジなどを行っていますが、予測を超えた円高が進行した場合などには、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(2)原材料の市況変動

当社グループの高機能プラスチックス事業、環境・ライフライン事業を中心に、塩化ビニル・オレフィン・鉄などの原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、そのスプレッドを十分確保することができなかった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(3)海外での事業活動

当社グループの海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変動、産業基盤の脆弱性、テロ・戦争・その他の要因による社会的または政治的混乱などのリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性があります。

(4)住宅関連税制および金利の動向

当社グループの住宅関連事業は、国内の住宅取得に関連する税制や消費税、金利動向などの影響を受けています。これらの動向が住宅関連事業に影響を及ぼし、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(5)エレクトロニクス関連市場の動向

当社グループの高機能プラスチックス事業におけるエレクトロニクス関連事業が対象とする市場は、業界の特性として需要の変動が激しいため、短期間に需要が縮小した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(6)公共事業の動向

当社グループの環境・ライフライン事業には、官公庁向けのものが含まれており、公共投資の動向の影響を受けています。公共投資は、政府および地方自治体の政策によって決定されるため、今後、公共投資が削減された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(7)産業事故災害

当社グループの工場において、万一、火災・爆発などの産業事故災害が発生し、当社グループの業務および地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償などを含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(8)知的財産・製造物責任(PL)

当社グループにおいて知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。