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2017年度(2018年3月期)連結業績のレビューと分析更新日:2018年8月31日

経営環境

2017年度の世界経済は緩やかな回復を続けました。貿易に関しても、リーマンショック後、2011年以降はその伸びが、経済成長率を下回る推移となっていましたが、2017年以降は経済成長率を上回っています。この背景には、先進国、新興国、途上国すべての地域で2016年と比較して、2017年の成長率が高まっていることがあり、世界経済における同時回復が進んでいるといえます。
部門別にみると、企業部門は、2016年前半に弱めの動きが広がっていましたが、2017年に入ると、この動きが和らぎ、生産と輸出の増加が顕著になりました。その動きは設備投資にも波及し、企業部門の改善は経済全体の動きにも好循環をもたらしています。一方で、欧米先進国における賃金の伸び悩みは、今後の個人消費に対する懸念となっています。
国内経済は、2012年11月を底にした緩やかな回復基調が継続しています。海外経済の回復を追い風に、日本の生産が輸出は持ち直しが続き、企業収益は過去最高となり、雇用・所得についても改善しています。さらに、個人消費や民間企業設備投資など国内需要も持ち直しており、好循環が続いています。
市場環境を当社の事業分野別に見てみますと、国内の住宅分野では、新設住宅着工戸数が3期ぶりに減少に転じました。ここ数年の好調を支えていた貸家や分譲住宅のマンションが減少に転じるなどしたのが要因であり、2017年度の着工戸数は前期比2.8%減の94万6,396戸となりました。このうち、戸建住宅では、持家は前期比3.3%減の28万2,111戸、戸建分譲住宅は前期比2.3%増の13万7,849戸でした。
塩ビ管などの水インフラ関連分野でも、マンション着工が2期連続減少し、需要の縮小傾向が続きました。ただし、2020年東京オリンピック・パラリンピックや都心の再開発などによって、建設投資は安定的に増加傾向にあります。
海外では、業種ごとにまだら模様の市場環境となりました。エレクトロニクス分野では、スマートフォンやLCDの在庫調整などで需要が伸び悩みました。一方、車輌・輸送分野は、主力の自動車向けが堅調に推移しました。このほか、比較的景気に左右されないライフサイエンス分野では、新興国が引き続き拡大傾向にあり、先進国の需要は安定的に推移しました。
為替については、期初2017年4月は1ドル=111円、期末2018年3月は106円となりました。期中の推移をみると、2017年内は1ドル=110円を超える水準を維持しましたが、2018年にはいると急速に円高が進みました。なお、当社2017年度の年平均為替レートは1ドル=111円、1ユーロ=130円となり、前年に比べ、対ユーロで円安傾向が顕著でした。

為替レート

経営成績および財政状態の状況

1. 2017年度の経営成績の分析

(1)売上高

積水化学グループは、中期経営計画の基本戦略「SHIFT」のもとで、①未来への成長投資による量的成長、②たゆまぬ構造改革による収益力強化、③「融合」による成長の加速、④ESG(環境・社会・企業統治)視点による経営基盤の強化、を重点課題として、「新次元の成長」に挑戦しています。
2017年度は原材料価格の高騰や円高の影響を受ける厳しい事業環境となりましたが、高機能プラスチックスカンパニーの戦略4分野を軸とした成長戦略の推進や重点拡大製品の拡充、商品ラインアップ強化による新築戸建て住宅の拡販などに取り組みました。さらに、新製品の投入や新分野の開拓、M&A、設備投資、研究開発など今後の持続的成長に向けた取り組みをグループ全体で推進し、生産体制再編などの構造改革に努めました。
その結果、積水化学グループの2017年度売上高は1,107,429百万円(前期比3.9%増)、営業利益は99,231百万円(前期比2.9%増)、経常利益は93,929百万円(前期比2.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は63,459百万円(前期比4.3%増)となり、増収増益となりました。
特に、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はすべて過去最高を更新しており、営業利益は9期連続して増益、さらに5期連続して最高益を更新しました。
このうち、住宅カンパニーの2017年度の売上高は前期比2.6%増の497,782百万円、営業利益は前期比1.0%増の37,935百万円となりました。2017年度は、部材価格上昇の影響を受けたものの、新築戸建て住宅の販売が堅調に推移し、増収増益となりました。
新築住宅事業は、ボリュームゾーンである一次取得者層をターゲットに発売した木質系ユニット住宅「グランツーユーV(ファイブ)」を中心に戸建て住宅の受注が堅調に推移したことにより、受注棟数は前期を上回りました。さらに、分譲住宅の販売や土地仕入れを強化するとともに、新商品投入によりラインアップを拡充しています。
リフォーム事業は、太陽光発電システムの売上が減少したものの、新外壁「エコシャンテ」やユニットバスなどの戦略商材が順調に推移しました。また、お客様のライフスタイルに合わせた複合メニューの提案を推進するとともに、営業体制の強化を図りました。
環境・ライフラインカンパニーの2017年度の売上高は前期比比0.5%減の239,241百万円、営業利益は前期比15.3%増の14,791百万円となりました。2017年度は、重点拡大製品の販売が順調に推移したことや、原材料価格上昇の影響を販売価格の見直しや出荷平準化などの原価低減策でカバーし、2期連続で最高益を更新しました。
配管・インフラ分野は、構造改革の影響により売上は前期を下回ったものの、大都市圏を中心として需要が堅調な建築市場向けの管材や管路更生資材など重点拡大製品の販売を拡大しました。なお、ASEAN地域における事業拡大を目的として、ベトナム大手パイプメーカーTien Phongグループへの資本参加を行いました。建築・住環境分野は、介護機器や機能性畳など重点拡大製品の販売が堅調に推移したものの、新築住宅・リフォーム向けのユニットバス事業が苦戦し、売上は前期を下回りました。このような中、新雨とい「超芯LEVOL(レボル)」など、2018年度以降の成長に向けた新製品を発売しています。機能材料分野は、成形用プラスチックシートにおける航空機向けの需要が減少したものの、建築・医療・鉄道領域の採用が順調に推移しました。さらに、海外の鉄道まくら木向けや首都圏のインフラ案件向けの合成木材(FFU)の採用が拡大し、売上は前期を上回りました。高機能プラスチックスカンパニーの2017年度の売上高は前期比8.0%増の386,154百万円、営業利益は前期比6.0%増の57,821百万円となりました。
2017年度は、車輌・輸送分野を中心に高機能品の拡販が順調に推移したことや、積水ポリマテックグループを連結対象としたことなどにより、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。エレクトロニクス分野は、モバイル端末市場の急減速の影響を受けたものの、新規連結対象の効果により、売上は前期を上回りました。車輌・輸送分野は、中国や北米地域の市況が減速したものの、高機能品を中心に販売を伸ばし、売上は前期を大きく上回りました。住インフラ材分野は、塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂などの販売が堅調に推移したことや、2018年1月より「株式会社ソフランウイズ」(現:積水ソフランウイズ株式会社)を新たに連結対象としたことなどにより、売上は前期を上回りました。ライフサイエンス分野は、検査薬事業を中心に国内外で販売が順調に推移しました。さらに、ASEAN地域における事業拡大を目指し、2018年3月にシンガポールの検査事業会社「Veredus Laboratories」の発行済み全株式を取得しました。

売上高

(2) 営業利益

2017年度の営業利益は99,231百万円(前期比2.9%、2,755百万円増)となりました。

営業利益および営業利益率

(3) 営業外損益

営業外収益については、雑収入の計上が553百万円減少したことなどにより、前期と比較して191百万円減少しました。営業外費用については、特定外壁点検保全費用の計上が643百万円減少しましたが、為替差損の計上が1,671百万円増加したことなどにより、前期と比較して147百万円増加しました。

(4) 特別損益

特別損失については、減損損失701百万円、固定資産除売却損1,355百万円の合計2,056百万円(前期比86.8%、13,539百万円減)を計上しました。

(5) 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、2017年度の税金等調整前当期純利益は前期に比べて11,490百万円増加し、94,342百万円となりました。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は63,459百万円(前期比4.3%、2,609百万円増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

2. 財政状態

(1)資産、負債および純資産の状況

2017年度の総資産は前期末から55,474百万円増加し999,114百万円となりました。

(資産)

流動資産については、前期末より7,195百万円増加し、473,297百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が31,894百万円減少しましたが、営業債権が合計で19,191百万円、棚卸資産が合計で16,906百万円などが増加したためです。
また、固定資産については、48,278百万円増加し、525,817百万円となりました。

総資産および総資産経常利益率

(負債)

支払手形、電子記録債務、買掛金、未払費用等の仕入債務が合計で12,526百万円増加したこと等により負債合計では13,265百万円増加し、386,356百万円となりました。

有利子負債および有利子負債自己資本比率

(純資産)

2017年度末の純資産は42,208百万円増加し、612,757百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益63,459百万円、配当金の支払18,137百万円等の増減による利益剰余金33,092百万円の増加と、その他有価証券評価差額金6,882百万円の増加です。

自己資本および自己資本当期純利益率

(2) キャッシュ・フロー

2017年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末より13,133百万円減少し、76,723百万円となりました。2017年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

2017年度において営業活動の結果増加した資金は82,272百万円(前期は108,229百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益94,342百万円、減価償却費36,016百万円に加えて、のれん償却額2,416百万円等の増加要因が、法人税等の支払額25,521百万円、たな卸資産の増11,787百万円、売上債権の増5,506百万円等の減少要因を上回ったためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

2017年度において投資活動の結果減少した資金は60,881百万円(前期は44,057百万円の減少)となりました。これは、定期預金の純減19,274百万円等の増加があった一方で、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得45,526百万円を行ったことや、自動車やモバイル端末向けのエレクトロニクス関連部品の製造・販売会社であるポリマテック・ジャパン株式会社(現:積水ポリマテック株式会社)グループの経営権取得に伴う支出、建築分野向けの硬質ウレタン原液及び硬質ウレタン断熱パネル等の製造・販売会社である株式会社ソフランウイズ(現:積水ソフランウイズ株式会社)の株式取得に伴う支出等があったためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

2017年度において財務活動の結果減少した資金は35,981百万円(前期は39,633百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額19,064百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、自己株式の取得16,006百万円に加えて、有利子負債の純減1,399百万円等があったためです。

キャッシュ・フロー フリーキャッシュ・フロー

事業等のリスク

事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避および発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めています。
また、文中の将来に関する事項は、2017年度末において当社グループが判断したものです。

(1) 為替レートの変動

当社グループにおける海外事業の現地通貨建ての資産などは、換算時の為替レートにより円換算後の価額が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、必要に応じて通貨変動に対するヘッジなどを行っていますが、予測を超えた円高が進行した場合などには、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料の市況変動

当社グループの高機能プラスチックス事業、環境・ライフライン事業を中心に、塩化ビニル・オレフィン・鉄などの原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、そのスプレッドを十分確保することができなかった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 海外での事業活動

当社グループの海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変動、産業基盤の脆弱性、テロ・戦争・その他の要因による社会的または政治的混乱などのリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性があります。

(4) 住宅関連税制および金利の動向

当社グループの住宅関連事業は、国内の住宅取得に関連する税制や消費税、金利動向などの影響を受けています。これらの動向が住宅関連事業に影響を及ぼし、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(5) エレクトロニクス関連市場の動向

当社グループの高機能プラスチックス事業におけるエレクトロニクス関連事業が対象とする市場は、業界の特性として需要の変動が激しいため、短期間に需要が縮小した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(6) 公共事業の動向

当社グループの環境・ライフライン事業には、官公庁向けのものが含まれており、公共投資の動向の影響を受けています。公共投資は、政府および地方自治体の政策によって決定されるため、今後、公共投資が削減された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 産業事故災害

当社グループの工場において、万一、火災・爆発などの産業事故災害が発生し、当社グループの業務および地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償などを含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(8) 知的財産・製造物責任(PL)

当社グループにおいて知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。