社長メッセージ Message from the President & CEO

更新日:2019年9月3日

Message from
the President & CEO

サステナブル社会の実現に向け
ESGを経営の中心に据えて
事業を通じて世界の社会課題解決に
貢献していきます。

積水化学グループは、社是“3S精神”を企業活動の礎とし、「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献する」というグループビジョンを定めています。このグループビジョンを実現するため、私たちは、「際立つ技術と品質」を通じて社会課題の解決、持続可能な社会を目指すSDGsへの貢献に取り組んでいます。そして、高い社会価値、経済的価値を創出し、存在感のある企業グループであり続け、ステークホルダーの皆さまに高いレベルの還元を継続するため、ESG(Environment, Social, Governance)を経営戦略の中心に据えています。

積水化学グループが経営戦略を推進していくにあたっては、当社が長年にわたり、磨き上げてきた「際立つ」加工技術をベースにしています。価値創造の源泉としての基幹技術は、エネルギーシステム、インフラ施工、住宅生産施工技術などの「住・社会のインフラ創造」領域と、グリーンケミストリー、プラスチック成形、塩ビ材料など「ケミカルソリューション」領域に分類される25の技術プラットフォームです。この「際立つ」技術を基礎として、プラスチック素材や医療関連、都市インフラからユニット住宅まで広範囲に及ぶ事業群をグローバルに展開しています。具体的な事業運営は、コーポレートのもと、3つのカンパニーで行っています。カンパニー制の長所を活かした迅速な意思決定で、グループが持つ技術や事業機会を外部リソースとも“融合”させることにより、新たな価値の創出と成長を加速させていきます。

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」

積水化学グループでは、2020年代に売上高2兆円、営業利益2,000億円を目指す長期ビジョン「新次元の成長」を掲げています。その第一歩となる2017年度を初年度とする中期経営計画では、収益性を伴った売上成長を目指す「量的成長」と営業利益率10%を目指す「質的転換」の両立を図ると共に、「社会への責任を伴った持続的な成長」を目指しています。業績の規模、そして企業姿勢の両側面において、「成長の質」を変えたいとの強い思いを込め、中期経営計画を「SHIFT 2019 -Fusion-」と名付け、計画を推し進める上での核となるキーワードとして「Fusion (融合)」を掲げています。「Fusion (融合)」とは、具体的には、各カンパニーにある技術、事業機会、人材、その他のリソースを、カンパニーの枠を超えてグループ全体で融合させることです。そして、積極的に、社外のリソースとの融合も進めながら、新たな価値の創出と成長の加速を図っていきます。

この中期経営計画では、財務的な目標として、最終年度の2019年度に、売上高12,000億円、営業利益1,200億円、営業利益率10%、親会社株主に帰属する当期純利益750億円、ROE(自己資本利益率)12%を掲げています。

営業利益は減益ながら、最終利益は6期連続で最高益更新

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の2年目となった2018年度は、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニーの2カンパニーがそれぞれ住宅売上棟数の大幅な増加、高付加価値品の伸長によって増益を達成したものの、高機能プラスチックスカンパニーは減益となりました。高機能プラスチックスカンパニーが7期ぶりに減益した要因は、スマートフォン、自動車市況の急速な悪化及び原材料の高騰によるものです。

2018年度の業績は売上高11,427億円、営業利益957億円となりました。期初計画に届かず10期ぶりの営業減益となりました。親会社株主に帰属する純利益については営業外の損失が減少したことから661億円となり、6期連続で過去最高益を更新することができました。

2018年度は上期に38億円の減益を記録しました。下期はグローバルに市況が悪化する中においても、3カンパニーとも増益を確保しており、下期単独では3億円増益の535億円と過去最高益を達成しました。2019年度は厳しい事業環境が継続すると想定する中で、大幅増収と各段階での利益の最高益更新を狙っていきます。

高機能プラスチックスカンパニーではスマートフォン、自動車と主力市場の市況悪化が大きく影響しましたが、メキシコにおける中間膜新ラインの本格稼働や2019年下期に稼働開始を予定している欧州での中間膜新ラインなどの戦略投資とその効果発現に向けた取り組みを着実に進めました。環境・ライフラインカンパニーでは、国内では重点拡大製品の拡販に注力し、海外でも航空機向けシートなど高付加価値品へのプロダクトミックス改善を進め、最高益を更新しました。住宅カンパニーは、ファーストバイヤーを中心としたボリュームゾーン攻略によって受注棟数、売上棟数とも増加させ、またリフォーム事業についても間接部門効率化を中心に収益力強化に取り組み、3期連続での増収増益を達成しました。

中期経営計画においては、カンパニー横断的な全社テーマとして「融合」を掲げています。この「融合」によって、2017年度から2019年度までの3年間累計で、売上高ベースで500億円の上積み(増分)獲得を目指しています。2018年度は、資本参加したベトナムの大手パイプメーカーTP社との協業によるベトナム市場の開拓、カーエレクトロニクス分野の市場開拓、住宅カンパニーと環境・ライフラインカンパニーの協働による水周り改装に対する提案強化などの効果が発現しました。2018年度までの「融合」の累積効果は、300億円強であり、「融合」は概ね当初計画通り進捗しています。2019年度は、3カンパニーとコーポレートが協働して実施している当社工場跡地を活用したまちづくりプロジェクト「あさかリードタウン」が分譲開始されるほか、究極の資源循環を可能にする「ごみをエタノールに変換する技術(BR)」では、1/10サイズのプラント建設を開始するなど、将来にわたりさらなる効果発現を狙った取り組みを推進していきます。

2019年度については、上期は引き続き厳しい事業環境を前提としながらも、住宅カンパニーを中心に増益を果たし、下期には一定程度見込まれる市況回復期に戦略投資の効果を発現させることで、増益軌道への回帰を図ります。2019年度は売上高1兆1,750億円、営業利益1,030億円、親会社株主に帰属する純利益は690億円を計画しています。

収益構造(カンパニー制と成長戦略)

積水化学グループは2001年にカンパニー制を導入しました。当社は、カンパニー制をお客様や現場に近い場で迅速な経営判断を行うことができ、急激な市場変化への対応を可能とする制度であると考えています。このため、3つのカンパニーには、広範囲にわたって、業務執行に関する権限や予算策定など多くの権限を委譲しています。カンパニーは、それぞれが研究所を抱え、開発・生産・販売を一体化し、各カンパニープレジデントが責任を持って経営を進める体制をとっています。収益性やキャッシュ・フローに関する責任も明確化し、その結果、利益に対する意識が高まり、さまざまな付加価値向上策や継続的なコストダウンを実現しています。

このようにカンパニー制度を活用することで、過去10年間ほぼ右肩上がりの収益拡大を続けてきました。その収益拡大のけん引役となったのが、それぞれのカンパニーにおける成長強化領域(戦略分野)の設定とその分野への重点投資です。

例えば、全社の成長ドライバーであり、収益ドライバーでもある高機能プラスチックスカンパニーでは、「エレクトロニクス」「車輌・輸送」「住インフラ材」「ライフサイエンス」の4分野を戦略分野に設定し、「車輌・輸送」では自動車向け中間膜、「ライフサイエンス」では検査薬といったグローバルに強い競争力を持つ製品を軸に、経営資源を重点配分する成長戦略を推進することで、収益力を向上させてきました。

カンパニー制によって成長を促進する一方で、コーポレートにおいては、各カンパニーに対するガバナンス体制を強化してきました。社内取締役を中心とした政策会議という会議体の中でも、経営指標だけでなく、低採算事業については、その立て直しや出口戦略も議論しています。

なお、2019年度より、これまで高機能プラスチックスカンパニー内にあったメディカル事業をコーポレート直轄へと移管しました。長期ビジョンに掲げた「新次元の成長」実現に向け、成長余力の大きいメディカル事業の成長を加速させ、新たなカンパニー候補として経営資源を投入し、育成を図っていきます。

経営基盤強化(コーポレート・ガバナンス)

ここまでご説明してきた企業経営を健全な形で進めていくための全ての土台は、ガバナンスです。資本効率を上げるための事業の選択と集中や、業務の適切な遂行、企業価値の毀損につながるリスクの低減、成長につながる打ち手はどうすべきか、そのための体制はどうあるべきか等、企業経営にかかわる重要なテーマを見極め、それらのテーマに対してどのような戦略を練って実行していくべきかを構築、意思決定するための仕組みとして、コーポレート・ガバナンスがあると考えています。

そして、ガバナンスは、私たちがどのようにして健全かつ持続的な発展をしようとしているのか、どのようにして社会に信頼される体制を構築しようとしているのかを示す哲学でもあります。

このような考えのもと、当社では経営の透明性・公正性を高め、迅速な意思決定を追求する目的で、コーポレート・ガバナンスの向上に取り組んできました。大局的な視点から経営に対する助言をいただくため、そして監督機能を強化するために、現在では独立性の高い経営トップ経験者を中心に、3名を社外取締役に招聘しており、取締役会における社外取締役の比率は1/3になりました。

2016年度には、指名・報酬等諮問委員会を設置しました。当社の役員報酬制度は、役員賞与が全社業績だけでなく、環境貢献製品の売上高比率やCS品質経営といった非財務指標を含めたカンパニー業績、ROE(自己資本利益率)に連動した支給基準に基づき報酬額が決定される業績連動報酬となっており、これに加えて中長期的な株主価値との連動性が高くなるよう設計した株式交付型インセンティブ制度も導入しています。

また今後、ますます拡大する海外事業でのガバナンス強化に向け、米国、欧州、中国に加えてタイに地域統括会社を設置し、アセアン及びオセアニア地域をカバーする体制を構築しました。日本と各地域が一体となり、潜在リスクの極小化と現地の知見を取り込むことによりガバナンス機能強化に取り組んでいます。

積水化学グループにおけるESG

新興国の成長鈍化や地域紛争・テロの頻発、ボラティリティの高い為替相場、保護主義の台頭など不透明、不確実な経営環境下に置かれています。日本では今年予定されている消費税率アップに伴う需要変動や2020年の東京オリンピック需要の拡大とその反動減が見込まれています。当社グループにとって影響度が高いと考えるメガトレンドは、日本の少子高齢化に代表される人口動態の変化と、気候変動、さらには資源問題といった地球環境に関する問題です。この2つのメガトレンドへの取り組みは、当社グループのビジネスモデルの持続性に関する重要な課題です。

このような重要な課題に対して、当社グループでは、事業を通じた課題解決への貢献を目指しています。その一例として、気候変動リスク、さらには資源問題といった地球環境問題に関する重要課題、なかでも、途上国の水問題の解決に貢献する製品として、耐震性、耐久性に優れたポリエチレン管「エスロハイパーシリーズ」や雨水貯留システム「クロスウェーブ」などが、期待を集めています。さらに、社会インフラの老朽化とそれに伴う強靭化対策にも、効率的に既存の下水道管内に更生管を形成する「SPR工法」やコンクリート構造物表面保護・剥離防止用プラスチックシートの「インフラガードシリーズ」などを有しています。

このように、当社グループが多様な事業展開をしていることが、今後の社会課題解決に向けて、多くの事業機会につながると考えており、気候変動、社会インフラ老朽化、資源・エネルギー問題、超高齢化社会などの地球規模の社会課題に対して、私たちの際立つ技術と品質で事業を通じて大いに貢献できると確信しています。

ESGの取り組みについては、温室効果ガス削減目標に対応し、化学セクターでは日本で初めてSBT認証を取得しました。2019年1月には、気候変動が企業の財務に対して与える影響の分析、情報開示を行うタスクフォースであるTCFDへの賛同を行いました。また、SDGs対応品を含む「環境貢献製品」の売上高比率の拡大や健康経営の促進人権方針の改定などに取り組んでいます。

資本政策と株主還元

資本政策については、「資本政策の基本的な考え方」で定めた5つの基本的考え方をベースに、バランスシートの最適な状況を常に意識しながら、グル-プの持続的成長のための投資と株主還元との最適バランスを追求しています。

現在の中期経営計画において進めている3,000億円の積極的な成長投資を実行していくうえでも、財務健全性を保ちつつ、資金需要に応じて借入も適宜活用しながら進めていきます。株主還元については、積極的な事業投資を継続しつつ、中長期の利益成長に応じた株主還元を重視し、配当性向30%目途、DOE(自己資本配当率)3%程度を確保する形で、業績に応じ、かつ安定的な配当の実施と機動的な自己株式取得を通じて、これまで通り積極的かつ安定的な株主還元を維持していきます。

このような取り組みを通じて、積水化学グループは今後も社会に共有される新たな価値と経済的価値の創出を行い、持続的な成長を加速していきます。ステークホルダーの皆さまにおかれましては、今後もご支援のほど、よろしくお願いいたします。

2019年8月 代表取締役社長 高下貞二

資本政策の基本的な考え方

  1. 1. 資本政策はコーポレート・ガバナンス上の最重要課題のひとつと認識しています。
  2. 2. 長期持続的な株主価値の創造に資すると考えられない資本政策は実施しません。また、支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策を実施する場合は、取締役会においてその目的および必要性・合理性をしっかり審議するとともに、適正な手続きを確保し、株主の皆さまへ十分かつ明確な説明を行います。
  3. 3. 中期経営計画において、ROE(自己資本利益率)などの資本生産性の指標の目標を設定し、開示します。
  4. 4. バランスシートの最適な状況を常に意識し、当社の持続的成長のための投資と株主還元との最適バランスを追求します。
  5. 5. 株主還元はROEやDOE(自己資本配当率)を勘案しながら、業績に応じ、かつ安定的な配当政策と機動的な自己株式取得の最適なバランスを考慮して行います。連結配当性向は30%を目途とし、DOEは3%程度を確保します。