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社長メッセージ Message from the President & CEO更新日:2018年8月31日

サステナブル社会の実現に向けて、ESG視点で事業を通じSDGsを中心に世界の社会課題解決に貢献します。

積水化学グループは「際立つ」加工技術をベースにプラスチック素材や医療関連、都市インフラからユニット住宅まで広範囲に及ぶ事業群をグローバルに展開しています。これらの事業展開にあたっては、社是“3S精神”を頂点とした理念体系の下、3つのカンパニーにコーポレートを加えた体制で、グループが持つ技術や強みを“融合”させ、ESG視点でSDGsを中心に世界の社会課題解決に貢献していきます。
事業を展開する各カンパニー価値創造の源泉としての基幹技術は、エネルギーシステム、インフラ施工、住宅生産施工技術などの「住・社会のインフラ創造」領域と、グリーンケミストリー、プラスチック成形、塩ビ材料など「ケミカルソリューション」領域に分類される25に及ぶ技術プラットフォームです。これらの技術を磨き上げるとともに社内外での融合を図り、ユニークな製品・サービスを提供し続けます。これらの取り組みの結果として、社会に共有される新たな価値と経済的価値の創出につなげていきます。

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」

2017年度を初年度とする中期経営計画では、グループの企業価値を持続的に向上させるために、「新次元の成長への挑戦」を推進しています。業績の規模、そして企業姿勢の両側面において、「成長の質」を変えたいという強い思いを込め、中期経営計画を「SHIFT 2019-Fusion-」と名付け、計画を推し進めるうえでの核となるキーワードとして「Fusion (融合)」を掲げています。
何を「Fusion」させるのか。まずは、各カンパニーにある技術、事業機会、人材、その他のリソースを、カンパニーの枠を超えてグループ全体で融合させることです。そして、積極的に、社外のリソースとの融合も検討しながら、新たな価値の創出と成長の加速を図っていきます。
この中期経営計画では、財務的な目標として、最終年度の2019年度に、売上高12,000億円、営業利益1,200億円、営業利益率10%、親会社株主に帰属する当期純利益750億円、ROE(自己資本利益率)12%、を掲げています。

営業利益・最終利益は5期連続で最高益更新

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の初年度である2017年度は、3カンパニーとも増収増益を達成し、営業利益は992億円、親会社株主に帰属する純利益は635億円となりました。その結果、5期連続で営業利益、最終利益とも過去最高益を更新することができました。カンパニーレベルでも、高機能プラスチックスカンパニー、環境・ライフラインカンパニーは、最高益を更新しており、中期経営計画の初年度としては順調なスタートを切ったと認識しています。
高機能プラスチックスカンパニーでは増産投資を積極化し、M&Aによるシナジー発現を促進するなどして、数量の増加とプロダクトミックスの改善が進みました。環境・ライフラインカンパニーでは、前期までに構造改革に目途をつけ、当期には重点拡大製品の拡販に注力し、主に国内で数量増加とプロダクトミックス改善が進み、収益が拡大しました。住宅カンパニーは、3期ぶりに住宅着工戸数の減少という厳しい市場環境ではありましたが、ボリュームゾーン攻略を目指した新製品がけん引役となり受注棟数、売上棟数とも増加させ、増益を達成しました。
中期経営計画において、カンパニー横断的な全社テーマである「融合」に関しては、ポリマテック社の買収シナジーなどにより、2017年度に収益寄与させたのに加え、当社工場跡地における「まちづくり」プロジェクトベトナムの大手パイプメーカーTP社への資本参加によるアセアン市場の開拓など、2018年度以降の成果が期待できる取り組みを実施しました。さらに、将来の収益を築く「育成・創造」テーマへの取り組みに関しても、「“ごみ”からエタノールを生産する世界初の工業化技術の確立」などの成果事例が出てきています。
2018年度は、各カンパニーとも厳しい事業環境の下でスタートしていますが、そのような環境下においても、高付加価値製品の拡販や、固定費コントロールなど市況変化への対応を推進することで、引き続き増収増益を目指していきます。2018年度は売上高1兆1,680億円、営業利益1,020億円、親会社株主に帰属する純利益は670億円を計画しています。営業利益、最終利益ともに6期連続の最高益更新を目指して参ります。

収益構造、牽引要素(成長ドライバーと収益ドライバー)

積水化学グループは、3つのカンパニーで構成されていますが、現在の成長ドライバーであり、収益ドライバーでもあるのが、高機能プラスチックスカンパニーです。主力事業での収益力強化を進め、営業利益率は15%と当社グループ内で最も高いカンパニーです。売上高比率では、全体の約35%を占めています。
そして、安定的な売上・利益を維持しているのが、住宅カンパニーです。当社グループ全体の売上高の約45%を占めるコア事業であり、営業利益率は7.7%を確保しています。日本全体で2030年までに、新築戸建て住宅の大半をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とすることを目指す中でのスマートハウスへの需要増や、中古物件の流通拡大などの成長機会を捉える一方で、メガトレンドを踏まえ、長期的な成長のためには、海外事業の拡大や新たなフロンティア開拓も推進していきます。
環境・ライフラインカンパニーは、全売上高に占める割合は約22%で、営業利益率は6.2%です。収益体質の強化を通じ、安定的な収益を確保しています。また、金属代替などを切り口に、成長分野において付加価値の高い製品を生み出すための研究開発に資源をシフトしています。

経営基盤強化(カンパニー制の効果と課題・コーポレートガバナンス)

当社は、カンパニー制をお客様や現場に近い場で迅速な経営判断を行うことができ、急激な市場変化への対応を可能とする制度であると考えています。3つのカンパニーには、広範囲に渡って、業務執行に関する権限や予算策定など多くの権限を委譲しています。さらには、それぞれが研究所を抱え、開発・生産・販売を一体化し、各カンパニープレジデントが責任を持って経営を進める体制をとっています。収益性やキャッシュフローに関する責任も明確化し、その結果、利益に対する意識が高まり、さまざまな付加価値向上策や継続的なコストダウンを実現しています。またコーポレートにおいては、各カンパニーに対するガバナンス体制を敷いており、社内取締役を中心とした政策会議という会議体の中でも、経営数字のみならず、低採算事業については、その立て直しや出口戦略も議論しています。
2001年にカンパニー制を導入しましたが、その後、それぞれのカンパニーが進化を続け、今年度の最高益達成につながりました。しかし、当社グループを取り巻く事業環境が変化していく中で、これまでのカンパニーの枠を越えた方が、より付加価値の創出につながるであろうケースも現れてきました。
例えば、環境・ライフラインカンパニーでは航空機メーカー向けに機能性シートを提供していますが、それに、車輌用内装材などに実績がある高機能プラスチックスカンパニーのフォームの技術力を活かすことで、柔軟性や断熱性に優れた高性能内装材を開発するといったことが挙げられます。
現在の中期経営計画では、これまで以上にカンパニー間の技術、機会、リソースの「融合(Fusion)」を強めることをテーマに掲げています。カンパニー制の利点を活かしながら、いかにその枠を越えて、技術、機会、リソースを融合し、新たな機会をとらえ、高付加価値の創出に結びつけるかが当社グループの課題であると認識しています。
企業経営のすべての土台はガバナンスです。どの事業に選択・集中すれば最も資本効率が良くなるのか、業務の適切かつ公正な遂行のためには、どのような体制やプロセスが構築されるべきか、企業価値の毀損につながるリスクと、敢えて取るリスクを見極め、どのような打ち手を講じるべきか、そうしたことについての戦略を練り、実行するための仕組みとして、コーポレート・ガバナンスがあると考えています。そして、ガバナンスは、私たちがどのようにして健全かつ持続的な発展をしようとしているのか、どのようにして社会に信頼される体制を構築しようとしているのかを示す哲学でもあります。

経営基盤強化(カンパニー制の効果と課題・コーポレートガバナンス

また、当社では経営の透明性・公正性を高め、迅速な意思決定を追求する目的で、コーポレート・ガバナンスの向上に取り組んできました。大局的な視点から経営に対する助言をいただくため、そして監督機能を強化するために、現在では独立性の高い経営トップ経験者を3名、積水化学の社外取締役に招聘しているほか、2016年度には、指名・報酬等諮問委員会を設置しました。
当社の役員報酬制度は、役員賞与が全社業績、環境貢献製品の売上高比率やCS品質経営といった非財務指標を含めたカンパニー業績、ROE(自己資本利益率)に連動した支給基準に基づき報酬額が決定される業績連動報酬となっていますが、2016年度にはこれに加えて中長期的な株主価値との連動性が高くなるよう設計した株式交付型インセンティブ制度を導入しました。
そして、今後ますます拡大する海外事業でのグループ・ガバナンス強化に向け、2017年度には、米国、欧州、中国に加え、新たにタイに地域統括会社を設置しました。あわせて、海外統括グループをコーポレート経営戦略部内に設置し、日本と現地が一体となってガバナンス機能を果たせる体制を敷くなど、潜在リスクの極小化と現地の知見の取り込み強化に取り組んでいます。

グループを取り巻くリスクと成長機会

新興国の成長鈍化や地域紛争・テロの頻発、為替変動の振れ幅の増大や昨今の保護主義の台頭など、不透明かつ不確実な足元の経営環境下で、今後、2019年の日本における消費税率アップに伴う需要変動や2020年の東京オリンピック需要の拡大とその反動減が見込まれています。
そのような中で、当社グループにとって影響度が高いと考えるメガトレンドは、日本の少子高齢化に代表される人口動態の変化と、気候変動、気候激甚化、さらには資源問題といった地球環境に関する問題です。この2つのメガトレンドへの取り組みは、グループのビジネスモデルの持続性に関する重要な課題です。
こうしたメガトレンドはリスク要因でもありますが、一方で成長機会でもあると考えています。例えば、SDGsは、その目標達成のために毎年5兆から7兆ドルの投資が必要だと言われていますが、見方を変えれば、それだけの市場が生まれるということでもあります。
まず、日本における人口動態の変化によって今後10年内に最も影響を受けるのが住宅事業です。新築住宅市場規模の縮小という未来は明らかなリスクです。しかし、人口動態の変化も見方を変えれば、高齢者向け住宅・設備・施設や大工・職人の高齢化や減少が住宅供給に悪影響を及ぼしかねない状況下において、高品質で安定生産可能な「ユニット住宅」へのニーズの高まりといった機会があります。また「住まい」を広くとらえれば、持続可能な「まちづくり」に、当社グループが課題解決に向けて貢献できる機会が存在します。
具体的には、自社工場跡地でセキスイハイムブランドによる約130戸の戸建住宅分譲、商業施設、集合住宅などからなるまちづくり「SEKISUI Safe & Sound Project」に取り組んでいます。安心・安全で、環境にやさしく、快適な最先端のまちづくりのために環境貢献製品を積極的に導入することはもちろん、IoTデバイス・センシングデバイスを通じて収集した、住民・家・街に関するさまざまなデータを解析し、新サービスを開発する取り組みにも、他社と共同で着手しています。
気候変動や気候激甚化、さらには資源問題といった地球環境問題に関する重要課題についても、私たちが貢献できる範囲は広いと考えています。例えば、漏水しないポリエチレン管「エスロンハイパーシリーズ」や雨水貯留システム「クロスウェーブ」は、途上国の水問題の解決に貢献する製品のひとつとして、期待を集めています。
さらに、社会インフラの老朽化問題とそれに伴う強靭化対策に対しても、効率的に既存の下水道管内に更生管を形成する「SPR工法」やコンクリート構造物表面保護・剥離防止用プラスチックシートの「インフラガードシリーズ」などがあります。
そして、今後の期待の技術として、2017年には“ごみ”からエタノールを生産する世界初の工業化技術の確立に成功しました。
このように、多様な事業展開によって、今後の社会課題解決に向けて、多くの事業機会を捉えることができると考えています。

資本政策と株主還元

資本政策については、5つの基本的考え方をベースに、バランスシートの最適な状況を常に意識しながら、当社グル-プの持続的成長のための投資と株主還元との最適バランスを追求します。中期経営計画において現在進めている3,000億円の積極的な成長投資を実行していくにあたっては、財務健全性を保ちつつ、資金需要に応じて借入も適宜活用しながら進めていきます。
そして株主還元については、積極的な事業投資を継続しつつ、中長期の利益成長に応じた株主還元を重視し、配当性向30%目途、DOE(自己資本配当率)3%程度を確保する形で、業績に応じ、かつ安定的な配当の実施と機動的な自己株式取得を通じて、これまで通り積極的かつ安定的な株主還元を維持していきます。
このような取り組みを通じて、積水化学グループは今後も社会に共有される新たな価値と経済的価値の創出を行い、持続的な成長を加速していきます。ステークホルダーの皆様におかれましては、今後もご支援のほど、よろしくお願いいたします。

資本政策と株主還元

資本政策の基本的な考え方

  1. 1. 資本政策はコーポレート・ガバナンス上の最重要課題のひとつと認識しています。
  2. 2. 長期持続的な株主価値の創造に資すると考えられない資本政策は実施しません。また、支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策を実施する場合は、取締役会においてその目的および必要性・合理性をしっかり審議するとともに、適正な手続きを確保し、株主の皆様へ十分かつ明確な説明を行います。
  3. 3. 中期経営計画において、ROE(自己資本利益率)などの資本生産性の指標の目標を設定し、開示します。
  4. 4. バランスシートの最適な状況を常に意識し、当社の持続的成長のための投資と株主還元との最適バランスを追求します。
  5. 5. 株主還元はROEやDOE(自己資本配当率)を勘案しながら、業績に応じ、かつ安定的な配当政策と機動的な自己株式取得の最適なバランスを考慮して行います。連結配当性向は30%を目途とし、DOEは3%程度を確保します。