2019年度の連結業績の
レビューと分析

更新日:2020年9月11日

経営環境

2019年度の世界経済は、貿易摩擦の激化を主因とする減速傾向から、2019年12月の米中交渉第一段階合意を受けて一時は回復への期待が高まりましたが、新型コロナウイルス感染症が世界中に拡大していく中で、企業活動や人の移動制限により経済活動が制約されると、期末にかけて急速かつ大幅に悪化しました。国内経済は、2019年10月の消費増税直前には駆け込み需要もあって個人消費は持ち直したものの、輸出回復の遅れや増税後の台風被害の影響もあって悪化しました。また2020年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の影響も加わり一段と落ち込みました。

市場環境を、当社の事業分野別に見てみますと、国内の住宅分野では、新設住宅着工戸数は、貸家が引き続き低調だったのに加え、持家や分譲マンションも減少し、前期比7.3%減の88万戸となりました。なお、戸建住宅のうち持家は前期比1.5%減の28万3,338戸、戸建分譲住宅は前期比0.9%増の14万6154戸でした。水インフラ関連分野では、マンション着工戸数の減少に伴い、塩化ビニル管の出荷量は前期を下回りました。一方、建設投資は、民間建設投資は弱含みとなったものの、政府建設投資が堅調に推移しました。エレクトロニクス分野では、スマートフォンの需要が減退しました。自動車分野は、中国や成長市場のインドでの低迷などにより、世界の自動車生産台数は前年から微減となりました。為替については、期初2019年4月は1ドル=110円台でスタートし、新型コロナウイルス感染症が欧米諸国に拡大した2020年3月には一時1ドル101円まで急激に円高が進みましたが、期末は108円半ばで期を終えました。なお、当社2019年度の年平均為替レートは1ドル=109円、1ユーロ=121円となり、前期に比べドル、ユーロとも円高が進みました。

新設住宅および民間非居住建築物の着工戸数
  • ※国土交通省「住宅着工統計」
世界自動車生産台数
  • ※国際自動車工業連合会(OICA)調べ
  • ※暦年ベース

経営成績および財政状態の分析

1. 2019年度の経営成績の分析

(1)売上高および営業利益

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の最終年度となる2019年度は、M&Aや戦略投資など「未来への成長投資」を着実に実行に移すとともに、新製品・新事業の創出や融合施策を推進し、量的成長を図りました。サプライチェーン全体のコスト革新や固定費削減などの「たゆまぬ構造改革」による質的転換を強化し、効果発現に向けグループ一丸となって取り組みました。このような中、環境・ライフラインカンパニーは社会課題の解決に貢献する重点拡大製品の販売が順調に推移し、営業利益は過去最高益を更新しました。

しかしながら、想定を上回るグローバル自動車市況の低迷や消費増税の影響に加え、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の拡大により、モビリティ分野における顧客の稼働低下や住宅・リフォームの引き渡し遅延などが発現し、高機能プラスチックスカンパニー、住宅カンパニーは大きな影響を受けました。

その結果、積水化学グループの2019年度の売上高は1,129,254百万円(前期比1.2%減)、営業利益は87,768百万円(前期比8.3%減)、経常利益は86,996百万円(前期比6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は58,931百万円(前期比10.8%減)となり、減収減益となりました。

業績推移

このうち、住宅カンパニーの2019年度の売上高は前期比1.2%増の512,379百万円、営業利益は前期比3.1%減の37,792百万円となりました。当期は、消費増税により建替や集合住宅の需要が減少する中、売上の平準化やリフォーム事業の収益体質強化に注力しましたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響による引き渡し遅延が生じたことにより減益となりました。新築住宅事業は、新商品「スマートパワーステーションアーバン」や「新・スマートパワーステーション」を中心にスマートハウスの拡販を図るとともに、体感型ショールームの全国展開を推進しました。また、販売用土地在庫の拡充により、分譲住宅を中心としたファーストバイヤー向け住宅の受注獲得に注力しました。リフォーム事業は、蓄電池を中心としたエネルギー自給自足の提案など戦略商材の拡販を図るとともに、ショールーム「ファミエスミュージアム」「ファミエスギャラリー」を展開しました。また、電力“買売”サービス「スマートハイムでんき」事業を開始しました。

環境・ライフラインカンパニーの2019年度の売上高は前期比0.8%減の237,380百万円、営業利益は前期比3.1%増の15,480百万円となりました。当期は、消費増税に伴う住宅着工数減少に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による工事遅延、設備投資停止などにより汎用品の販売が苦戦したものの、重点拡大製品の販売が順調に拡大したことにより、売上は前期並みとなりました。また、構造改革の推進や製品構成の改善が寄与し、営業利益は最高益を更新しました。配管・インフラ分野は、汎用品に加えてIT投資減少の影響を受けプラント管材が苦戦したものの、非住宅施設や公共インフラ向けに、省人化、工期短縮に貢献する管材(ACドレン、エスロハイパー群)、下水道の更生工法(SPR工法)向け資材の販売が順調に拡大したことにより、売上は前期を上回りました。建築・住環境分野は、集合住宅向け需要低迷の影響を受けたものの、集中豪雨対応の雨水高排水システムや、介護・自立支援設備(Wells)の拡販により、売上は前期並みとなりました。機能材料分野は、鉄道まくらぎ向け合成木材の海外での新規採用拡大が堅調に推移するとともに、成形用プラスチックシートにおいて、医療向けの用途拡大が着実に進展したものの、海外の航空機需要の急速な落ち込みの影響を受け、売上は前期を下回りました。

高機能プラスチックスカンパニーの2019年度の売上高は前期比5.5%減の322,421百万円、営業利益は前期比17.1%減の37,169百万円となりました。当期は、自動車関連を中心とした海外市況低迷長期化を受けて、サプライチェーン全体のコスト革新や原材料価格の低下に伴うスプレッド改善を推進したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う顧客稼働低下の影響を受け減収・減益となりました。エレクトロニクス分野は、5G向けの放熱材料や接合部材などの非液晶分野向けの拡販については堅調に進捗したものの、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の市況悪化により売上は前期を下回りました。車輌・輸送分野は、欧州の自動車市況の回復遅れ、中国市場の減速、米国市場における自動車販売の停滞などグローバルでの市況低迷の長期化の影響を受けました。また、第4四半期の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う顧客稼働率の大幅な低下により、売上は前期を下回りました。なお、モビリティ材料領域の業容拡大を図るべく、「AIM Aerospace グループ」の全株式取得に向けた株式譲渡契約を2019年6月に締結し、第3四半期より「SEKISUI AEROSPACE CORPORATION」として連結対象としました。住インフラ材分野は、耐火材料、不燃材料の拡販が順調に進捗し、売上は前期を上回りました。産業分野は、消費増税および新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要の低下によりテープなど汎用品の販売が苦戦し、売上は前期を下回りました。

なお当期より、「高機能プラスチックス」の区分に含めていたライフサイエンス分野の主要部分について、新たなカンパニー候補として分野の成長を加速させるため、「メディカル」セグメントとして開示しています。

メディカル事業の2019年度の売上高は前期比2.6%増の72,588百万円、営業利益は前期比4.4%減の9,204百万円となりました。当期は、検査事業を中心に欧米や中国での販売が拡大し売上は前期を上回りました。しかしながら、事業基盤および開発体制強化のための成長投資が先行している中、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活習慣関連病の外来検査減少の影響を受け、営業利益は前期を下回りました。

(2)営業外損益

営業外収益については、為替差益の計上が839百万円減少したことなどにより、前期と比較して135百万円減少しました。営業外費用については、特定外壁点検保全費用の計上が2,444百万円減少したことなどにより、前期と比較して1,903百万円減少しました。

(3)特別損益

特別利益については、投資有価証券売却益6,929百万円(前期比103.1%)を計上しました。特別損失については、減損損失4,443百万円、投資有価証券評価損2,897百万円、固定資産除売却損2,713百万円などの合計10,344百万円(前期比290.5%)を計上しました。

(4)親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期に比べて10,327百万円減少し、83,581百万円となりました。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は58,931百万円(前期比10.8%)となりました。

2.財政状態

(1)資産、負債及び純資産の状況

2019年度の総資産は前期末から78,645百万円増加し、1,102,352百万円となりました。

(資産)

流動資産については、前期末より21,846百万円増加し、491,883百万円となりました。主な要因は、営業債権が合計で12,848百万円減少しましたが、現金及び預金が6,937百万円、棚卸資産が合計で25,001百万円増加したためです。また、固定資産については、56,798百万円増加し、610,468百万円となりました。

総資産・純資産・自己資本比率

自己資本比率=自己資本/総資産

(負債)

支払手形、電子記録債務、買掛金、未払費用等の仕入債務が合計で1,033百万円、有利子負債が合計で63,817百万円増加したこと等により負債合計では77,116百万円増加し、468,076百万円となりました。

(純資産)

2019年度末の純資産は1,529百万円増加し、634,275百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益58,931百万円、配当金の支払21,261百万円等の増減による利益剰余金の増加と、自己株式の取得による減少13,291百万円、為替換算調整勘定10,316百万円、その他有価証券評価差額金9,365百万円の減少です。

(2)キャッシュ・フロー

2019年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末より6,108百万円増加し、当期末には74,721百万円となりました。2019年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次の通りです。

フリーキャッシュ・フロー

フリーキャッシュ・フロー=営業活動CF+投資活動CF-配当支払

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

2019年度において営業活動の結果増加した資金は92,647百万円(前期は85,213百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益83,581百万円、減価償却費42,209百万円に加えて、売上債権の減9,644百万円等の増加要因が、たな卸資産の増24,309百万円、法人税等の支払額22,071百万円、投資有価証券売却損益6,639百万円等の減少要因を上回ったためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

2019年度において投資活動の結果減少した資金は100,562百万円(前期は62,553百万円の減少)となりました。これは、保有する積水ハウス株式会社の株式の一部を売却したことなどによる、投資有価証券の売却及び償還による収入14,417百万円などの増加があった一方で、航空機・ドローン向けの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等複合材成型品の製造・販売会社であるAIM Aerospace Corporation(現:SEKISUI AEROSPACE CORPORATION)の株式を取得し連結子会社化したことに伴う支出54,377百万円や、主に重点および成長分野を中心とした有形固定資産の取得52,683百万円等があったためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

2019年度において財務活動の結果増加した資金は15,450百万円(前期は31,539百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払22,400百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、自己株式の取得13,291百万円等を行った一方で、有利子負債の純増50,573百万円等があったためです。

事業等のリスク

事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避および発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めています。また、文中の将来に関する事項は、2019年度末において当社グループが判断したものです。

(1)主要市場の動向

モビリティ、エレクトロニクス、住宅、建築、インフラ等の市場の需要減退、あるいは、日本、北米、欧州、アジアなどの事業展開エリアにおける景気後退や不測の事態の発生があった場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。例えば、モビリティ分野の事業が対象とする市場は、グローバルな自動車産業や航空機産業の景況・需要動向の影響を受けやすく、エレクトロニクス分野の事業が対象とする市場は、業界の特性として需要の変動が激しく、短期間に縮小することもあります。また、住宅カンパニーの事業は、国内の住宅取得に関連する政策や税制、消費税、金利動向および個人消費や地方経済の動向の影響を、環境・ライフラインカンパニーの事業は、官公庁向けのものが含まれるため、政府および地方自治体の政策によって決定される公共投資の動向の影響を受ける可能性があります。

(2)原材料の市況変動および調達

当社グループの生産活動に使用される鉄鋼、木材、塩化ビニル・オレフィン等の石油関連の原材料の市場価格は、世界景気や需給バランス、為替変動等の影響を受けます。また当社グループの製品で使用している一部の原材料については、希少な原材料も含まれており安定調達に関わるリスクがあります。急激な原材料価格の高騰は生産コストの上昇につながる可能性が、また希少原材料の需要動向やサプライヤーでのトラブルは当社グループの製品供給に支障をきたす可能性があります。その結果、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、原材料価格の上昇に対して、原価低減施策を行うと同時に、環境・ライフラインカンパニーや高機能プラスチックスカンパニーの事業を中心に、販売価格と原料価格の差である「スプレッド」の維持に努めています。

(3)製品、品質

当社グループでは品質に万全を期すための品質保証・向上の取り組みを継続しています。しかしながら、それらにもかかわらず、重大な製品事故が発生した場合、製品に対する安全性・環境問題・各国法規制対応等に疑義が持たれた場合、知的財産に係る紛争が生じ当社グループに不利な判断がなされた場合等において、商品の回収や製造中止およびこれらに伴う補償や顧客からの信頼を失うリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、お客様に継続的に選択していただける価値を常にお届けする「CS品質経営」に取り組んでおり、「重要品質問題ゼロ」を当社グループの重要指標の一つとして設定し、商品化後に起こり得る品質リスクの開発段階での事前予測による品質問題の発生の未然防止や、製造部門が実行すべき日常の管理の基本的指針の徹底など、バリューチェーン全体で一貫した品質管理を行い、そのレベルの向上を図っています。また当社グループでは、技術の「際立ち」を最大限に活かすために知的財産戦略を重視し、強い特許の獲得による事業競争力確保を目指していますが、それにあたり、他者の知的財産を侵害しないよう適宜調査を行うとともに、知的財産侵害に対する回避・予防策などの適切な措置をとっています。

(4)為替・金利・保有資産価格の変動

当社グループはグローバルに事業を展開しており、外貨に対する円の価値変動は、外国通貨建ての売上高や原材料調達コスト、海外子会社および関連会社における資産や負債に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、金利の変動は、当社グループにおける受取・支払利息の増減および住宅関連事業における需要に影響を与えます。当社グループが保有する土地などの不動産、その他棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場環境や経営環境等の変化により減損処理が必要となるリスクがあります。これらにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、グローバルに展開する事業については現地生産を進めており、また、保有する外貨についても円への両替やグループ内ローン等を活用することで残高をコントロールし、為替リスク低減に努めています。

(5)海外での事業活動

当社グループは成長戦略の一つとしてグローバル展開を進めており、現在は23ヶ国に拠点を構え、生産および販売活動を行っています。海外における事業活動では、世界経済全体の動向に加え、テロ・戦争などの政治的混乱、関税報復措置、予期しない政策・法律・規制の変更、税制改正、産業基盤の脆弱性、自然災害、感染症、人種差別、不買運動その他の要因による社会的または政治的混乱のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性があります。当社グループは米国・欧州・中国・ASEANの4ヶ所に地域統括会社を設置し、当社グループが拠点を構える各国の経済・社会・政治的状況や、各国法規制の動向について情報を収集しています。また対応が必要な事象が生じた際には、当該グループ会社、地域統括会社および日本本社の専門部門が連携して適宜対応しています。

(6)大地震、自然災害、産業事故等

当社グループの工場および研究所における周辺地域に影響する大きな産業事故(火災や爆発、有害物質漏洩等)や、当社グループの事業拠点における大地震・津波等の自然災害および感染症の蔓延等の発生に伴い、当社グループの事業活動の中断などのリスクが存在します。それに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは、火災や爆発、有害物質漏洩等の産業事故の未然防止に向けて、自然災害も想定した各生産拠点でのリスクマネジメント活動によるリスク抽出と対応を行うとともに、本社の専門部門による実地監査と是正指導をグローバルで定期的に実施しています。併せて海外においては、海外危機管理事務局が中心となって地域統括会社とともに危機管理情報の共有やタイムリーな注意喚起等を行っています。また、万一の災害、事故の発生に向けて、グローバルでの緊急連絡網を通じて把握できる体制を構築するとともに、適切な初動対応のための従業員教育を強化しています。

(7)情報セキュリティ

当社グループは、生産、販売、研究開発、調達、会計などのビジネスプロセスにおいて、ITを効率的に活用する一方で、ITシステムへの依存度は高くなっています。また、これらビジネスプロセスの機密情報に加え、住宅事業ではその特性上、多くのお客様の個人情報を取り扱っています。そのため、サイバー攻撃や停電、自然災害、機器やソフトウェアの障害・欠陥等に伴う事業の中断や損害賠償の発生、個人情報を含む機密情報の漏洩等のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは、指針となる「情報セキュリティ方針」を制定のうえ、対応強化のためにCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、システム上でインシデント発生の有無を常時監視するとともに、万一の発生時には適切な対応と再発防止を図る体制を整備し、従業員教育による人的な情報漏洩の未然防止も図っています。また、大地震などの自然災害等による基幹システム停止リスクに対しては、データセンターの複数か所への分散設置、重要業務システムの完全二重化等の対策を講じています。

(8)法務・コンプライアンス

当社グループは事業の遂行にあたり、さまざまな法規制の適用を受けています。これらの法改正や予期しない法律・規制等の導入等に起因した違反事案や、業績目標達成のプレッシャー等に起因した社会規範に反した行動・不正等に重大なコンプライアンス違反事案が発生した場合、その対応に要するコストに加え、顧客からの信頼を失い、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、当社グループの理念体系や企業行動憲章に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきました。2019年4月、髙下社長(当時)のもと、当社グループにとって、コンプライアンスは経営そのものであり、私たち従業員一人ひとりが一致団結してコンプライアンスに則って行動することを宣言しました。

また、社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会において、取締役会の承認を要する「コンプライアンスに関する基本方針等」の審議を行うとともに、当社および当社グループ会社におけるコンプライアンス体制の構築および実践を図ることを目的として、サステナビリティ委員会の専門分科会として「コンプライアンス分科会」を設置し、コンプライアンスに関する重要事項の企画、検討および決定を行っています。当社グループが広く社会から信頼されるよう、コンプライアンス意識の向上に今後も取り組んでいきます。

(9)気候変動、環境問題

温室効果ガスが原因とされる気候変動や、資源枯渇、水リスク、海洋プラスチックごみ等に関わる問題は世界の共通社会課題であるとの認識のもと、当社グループでは長期ビジョン「Vision 2030」やSEKISUI環境サステナブルビジョン2050の実現に向け、社会課題解決による社会・地球環境の持続可能性向上と当社グループの持続的成長を図る「ESG経営」を推進しています。これらに対する取り組みが不十分な場合、社会からの信頼の喪失・レピュテーションや競争力の低下につながり、売上にも影響を与える可能性があります。当社グループは、環境や社会の課題解決に寄与することで地球および社会のサステナビリティを向上するサステナビリティ貢献製品の創出・認定とその市場拡大、温暖化対策としての2030年までの購入電力の100%再生可能エネルギー化、環境負荷の低い原材料調達におけるサプライヤーとの連携などに取り組んでいます。また、海洋プラスチック問題を解決するための企業イニシアチブの「CLOMA※1」や「JaIME※2」にも参加するなど、産官学での連携を通じ、同問題の解決を促進する活動も行っています。

  • ※1 CLOMA:経済産業省と農林水産省が主体となる海洋プラスチックに対処する企業イニシアティブ
  • ※2 JaIME:日本化学工業協会が主体となる海洋プラスチックに対処する企業イニシアティブ
  • (10)新型コロナウイルス感染症拡大の影響

    2019年12月に中国で発生が報告された新型コロナウイルス感染症の全世界的な感染拡大は、従業員の安全を脅かし、国内および海外の当社グループ事業の活動制限、市場の停滞など損益にも影響を与える可能性があります。当社グループは全社緊急対策本部を立ち上げ、従業員の安全を第一に、集合形式の会議、研修、出張、懇親会等の開催を原則禁止、在宅勤務推進等の対策を施しています。お客様への対応としては、面談機会を減らしWEB会議や電話折衝を中心に遅滞ない接客を心掛けています。海外拠点でも同様に在宅勤務や時短での出社を推進し、各国の状況に合わせた対応を行っています。今後の経過を注視しながら、ステークホルダーへの安全対策の充実を継続して図るとともに、長期化リスクを踏まえ、安定的な運転資金枠の確保など不測の事態への備えを行っていきます。

    2019年度における社外からの評価

    ESG指数

    • DJSI「World」選定
    • FTSE4Good Index Series 選定
    • FTSE Blossom Japan Index 選定
    • MSCI ESG Leaders Indexes 選定
    • MSCI ジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数 選定
    • MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)選定
    • Ethibel PIONEER and Ethibel EXCELLENCE 選定
    • S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数 構成銘柄 選定
    • SNAM サステナビリティ・インデックス

    ESG関連ランキング、表彰など

    • CSR全般
    • S&P Global 社によるサステナビリティ格付け
    • 「Bronze Class」「SAM Industry Mover」選定
    • 世界で最も持続性の高い企業100社
    • 「2020 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World index」12位選出
    • 東洋経済「CSR 企業ランキング」74位

    環境

    • 2019年「CDP 気候変動Aリスト」企業に選定
    • 「SBT(Science Based Targets)イニシアチブ」の認証取得(2018年6月)
    • 「ESGファイナンス・アワード・ジャパン(環境サステナブル企業部門)」 銀賞(環境大臣賞) 受賞
    • 第29回「地球環境大賞」の環境大臣賞 受賞
    • ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2020 優秀賞 受賞
    • 「生物多様性アクション大賞2019」【審査委員賞】受賞 生物多様性びわ湖ネットワーク
    • 「しが生物多様性取組認証2019」【3つ星認証】取得 多賀工場
    • 令和元年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発・製品化部門) 受賞

    人材

    • 経済産業省・東京証券取引所 令和元年度「なでしこ銘柄」選定
    • 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人2020(大規模法人部門(ホワイト500))」認定
    • 第2回「プラチナキャリア・アワード」最優秀賞受賞
    • 甲府積水産業株式会社 経済産業省 平成28年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」受賞
    • 経済産業省 平成25年度「ダイバーシティ経営企業100選」受賞