石炭灰を主原料とするリサイクル建材「アシェラウッド」の発売について

2009年9月29日
積水化学工業株式会社

■「水に強く・低伸縮・高強度」なリサイクル素材『アシェラ』を開発

■ 素材特性を活かし、公共施設向けのウッドデッキ等に展開

 
  積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸 修史、以下積水化学)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:滝谷 善行)は、リサイクル素材を利用した建材(人工木材)の新製品「アシェラウッド」を10月1日より全国で発売します。

 積水化学では、独自の材料・成型技術で、フライアッシュ(火力発電所で発生する石炭灰)と容器包装リサイクル樹脂(一般家庭から発生するレジ袋やプラスチック容器のリサイクル資源)を主原料とした新素材『アシェラ※』を開発。水に強く、低伸縮・高強度な素材特性を活かし、公共施設向け外装ウッド用途(ウッドデッキ、ボードウォーク、パーゴラ、ベンチ、ルーバーなど)に「アシェラウッド」を展開していきます。※『アシェラ』は、Ash(灰)とera(時代)を組み合わせた造語。
 

1.

市場および背景

 

近年、木材とプラスチックの複合材、いわゆる人工木材の市場が、外装ウッド用途を中心に伸長しています。外装ウッド用途の市場規模は、天然木材と人工木材を合わせて約180億円(2008年度)ですが、そのうちの約110億円を人工木材が占めています。また、ここ数年は天然木材から人工木材への置き換えが進み、年率約110%で伸長、今後も成長が見込まれます。
 積水化学では、環境保護と木質資源の有効利用の観点から、端材を粉砕した木粉やリサイクル樹脂を原料とする人工木材「リファーレ」を環境貢献製品と位置づけ、住宅向けウッドデッキ用途(市場規模:約25億円)に展開してきました。一方、ボリュームゾーンである公共施設向け外装ウッド用途(市場規模:約85億円)では、不特定多数の人が利用するため、さらに高い性能が要求されてきました。
 このような中、数年前から着目してきた、フライアッシュと容器包装リサイクル樹脂からなる水に強く・低伸縮・高強度な新素材『アシェラ』の開発に成功しました。その特性を活かし、ハードユースにも対応可能な「アシェラウッド」の発売により、さらなる事業領域の拡大を狙います。

 

 

2.

新製品「アシェラウッド」について

 

アシェラウッド」は芯層、表層の2層構造になっており、芯層に『アシェラ』を使用、表層は木質感を再現するために高耐候性(変褪色抑制)を有する木粉充填樹脂を採用しています。「リファーレ」と比較すると、強度で約1.5倍、耐衝撃性で約4倍、吸水性で約1/3と、「リファーレ」の良さを活かしながら、さらに性能を補強した製品となっています。
 ラインアップは、表面にビスが見えない固定金具留め床材である「145×30K(幅145mm高さ30mm)」と、幕板やステップなど多用途利用が可能な「145×30S(幅145mm高さ30mm)」の2種類です。
 長さは2000mm、2500mm、3000mmの3種類ですが、今後、用途に応じてバリエーションを拡充していく予定です。
 なお、2010年度に2億円、2013年には10億円の販売を計画しています。

 

「アシェラウッド」製品写真、製品図面・施工イメージ図、カラーバリエーション、販売価格


【ご参考】『アシェラ』について
 『アシェラ』の主原料は、火力発電所で発生する石炭灰(フライアッシュ)や、一般家庭から発生するレジ袋やプラスチック容器のリサイクル資源(容器包装リサイクル樹脂)のうち、未利用のまま処分されているものです。
 フライアッシュは年間1100万トン発生し、主にセメントの混合材や道路材として再利用されていますが、約37万トンが埋め立て処分されています。また、容器包装リサイクル樹脂は、一般家庭から発生するレジ袋やプラスチック容器のリサイクル資源で年間60万トン発生しており、それぞれ再利用が課題となっていました。
 今後も、外装ウッド用途にとどまらず、『アシェラ』の素材特性が活かせる新規用途開拓を進めていきます。

 

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