積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史、以下当社)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:滝谷善行)は、高性能フェノールフォーム断熱材『フェノバボード』を構成材とした鉄筋コンクリート造建築物向けの乾式外断熱工法※1「LLH※2外断熱通気層システム」(以下本システム)を開発。本格的な提案活動を開始します。 本システムにより、これまで『フェノバボード』を展開してきた木造戸建住宅、鉄骨造一般建築物、産業用途に加え、鉄筋コンクリート造分野での採用拡大を図ります。
※1 乾式外断熱工法:構造躯体の外側に断熱層を設ける工法のうち、躯体から支持金具を張り出し外壁を支える工法のこと
※2 LLH:Long
Life Healthyの頭文字を取ったもの
Ⅰ.市場および背景 本システムは、新築物件だけでなく改修物件にも採用が可能な外断熱工法です。マンション・ビルなどにおいて内側から断熱改修をする際には、内装材の交換が必要となり、居住中の方に一時退去していただくなど、大規模な工事が必要とされましたが、外断熱工法では壁の周囲を覆っていく工事が主体のため、居住した状態のまま改修工事を完了することが可能となります。 また、『フェノバボード』を採用することにより、同等の性能を有する従来品(繊維系断熱材)と比較して外壁全体の厚みを最小限にとどめることができ、住宅エコポイントにも対応しています。 当社では、2007年より『フェノバボード』の販売を開始し、主に木造戸建住宅、鉄骨造一般建築物向けに展開してきました。今回、アルミ建材分野で長年の実績を有する株式会社ツヅキと共同で工法を開発することにより、当システムを通じて鉄筋コンクリート造建築物への展開を図ってまいります。 なお、国内の外断熱システムの市場規模は、120億円と推定され、今後需要の増加が見込まれている分野です。
Ⅱ.「LLH外断熱通気層システム」の特徴
本システムは、共同開発者である株式会社ツヅキ(代表取締役社長:国領薫、本社
東大阪市)が企画開発・販売・施工を担当し、当社が開発・販売協力するものです。 主な特徴は「建物の資産価値の向上」「省エネ、室内温度の安定」「通気層効果による結露の抑制、健康住宅化の促進」「外装デザインの自由度の向上」の4つです。
<1.建物の資産価値の向上> ・コンクリート躯体の外側に断熱材を貼るため、外気温の変化や酸性雨、紫外線などから躯体を守り、建物の長寿命化、資産価値の向上に寄与
<2.省エネ、室内温度の安定> ・室内側に蓄熱性の高いコンクリートがあるため、内断熱と比較して、室温が外気温に影響されにくい ・冷暖房費およびCO2排出量を3〜5割程度削減することが可能(サッシを併せて変更した場合)
<3.通気層効果による結露の抑制、健康住宅化の促進> ・冬季にコンクリートの冷え込みが軽減されるため、内断熱工法と比べて結露が少なく、カビやダニの発生を抑制 ・居住空間全般の温度が一定化され、ヒートショックの危険性を未然に防止することが可能 ・通気層の効果により、湿式外断熱工法よりも結露が発生しにくく、健康的な居住空間を実現
<4.外装デザインの自由度の向上> ・当システムは、断熱材を躯体と外装材に接着する湿式断熱工法と比較し、タイル貼り・石貼り・パネル貼りなど、外装デザインの自由度が向上
Ⅲ.「LLH外断熱通気層システム」の主な構造

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1)外装材
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タイル貼り 化粧サイディング スパンドレル アルミパネル 等
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2)断熱材
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高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード
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3)下地材
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繊維補強セメント板 他
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4)支持金物
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LLH支持金物(特許申請中)
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Ⅳ.「LLH外断熱通気層システム」の提案活動について
医療福祉施設、文教施設、官公庁施設、集合住宅の改修案件を中心に、施主、設計者に対し、本工法の採用に向けた提案活動(設計折込)を開始します。 当システムの販売体制は、㈱ツヅキが元請ゼネコンより材工で外断熱工事を受注することを原則としており、当社は㈱ツヅキに対し「フェノバボード」を供給いたします。
1.提案活動開始時期 2010年7月20日 2.本工法によるフェノバボードの販売目標 2013年度 3億円 3.展開エリア 首都圏から順次展開予定
【ご参考】
◆「フェノバボード」は2007年12月に当社が発売した高性能フェノールフォーム断熱材で、当社がCSRに掲げるお客様や社会全体の環境負荷を低減する「環境貢献製品」に位置付けています。
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◆ 「フェノバボード」の主な特長は以下のとおりです。
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1) ボード系断熱材としてはトップクラスの熱伝導率、0.019W/m・Kを有し、断熱性能の経年変化が極めて少ない
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2)防火性能が高く、燃焼時にも表面が炭化するだけで火炎が燃え広がりにくい
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3)発泡材として非フロンガスを使用しているため、エコロジー建材として地球温暖化防止にも貢献
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