積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史)では、積水化学グループ全社を対象とし、2009年度より、2013年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画「GS21-SHINKA!」を推進しています。2011年度からは、成長に向けた後半3年間(2nd
Stage)についてのローリングプランを策定し、取り組みを開始しています。
ローリングプラン(後半3年間)の概要
本中期経営計画では、同時に策定した「グループビジョン(※1)」の実現に向け、これまで進めてきた成長フロンティアの開拓により高成長を遂げた7分野「フロンティア7(※2)」を中心に各事業において成長と改革を進め、グループとして大きくSHINKA(進化・深化・新化)することを狙いとしています。 後半3年間については、外部環境の変化など社会のうねりに対し持続的に成長を遂げるため、3つのSHINKA(フロンティアSHINKA、モノづくりSHINKA、人材SHINKA)をさらに磨き上げ、「ビジネスモデルの変革」を図ります。
※1
グループビジョン:下記参照 ※2 フロンティア7(F7):住宅ストック、管路更生、水インフラ海外、機能材、AT(車両材料)、IT(電子材料)、MD(メディカル)
1)2つの事業領域において、3つのポートフォリオ区分ごとに成長策を推進
当社グループは、グループビジョンで示すとおり、事業領域を「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の2領域に方向づけています。その上で、各事業を「基盤事業」「フロンティア7」「次世代事業」の3つに区分し、それぞれの狙いを明確に定めました(図1)。 ローリングプランでは、「基盤事業」については収益性の向上と着実な増益を、「フロンティア7」については全社収益の柱となるべく営業利益構成比60%とグローバルNo.1を目指します。「次世代事業」については方向性を絞り込み、NEXTフロンティアの開拓に挑戦していきます。
(図1)
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「グループビジョン」
積水化学グループは、際立つ技術と品質により 「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、 世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。
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2)「3つのSHINKA」による目指す姿へのSHINKA(進化・深化・新化)
本中期経営計画では、グループビジョンを実現し「際立つ、高収益なプレミアムカンパニー」への転換を図るため、それぞれの事業において「フロンティア」「モノづくり」「人材」という3つのSHINKA(進化、深化、新化)への取り組みを基本戦略とし、成長と改革に取り組んでいます。
1.フロンティアSHINKA
「グローバル展開」「バリューチェーン展開」「新成長セグメント開拓」の3つの軸で市場の革新を進め、フロンティア開拓を継続します。
<グローバル展開> 最大のフロンティアであるグローバル市場において、当社グループの持つ、際立つ製品と技術により新たな市場を開拓し、海外売上高3,000億円を目指します。
・管路更生事業における米国・欧州の施工パートナー拡充による売上拡大 ・メディカル事業における米国・欧州・アジア3極体制でのシナジー追求 ・車両分野における最適グローバルアロケーション追求によるコスト競争力の強化
<バリューチェーン展開> 住宅の顧客循環型事業や管路更生事業における前工程(企画、診断)から後工程(施工、補修)までの全工程での事業展開等、縦横の隣接分野を取り込み、周辺領域まで事業領域を拡大します。
・住宅分野における顧客循環型バリューチェーンの展開 ・バリューチェーン展開によるストックビジネスの確立(管路更生事業の展開強化) ・戦略事業分野におけるバリューチェーン展開の複合化
<新成長セグメント開拓> 成熟市場においても「環境」「ストック」「エネルギー」をキーワードに新しい需要が生まれるという認識に立ち、新たな成長分野の開拓に取り組みます。
・環境先進住宅での新築戸建シェア拡大 ・社会インフラ、既存建築の更新、耐震化需要開拓等 ・省エネルギー関連製品や太陽光発電システム搭載住宅等の新エネルギー分野の開拓
ローリングプランでは、「グローバル展開」と「バリューチェーン展開」、「新成長セグメント開拓」による取り組みについて、個々に独立して行うのではなく、相互に連関させて推進し、ダイナミックにビジネスモデルを変革することを狙いとしています(下図)。
2.モノづくりSHINKA
モノづくり基盤力による「深化」と技術革新による「新化」の実現を目指します。 ・利益貢献金額2010年度比200億円(2011~2013年度) ・生産性2倍超・エネルギー1/2の達成に向けた技術革新 ・グローバル基盤力(安全力・改善力)の深化
3.人材SHINKA
目指すべき事業の姿を実現できる人材の革新に取り組み、さらなるグループ人材力の強化を図ります。
・グローバル人材づくり
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人材育成、外国人・留学経験者等採用率拡大
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・自ら手を挙げ挑戦する人材づくり
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人材・研修公募、キャリアサポート
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・多様な人材の活躍
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グローバル人材、女性、熟練社員
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3)主な計画数値
(単位:億円)
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2008年度(実績)
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2010年度(実績)
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2011年度
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2013年度
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売上高
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9,342
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9,154
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9,800
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11,200
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住宅
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4,244
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4,186
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4,440
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5,000
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環境・ライフライン
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2,252
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1,955
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2,060
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2,400
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高機能プラスチックス
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2,626
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2,816
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3,100
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3,600
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その他
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218
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196
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200
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200
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営業利益
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335
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493
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570
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800
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住宅
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171
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243
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270
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340
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環境・ライフライン
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16
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15
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50
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150
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高機能プラスチックス
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157
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243
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260
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360
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その他
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▲9
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▲9
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▲10
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▲50
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(営業利益率)
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3.6%
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5.4%
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5.8%
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7.1%
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海外売上高
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1,515
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1,800
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2,000
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3,000
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(海外売上高比率)
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16.2%
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19.7%
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20.4%
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26.8%
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4)投資について
後半3年間の投資額を当初計画よりも200億円拡大します。
■投資額
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(単位:億円)
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■後半3年間の投資対象
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5)次世代事業について
NEXTフロンティアとして、方向性を絞り込み、以下の3つの事業を開花させることを目指します。
①先進インフラソリューション
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(目標)ビジネスモデルの構築
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②ES(Energy Solution)ケミカルズ
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(目標)13年度売上100億円
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③ライフサイエンス
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(目標)13年度売上30億円
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また、今後10年程度で売上2000億円規模の事業へ拡大を目指していきます。
2011年度の中心施策
事業を通じた東日本大震災被災地の復興支援と、グローバル展開の加速による競争力強化
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住宅カンパニー
◆東日本大震災の被災地復興への寄与 高い耐震性とともに、最高の住み心地と省エネを両立させた、 高品質な住宅の提供により被災地の復興に寄与。
◆先進住宅 4月にホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を標準搭載した『スマートハイム』を発売。エネルギー使用量の表示だけでなく、各家庭のエネルギー需給状況を蓄積・分析し、お客様それぞれに合った住まい方をご提案。また、家庭用蓄電池の本格採用に向けた実証実験もスタート。
◆海外(タイ)事業拡大 タイでの本格展開へ向け、合弁先と共同で約80億円の投資を決定。 年間生産能力1000棟の戸建住宅量産工場を新設。
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環境・ライフラインカンパニー
◆東日本大震災の被災地復興への寄与 災害復興プロジェクトを立ち上げ、東日本大震災被災地におけるライフラインの情報収集ならびに復興に向けた製品、技術支援を目的とするチームを4月に派遣。今後も、水道・下水道・ガス用の管や継手、管路更生工法など水関連インフラの整備を中心に貢献。
◆包括受注体制の構築 5月に水ing株式会社と業務提携。国内外の上下水道分野における複合委託案件(管路と水処理施設が複合して委託される案件)の受注獲得に向け、共同営業・受注活動を開始。
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高機能プラスチックスカンパニー
◆スマートフォン・タブレット端末向けタッチパネル用フィルムへの進出 4月にITOフィルムの製造・販売などを手掛ける株式会社鈴寅(7月から「積水ナノコートテクノロジー株式会社」に社名変更)を買収し、新分野(大型の光学用途向け構成材料)へ進出。今後は、エネルギー分野(太陽電池、燃料電池)における高機能フィルムも開発予定。
◆車両分野におけるグローバルアロケーション、新興国展開 合わせガラス用中間膜を中心に、海外拠点を最大限に活用し最適なグローバル生産・販売体制を構築。 また、新興国への展開強化の第一弾として、8月にインドにおいて車輌部品成型事業の合弁会社を設立。
◆メディカル分野における海外展開加速 米国Genzyme Corporationの検査薬事業買収後に設立したSekisui Diagnostics,LLC
などの海外拠点を活用し、本格的なグローバル展開を加速。
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中期経営計画ローリングプラン「GS21-SHINKA!2ndStage」資料(4.0MB)
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