積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸 修史、以下積水化学)の100%子会社である積水テクノ成型株式会社(代表取締役社長:出原
幹也、以下積水テクノ成型)は、窓ガラスに設置して省エネルギー性能を高める採光断熱材『エアサンドイッチ』を、12月10日より正式に発売します。 『エアサンドイッチ』は、ガラス窓における熱の出入りを抑えるために、ガラスに直接設置するタイプの採光性のある断熱材で、独自のプラスチック素材設計・加工技術を活用して商品化を図ったものです。世界初となる空気層とフィルムとの多層構造によりペアガラスや内窓並みの断熱・遮熱を可能にします。
Ⅰ.背景
社会的に省エネに対する意識が高まる中、建物のエネルギーロスのうち30~50%を占める開口部(窓)の断熱が課題となってきました。窓の断熱リフォーム分野は、法人や公共施設関係の需要だけでも、国内で900億円/年という市場規模が存在し、今後も増えていくことが予想されます。 こうした中、積水化学では、空気を活用した断熱に着目し、独自のフィルム関連技術を活用することで直接窓に貼り付けることができる採光性のある断熱材の開発に取り組んできました。 『エアサンドイッチ』は、積水化学がNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「エネルギー使用合理化技術戦略的開発」の枠組みにおいて、先導研究2年(2005~2006年度)、実用化開発2年(2007~2008年度)の助成を受けて研究開発を行った成果をもとに完成させ、商品化に至ったものです。なお、今後の製造・販売については、積水テクノ成型が行っていきます。
Ⅱ.『エアサンドイッチ』の特長
エアサンドイッチは、2.9W/㎡Kという優れた熱貫流率を有し、ペアガラス並みの断熱効果を発揮します。また、施工が容易でありながら、遮熱フィルムにはない冬場の断熱効果も期待できます。
(1)冬の暖房電力削減
・冬の暖房電力30~60%削減(窓ガラスからの熱のロスが大幅に抑制され暖房費が削減される) ・窓付近で発生するコールドドラフト現象(※)の緩和 ・断熱効果による結露の大幅な軽減 ※コールドドラフト現象:窓で冷やされた空気が床に向かって流れる現象
(2)夏のピーク時冷房電力削減
・夏のピーク時冷房電力を最大で25%削減(日射を40%カットし、エアコンの負荷が低減) ・窓付近における日射によるジリジリ感を大幅に緩和
(3)自由度の高い施工方法
・既存ガラス窓の室内側から、コーキングや両面テープで設置 ― 軽量(5層6mm厚品で1.7kg/㎡)のため窓周りへの取付け負荷が少ない ・大面積の窓ガラスにも複数のエアサンドイッチパネルを組み合わせることにより装着可能 ・施工場所を選ばず、工期も短い。各種オフィスや事業所の大型窓に最適
Ⅲ.事業計画
工場、オフィスビルなどの法人・企業を中心に販売活動を行い、2012年度に5億円、2013年度には10億円の売上を目指します。
<ご参考>採光断熱材『エアサンドイッチ』の詳細
『エアサンドイッチ』は、世界で初めて複数の透光性を有するフィルムで空気層を積層した、多層構造体です(特許取得済)。以下のような熱伝達3形態の最適化を行い、多層化構造を設計しています。
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【断面拡大写真】
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①固体伝導熱小: 素材設計により、剛性のある薄いフィルムを細いスペーサを介して積層することで実現
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②対流なし: はさみこむ空気層の厚みを流動解析により設定
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③放射熱小: 伝熱解析により最適な層数を設計
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基本構成材料としては、フィルムに高透明PET、空気層を保持するスペーサ材にアクリル樹脂を使用しています。製品のタイプは、標準断熱タイプの5層4mm厚と、高断熱タイプの5層6mm厚の二種類があります。
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【基本性能(品種別)】
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5層4mm厚
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5層6mm厚
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熱貫流率(W/㎡K)
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3.4
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2.9
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日射熱取得率(%)
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60
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56
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可視光線透過率(%)
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63
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63
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重量(㎏/㎡)
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1.6
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1.7
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『エアサンドイッチ』5層6mm厚 大型窓の施工例
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<ご参考>積水テクノ成型株式会社の概要
事業概要
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: プラスチック製品(環境・建材・物流・土木関係製品、車輌部品)の製造・販売
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本 社 |
: 東京都港区虎ノ門2-3-17
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代 表 者
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: 出原 幹也
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設 立
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: 1962年8月
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資 本 金
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: 2億円(積水化学100%出資)
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従業員数
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: 127名
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売 上 高
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: 117億円(2010年度)
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