「高分子ピエゾ漏水検知システム」による漏水調査事業の開始について

-水道管の漏水調査をより的確に。幅広い管種にも対応-
2015年2月2日
積水化学工業株式会社

 積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸 修史、以下 当社)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:髙見 浩三)は、「高分子ピエゾ(※)漏水検知システム(以下 本システム)」による水道管等の漏水調査事業を本日より開始します。
 本システムは、当社が独自に開発した高感度センサーと解析技術により、従来の相関式調査法や路面音聴式調査法等の調査手法では困難であった管種にも対応し、わずかな漏水の発見や位置の特定までもが可能となります。

 (※)高分子ピエゾとは:高分子材料を用いた圧電素子。本システムにおいては、振動を電気的に検出するセンサーに使用。

  

1.背景

 水道管路は高度経済成長期に布設されたものが多く、それらは40年と定められた法定耐用年数を超え、全国各地で漏水被害が発生する等、老朽化が問題視されています。水道管路からの漏水は、貴重な水資源の損失となるだけでなく、道路の冠水や周辺地域の浸水等大きな被害をもたらす恐れがあります。
 こうした被害を未然に防ぐべく、当社では従来の調査方法では対応が困難であった樹脂製の水道管路や中口径の金属管路等の幅広い管種・口径に対応し、かつ、わずかな漏水でも位置の特定が可能となる漏水検知システムの開発を進めてきました。

 

図1 40年超過管率等の推移(全国、上水+用供)

出典:公益財団法人 水道技術研究センター「JWRC水道ホットニュース第435号」

 

2.「高分子ピエゾ漏水検知システム」の特長

< 高感度センサー >

■ 対象管路:

水道管、工業用水、消火管等の圧力管路

■ 計測方法:

埋設管の露出部2点に高感度センサーを設置し、無線機で振動データを収集。収集したデータを解析することで漏水の有無、漏水箇所の特定を行います。

 

■ 感  度:

これまでの調査手法では検知が困難であった管種(樹脂管や中口径の金属管等)にも対応でき、わずかな漏水音の振動も収集します。

 

■ 設置方法:

制水弁・消火栓・量水器等へセンサーに内蔵された磁石で簡単に取り付けができます。

 

「高分子ピエゾ漏水検知システム」の概要

「高分子ピエゾ漏水検知システム」の概要

 

高感度センサー

設置例

高感度センサーおよび設置例

 

< 解析技術 >

■ 調査環境:

交通量の多い時間帯や幹線道路のそばでも、漏水音を高度に識別することが可能です。
また、河川や公道下、軌道下等の地上に障害物が存在する場合や、地中深く埋設された管路にも対応します。

 

■ 位置特定:

収集した振動データの波形からノイズの除去と特定周波数の抽出を行い、漏水ピークを算出。前後1mの範囲で漏水位置が特定されます。

 

 

データの解析事例

データの解析事例

 

調査のフロー

調査のフロー

 

 

詳細についてはこちらlink

 

3.事業目標

 水道管等の圧力管路の調査・診断により、漏水事故を未然に防ぐとともに、水道事業の有収率向上に貢献します。
 また、調査データを当社のマッピングシステムと連動させることにより、アセットマネジメントに基づく管路更新の優先順位付け等、効率的な管路更新計画の支援を強化し、2020年度に売上高10億円を目指します。

以上

 

 

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