「合わせガラス用遮音中間膜」の開発が「大河内賞(大河内記念生産賞)」を受賞

2015年2月26日
積水化学工業株式会社

 積水化学工業株式会社(社長:根岸修史)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤敬太)が生産・販売する「合わせガラス用遮音中間膜」の開発に関し、この度、公益財団法人大河内記念会から第61回大河内賞「大河内記念生産賞」を受賞しました。

 大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して設けられ、生産工学、生産技術の研究開発および高度生産方式の実施等に関する顕著な功績を表彰する権威ある賞です。

  受賞内容・理由等は下記の通りです。

 

 

1.受賞内容・理由

 

受賞名

:第61回大河内賞「大河内記念生産賞」

 

受賞者

:積水化学工業株式会社

 

受賞業績

合わせガラス用遮音中間膜の開発

 

受賞理由

:本開発は、遮音中間膜を、自動車ガラス用樹脂の素材設計および製造工程の長期間かつ継続的な技術蓄積をふまえて、世界に先駆けて実用化したもので、グローバル規模で多数の自動車メーカーに採用されている。自動車分野で今後の成長が期待されるヘッドアップディスプレイ用の高機能中間膜への展開、建築分野を含め他用途への適用も進められ、本技術開発の波及効果は大きい。また我が国が産学連携によりこれまで先導してきた先端高分子材料開発の成功例としても高く評価される。

 

 

 

 

 

2.合わせガラス用中間膜について

 中間膜は、車輌用及び建築用の合わせガラスに使用される接着性に優れた透明な樹脂シートです。ガラスが割れた際の飛散防止や、防犯、紫外線カットなどの基本性能を有しており、多くの国で自動車のフロントガラスへの使用が義務付けられています。また、自動車に対する省エネルギー性や快適性等のニーズの高まりにあわせ、近年、遮音性や遮熱性など様々な機能の付与・高付加価値化が進んでいます。

 

合わせガラス断面イメージ

合わせガラス断面イメージ

 

3.製品の特長

 遮音中間膜(当社製品名:S-LECTM Sound Acoustic Film (エスレック・サウンド・アコースティック・フィルム))は、従来の中間膜層(外層)の間に遮音層(コア層)を設ける3層押出技術により実現しています。これにより通常の中間膜と同様の基本性能を保持しながら、遮音性能を大きく向上させました。具体的には、人が最も聞き取りやすいとされる1000〜4000ヘルツ付近で、通常の中間膜と比べて音響透過損失が5デシベル向上します。この周波数域は、走行時に大きな騒音源となる風切り音の周波数にほぼ等しいため、風切り音を大幅に遮断することができます。また、制振性にも優れており、エンジンの発する100〜500ヘルツの振動を効果的に抑え、ガラスから伝わるノイズも遮断します。

 加えて、中間膜に遮音機能を付与することで、合わせガラスのガラス層を厚くすることなく、一定の遮音性を確保できるため、自動車の軽量化・省エネルギー化にも寄与します。

 

遮音中間膜の構造

遮音中間膜の構造

4.実績と展望

 当社は、1960年に合わせガラス用中間膜の生産を開始しました。遮音中間膜については、1997年にまず建築用途として発売し、2001年以降に欧州の自動車用途で遮音機能のニーズの高まりから急速に需要が拡大したのに合わせ、自動車向けの拡販を進めてきました。現在では、世界の新車販売台数の約3割に同製品が採用されています(当社推定)。
 今後も、省エネルギー性や居住空間の快適性、意匠性など、車輌、建築物の高機能性へのニーズは高まっていくと見ており、当社は高機能中間膜の開発を引き続き進めていきます。

 

   

中間膜事業部サイトlink

以上

 

close