積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下貞二)および積水化学グループでは、2014年度に策定した環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」(以下「長期ビジョン」)において、目指す姿を“生物多様性が保全された地球”としています。
「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」
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長期ビジョンの骨子:従業員一人ひとりが自然資本を利用して事業活動を行っていることを認識し、高い環境活動推進力を身につけることで、「環境貢献製品の市場拡大と創出」「環境負荷の低減」「自然環境の保全」の3つの貢献により、「自然資本へのリターンに貢献」し、積水化学グループが目指す姿“生物多様性が保全された地球”を実現していきます。
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ビジョン達成のための第一段階として2014年度より環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014~2016年度)をスタートさせました。中期計画で掲げた目標達成のため、環境貢献を経営の中心に据えてエコロジーとエコノミーを両立させた環境経営を推進しています。
1.「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014-2016)概要
活動項目
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中期計画目標(2016年度)
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環境貢献製品の 市場拡大と創出
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市場拡大
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売上高比率50%以上
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創出
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新規登録件数30件以上(3年間)
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環境負荷の低減
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GHG排出量削減
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総量維持(国内321・海外459千t-CO2)
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エネルギー削減
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3%t/t 削減(13年度比)
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廃棄物削減
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12%t/t以上削減(13年度比)
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自然環境の保全
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事業所内 緑地の質向上
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緑地評価基準(土地利用通信簿® *1)で10ポイントアップ(13年度比)
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SEKISUI環境ウィーク
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全事業所・全従業員参加
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体制の強化
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◎ 生産事業所における水リスクを把握し、対策を立案 ◎ すべての活動の成果を反映した統合指標の算出
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*1) 土地利用通信簿®:
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事業所の土地利用の生物多様性貢献度を評価するシート。いきもの共生事業所®による企業の用地管理担当者向けの推進ガイドラインに基づいて作成されたもの。
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2.「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014-2016)の進捗状況
環境中期計画の重要実施項目に関して、2014年度実績と今後の施策を下表に記載。
活動項目
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指標
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2014 目標
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2014 実績
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達成
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2015 目標
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施策
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2016 目標 (中期目標)
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環境貢献製品
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市場拡大
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売上高 比率
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44%
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44.5%
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○
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47%
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・環境価値(貢献度)を見える化し、環境貢献視点からの事業支援
・エリア別環境貢献製品の発掘
・新規製品の登録強化 (新規カテゴリー等)
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50%以上
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創出
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新規登録
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10件
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22件
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○
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10件
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30件以上
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環境負荷の低減
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GHG排出量削減
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GHG排出量
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総量維持
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△2.5% 国内△5.7 海外△0.2
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○
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総量維持
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・国内外でのECO-JIT活動促進
・省エネ改善事例の水平展開
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総量維持
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エネルギー削減
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エネルギー使用量生産量原単位
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1%t/t削減(13年度比)
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+3.6% 国内+1.0 海外+4.8
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×
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2%t/t削減(13年度比)
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3%t/t 削減 (13年度比)
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廃棄物 削減
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廃棄物発生量生産量原単位
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4%t/t削減(13年度比)
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+8.6% 国内+6.5 海外+10.9
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×
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8%t/t削減(13年度比)
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・国内:廃棄物会議の拡大・成果化
・海外:ゼロエミ活動を軸に削減
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12%t/t削減 (13年度比)
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自然環境の保全
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緑地の質向上
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緑地評価基準(土地利用通信簿®)
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3ポイント アップ(13年度比)
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4.6ポイントアップ
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○
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6ポイント アップ(13年度比)
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・事業所毎への取組み提案
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10ポイント アップ
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SEKISUI環境ウィーク
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参加者数 割合
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60%
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54% (事業所参加率88%)
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×
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80% (事業所参加率100%)
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・活動の事前アナウンスと確認による啓発
・好事例の水平展開
・個人活動例の紹介
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100%
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体制の強化
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水リスクの把握
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水リスク 調査完了
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水リスク 調査完了
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○
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水リスク把握と対策立案
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・海外7事業所の実地調査
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水リスク把握と対策立案
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統合指標の算出
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実績での算出終了
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算出完了 64.5%リターン
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○
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管理指標の可能性判断
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・代表事業所での指標算出
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算出と目標管理指標化検討
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【環境貢献製品の市場拡大と創出】<1>
① 実績:目標達成
売上高比率 44.5%、新登録製品数 22件、総登録件数109件
製品の環境貢献度を算出(2014年度環境貢献製品売上高約9割相当分)
環境貢献製品の売上高・比率の推移
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登録件数の推移
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② 「売上拡大」の要因:
2014年度には、下記の市場拡大と新規製品の登録により目標を達成。
・遮熱・遮音中間膜、電子材料系中間素材の海外市場拡大
・新規事業分野での登録増加(住宅リフォームメニュー、海外開発品、LCD向け中間素材、メデイカル事業製品等)
例) Sekisui Polymer Innovations,LLC(北米)
熱成形用押出シートの「ABSリサイクルシステム」
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積水メディカル(株) 「血液凝固自動分析システム」
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③ 「製品の環境貢献度」の詳細:
環境価値の見える化に着手。2014年度環境貢献製品売上高約9割相当分について、製品・サービスごとの環境貢献度を算出。
・算出した環境貢献度を100%とした場合、3つの環境側面の課題(生物種の絶滅、植物の生長阻害、地球温暖化)ごとの貢献度の内訳は、生物への影響低減:6%、植物への影響低減:4%、地球温暖化の抑制:90%
3つの課題(環境側面)に対する貢献度を分析
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積水化学グループの環境貢献製品の特徴 (3つの課題(環境側面)ごとの貢献度分析
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・製品ごとの算出結果(下記例参照)より、省エネ型の環境貢献製品は、地球温暖化抑制への貢献割合が高く、省資源型の環境貢献製品では、工事・施工を含むサービスや工法が生物、植物への影響を低減する効果があることを確認
※算出方法
1.比較対象となる製品と計算する製品の機能単位を決定し、製品のライフサイクルでの環境負荷の定性比較を行う。
2.
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差異があると考えられる項目に関してデータを収集する。さらに収集した生データに応じた環境負荷の係数を、LIME2*2)の手法に基づいてデータベースから抽出し、データに乗じることで製品の機能単位における環境貢献度を算出する。
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3. この結果に年度売上実績を乗じて、製品の1年間の環境貢献度を算出する。
*2) LIME2:
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東京都市大学の伊坪徳宏教授らが開発した環境影響評価手法 LIME2をカスタマイズして計算を実施。係数は「MiLCA」搭載のデータベース活用。
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④ 今後:
◇環境価値(貢献度)を見える化し、環境貢献視点からの事業支援
◇エリア別環境貢献製品の発掘(例 新興国での環境貢献技術の普及促進等)
◇新規製品の登録強化(新規カテゴリー「防災・減災」等) (例 不燃性ポリウレタン、高耐久インフラ等)
【GHG排出量/エネルギー使用量削減】
① 実績:GHG排出量 2.5%削減で目標達成 エネルギー使用量生産量原単位 3.6%増加で目標未達成
② 要因:
<GHG排出量>
(+)各種設備見直しによる省エネ推進を実施
(+)キャラバン、省エネ会議等での省エネ施策の周知推進
<エネルギー使用量生産量原単位>
(-)国内事業再編による生産拠点の再構築
(-)海外での施策展開は途上段階
③ 今後:
◇省エネ改善事例の水平展開
◇各種省エネ活動強化(見える化、ECO-JIT*3 活動強化、照明のLED化促進等)
◇海外事業所の環境管理活動強化(ECO-JIT活動等)
*3) ECO-JIT:
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生産工程のなかでエネルギーのロスを徹底的に見つけだし、生産改善(革新)によってエネルギーコストを削減する活動
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【廃棄物削減】
① 実績:廃棄物発生量生産量原単位 8.6%増加 で目標未達成
② 要因:国内事業再編による生産拠点の再構築、海外での施策展開は途上段階
③ 今後:
◇廃棄物削減手法のグループ内共有化
◇全社連携のリサイクル技術推進
◇海外事業所のゼロエミ推進
【事業所内緑地の質向上】<2>
① 実績:目標達成。土地利用通信簿®による評価で4.6ポイントアップ
② 詳細:62%の事業所が3ポイントアップし、5事業所が10ポイント以上アップ
③ 要因:キャラバンの実施(調査結果をもとに、事業所に応じた活動内容を提案)
④ 今後:事業所ごとへの取組み提案
◇生き物調査(北海道セキスイハイム工業、九州積水工業等)
◇従業員参画によるビオトープづくり(京都研究所等)
◇従業員参画による生き物パンフレット作成
【SEKISUI環境ウイーク2014(第2回)】
① 実績:従業員参加率 54%、事業所参加率88% シンボルイベントは中国蘇州での植林活動を実施 (従業員とその家族で7事業所 約170名参加、 社長および経営幹部も参加)
② 要因:活動浸透不足及び個人活動の推奨不十分
③ 今後:
◇活動の事前アナウンスおよび確認による啓発
◇好事例の水平展開
◇個人活動例の紹介
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髙下社長
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【水リスク】<3>
① 実績:国内外生産事業所の水リスク調査を完了
② 詳細:エリア、水リスク内容(取水、排水、立地)で層別し、以下の傾向を把握
・取水:地下水の利用が多い
・排水:水源となっている水域への排水が多い
・中国の事業所は全体に水リスクが多い
③ 今後:海外7事業所の実地調査
【統合指標】<4>
① 実績:事業活動による自然資本のリターン量と利用量を統合指標(=「SEKISUI環境サステナブルインデックス」)で数値化、自然資本の利用を100とすると、自然資本へのリターンは :64.5
② 詳細:2014年度の実績を用いて、統合指標の計算を実施
・原材料、製品使用でのサプライチェーンにおける負荷の大きさを認識
・製品による環境貢献の重要性を再認識
・製品毎の環境貢献のポテンシャルを把握
※算出方法
1.自然資本にマイナスの影響を与える負荷データとプラスの影響を与える貢献データ*4(活動の成果)を収集する。
2.項目に応じた環境負荷の係数を、LIME2のデータベースに基づいて抽出し、データに乗じる。
3.各要因の影響を合算して統合化する。
*4)貢献データ:
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環境貢献製品に対しては、製品毎に比較対象製品との差異を貢献として算出
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③ 今後:
◇顕在化した課題に対する対策を検討し、長期に取組むべき項目の見直し検討
◇ビジョン到達度を示す全社の進捗指標として運用可能かどうか見極め
◇事業所の特徴を活かした取組み推進のため、事業所毎の指標として算出と運用を検討
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