製品開発ストーリー

街のゴミ問題を解決したプラスチック製ゴミ容器
ポリペール

1960年頃のゴミ処理事情

今や海外からの旅行者からクリーンな都市と称される東京。しかし、五輪開催を控えた1960年頃、東京都は街の景観を損なう1日約7千トンというゴミの処理に頭を抱えていた。急速な都市化で家庭ごみは増大し、人力による月に2~3度の不定期回収では対応しきれず、ゴミ処理は社会問題となっていた。 東京都は1960年に来日した米国ニューヨーク市清掃局長からの助言を受け、持ち運び可能な容器を各戸に備えて定時収集するニューヨーク方式のゴミ回収を検討していた。情報を聞きつけた積水化学は、当時の役員がアメリカ視察の際に見かけて試作済だった、ポリエチレン製の蓋付き「ポリペール」を都に持ち込んで提案した。すでに1957年に販売を開始してブリキ製にとって代わりつつあったポリバケツの大型版である。従来の木製やコンクリート製のゴミ箱に替わるものとして、ポリペールを採用したゴミ収集方式が決定された。

従来の木製ゴミ箱に代わって登場したポリペール

町を清潔にする運動

東京都清掃局は早速、杉並区をモデル地区に定め、3千世帯にポリペール45Lを配布。新方式の回収が始まると住民からは好評を博し、杉並区で正式に採用が決まると、1963年度末までには都内全区で採用された。同時に展開された首都美化運動がポリペールの普及を後押しした。 積水化学も1962年に、創立15周年記念キャンペーン「街を清潔にする運動」をスタートし、当時としては画期的なシリーズ広告で街の美化を訴求し、ゴミ問題に関する消費者への提案活動を展開した。公共性とも結びついた販促活動は、特に日頃から家庭のゴミ処理に困っていた主婦層の心をつかみ、ポリペールは大ヒット商品となった。各メディアからは“清掃革命”と賞賛され、かくして東京都のゴミ問題は解決し、1964年10月、“五輪をきれいな東京で”開催するに至ったのである。

ニオイがもれず、軽い「ポリペール」は街の景観を塗り替えた

日本のゴミ回収システムに革新をもたらす

その後、各地の自治体でも同様の収集方式が採用され、ポリペールは全国的に普及していく。ニオイが漏れず、軽くて、ゴミの移し替えが簡単なポリペールは街のゴミ収集の能率を一気に上げて、日本のゴミ回収システムに革新をもたらした。街の景観を変え、時代に大きなインパクトを与えたのである。
街のゴミ処理という社会問題に正面から取り組んだ積水化学は、「プラスチックのパイオニア」から「製品を通じて社会福祉に貢献する企業」へと躍進し、今日のCSR経営へとそのDNAは受け継がれていくことになるのである。

ポリペールによるはゴミ収集の様子

HISTORY

1957年

ポリバケツ発売

1959年 東京五輪招致決定
1960年 東京都で杉並をモデル地区に「ごみ容器による定時回収(容器収集)」を実施
1961年 新方式(容器回収)を開始
※1961年から3カ年計画で特別区全域での実施が始まった
1961年 ポリペール発売
1962年 創立15周年記念キャンペーン「街を清潔にする運動」を開始
1963年 日経広告賞C部門(化学、電力など18業種)最高賞を受賞
1964年 東京五輪開催
2013年 江戸東京博物館でポリペール常設展示が決定

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