ステークホルダー・エンゲージメント
基本的な考え方
積水化学グループでは、「お客様」「株主」「従業員」「取引先」「地域社会・地球環境」の5つのステークホルダーとの信頼関係を構築するためには、企業価値向上に向けた建設的な対話が重要だと考えています。
ステークホルダーを企業価値向上に向けたパートナーと位置づけ、建設的な対話を通じて、その期待や要請を把握し、社会全体の課題をともに解決していくことが、当社グループにとっての大きな事業機会につながります。また、ステークホルダーと共存共栄の関係をつくり、持続的な成長をさらに進めていきます。
すべてのステークホルダーとの建設的な対話を促進させるため、2023年度は代表取締役専務執行役員(ESG経営推進部担当役員)の責任の下、ESG経営推進部がその役割を担いました。そして、ステークホルダーの皆様からいただいたさまざまな評価や意見は、代表取締役社長が委員長を務め、取締役で構成されたサステナビリティ委員会で報告し、適切に企業活動に反映させるよう努めています。また、適時、適切かつ積極的な情報開示をグループ全体で確実に実践していくため、「企業情報開示理念」のもと、具体的な開示内容や開示体制などに関して「企業情報開示規則」を策定し、IR(開示)ポリシーに沿って開示しています。
なお、2023年度に各エンゲージメントを通じてステークホルダーの皆様から提起された重大な懸念事項はありません。
各ステークホルダーに対する積水化学グループの責任とコミュニケーション方法
ステークホルダー | 積水化学グループの責任 | 窓口 | コミュニケーション方法 | 頻度 |
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お客様 | 私たちはお客様の声に真摯に耳を傾け、際立つ技術と品質で、指名され続ける製品・サービスを提供し、お客様と長期的な信頼関係を築くよう努めます。 |
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株主 | 私たちは株主の皆様の期待に応えるため、高い資本効率、公正・公平な情報開示、利益の適正な還元、持続的な成長による企業価値の増大に努めます。 |
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従業員 | 私たちは従業員のチャレンジ精神をサポートし、一人ひとりが際立ち、多様な人材が活躍する、働きがいのある職場づくりを推進します。 |
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取引先 | 私たちは、資材調達にあたり、オープン、公平・公正、法令・社会的規範の遵守、相互信頼、環境配慮、腐敗の防止、人権配慮を基本としています。お取引先とのパートナーシップを深め、公正な取引により共存共栄を図ります。また、お取引先のご協力のもと、CSRの推進に取り組みます。 |
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地域社会 | 私たちは事業を通じた地域の発展への貢献、地域との共生、環境保全という視点を重視しています。各地域のニーズに合った施策を考え、実行し、信頼される事業活動を推進します。 |
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地球環境 | 私たちは“生物多様性が保全された地球”の実現に向けて、サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出、環境負荷の低減、自然環境の保全に取り組みます。 |
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経営トップと従業員との直接対話イベント
経営トップと従業員との直接対話イベントとして、「ビジョンキャラバン2023」(国内/海外)や「トップと語ろう 2023」を開催しました。
「ビジョンキャラバン2023」では、2023年度が中期経営計画の初年度であるため、積水化学グループのありたい姿である長期ビジョン「Vision 2030」と、そこに向けた戦略としての中期経営計画「Drive2.0」についてを、改めて従業員に説明しました。
経営トップの素顔や本心を知ってもらい、期待感や信頼感を醸成し活力を生み出す施策「トップと語ろう」も、2022年度に引き続き開催しました。
これらの従業員向けイベントでは、「Vision 2030」のキーワードである「ESG経営」や「挑戦」をテーマに、長期ビジョン実現に向けた役員の想いや役員自身のこれまでの挑戦経験談などについて話します。それを受けて従業員は、経営陣に挑戦を実践する上での悩みに対するアドバイスなどを求めて直接質問する場を持つことができ、日常業務と長期ビジョンの繋がりを感じ、どのように業務を通して長期ビジョン実現に貢献できるかのヒントを得るなど、双方向での活発な対話を進めることができました。
なお、2023年度はオンライン開催だけでなく、製造現場などの事業所に赴き、オンラインも活用したハイブリッド開催を実現し、延べ約2,800名が参加しました。
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国内開催の「ビジョンキャラバン2023」の様子
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海外開催の「ビジョンキャラバン2023」の様子
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投資家との相互理解促進に向けた直接対話
積水化学グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主や投資家の皆様と建設的な対話を行うことは極めて重要だと考えています。
そこで「投資家と経営層の積極的なエンゲージメント」を重要課題の一つとして掲げ、代表取締役社長および専務執行役員 経営戦略部長を中心に、四半期ごとの決算説明会や株主・機関投資家の方々との直接対話を積極的に行い、企業価値向上のための経営戦略に活かしています。2023年度は、80回のエンゲージメントを実施しました。
株主・投資家の皆様との対話でいただいたご意見やご質問は、可能な限り統合報告書をはじめとする各種IR資料に反映するよう努めるとともに、フェアディスクロージャーを意識し、Webサイトでの情報発信を強化しています。2023年度は、機関投資家の皆様からの声をもとに、成長に向けた資本政策開示を強化する新中期経営計画を策定し、機関投資家・アナリスト向け説明会を開催し、その内容をWebサイトで公開しました。
また、近年、グローバルでESG投資への関心が高まり、格付機関による調査も活発に行われています。当社グループではGRIスタンダードなどを参考に、格付機関のアンケートや第三者からのレビューなどを踏まえ、社会にとっての重要性と積水化学グループにとっての重要性の両方を考慮のうえ、「サステナビリティレポート」を編集し、発行しています。
投資家と経営層との積極的なエンゲージメント実施回数
2019年度実績 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | |
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エンゲージメントの回数※ | 67 | 54 | 82 | 74 | 80 |
- エンゲージメントの回数は社長および担当役員が投資家と対話した回数
従業員へのESG経営概念の理解と浸透の推進
積水化学グループのESG経営の考え方などについて、従業員の理解・浸透を深めるためにさまざまな取り組みを促進しています。
2023年度は、長期ビジョン「Vision 2030」やESG経営を従業員に浸透させるため、国内、海外ともに「ビジョンキャラバン2023」を通して従業員に理解・浸透を促しました。
また、当社グループの新入社員、新任基幹職(新任管理職)などを対象とする階層別研修においては、ESG経営に関する教育を実施しています。
このほか、2022年度に引き続き2023年度も、海外において各現地法人社長を対象の「社長研鑽会」を実施しました。挑戦行動・エンゲージメント向上施策の進捗や効果を確認し、他社事例から自社の課題解決に繋がる気付きを得ることができました。
従業員とのコミュニケーション・ツール
積水化学グループでは、当社グループのESG経営に関する従業員への浸透を図るため、社報(ESG経営の特集を連載)や全従業員を対象とした当社グループのESG経営への理解促進ツール「積水化学グループのESG経営読本(ESG経営入門)」などを作成しています。
これらの各コミュニケーション・ツールおよびESG関連資料は、イントラネットから従業員が自由にダウンロードできるようにするとともに、入社時やESG関連の研修などを実施するさい、必要に応じて、正規・非正規を問わず、すべての従業員を対象に配布しています。
なお、各地域統括会社では、それぞれのグループ会社の従業員に対して、ESG関連の情報を発信しています。ヨーロッパでは月1回イントラネットにESG関連の情報を掲載し、アメリカでは階層別ESG研修を定期的に開催しています。中国、アジアでは、ESGポスターコンペの開催やアニメーションビデオ作成などを通じて、従業員のESG意識向上に努めています。
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積水化学グループのESG経営読本
(ESG経営入門)/日本語版 -
積水化学グループのESG経営読本
(ESG経営入門)/英語版
ステークホルダーへの価値配分
積水化学グループでは、GRIスタンダードなどを参考にして、ステークホルダー別に、財務諸表に基づいた配分状況を算出しています。
ステークホルダー | 金額の算出方法 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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株主 | 配当金 | 22,401 | 22,193 | 23,177 | 25,100 | 29,094 |
取引先 | 売上原価、販売費・一般管理費(人件費除く) | 829,809 | 778,554 | 858,944 | 926,822 | 930,019 |
従業員 | 労務費、販売費・一般管理費のうちの給料および手当て、賞与引当金、退職給付引当金 | 211,675 | 210,705 | 210,122 | 224,034 | 232,120 |
地域社会 | 寄付 | 158 | 218 | 198 | 198 | 296 |
地球環境 | 環境保全コスト | 17,850 | 16,207 | 27,522 | 26,373 | 16,115 |
政府・行政 | 法人税、住民税、事業税 | 22,619 | 19,902 | 31,099 | 28,727 | 32,425 |
債権者 | 営業外費用のうちの支払い利息 | 695 | 861 | 774 | 871 | 1,103 |
賛同・支持するイニシアチブと参画団体
積水化学グループは、世界人権宣言、ISO26000、OECD 多国籍企業行動指針、ILO国際労働基準、国連「国際人権章典」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー・フレームワーク)」などの国際規範・規格を尊重し、2009年3月に、国連グローバル・コンパクト※に署名しています。
また「気候変動イニシアチブ(Japan Climate Initiative : JCI)」の“脱炭素化を目指す世界の最前線に日本から参加する”宣言に賛同し、参加しています。
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※国連グローバル・コンパクト:「人権」「労働基準」「環境」「腐敗防止」に関する10原則などを世界の企業トップが企業の影響のおよぶ範囲で遵守することを宣言するとともに、持続可能な成長を実現するために世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組み
気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づいた情報開示
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)ガイドに準拠した情報開示
積水化学グループは、2019年1月に、TCFD※1への賛同を表明しました。そして、この提言に基づいた情報開示を2019年7月より開始しました。さらに、TNFD※2により2023年2月に公開されたガイドに基づいて、当社グループの生物多様性の課題への対応を2023年7月より開始しました※3。これらの情報開示を推進していくことで、ステークホルダーとの信頼関係を含めた持続可能な経営基盤の構築を図っていきます。
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※1 TCFD:2015年に金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。企業に気候変動が企業の財務に与える影響の分析について、情報開示の推奨を提言している。
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※2 TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Nature-related Financial Disclosures)。2021年、民間企業や金融機関が、自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築するために設立された。TCFDに続く枠組みとして、自然関連リスクに関する情報開示フレームワークを構築することを目指している。
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※3TCFDの提言に基づく情報開示、TNFDガイドに準拠した情報開示は、当社のWebサイトで公開しています。以下をご覧ください。
TCFD / TNFD提言に基づく情報開示
積水化学グループが参画する主な団体
団体名、委員会、協議会など | 積水化学グループ役員などが就任している主な役職 |
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一般社団法人 日本経済団体連合会 都市・住宅政策委員会 | 委員長 |
一般社団法人 日本経済団体連合会 企業行動・SDGs委員会/企画部会 | 部会長 |
経団連自然保護協議会 | 副会長 |
一般社団法人 日本化学工業協会 | 理事 |
日本プラスチック工業連盟 | 理事 |
一般社団法人 関西化学工業協会 | 常務理事 |
塩化ビニル管・継手協会 | 会長・代表理事 |
強化プラスチック複合管協会 | 会長 |
公益社団法人日本下水道協会 | 参与会理事 |
一般社団法人 日本水道工業団体連合会 | 理事 |
日本SPR工法協会 | 副会長・理事 |
一般社団法人 住宅生産団体連合会 | 理事 |
一般社団法人 プレハブ建築協会 | 常務理事 |
一般社団法人 住宅生産振興財団 | 理事 |
一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会 | 副会長 |
日中建築住宅産業協議会 | 理事 |
日本粘着テープ工業会 | 理事 |
一般社団法人 環境共生住宅推進協議会 | ー |
一般財団法人 新エネルギー財団 | ー |
一般社団法人 シルバーサービス振興会 | ー |
SDGs-スマートウェルネス住宅研究開発コンソーシアム | ー |
一般社団法人 高齢者住宅協会 | ー |
一般社団法人 日本住宅協会 | ー |
地熱利用促進協会 | ー |
一般社団法人 自然環境共生技術協会 | ー |
RE100 | ー |
クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA) | ー |