積水化学グループでは、CSR部内に設置したお客様相談室をはじめ、各カンパニーの事業所、販売会社内の各部署にお問い合わせ窓口を設置。お客様のお問い合わせやご指摘、ご要望に迅速な対応を図っています。お客様相談室への入電情報は、社内データベース「はや耳ネット」に蓄積し、商品開発部門をはじめとする関係部署と経営層が閲覧しています。 2008年度は、積水化学グループの従業員を対象に「はや耳ネット」の活用実態調査を実施。その結果、住宅カンパニーではお客様への対応事例として、また環境・ライフラインおよび高機能プラスチックスの両カンパニーでは製品開発のヒントとして、参考にされていることがわかりました。
座談会形式でのCATミーティング
2005年度から、住宅カンパニーや住宅販売会社の経営層がお客様から直接ご意見を伺う「CAT(CustomerAnd Top)ミーティング」を実施しています。2008年度は1,763回開催し、5,399人(3,295組)のお客様からご意見を伺いました。 2008年度は、住宅を新築したお客様に加え、リフォーム工事や定期診断を実施したお客様などへと対象を拡大。さまざまな視点からご意見をいただきました。また開催方法も、会場を設けての座談会形式に個別訪問、入居者対象イベントと連動した形式などを加えて、率直なご意見を伺えるよう工夫しました。 このCATミーティングは、頂戴したご意見が商品などの開発や品質改善に役立つだけでなく、対話を通じたお客様の満足度向上にもつながっています。
積水メディカル(株)検査事業部門 検査薬事業部マーケティング部小谷 一夫
酸化LDL測定の様子。リスクのある検体は黄色を帯びる
食生活の欧米化などにともなって、生活習慣病の一つである糖尿病が日本でも増えています。日本全国で糖尿病の疑いがある人の推定数は予備軍も含めると2,210万人(厚生労働省による平成19年度国民健康・栄養調査)。糖尿病患者は心筋梗塞を発症するリスクが高く、また自覚症状が少なく重症化する例が多くみられることから、早期の発見・治療が重要になっています。 これに対し、積水メディカル(株)は2008年度に酸化LDLエライザ「第一」を発売。この製品は、動脈硬化を形成・進展させる酸化LDLを測定する、世界初の体外診断用医薬品です。血液中の酸化LDLの濃度測定・検出を可能としたことで、心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクを医師が予見でき、早期治療による重症化予防、治療経過観察に貢献すると期待されています。
積水ホームテクノ(株)事業統括部 開発部齋藤 浩之
Bath Saloon「楽浴楽座」
日本では、2015年には65歳以上の人口が25%を超えると予測されています。一方で介護保険制度の変更によって施設でなく自宅が「終の棲家」へと変わりつつあり、自宅で楽に、快適に入浴したいというニーズが高まっています。 積水ホームテクノ(株)では、こうした超高齢社会の到来を見据え、高齢化による視力・脚力・握力の衰えを考慮したユニットバス「楽浴楽座」を商品化しました。これまで蓄積してきた人間工学に関する知見を活かして「楽に座れる・掴める・洗える・浸れる」「安心して踏める・またげる」デザインを実現。幅広い層に受け入れられる魅力的な要素を備えたユニバーサルデザインとして高く評価され、日本で唯一の総合デザイン評価・推奨制度であるグッドデザイン賞も受賞しています。
「STAR55」の実施風景
積水化学グループでは、2002年から「STAR55」と名づけたCS意識浸透プログラムを展開しています。2008年度は毎年対象としている新入社員、新任基幹職(管理職)のほか、2008年4月に誕生した積水メディカル(株)※の各部署のリーダーを対象として実施。工場・研究所など4会場で合計79人が参加しました。参加者からは「目的や目標を明確にして共有することの大切さを認識した」「新設された部署に所属しているが、自部署の存在意義を改めて考える良い機会になった」との声があがりました。
※積水メディカル(株):2006年10月に積水化学グループに加わった第一化学薬品(株)を母体に、積水化学のメディカル事業を統合して新設。
「魅力品質」を創出し続けていくためには、その担い手となる人材の育成が不可欠です。そこで、積水化学グループでは、お客様や社会が求める価値をさきがけて捉え、魅力的な製品・サービスを創造・提供できる人材を数多く輩出するための施策を2008年度から実施しました。 若手の企画・開発担当者を対象として、公募型研修「創塾」、CS品質セミナー「魅力品質シリーズ」を実施したほか、イントラネット上に「魅力品質物語」と名づけたサイトを開設しています。これらを通じて継続的に人材を育成し、積水化学グループの持続的な発展を支えていきます。
新しい「魅力品質」の創出を目指すうえでは、現有の製品や技術がお客様や社会にとってどれだけの価値をもつのか、またその価値をどの程度伝えられているのかを把握することも大切です。これを実践していくために、積水化学グループでは「魅力品質選定制度」と名づけた新しい仕組みを2008年度に導入しました。 この制度は、今ある自社の製品や技術力を社外の方から客観的に評価してもらい、その魅力を再発見することを狙いとしています。評価結果を今後の企画・開発に活かしていくとともに、各製品・サービスの担当者のやりがいや自信につなげていきます。
「創塾」研修の様子
「魅力品質」創出のフロンティア開拓を担うべき若手・中堅の従業員を対象とした公募型研修「創塾」を2008年度に開講しました。お客様や社会にとっての価値を理解し、魅力的な製品やサービスを次々と生み出していける人材を輩出することを狙いとしており、価値ある製品・技術などを創りあげるコンセプト設計力の向上を図ります。 第一期は2008年7月から2009年6月までを期間とし、各カンパニーの商品開発・技術・営業の各部門から社内公募で20人の塾生を選抜。塾長に名古屋工業大学大学院の加藤雄一郎准教授を招いて、月に1回ペースで、合宿形式で開講しています。加藤塾長による講義や事例紹介、演習を通じて、ブランドやマーケティングなどについて学びながら、スキル・感性を磨き上げるべく研鑽しています。また塾では、塾生たちが日常業務とは異なる刺激を得られるよう、所属カンパニーの枠を越えた討議の場を多く設けています。 「創塾」開講以来、塾生間での自主的なミーティングも多く開かれており、カンパニー間の情報交換や職場での活発な議論にもつながっています。第一期は具体的な新規開発アイデアと併せて、新規アイデアを導き出す最適なプロセスの創出を目指して活動しています。
積水化学工業(株)環境・ライフラインカンパニー京都研究所 開発推進プロジェクト竹中 兵衛
塾での活動を通じ、これまでは目先の利益にとらわれてうわべだけのお客様の要求を満たしていたに過ぎず、真のニーズをほとんど理解できていなかったことに気づきました。お客様のことを徹底的に考え抜いてお客様自身も認識していない潜在的なニーズを導き出すことで、これまで気づかなかった価値を創出することができると実感できました。また、メンバーと議論して一緒に考え抜くことで新しい発見・気づきや見解を得ることができ、とても刺激的な時間を過ごすことができました。 「創塾」での活動を活かして、今後も努力していきたいと思います。
CS品質セミナー「魅力品質シリーズ」
従来はCSや品質全般に関するテーマで年2回実施していた「CS品質セミナー」を、2008年度は「魅力品質の創出」にテーマを絞った「魅力品質シリーズ」と銘打って年4回。また開催地も、従来は東京のみでしたが、各地から多くの方に参加してもらえるように東京と京都の2カ所に増やしました。 セミナーでは、ヒット商品・ロングセラー商品を手がけた他社の商品企画・開発担当者を招いて、開発の視点や着想、成功要因などについて講演していただきました。参加者からは「他社事例は役に立つ」との声が多く寄せられるなど、他社事例を学び、啓発と気づきのきっかけを得る場となっています。
イントラネット「魅力品質物語」
若手の商品企画・開発担当者の意欲を高めることを目的として、2008年度に社内イントラネット上に「魅力品質物語」と名づけたサイトを開設しました。このサイトでは、これまで積水化学グループが生み出してきたヒット商品やロングセラー商品の開発・導入プロセス――つまりお客様に新たな価値を提供し、社会に貢献してきた数々の魅力的な製品の誕生と発展の物語を紹介しています。従業員に積水化学グループのDNA・潜在能力を知って自信をもってもらうとともに、製品開発におけるブレークスルーポイントを共有することで、次なる魅力品質の創出につなげていきます。開発担当者からは「励みになる」「早く次が見たい」といった声が寄せられています。
積水化学グループの製品・技術を社外の目で評価してもらう「魅力品質選定制度」を2008年度からスタートしました。評価にあたる魅力品質選定委員は社外4人(学識者・消費者・メディア関係者・環境NPO)と積水化学の役員、計6人で構成。各カンパニーからエントリーを受け、「お客様に対する取り組み」「社会に対する取り組み」「技術優位性」「業績貢献」という4つの観点から評価して「魅力品質」を備えた製品・技術を選びます。 2008年度は9テーマがエントリーされ、選定委員へのプレゼンテーション、選考会を経て管路更生工法「SPR及び材料」が大賞に決定。また9テーマすべての応募部署・チームに、選考での評価や改善につながるアドバイスなどを伝え、「社外の評価で初めて気づいた点が多々ある」などの反響がありました。今後は、この制度で選定された製品を通して積水化学グループの技術力やモノづくりに対する姿勢を社内外にアピールし、「魅力品質」創出への取り組みの加速、企業価値向上を目指していきます。
選定委員へのプレゼンテーション
選考会での審査
名古屋工業大学 大学院工学研究科産業戦略工学専攻 准教授加藤 雄一郎 様
企業からの一方通行だけでなく、第三者の視点から積極的に自らの製品・技術力を検証することは素晴らしいことだと思いました。今回、魅力品質選定制度に参画して、積水化学グループの高い潜在能力を大いに感じました。 今後ますます、社会から見た積水化学グループの魅力が力強さを増していくことを確信しています。