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第三者意見

積水化学グループCSRレポートCSRをSHINKAにつなげる

小河 光生

(株)クレイグ・コンサルティング 代表取締役 小河  光生(おがわ  みつお)

早稲田大学卒業。大手自動車関連メーカーを経て、ピッツバーグ大学経営学修士(MBA)取得。三和総合研究所、PwCコンサルティングで経営コンサルティングにたずさわる。2004年に独立し、現在に至る。組織論・人材活性化論が専門分野。

おもな著書に『ISO26000で経営はこう変わる』『CSR 企業価値をどう高めるか』(日本経済新聞社)など多数。名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科客員教授。


企業はなぜCSRに取り組む必要があるのか。それは企業が社会の一員だからである。社会の一員である以上、社会に価値ある存在でなければならない。しかしCSRも企業活動のひとつである限り企業価値につなげるべきである。この社会価値と企業価値の両立こそが企業の持続的成長を生む。髙下社長は、トップメッセージの中でこの両立の考え方を以下のように説明されている。「社是3S精神に書かれた社会的価値を創造すること」「環境を経営の柱に据え、エコロジーとエコノミーの両立に取り組む」
この髙下社長のメッセージの実現こそ積水化学CSRのゴールと考えてよいだろう。

同社CSRは、レポートP7で詳述されているマテリアリティとCSR中期計画が核をなしている。「3つの際立ち、3つの誠実さ」というユニークでわかりやすいフレームである。それぞれにKPIを発表し数値データも細かく開示する姿勢は、同社が誠実にCSRに取り組む姿勢を示しており高く評価できる。巻末にまとめられた、社外から多くの評価が寄せられるのもこの姿勢があるが故と考える。今後も積極開示の姿勢を続けていただきたい。


他方、このCSR中期計画に掲げられた目標を、中期経営計画「SHINKA!-Advance 2016」につなげていくことが今後の課題となるだろう。前述のとおりCSRが企業活動である限り、企業価値(=中期経営計画の実現)に寄与するものでなくてはならない。同社は多様なカンパニーで組織が成り立っているため、横軸となるカンパニー横断施策は出しにくい面もあるだろう。そこで異業種だが総合商社をベンチマークしてはどうだろうか。一階部分(カンパニー全てが目指すべき目標)と二階部分(カンパニーごとに目指すべき目標)といったように“二階建ての目標”を設定することも検討してほしい。


二つ目の課題はステークホルダー・エンゲージメントである。同社はエンゲージメントに決して消極的ではない。お客様の意見を聞く「CATミーティング」や取引先とのミーティング「ハイム共栄会」などを活発に行っている。しかし、同社の海外売上比率は25%を超えるほどに成長してきている。海外の新しいステークホルダーとの付き合い方は、経営のリスクマネジメントと捉えるべきである。新しいステージの積水化学のCSRとはどうあるべきか、というテーマで外部ステークホルダーの意見を虚心坦懐に聞くことがよいヒントを与えてくれるだろう。


三つ目の課題は、社内浸透である。CSRはCSR推進部が力こぶを作っても、事業部門が腹に落ちて自分ごとにしなければ成果にはつながらない。同社が環境経営に重点を置いているため、裏腹に事業部門はCSR=環境と勘違いしていないだろうか。社内浸透には多面的な取り組みが必要と考える。たとえば、前述のステークホルダー・エンゲージメントに社員が自由に出席したり、視聴できるようにしてはどうだろうか。情報開示に積極的な同社らしい取り組みになろう。また、本レポートには残念ながら詳細な開示が無いが、レポートP25の「魅力品質物語」をCSRの一環で社外に開示しても良いのではないか。社員自慢のストーリーとなるだろう。

最後に役員自らCSRに学ぶ機会を作りたい。昨今のCSRは変化のスピードが速い。グローバルCSRを学ぶことは、グローバル化が進む同社のマネジメントに、フレッシュな経営課題を提供してくれると考える。



第三者意見を受けて

平居 義幸

積水化学工業(株)
取締役 執行役員
CSR推進部担当
経営戦略部長
平居  義幸



貴重なご意見を賜りまして、誠にありがとうございます。CSRの取り組みを企業価値の向上につなげていく、これが実現してこそ、「サステナブルな社会の実現に貢献する活動」が持続可能なものになると考えています。今回いただきました「総合商社などの多様な事業を展開する企業の取り組みを参考にする」「グローバルで、外部ステークホルダーの声に耳を傾け、それを事業活動に反映する」というご助言をしっかり受け止め、積水化学グループのCSRのレベルアップを図ってまいります。


「社内浸透」につきましては、2017年度が、創立70周年であり、かつ次期中期計画が始まる年ですので、その機会を有効活用したいと考えています。当社グループがこれまで大事にしてきたことや今後も守り続けることに加え、具体的なCSRの取り組みも社内に発信していく予定です。そうした取り組みは経営層も一緒になって考えていきます。


SDGsやCOP21で示された目標の実現に向けて当社グループがどう貢献していくか、経営層も含め全社一丸となって考え、推進できる体制を作り、企業価値の向上につなげてまいります。

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