魅力品質物語

快適エアリーへの道のり > 第2章 基礎断熱からバリアフリーヒーティングへ


ベタ基礎の導入の2年後、2003年に基礎断熱が導入された。しかし、全国への大々的な拡販に至るには、大きな壁が待ち受けていた。白蟻の問題である。

「セキスイハイムの床の快適性を、さらに高めたい」と考えていた開発部門の堤は、布基礎の時代にも一度、開発部門内で基礎断熱を提案している。

床下に乾いた砂や土間コンを敷き詰めることで、基礎断熱を実現しようとしたのだ。しかし、乾いた砂や布基礎と一体化されていない防湿土間コンでは、地面からの白蟻侵入の経路が断てておらず、開発部門は「白蟻の繁殖の可能性あり」と判断し、実現には至らなかった。

「ベタ基礎になった今こそ基礎断熱が受け入れられる」。基礎断熱にすれば、床下は密閉性の高い空間に生まれ変わる。そのため、白蟻の侵入も防ぐことができる。堤の待ち望んだとおり、開発部門も検証を重ね基礎断熱にしても白蟻の問題はないと確認した。

他社との断熱方法の違い
一般的な床断熱
ハイムの基礎断熱

伸び悩む基礎断熱。全国各地へ理解を求めて

ところが、基礎断熱はそう簡単には広がらなかった。導入当時、すでにベタ基礎の採用率は5割を超えていた。白蟻の問題もクリアになっている。

しかし、開発部門が問題なしと太鼓判を押したはずの白蟻に関して、根強い疑問が一部の販売会社から浮上したのだ。というのも、これまでセキスイハイムは床下の通気口を多くするのを良しとしていた。営業担当者もお客様へは「床下の風通しが良い」と説明していた。

「なのに」と開発部門の伊丹は言う。「基礎断熱になって一転して“全部ふさぐのがよい”となった。それは営業の方々にしてみれば、本当に結露しないのか、白蟻は大丈夫なのかと、品質上の疑問の声があがったのは自然かもしれません」。

これまでは「風通しが良い」からと、結露や白蟻の心配がないと理解していたのに、基礎断熱にして床下を密閉して「まったく換気しない」となると、反対に結露や白蟻の危険性はどうなるのかという疑問だ。地域的な特性から、特に西日本エリアの販売会社は、採用に慎重になった。

かくして堤と伊丹は、商品企画・営業企画部門のメンバーと一緒に、販売会社の販社長を招いての説明会に奔走する。各販売会社もお客様に安心して住んでいただくためには、中途半端な説明では納得できない。様々な、かつ、かなり厳しい質問が飛び交った。メンバーは詳細な技術資料やデータをひも解きながら、ひとつひとつ丁寧に疑問を解消することに努めた。これまでの固定観念を覆すのは並大抵の努力ではなかった。しかし、一旦販社長が納得すると、その販売会社の基礎断熱の採用率は一気に高まる。そうして、ひとつの成功事例が生まれ、その輪は次第に拡大していった。

このように基礎断熱の拡販に苦心した堤は、実は「床下から家全体を暖めよう」と考え始めた頃から、すでにその先の展開まで思い描いていたと言う。「基礎断熱で床下の環境が整ったら、次は床下から暖めて、その後には空気をなんとかしようと、もうすでに考えていましたね。どのようにという方策までは思いついてはいませんでしたが、やるべきことはもう見えていました」。

その言葉の通り、2004年上期には床下に蓄熱暖房機を設置し、床下から1階全体を暖めるバリアフリーヒーティングが上市されることになる。

住宅カンパニー 開発部門 堤
住宅カンパニー 開発部門 堤

バリアフリーヒーティングでいよいよ積極的な暖房へ

おさらいをしておこう。基礎断熱を導入したセキスイハイムの床下空間は、ボックスラーメン構造のため壁などの仕切りのない、ひとつの大きな空間になっている。言いかえれば、床下にもうひとつの大きな居室があるということ。

だから、蓄熱暖房機を床下に置けば、1階フロアの全居室・廊下・洗面・トイレまで床下から暖めることができるのだ。床暖房のような局所的な部分暖房ではない。だから、冬場に、居室間の温度差が原因で起こるヒートショックを軽減することも可能になる。まさに温度のバリアフリー。これこそが快適エアリーのルーツともなる商品、“バリアフリーヒーティング”である。

これまでの“床温度”をさらに暖かく、快適性も向上し、良いことづくめに見えたバリアフリーヒーティング、それでも出始めの頃は苦戦を強いられた。なかなか採用数が伸びなかったのだ。正直なところ「がっかりした」と堤は苦笑する。「床下を暖めることの有効性が、当時はまだまだ浸透していなかったのかもしれません。我々、開発の担当者はその良さはわかっていますが、まだ床下を暖めるといえば床暖房ぐらいしかありませんでした。床下から全体を暖めるなんて聞いたこともないシステムだから、浸透しづらかったのでしょう」。

基礎断熱の頃から現在の快適エアリーに至る一連の開発に携わっている数少ないメンバーのひとり、開発部門の朝桐も言う。「やはり世の中で初めてのものなので、営業の方も厳しく判断されたのかもしれません。1年目は数十棟しか出なかったですから」

そう理解しつつも、朝桐は確かな手応えも感じていた。「ただ、この時採用されたお客様の評判はよかった。ある営業の方は、採用されたお客様宅に別のお客様を案内する、ご入居者邸案内を軸にどんどん広めてくださった。だから翌年は、そこそこ伸びたという印象です」

一般的には、なかなか採用数が少なかったという印象のバリアフリーヒーティング。堤は、あらためて言う。「それでも“床下から暖める”ということが本当に良いものだとは確信していました。体感さえしてもらえれば、確実に良さが伝わる。反対に体感できないとわからないだろうから、そこは課題かもしれないとは思っていました」

堤の思いや朝桐の手応えの通り、実際に採用されたお客様の間では満足度が非常に高く、ゆっくりではあるが、着々とバリアフリーヒーティングは広まっていった。

バリアフリーヒーティングとは
システム概要
床下蓄熱放熱器
住宅カンパニー 開発部門 朝桐
住宅カンパニー 開発部門 朝桐

拡販にたりうるメニューとして。徹底的なCRで生まれ変わる

同じ頃、「なぜ、なかなか採用されないのか」を考えに考え尽くして、徹底的にコストダウンを行っていたのが同じく開発部門の三隅である。三隅も、朝桐同様に初期から現在まで快適エアリーの一連の開発に携わっている。

バリアフリーヒーティングは、やはり導入初期には今より値が張り、手頃な価格とは言えず、大々的な宣伝活動もしていなかった。また一方では、発売後も「良いものをもっと安く」と、継続して品質改善が行われていた。

「まだまだ改善できる。反対にそうでないと普及はしにくいと思いました。だから、品質改善とコストダウンを徹底的に行いました。開発パートナーのメーカー担当者と一緒になってネタをだし、品質や機能を落とさずコストダウンをしていきました。購買部門の協力も大きかったです。とにかく何が何でもやらなければいけないという気持ちしかありませんでした」と、三隅は当時を振り返る。こうして完成した、床下を利用し快適性の向上を目指した設備メニューこそが、セキスイハイムの他社との大きな差別化につながっていくのである。

2005年上期には、三隅たちの奔走もありコストダウンと品質改善を実現し、無事に販売価格も下げることに成功した。そして、いよいよ2005年10月、バリアフリーヒーティングは、ウォームファクトリーという新たな名前で生まれ変わる。商品としてさらに成熟した形で、発売にこぎつけたのである。

住宅カンパニー 開発部門 三隅
住宅カンパニー 開発部門 三隅

快適エアリーへの道のり
2003年	基礎断熱を導入
2004年上期	バリアフリーヒーティング上市
2004年下期	バリアフリーヒーティング出荷始まる
2005年10月	ウォームファクトリーに名称を変え発売
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