魅力品質物語

快適エアリーへの道のり > 第6章 快適エアリー②空気質


冬の暖かさに加え、夏の爽やかさを叶えた快適エアリー。それだけではなく、空気の“質”という新たな視点が加わった。たとえ過ごしやすい季節でも花粉に悩まされている人は、全国的にみて年々増えている。また、人が一生をかけて摂取する物質の総量のうち、食物と飲料は足してもたったの約15%なのに、約57%が室内空気だという(※田辺新一著『室内化学汚染―シックハウスの常識と対策』講談社現代新書より)。「だからこそ、住まいの作り手は、室内の空気に対する責任がある」と商品企画部門の鈴木は言う。

空気質の訴求については、もうひとつ理由がある。あったかハイムキャンペーンがスタートしてから「暖かさ」を訴求する住宅メーカーは一気に増えた。総合展示場では、 “あたたかい”というキーワードがあちこちで見られるようになった。暖かさについては、お客様から見ればどのメーカーも同じに見える。鈴木は言う。「やはり他社がまったくマネできないところを、セキスイハイム独自の技術で実現し、そこを積極的に訴求していくべきではないかと。その点では、フィルターの性能は、他社には多分マネできないレベル。さらに、セキスイハイムの誇る高い気密性も訴求できます」

「住宅内の空気質は“第一種換気”“フィルターの性能”“住宅の気密性”の3つが揃って初めてコントロールできます。たとえ高性能のフィルターで出入り口をふさいでも住宅自体が隙間だらけだったら、そこから空気が入ってきてしまうし、気密性がよくてもフィルターの性能が劣っていれば同じことである。これらすべての要素を兼ね備えているからこそ、他社にはマネできないハイム独自の技術になるんです」

快適エアリーのフィルター 三層構造の高性能フィルターで、花粉や黄砂、細かい有害物質をキャッチします。
1 プレフィルター 0.5mm以上のごみを除去 2 除塵フィルター 花粉を99.9%以上※1※4
黄砂を約93%※2※4捕集 3 NO2フィルター 排ガスなどのNO2を80%以上※3※4除去 ※1 大気塵10um以上(花粉粒径)捕集率測定結果(東レ(株)調べ)。 ※2 環境省データによる黄砂粒径からの推定値(当社調べ)。 ※3 試験室内での除去率測定結果(東レ(株)調べ)。 ※4 上記数値はお引渡し時のフィルター初期性能を示しています(東レ(株)調べ)。

高性能フィルターのほんとうの威力

少し話はさかのぼるが、2010年1月、九州で快適エアリーの“空気質”が大々的に受け入れられた。火山灰や中国北西部から流れてくる黄砂の影響、今でも発生する光化学スモッグなど、九州に住む人は他地域よりも空気の問題には敏感ではないだろうか。

その発信の骨子を作っていたのは、営業部門の谷口だった。2009年の暮れ、九州に赴任したばかりの谷口に、当時セキスイハイム九州株式会社の社長、村上は“九州はスギ花粉が多いから”と2週間で空気質について資料をまとめるように言った。

「空気に関する新聞記事や雑誌、ネットなど資料を集めて調べてみると、九州の空気の課題がみえてきました。ポイントは5つ、花粉、光化学スモッグ、ハウスダスト、そして黄砂と火山灰でした。それによくよく調べると、スギ花粉が終わればブタクサ、ブタクサが終わる頃には…と花粉症は春先だけでなく1年中なんです。空気環境のいい家でないと、大人だけなく子どもの健康にも大きな影響があることがわかってきました」

この時、谷口は、これらの5つを快適エアリーで厳密に、どの程度捕集できるのか、開発部門の平野に問い合わせた。そこで快適エアリーのフィルターが非常に高性能であることに驚く。
「平野さんに聞くと、光化学スモッグの主成分は光化学オキシダント、さらにその主成分がオゾンなんですが、その“オゾン”を吸着してとるという機能が快適エアリーのフィルターにはあるんです。“え、オゾンがとれるの?”と驚いてデータを見せてもらったら、実験室データではあるが、条件によっては99.9%捕集できる場合もあると。これは願ってもない数値だなと」そこで、谷口はさまざまな数値を平野にあたる。「たとえば、私から黄砂の粒の大きさなどの国のデータを出して、平野さんに除去率を出してもらうというやりとりを何回もしました」。

この頃、フィルターは一般地仕様と塩害地仕様の2種類があった。機械の中に海塩粒子が入ってしまうと傷んでしまうために、より除去率を上げたのがオプションの塩害地仕様フィルターだった。ただし、オプションと言っても数千円。谷口の働きかけもあり、それからしばらくして塩害地仕様フィルターが標準仕様となる。花粉除去率も95%から99.9%へとアップした。

こうした問い合わせを、平野は「嬉しかった」と微笑む。「やっと、という感じでした。この換気システムもフィルターも“エアファクトリー”として既存の設備メニューでしたが、それまではあまり採用されなかった。空気質が良くなることはわかっているのに、なかなか良さが伝わらないと思っていました。谷口さんから、あれはとれるか? これはとれるか? と問い合わせがあったことは、本当に嬉しかったですね」

快適エアリーは、この高性能なフィルターで清浄な空気を作り出すわけだが、谷口はこう付け加える。「以前は、水を買うのが珍しい時代があった。いずれ空気も買う時代が来ると思う。それがまさに快適エアリーなんです」

住宅カンパニー 営業部門 谷口
住宅カンパニー 営業部門 谷口

床下の大空間が快適な空気質を実現

快適エアリーの換気システムの原型になった“エアファクトリー”は、ウォームファクトリーとほぼ同時期に開発された。花粉・塵・カビを高度に除去して外気をとり込み、ハウスダストを効率的に排出する、高性能な第一種熱交換換気システムとして、すでにこの時点で現在の快適エアリーとほぼ同じ性能を持っていた。どうしてそこまでハイスペックな目標値を定めていたのか? 当時のこの開発を担当していた有我はこう言う。

「“快適な空気質”というものが新しい概念だったので、まずはそれがどういうものか、“爽やかさ”“おいしい空気”という言葉に置き換えて追求しました。具体的には、当時の人間生活工学グループと連動して“どんな時に悪い空気を感じるか”などのアンケート調査を行って、快適な空気質の目標値を設定しました」

その目標値とは、わかりやすく言うと、一般的に八ヶ岳や日本アルプスの空気と同じ数値である。道路沿いの汚れた空気が、日本アルプス級に浄化できる換気システムと言えば、その凄さが伝わるだろうか。

実は、この高い性能値を実現できたのは、床下に大空間をもつハイムの構造によるところも多い。一般的に、床下に第一種換気システムを設置しているケースは有賀曰く「ほとんどない。なぜなら床下空間というのは、基礎断熱でなければ“外部”なので故障しやすいしメンテナンスもしにくい。さらに、湿気を防ぐために断熱材や防水など追加の工事が必要になる。だから普通は室内の収納の中か天井裏に置きます」

セキスイハイムの場合は、その必要がない。すでに床下に室内と呼べる安定した環境の大空間が広がっているからだ。「床下を使えば、プラスのスペースは一切要りません。換気扇も床下に設置できます。また、コストメリットも大きいです。床下空間やユニットとユニットの隙間を活用することで、ダクトを囲うスペースがいらなくなるし、1階の床からダクトを出すので長さも短くて済む」そう有我が言うように、様々な優位性がある。

それだけではない、随所に独自の工夫も施されている。一般的には、ダクトの長さを短くするために吸気口と排気口を近づけるが、それでは吹き出し口周辺しかきれいな空気を維持できない。ダクトが短くても空気をきれいにするために、渦を巻くと流れやすい空気の性質を利用したり、あらゆる検討を繰り返した。

その際、床から空気が吹き出すというのは一般的ではないため、社内ではネガティブな意見もあった。しかし、有我はあえて床から吹き出すことの良さを語る。「人が住むのは床の周辺ですから、そこに新鮮な空気を出すという狙いがありました。床周辺=生活空間に一番近いところがきれいになるんです。ただ寒く感じるのではないかという意見もあったので、なるべく人には当たらず壁に沿って空気が回るようにも工夫しました」

そして、谷口があらためて驚いたというフィルターについて有我はこう解説する。「フィルターの性能を高めて目を細かくすると空気が流れにくくなり、風量が低下します。だけど、フィルターを大きくする(風の通る面積を大きくする)ことができれば、風量が低下しにくくなります。そのうえフィルターの寿命も長くなります。しかし他社の場合は、換気扇の中にフィルターを設置しているので、サイズを大きくすることはできない。その分、フィルターの性能を上げると風速が落ちるので換気扇の能力も上げなくてはいけないのですが、そうするとコストも上がってしまうというジレンマがあります」

「セキスイハイムの場合は、床下という大きな空間を存分に使えるので、専用ボックスをつくり分けるなど換気扇の外にフィルターを設置でき、圧力のロスもなく、しかも浄化性・濾過性の高い大きなフィルターを採用できる。さらには他社が、天井をふかしてフィルターを設置したとしても1〜2年に一度フィルター交換が必要になるところ、ハイムは5年に1回でいい。そうなると一朝一夕にはマネできないんですね」

こうして分けて設置することで、快適エアリーのフィルターは、実はビル空調の冷暖房と同等の性能レベルを実現できた。他社でなかなか追随する機能が出ないのは、コストだけでなく、同じクオリティの換気扇を置くスペースがないからだという。

また、快適エアリーは“ほこり”の削減にも効果がある。「ガラリ部分はほこりがたまりやすい場所なので、天井近くではなく床にあれば脚立など使わず掃除できるし、ほこりは舞い上がっても落ちてくるので、床に排気口があった方がとりやすいんです。実際、試験をしたところ、通常自然にほこりがたまる量の4割減という結果がでました」

しかし、エアファクトリーは発売当初は採用率が低かった。有我は空気の良さを体感することの難しさを指摘する。「空気の清浄さというのは温度と違って、長時間その空間で生活しないと実感が湧かないので、普及しにくいという点もあると思います」また、当時はまだまだ空気の質が今ほど深刻でなかったという背景もあるかもしれない。

振り返ると、基礎断熱、バリアフリーヒーティング、ウォームファクトリー、エアファクトリーと、これまでの開発の技術と現場の取り組みの集大成として快適エアリーは完成する。

暖かさというもっとも身近な体感ベネフィットから、他社には真似できないような空気質の訴求まで、10年以上の時間を費やし実現することができた。しかし、ここがゴールではない。今もひとりひとりが、「セキスイハイムだからこそ実現できる快適な住まいとは何か」を求めて、この瞬間もさらなる試行錯誤を行っている。

住宅カンパニー 開発部門 有我
住宅カンパニー 開発部門 有我
空気質の比較 快適エアリーの室内空気中のNO2と浮遊粉塵量は、日本アルプス付近の平均値と同程度。
快適エアリーの場合 極めて健康とされるレベルは0.03mg/u以下(当社実験値)
快適エアリーは日本アルプス級※1 ※ 埼玉県蓮田市における実邸測定値(ハイムシリーズ)。
※1 日本アルプス級:国立環境研究所で測定している、2003年度大気データうち、日本アルプス付近の5地点(長野県伊那市、岡谷市、大町市、飯田市、木曽福島市)の計測データの平均値です(NO2:年平均値0.011ppm、上位2%値 0.025ppm 粉塵:年平均値0.016mg/m3、上位2%値 0.038mg/m3)。
エアファクトリーの給排気
フィルターの比較
他社の場合
快適エアリーの場合
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