弊社は、事業活動に伴う環境負荷を減らし、環境保全・快適環境創造の役割を果たすことが企業の社会的責任と考え、事業活動・生産に伴う環境負荷、環境リスクを低減する取り組みを自主的に行っています。その自主活動の一環として、全事業所を対象に土壌汚染対策法に準じて敷地の土壌調査を計画的に実施しております。この度、滋賀水口工場において調査を実施いたしました。
調査の結果、敷地内の土壌から数種類の重金属類の基準超過と、事業所北側の敷地境界付近でダイオキシン類の環境基準超過が確認されましたので、現在までの調査状況と対策につき報告いたします。
記
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1.調査敷地(別紙を参照下さい)
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滋賀水口工場内(以下、本体工場)、北西飛び地、南西飛び地および社員寮跡地の4箇所を対象に土壌調査を行いました。
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2.調査物質
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調査物質は法律で定められている溶剤類、重金属類、PCBの3種類21物質及び過去に焼却炉を設置していたことから、ダイオキシン類も調査しました。
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3.調査結果について
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1)
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溶剤類(調査対象11物質)
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土壌汚染対策法の指定基準に対して、基準超過はありませんでした。
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2)
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重金属類(調査対象9物質)
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鉛、砒素、フッ素、水銀による基準超過がありました。その概要は下表の通りです。残りの5物質の基準超過はありませんでした。
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<重金属類調査結果概要>
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調査場所
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項目
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基準超過 区画数
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指定基準
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最大濃度(指定基準との比較)
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基準超過 深度
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本体工場内
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鉛(含有量)
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8区画
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150 mg/kg
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7,700 mg/kg(51.3倍)
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0.5m
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鉛(溶出量)
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1区画
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0.01 mg/L
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0.017 mg/L ( 1.7倍)
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0.5m未満
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砒素(溶出量)
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6区画
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0.01 mg/L
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0.032 mg/L ( 3.2倍)
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0.5m
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フッ素(溶出量)
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1区画
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0.8 mg/L
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1.1 mg/L ( 1.4倍)
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0.5m未満
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水銀(溶出量)
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1区画
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0.0005 mg/L
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0.0009 mg/L(1.8倍)
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0.5m未満
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北西飛び地
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鉛(溶出量)
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2区画
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0.01 mg/L
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0.018 mg/L ( 1.8倍)
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2.4m~2.9m
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フッ素(溶出量)
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1区画
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0.8 mg/L
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1.0 mg/L ( 1.3倍)
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2.1m~2.6m
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南西飛び地
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フッ素(溶出量)
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12区画
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0.8 mg/L
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3.3 mg/L ( 4.1倍)
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5.4m以深
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社員寮跡地
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鉛(溶出量)
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1区画
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0.01 mg/L
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0.014mg/L ( 1.4倍)
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0.5m未満
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3)
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PCB
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基準超過はありませんでした。
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4)
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ダイオキシン類
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(1)焼却炉の周辺跡地
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環境基本法の環境基準に対して、超過はありませんでした。
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(2)廃棄物焼却炉の廃水配管からの漏水箇所
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過去に焼却炉の排ガス洗浄装置の廃水配管から漏水があったという情報に基づき、推定される地点付近を調査した結果、基準値を超過するダイオキシン類が確認されました。
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項目
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環境基準(pg-TEQ/g)
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最大濃度 (pg-TEQ/g)
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環境基準との比較
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土壌
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1,000
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8,900
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8.9倍
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また、漏水箇所の下部にある場内雨水排水溝経路のマス内堆積物(別紙:A地点)より50ng-TEQ/gが確認されています。
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4.重金属類基準超過の原因と対策について
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1)
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原因と対策
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2)
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近隣への影響
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含有量が基準超過した区画は、草地または舗装がなされているため、風による飛散はないと考えています。又、溶出量が基準超過した区画については、ほとんどが舗装されていることなどにより雨水の浸透が少なく地下水への影響は低いと考えています。尚、既設井戸1本で地下水測定を実施した結果、全物質で基準超過がないことを確認しています。今後はさらに監視井戸を設置し地下水のモニタリングを実施します。
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5.ダイオキシン類基準超過の原因と対策
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1)
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原因
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過去に廃棄物焼却炉の排ガス洗浄装置の廃水配管から漏水があり、その廃水中の煤じんが漏水箇所下部の土壌と場内雨水排水溝経路のマス内に堆積しておりました。その煤じんに付着したダイオキシンが原因と考えられます。漏水の期間は、調査の結果、2003(平成15年)年12月から2004(平成16年)年2月の間で最大でも約1.5ヶ月と推定しています。
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2)
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近隣への影響と対策
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公共河川(思川)への影響を確認するため行った、場内から思川につながる場外の雨水排水溝底部(別紙:B地点)の土壌調査の結果及び、県による思川底質調査の結果は、両者とも環境基準値以下であり、近隣への影響は少なかったと考えています。思川に至るまでの場内外雨水排水溝およびマス内の堆積物については、県と相談の上除去いたしました。また、漏水箇所については、雑木林の中で土壌が常時湿った状態にあり、飛散する可能性は低いと考えています。 なお、雨水による表層土壌流出を防止するため応急対策として、基準超過箇所の範囲をシートで被覆しており、今後速やかに掘削除去する計画です。 ダイオキシン類は水に溶けにくく地下に浸透しにくい性質であることから、地下水への影響も低いと考えていますが、井戸を設置し地下水の水質を確認します。
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6.その他
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1)
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管理体制について
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(1)漏洩、流出事故の防止のため、管理体制を強化しております。
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①危険物・毒劇物・化学廃水などの配管の管理
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点検・管理のしやすい設計とし、保全計画に基づき点検と更新を実施しています。埋設配管の地上化と検出器の拡充により流出事故の未然防止に努めています。
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②情報伝達・人材教育
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微小漏洩も含め、工場長まで即座に報告・連絡される仕組みを確立し、運用の徹底と月次の安全衛生委員会での報告を行っています。また要員教育についても、ISOの仕組みの中で、法的な理解や順守についての徹底教育を継続しております。
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(2)現在取り扱っている特定有害物質の管理
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①鉛
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外部で鉛をメッキした微粒子の検査を場内で行っています。クリーンな環境が必要なことから、屋内の密閉された空間で取り扱っており、環境への影響はありません。
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②ジクロロメタン
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滋賀県公害防止条例に基づき、使用場所近傍に監視井戸を設け定期的な分析を行っており、漏洩の無いことを確認しています。
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2)
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調査経緯について
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(1)調査経緯
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2009年5月
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資料等調査開始
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2009年7月
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土壌サンプリング開始
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2009年10月29日
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重金属類について基準超過のあることが判明
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ダイオキシン類について場内一箇所に基準超過のあることが判明
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2010年 1 月25日
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重金属類の基準超過範囲の概要が判明
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ダイオキシン類基準超過状況の概要と場外への影響の可能性が判明
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2010年 1 月29日
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行政へ報告(県)
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2010年 3 月11日
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重金属類の基準超過範囲が確定
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ダイオキシン類について場内外の追加調査結果が判明
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1.滋賀水口工場の概要
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1)
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住所
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滋賀県甲賀市水口町泉1259番地
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2)
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工場長
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福永 年隆
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3)
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面積
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本体工場:約20万m2
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4)
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創業開始
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1960年(昭和35年)
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5)
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主な生産品
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操業開始以来、主に合わせガラス用中間膜・工業用接着剤・ブチラール樹脂・可塑剤・電子機器用微粒子などのプラスチック製品または有機化学製品を生産しています。
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6)
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特定有害物質の使用履歴及び焼却炉の稼働履歴
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土壌汚染対策法で規定されている化学物質の中で使用履歴がある物質及び焼却炉の履歴は下表の通りです。
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(1) 本体工場内
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① 特定有害物質の使用履歴
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用途
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推定使用量
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使用期間
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トリクロロエチレン
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接着剤の溶剤
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10トン/年
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1960(昭和35)~1983(昭和58)年
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ジクロロメタン
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700トン/年
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1983(昭和58)年~現在
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四塩化炭素
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微粒子製品分析用
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20kg/年
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2000(平成12)~2002(平成14)年
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鉛化合物
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パテ(接着剤)の硬化剤
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2.4トン/年
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1965(昭和40)~1979(昭和54)年
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電子機器用微粒子
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1kg/年
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2000(平成12)年~現在
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六価クロム
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熱媒の成分
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(熱媒)320トン
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1960(昭和35)~1993(平成5)年
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PCB
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シーリング剤の添加剤
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400kg/年
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1965(昭和40)~1972(昭和47)年
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トランス等
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トランス209基 安定器84基
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現在まで保管中
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② 焼却炉の稼働状況
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設備名
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用途
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焼却量
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使用期間
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廃棄物焼却炉
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一般廃棄物の焼却、蒸気の製造
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約14トン/日
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1978(昭和53)~2004(平成16)年
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汚泥焼却炉(3基)
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廃水処理汚泥の焼却
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約8トン/日
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1994(平成6)~2007(平成19)年
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廃油焼却炉(2基)
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廃油の焼却
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約4㎥/日
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1970(昭和45)~1975(昭和50)年
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(2) 北西飛地
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昭和44年~平成3年まで廃水汚泥の一次保管場所として使用。特定有害物質の使用履歴なし。
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(3) 南西飛地
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平成9年に農地を購入。特定有害物質の使用履歴なし。
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(4) 社員寮跡地 |
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平成19年3月まで社員寮として使用。特定有害物質の使用履歴なし。
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