日本電気株式会社(以下、NEC)、株式会社田中化学研究所(以下、田中化学研究所)および、積水化学工業株式会社(以下、積水化学工業)は、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産業技術総合研究所)と共同で、新規鉄マンガン系正極を使った次世代リチウムイオン電池を開発しました。
今回開発した次世代リチウムイオン電池は、現在実用化されているマンガンスピネル系正極を使ったリチウムイオン電池(注1)の約1.7倍となる、エネルギー密度271Wh/kgを実現しました。本リチウムイオン電池技術は、リチウムイオン電池の低コスト化、環境対応自動車のさらなる航続距離延伸、定置用蓄電システムの小型軽量化等に貢献するものです。
本研究開発成果は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発事業」の支援を受けて行われた研究の成果です。
このたび開発した次世代リチウムイオン電池技術の特長は、次のとおりです。
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新規鉄マンガン系正極材料を開発、正極の大容量化を実現 |
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NEC、田中化学研究所および、産業技術総合研究所は共同で、層状岩塩構造を有するリチウム鉄ニッケルマンガン酸化物(注2)を新たに開発。原料に安価な炭酸リチウムを使用する独自の合成手法を確立し、kgスケールの合成に成功。本正極材料で、従来使われているマンガンスピネル正極材料(容量110mAh/g)の約2.2倍となる容量密度247mAh/gを実証(注3)。 |
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鉄マンガン系正極の性能を引き出す負極および電解液を新たに開発 |
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NECは、開発した新規鉄マンガン系正極の性能を十分に引き出す負極として、導電剤に炭素系材料のカーボンナノホーン(注4)等を使用した酸化シリコン系負極を新たに開発。鉄系酸化物正極に合わせて組成を最適化し、電池の高エネルギー密度化に寄与。 |
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8Ah級のラミネート型電池で高エネルギー密度を実証 |
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NECは、開発した鉄マンガン系正極、酸化シリコン系負極、耐高電圧電解液を使って、8Ah級のラミネートセルを試作。現在実用化されている、マンガンスピネル系正極を使用したリチウムイオン電池の約1.7倍となるエネルギー密度271Wh/kgを実証。 |
NEC、田中化学研究所、積水化学工業は今後も、本リチウムイオン電池の信頼性、安全性などの課題解決に努め、2020年頃の実用化を目指した研究開発に積極的に取り組んでいきます。
なお今回の成果は、本年10月7日より大阪国際会議場にて開催される「第54回電池討論会」にて発表する予定です。
以上
日本電気株式会社:
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代表取締役 執行役員社長 遠藤信博
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株式会社田中化学研究所:
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代表取締役 社長執行役員 田中保
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積水化学工業株式会社:
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代表取締役社長 社長執行役員 根岸修史
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(注1) |
定置用蓄電システムや環境対応自動車に搭載されているリチウムイオン電池の電池重量あたりエネルギー密度159Wh/kgを基準とした。 |
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(注2) |
化学式ではLi1.23Fe0.15Ni0.15Mn0.46O2(0.2LiFeO2・0.2LiNiO2・0.6Li2MnO3)。層状岩塩構造の結晶構造をもつ酸化物。 |
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(注3) |
リチウム鉄ニッケルマンガン酸化物1gあたりに取り込まれるリチウムイオンの容量。リチウム対極セル、充放電電圧2.0-4.8Vで評価した。 |
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(注4) |