積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二、以下「当社」)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤
敬太)は、自動車のフロントガラス全面に文字や図を表示可能な合わせガラス用中間膜(以下「自発光(じはっこう)中間膜」)の開発を進めていますが、この度基礎技術を確立し、12月10日~12日に東京ビッグサイトで開催される展示会「エコプロダクツ2015」にデモ機を展示します。
今後は、2018年の上市を目指し、自発光中間膜のさらなる開発を進めていきます。
1.開発の背景
近年、自動車走行時の安全性向上や、車室内のIT化に対応するため、速度や車線に関する情報をフロントガラスに表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)システムを採用する車種が増加しており、2014年度に世界で販売された新車のうち100万台程度でHUDシステム(ダイレクトタイプ*)が採用され、2020年度には500万台以上に拡大すると見込んでいます(当社推測)。
*ダイレクトタイプ:
フロントガラスに直接映像を投影するタイプのHUDシステム
当社は、自動車向け合わせガラス用中間膜のトップメーカーとして、このHUDシステムに対応した「楔(くさび)形中間膜」を2008年に発売しました。この楔形中間膜を利用した現行のHUDシステムは、フロントガラスの限られた部分だけに映像を投影できる仕組みであり、表示できる情報量が限られています。今後は、より多くの情報を表示できる機能が求められると考えており、開発中の自発光中間膜はそのニーズに対応するものになります。
2.自発光中間膜について
1)使用時イメージ
|
2)仕組み
自発光中間膜には、発光材料が含まれており、車内に設置するプロジェクターから特殊なレーザー光を照射すると、照射された部分が発光し、文字や画像を表示する仕組みです。
また、表示物は全角度からの視認性を有し、運転席以外の席からも見ることができます。
|
3)その他の特徴
遮熱機能、遮音機能、楔形、シェード付など、その他の機能を同時に付与することができます。
4)今後の展開
2018年の上市を目指し、開発を進めていきます。
現在は主に自動車向けの開発を進めていますが、将来的には建築物のガラスなども含めて多用途展開を図っていきたいと考えています。
3.エコプロダクツ2015での展示について
12月10日~12日に、東京ビッグサイトで開催される展示会「エコプロダクツ2015」にて、開発中の自発光中間膜のデモ機を展示いたします。また、遮音機能、遮熱機能を有する高機能中間膜も併せて展示いたします。
■エコプロダクツ2015 |
|
・開催日時 |
:2015年12月10日(木)~12月12日(土) |
|
|
・会 場 |
:東京ビッグサイト[東ホール] |
・当社ブース |
:小間番号2-008 |
〔ご参考①:(自動車向け)合わせガラス用中間膜について〕
合わせガラス用中間膜は、自動車や建築物に使用される合わせガラスの中にはさまれている接着性・透明性の高いフィルムです。現在、日本をはじめとする世界の多くの国で、自動車のフロントガラスへの使用が義務付けられているほか、サイドガラスやルーフガラスなど他の部位への採用も進んできています。
|
中間膜の機能としては、衝突等でガラスが割れた際の飛散によるケガの防止や紫外線遮蔽などの基本的な機能に加え、快適性や省エネ性のニーズに応えた遮音機能や遮熱機能など付加的な機能があります。 |
|
〔ご参考②:当社中間膜事業について〕
当社は、「s-lecTM(エスレック)」ブランドで、グローバルに中間膜事業を展開しています。近年、特に遮音機能や遮熱機能などを有する高機能膜の開発、拡販に注力しており、高機能膜の生産についてもグローバル化を進めています。
|
■中間膜の生産拠点
工場名 |
場所 |
稼働時期 |
生産品 |
滋賀水口工場 |
滋賀県甲賀市 |
1960年 |
通常膜、遮音膜、遮熱膜、楔膜 |
メキシコ工場 |
メキシコ・モレロス州 |
1971年 |
通常膜、遮音膜(*) |
オランダ工場 |
オランダ・ルールモンド市 |
1997年 |
通常膜、遮音膜 |
タイ工場 |
タイ・ラヨン県 |
2002年 |
通常膜 |
中国工場 |
中国・江蘇省蘇州市 |
2004年 |
通常膜、遮音膜 |
北米工場 |
アメリカ・ケンタッキー州 |
2007年 |
通常膜、遮音膜 |
(*) メキシコ工場で遮音膜を2017年度下期生産開始予定