積水化学グループの新環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプラン Accelerate」について

  • HOME
  • ニュース
  • 2017
  • 積水化学グループの新環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプラン Accelerate」について

  積水化学工業株式会社(社長:髙下貞二、以下「当社」)はこの度、当社グループ全体で取り組む新たな環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランAccelerate」(2017~2019年度、以下「新環境中計」)を策定しました。


新環境中計のポイント

①前中計で確立した「統合指標」による環境経営の進捗管理を本格的に開始

~事業や社会貢献活動などすべての環境に関わる活動を統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」により「自然資本へのリターン率」としてポイント化して評価
16年度76.9% → 19年度 90% → 30年度 100%へとリターン率の向上を加速。

(100%の状態は、事業活動において使用する「自然資本」と等価なものをリターンしている状態。)


②社会背景を踏まえ 「環境貢献製品」の定義を見直し。売上高比率60%以上(16年度45.2% )を目指す

~貢献対象を従来の自然環境に社会環境を加えた形で拡大。健康・福祉の向上や強靭なインフラ構築に資する製品・サービスを環境貢献製品に加えるとともに製品創出を加速


③中長期GHG排出量削減目標を設定。環境貢献投資枠120億円を設定し排出量削減を全社で推進

~GHG排出量を30年度に26%、19年度に6%削減(13年度BM)を目指す。環境貢献投資として生産設備やユーティリティ設備の更新を全社で推進し、省エネを加速


  これらをはじめ、当社グループは環境の取り組み全般を“加速”(Accelerate)し、2014年度に策定した環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」(下図ご参照、以下「長期ビジョン」)において掲げた目指す姿“生物多様性が保全された地球”の実現への貢献を図ります。


「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」

 

「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」

 

積水化学グループは、事業活動が自然資本に依存していることを認識しています。
経営層および社員一人ひとりが”環境活動推進力の高い人材”へと進化を図るとともに、2030年には”地球から授かったもの以上に地球に返していく“ために、「環境貢献製品の市場拡大と創出」、「環境負荷の低減」、「自然環境の保全」の3つの活動による貢献を軸に環境経営を推進していきます。そして、「自然資本へのリターンに貢献」していくことで、”生物多様性が保全された地球”の実現に向けて際立つ価値を創造しつづけます。

 

1.前環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014~2016年度)振り返り

  前環境中期計画では、「環境貢献製品の市場拡大と創出」、「環境負荷の低減」、「自然環境の保全」の3つの活動項目において目標を設定して取り組むとともに、推進体制の強化を図りました。
  総論としては、中計で掲げていたとおり、グループ内外での環境の取り組みの推進体制を構築し、長期ビジョン実現に向けて“Take-Off”(離陸)できたと考えています。
  一方、今後に向けて、大きく次のような課題が浮き彫りとなったと考えています。

    ・事業拡大による増産時の環境負荷の増加を抑止する取り組みの強化(GHG、廃棄物)
    ・活動への従業員参加意識の定着
    ・目標達成に向けた実効性向上


  なお、活動項目ごとの目標と実績、主な成果と課題は次のとおりです。(さらなる詳細については、別紙のPDF「活動項目ごとの振り返りと今後」をご参照ください)


【活動項目ごとの目標と実績】

活動項目ごとの目標と実績


※1

土地利用通信簿とは:事業所の土地利用の生物多様性貢献度を評価するシート。いきもの共生事業所による企業の用地管理担当者向けの推進ガイドラインに基づいて作成されたもの。


※2

SEKISUI環境ウィークとは:2012年「世界こどもエコサミット」での子供たちの提言を受け、社長が実施を約束したイベント。環境意識の高い人材を育成する目的で連続する7日間(6月1日から9月30日迄の間で事業所毎に設定)で全事業所、全従業員が参加可能な環境貢献活動に参加することを推進。



※3

統合指標とは:LCIA(ライフサイクルインパクトアセスメント)手法の1つである「LIME2」(東京都市大学の伊坪徳宏教授らによって開発)の考え方のもとに構築された計算システム「MiLCA」((一社)産業環境管理協会提供)を 活用して計算した値。自然資本の利用を100としたときの自然資本へのリターン率を表す。




【活動項目ごとの主な成果○と課題×】

<環境貢献製品の市場拡大と創出>


環境貢献製品の新規登録件数が45件と、目標(30件)を大きく超えて達成


主な新規登録製品:

〔新製品〕フィルム型リチウムイオン電池、耐薬品性水溶性フィルム

〔エリア貢献型製品〕タイ住宅、空調用管材

×

太陽光発電システム搭載住宅の売上減などにより売上高比率目標は未達



<環境負荷の低減>


国内外問わず、同一目標による環境活動の基盤構築

×

実質的な原単位改善が不十分、エネルギー使用量および廃棄物の削減目標が未達



<自然環境の保全>


事業所の緑地の質が大幅に向上するとともに、各地域の事業所における環境取り組みを推進人材の育成が進捗

×

SEKISUI環境ウィークへの従業員参加率の目標未達



<体制の強化>


生産事業所の運営上の水リスクに関して、グローバルで全生産事業所のレベルを把握完了。すぐに対策を講じる必要がある事業所は無く、一部の長期的リスクのある事業所は対策検討を開始。



事業や社会貢献活動などすべての環境に関わる活動を評価し、長期ビジョン達成度を測るための統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」の算定方法を確立。進捗把握のため実際に算出を行い、3年間で11.9ポイントアップ(2016年度76.9%のリターン)を確認。





2.環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプラン Accelerate」(2017~2019年度)について

1)社会背景 ~拡大する社会の要請~

  前環境中計の3年間にも、パリ協定(COP21)、国連提唱の地球の持続的成長のための目標SDGs(Sustainable Development Goals)や投資家によるESG評価、愛知目標※4(CBD-COP10)からの名古屋議定書※5の締結など、環境に関する社会の要請は多岐に広がり、それにともなって企業の社会的責任はさらに重要になってきていると認識しています。

※4

愛知目標(CBD-COP10):2010年にCBD-COP10で採択された生物多様性の損失抑制のための目標。

※5

名古屋議定書:2010年に愛知目標で提唱された3項目のうちの1つ、遺伝資源の利用に関する議定書。2014から効力を発揮し、日本は2011年に署名し、2017年5月に締結。



2)新環境中計の方向性

  前述の前環境中計の課題と社会背景をふまえ、次のとおり新環境中計の方向性を定めました。


地球規模の重要課題である3つの課題「地球温暖化・気候変動」「資源の枯渇」「生態系の劣化」に対して今後取り組むべき項目を整理し、長期ビジョンからバックキャストを行って、従来の3つの活動項目においてマイルストーンを設定する。(下図ご参照)



さらなるガバナンス向上とともに気候変動や資源枯渇、生態系劣化といった地球課題解決のために意欲的な目標を掲げて実効性を上げる施策を展開する。



図 長期ビジョン達成に向けたロードマップ

図 長期ビジョン達成に向けたロードマップ


3)新環境中計の概要

(1)3つのポイント

①「統合指標」による環境経営の進捗管理を本格的に開始

  前環境中計で確立した統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」により、事業や社会貢献活動などすべての環境に関わる活動を「自然資本へのリターン率」としてポイント化して評価し、2019年度には90%(2016年度比+13ポイント)を目指します。また2030年度の長期目標(100%)も設定しました。





図 統合指標の推移と今後の目標

図 統合指標の推移と今後の目標


②社会背景を踏まえ 「環境貢献製品」の定義を見直し。売上高比率60%以上を目指す

  当社は2006年度に、当社製品・サービスをご利用いただくお客様の使用段階において高い環境貢献効果を発揮する製品を「環境貢献製品」とする社内制度を設け、一定の基準に基づいて認定を行い、社外有識者からなるアドバイザリーボードでその妥当性などに関して評価、判断をいただいてきました。一方、国連により2016年に提唱されたSDGsにより、地球の持続可能性を向上させるために貢献するとされる当社事業領域は、従来の環境貢献製品の枠組みである自然環境の領域から広がってきています。そこで当社は、以下のとおり定義を見直しました。


環境貢献対象範囲のイメージ図


  今後は、上図のとおり、人的資本や社会資本なども含んだ社会環境を包含して環境と捉え、配慮範囲を拡大して貢献を高めていきたいと考えています。
  この環境貢献製品の定義見直しにより、具体的には、当社グループで展開する検査薬などメディカル事業や介護関連の住生活サービス事業(SDGs課題のno.3「健康と福祉の促進」に該当)、また、上下水道や輸送・交通インフラ向けの各種プラスチック製品や老朽化対応技術(SDGs課題のno.9「強靭なインフラ構築」に該当)などが、新たに環境に貢献できると考えています。当社は、これら環境貢献製品の創出を図り、新たに30件以上の登録を目指します。


③GHG削減に向けた意欲的な取り組み

(ⅰ)中長期GHG排出量削減目標を設定。環境貢献投資枠120億円を設定し排出量削減を全社で推進
  2015年11月~12月にフランス・パリでCOP21が開催され、世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することなどを含む「パリ協定」が採択されました。このパリ協定では、日本も2030年度に2013年度比で26%削減を約束しています。
  当社グループでも、この地球レベルでの課題を最重要と捉え、2030年度には日本の目標である26%以上の削減を目指します。また、30年度の目標をバックキャストして、2019年度には中期目標では6%以上の削減を目指します。
  この目標の達成のための実効性向上策として、売上高※6の0.3%以上に相当する120億円の環境貢献投資枠を設定しました。具体的な用途として、設備投資を支援する「環境投資促進策」や、GHG排出量削減に大きく寄与した事業所に対しての社長表彰「温暖化対策優秀賞」新設などの施策を検討中であり、環境投資促進策としては、照明のLED化やパイプ関連製品の成型機更新などが一部すでに進められています。

 ※6  2017~2019年度の売上高目標の概算累計額


(ⅱ)CO2固定化に資する外部活動支援
  従来、従業員の意識啓発目的で実施してきた自然環境保全の活動の中で、特に炭素固定に有効なタイのマングローブ植林に関しては、外部の活動を支援し、40ha/年の植林を3年間行っていくこととしました。将来的には、炭素固定量を定量化し、カーボンクレジットに関しても検討を進め、タイの当社グループの事業所におけるCO2排出量を相殺できる量まで今後拡大していく方向で検討して

います。







マングローブ植林風景

マングローブ植林風景



(ⅱ)2030年、2050年を見据えたCO2排出量削減策の検討
  さらに、この3年間に、生産革新、エネルギー消費量の削減によるCO2大幅を実現する“モノづくり革新”、エネルギー調達、創エネ、使い方の変更によるCO2削減を実現する“エネルギーミックス革新”の礎をつくり、2030年、2050年の大幅削減に向けてSBT※7、RE100※8、カーボンクレジット認証等も視野に入れて検討を行っていきます。


2030年、2050年を見据えたCO2排出量削減策の検討


※7

SBT(Science Based Targets):気温上昇2℃目標を達成するために、企業が業界のベストプラクティスなどを加味しながら算出した温室効果ガス削減目標。加盟企業は加盟後2年以内に目標を立てイニシアチブに報告し、イニシアチブの専門家の審査を受け基準をクリアすれば、目標が承認される。



※8

RE100:国際環境NGOのThe Climate Groupが2014年に開始した、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブ。


※9

モノづくり革新;生産革新、エネルギー消費量の削減によるCO2削減

※10

エネルギーミックス革新;エネルギー調達、創エネ、使い方の変更によるCO2削減

※11

BAU(Business As Usual):通常の経済活動に伴い、増加する排出量


(2)活動項目と目標

  (1)のポイントに記載の項目を含め、活動項目と目標は次のとおりです。(さらなる詳細については、別紙のPDF「活動項目ごとの振り返りと今後をご参照ください)


活動項目と目標