リスクマネジメント

戦略
(姿勢・考え方)

リスクマネジメントの考え方

激変する経営環境下で長期ビジョンを実現するためには、積極果断なリスクテイクおよびステークホルダーの信頼・期待・安心感獲得が不可欠です。積水化学グループは、そのためにはリスクテイクを可能とするリスクコントロール力とレジリエンス力が鍵になると考えています。この考えを踏まえ、当社グループではリスクマネジメントを経営基盤の1つと位置付けて取り組んでいます。

当社グループがリスクマネジメントに取り組むにあたり、リスク事象の発生前後にある「リスク管理」と「危機管理」を一元的に管理しています。これにより抜け漏れなく機動的なリスクマネジメントができると考え、未然防止と発生時の影響最小化を一体化させています。

  • 09-58

A、Bの体制、取り組みについてはリスク管理活動の体制を、C、Dの取り組みについては緊急対策本部の機能(大規模地震発生時)をご覧ください。

ガバナンス

リスク管理活動の体制

  • 05-13

リスクマネジメント体制

全社リスク検討部会では、コーポレート各専門領域責任者の管掌役員が参画し、内外環境の変化を踏まえ、前年度に特定した全社重大リスクの是正・修正、結果や起こりやすさの変化の有無を審議します。同部会での審議結果およびリスク低減に向けた各種施策は、サステナビリティ委員会で審議された後、取締役会に報告されます。また、各組織での次年度のリスク管理活動計画へ反映させる形で、取り組みを進めています。

ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)の取り組み

企業を取り巻く事業環境が不確実性、複雑性を増す中、積水化学グループでは、リスクを適切にマネジメントするためには、従業員の「リスク感性の向上」が不可欠と考え、リスクマネジメントに関する国際標準規格ISO31000に沿ったPDCAサイクルを回し続けています。各々の組織の事業目的に関わるさまざまなリスクを網羅的に洗い出し、そのリスクを「結果」と「起こりやすさ」などの観点から定量化します。さらに、重大インシデントにつながる可能性が高い「全社重大リスク」を、コーポレート各専門部署が「安全、品質、会計、法務・倫理、情報管理」の5領域で特定。組織別リスク管理活動でアセスメントを行うことを必須化することで、重大インシデントの抑え込みを図り、グループ内で共有・管理するERM体制を構築しました。定期的に不確定要素を確認することで、ERMの有効性を継続的に検証しています。
また、海外では、2023年度から海外地域統括会社が各地域特有のリスクを洗い出しています。各地域の事業会社が地域特有のリスクを「全社重大リスク」と併せアセスメントを実施、日本国内と同様に、専門領域別のリスク管理活動を進めます。

PDCAサイクルによるリスク感性の向上

複雑性が増している外部環境・内部環境において、将来発現し得るリスクを正確に把握することは非常に困難です。当社グループでは、リスクを適切にマネジメントするためには、従業員の「リスク感性の向上」が不可欠と考え、組織別でリスクマネジメントに関する国際標準規格ISO31000に沿ったPDCAサイクルを回し続けています。
本活動は、2011年度に事業部を中心に27組織でスタート、年々組織数を増やし、2023年度には国内外で170組織(連結売上構成比99%)となりました。また、全カンパニーの研究開発部門での活動も定着しました。

  • 09-59
  • 大規模M&Aによる一時的な低下

国内危機管理組織体制

  • 09-64

緊急事態発生直後の現場からカンパニー・コーポレートへの連絡手順

  • 09-63

緊急対策本部の初動対応(大規模地震発生時)

  • 09-62

緊急対策本部の機能(大規模地震発生時)

海外危機管理組織体制

  • 05-14
リスク管理と危機管理

リスク管理

積水化学グループのリスク管理は、従来、多様な事業、業態を有するという特性にあわせ、各事業・組織におけるリスク特定と対応(ボトムアップ型アプローチ)を中心に進めていました。現中期経営計画ではこれに加え、全社の経営を揺るがすようなリスク(全社重大リスク)を特定し、全社施策および各事業・組織施策に展開するトップダウン型アプローチの体制を構築・強化してきました。次期中期では、グローバルでのリスク検知力の強化、各事業・組織と本社専門部署が一体となったリスク低減力の強化に取り組みます。

危機管理

2019年度末に発生したCOVID-19を契機に、前中期経営計画では本社主導で全組織のBCP整備・刷新を行い、BCM体制を構築しました。現中期経営計画では、各組織の自律的訓練と見直しを定着させ、弛まぬレベルアップに取り組みます。

指標・目標

目標

積水化学グループは前中期経営計画において、地震、パンデミックなどインシデント発生時の影響の極小化を目的として、BCP策定・運用率100%に向けた取り組みを行い、前年度にBCP運用率100%を達成しました。2023年度はBCMサイクル(自主訓練、文書改訂)を一巡させ、実践的により機能するBCPとしました。
また、リスク管理活動においてはリスク管理システム(デジタルダッシュボード)の海外展開を推進し活動全組織への導入完了により、国内事業会社やコーポレート専門部署、各カンパニー事業部や海外RHQからモニタリングできる仕組みを構築しました。

主な取り組み

研修体系

組織別リスク管理活動において各組織に置いているリスクマネジャーの力量確保のため、新任リスクマネジャーに対しリスクマネジャー研修を2017年度より毎年実施しており、2023年度は新組織等のマネジャー3名に実施、累計で268名が受講しました。

※リスクマネジャー:各組織のリスク管理活動推進責任者

危機管理活動

積水化学グループは、東日本大震災の経験を踏まえ2011年度に危機管理体制を全面的に見直しました。以後、その体制や仕組みを強化しています。危機管理活動は、「積水化学グループ危機管理要領」に基づき実施しています。コーポレート各専門部署とカンパニー担当者で構成する危機管理連絡会を定期的に開催し、事例研究や訓練を重ねています。具体的には全社対策本部メンバーが出席する訓練により、緊急対策本部手順書の見直しや連携確認を実施しています。
また、毎年全従業員に対して緊急事態初動手順書を配付しています。これにより、緊急時に個々人が適切な初動対応を取れるようにしています。また2019年度から、緊急事態でも従業員の安否が迅速に確認できるように、全従業員の携帯電話などに安否確認システムを実装しています。
感染症対策については、2020年3月に感染症緊急対策本部を立上げました。イントラネット内に感染症対応特設ページを設け、行動指針の発信や感染症拡大防止策の共有を図りました。グループ内で感染者が確認された場合は、従業員の安全を最優先として、速やかに状況把握と関係者への情報共有を行いました。取り組みの結果、2022年9月感染症緊急対策本部解散までの間、大きな事業影響は発生しませんでした。

BCP(事業継続計画)の実装

当社グループでは、事業戦略を支える上で必要不可欠なツールとして、BCPを位置付けています。カンパニー制を採用し事業内容が多岐にわたる当社グループは、事業責任者(事業部長、事業会社長など)それぞれが事業の内容に応じてBCPの必要性を個別に判断することを基本姿勢としています。これを踏まえ、事業継続マネジメント(BCM)の構築方法を規格化したISO22301に沿ったBCPの策定とBCMの構築を推奨してきました。しかし、さまざまな脅威が増大している昨今、主要な経営資源が中長期間にわたり喪失した場合の業務継続方法の決定とそのための備えの必要性が高まっています。この状況を踏まえ、2021年度はグループ全体の取り組みとして、すべての組織において、「人命保護」を第一とした初動対応計画(ERP)の文書改訂および策定、また主要な事業組織ではあらゆる危機事象に対応する「オールハザードBCP」としてリソースベースの事業継続計画(BCP)の整備を実施しました。
2022年度は対象組織すべてにおいて机上訓練を必須とし、初動対応計画(ERP)文書の実効性の検証と文書改訂を実施し、BCMサイクルのPDCAを一巡させました。また、各カンパニープレジデント出席の下、対策本部の連携訓練も実施し、カンパニーのレジリエンス向上も図りました。2023年度は簡易訓練ツールを活用し、各組織が自律的にBCM運用を実施。今後は各カンパニー主導で拠点間連携体制の整備や地域連携強化に取り組みます。
以上により、企業の存続を揺るがす緊急事態において、迅速な初動対応と重要業務の早期復旧を可能とします。自社・顧客の損失を最小限に抑え、企業としての社会的な責務を果たす仕組みを構築しています。

緊急事態初動手順書(2024年4月改訂)

  • 日本語版

  • 英語版

海外危機管理の取り組み

当社グループは、社規「海外安全管理規則」に基づき、世界を6つの地域に分けて危機管理を行っています。海外危機管理事務局(ESG経営推進部 リスクマネジメントグループ)が中心となり、出張者、駐在員、現地従業員へ危機管理情報の共有やタイムリーな注意喚起、渡航規制の指示など、平時・緊急時の対応を実施しています。海外拠点が増え、海外事業の重要性が増している状況を踏まえ、主要4地域に海外統括会社を設置し、地域長にその責任者を任命しています。危機事象が発生した場合には、地域長と海外危機管理事務局が連携し、情報収集、初動対応を行います。また、セキュリティアシスタンスおよび医療アシスタンス提携会社と連携し、より専門的な支援体制を構築しています。さらに、海外への赴任者を対象とする海外赴任前研修、出張者を対象とする出張前e-ラーニング、感染症に特化した国別研修を実施し、危機管理の基本事項や具体的な安全対策などの教育を行っています。

  • 09-66
  • 09-67
  • 09-68
  • 09-69

海外危機管理要領

  • 日本語版

  • 英語版

  • 中国語版

  • 韓国語版