法務・倫理
グローバル規模で、コンプライアンス経営を強化しています。
基本的な考え方コンプライアンス経営
積水化学グループでは、2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、当社グループの理念体系および企業行動憲章に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきました。また2020年10月には、当社社長のもと、当社グループにとって成長の基盤となるものがコンプライアンスであり、役員・従業員(一人ひとり)が社会常識に反する行為をせず、高い倫理観と責任感を持った行動をとることを宣言しました。
当社グループが広く社会から信頼されるよう、コンプライアンス意識の向上に今後も取り組んでいきます。
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重要コンプライアンス問題の防止
中期経営計画(2020-2022)では、以前の中期計画から引き続き「重要コンプライアンス問題の発生件数ゼロ」を目標として掲げ、2015年度以降「発生件数ゼロ」を継続しています。2020年度においても、重要コンプライアンス問題の発生はゼロ件でした。
2021年度も、引き続き「重要コンプライアンス問題の発生件数ゼロ」を目標に掲げ、コンプライアンス経営を強化し、コンプ
ライアンス問題の未然防止に取り組んでいきます。
コンプライアンス意識の浸透
コンプライアンスの意識を従業員一人ひとりに根付かせるため、積水化学グループの一員として遵守すべきことを記載した、「コンプライアンス・マニュアル」や、携帯用の「コンプライアンス・カード」を作成し、全従業員に配布しています。コンプライアンス・マニュアルには、汚職・賄賂の禁止、人権尊重と差別の禁止、情報の管理と保護、独占禁止法の遵守、インサイダー取引の禁止、地球環境の保全や労働関係法規の遵守、社内通報制度などの内容を掲載し、全従業員への周知徹底を促進しています。
また、既存のコンプライアンス・マニュアルに加え、グローバルにも対応したグローバル・コンプライアンス・マニュアルを作成しています。海外のグループ従業員の誰もが理解できるよう、英語版だけでなく、中国語版・タイ語版・インドネシア語版・ドイツ語版・韓国語版等を作成し、現地語化を進めています。
2020年度は当社社長の「コンプライアンス宣言」を各国語に翻訳し、上記各言語版のグローバル・コンプライアンス・マニュアルに掲載しました。
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- コンプライアンス・マニュアル
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- グローバル・コンプライアンス・
マニュアル(英語版)
- グローバル・コンプライアンス・
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- 携帯に便利な名刺サイズの
コンプライアンス・カード
- 携帯に便利な名刺サイズの
コンプライアンス経営の実践
コンプライアンス経営を確実に実践していくため、現実的かつ効果的なコンプライアンス推進体制を構築しています。グループのコンプライアンスを統括する組織として、サステナビリティ委員会の下に法務部担当執行役員を委員長とする「コンプライアンス分科会」を設けて方針や実施策の立案を行うとともに、コーポレートおよび各カンパニーには「コンプライアンス推進部会」を置き、コンプライアンス推進実務責任者を任命して各施策の実施・展開を図っています。万が一、重要コンプライアンス問題が発生した際には「コンプライアンス審議会」を開催し、事後対応や再発防止策の検討等を行います。
2020年度はコンプライアンス分科会を、2020年9月、2021年3月の2回開催しました。
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コンプライアンス・推進体制(2020年度~)

コンプライアンス教育
コンプライアンス経営の実践につながる取り組みの一環として、従業員のコンプライアンス教育にも力を入れています。新入社員研修や階層別研修などにコンプライアンスに関する内容を盛り込み、コンプライアンスに特化したe- ラーニングを毎年4 回実施するなど、グループのすべての従業員がコンプライアンスの大切さについて学ぶ機会を継続的に提供しています。
2020 年度も2019 年度に引き続き、製造現場勤務など個別にイントラネットを閲覧できる環境にない従業員に対しても同等の学ぶ機会を提供するため、グループ会社や事業所からの希望に応じて紙媒体での受講も可能としています。
社内通報制度「S・C・A・N」の周知と運用
積水化学グループでは、社内通報制度「S・C・A・N(セキスイ・コンプライアンス・アシスト・ネットワーク)」を構築し、当社グループの全従業員と当社グループの取引先が利用できる仕組みとして運用しています。
「S・C・A・N」は法務部担当執行役員の監督のもとで運用され、社内窓口以外に社外の法律事務所に直接通報することも可能です。また通報制度にとどまらず、特定の行為が差別的な言動やハラスメントを含むコンプライアンス違反であるか否かの助言等を受けられる相談窓口としての役割も担っています。
コンプライアンス意識の高い組織風土づくりのために、社内通報規則において従業員にコンプライアンス違反行為を知った際には報告通報することを求める一方、通報者の保護を規定し、窓口以外には通報者の情報を秘匿することや通報者への不利益扱いを禁止することを定めています。通報内容について、通報者側の主張だけでなく、被通報者側の主張もヒアリングし、必要に応じて、関係者にもヒアリングをしたうえで事実認定を行っており、公平な立場に立って組織的課題の解決を図っています。
外部からの通報への対応
積水化学グループでは、お取引先からの相談・通報窓口を設置・運用しています。
この相談・通報窓口は、積水化学グループ各社と継続的に業務上の取引をしている日本国内のお取引先の役員・従業員の方を対象として、グループ各社のWebサイトに用意している専用フォームより随時相談・通報を受け付けており、お取引先との協議を基本としながら、報告された「法令違反行為」等について事実確認や是正措置等を進めるものです。相談・通報された内容は、当該「法令違反行為」等を解決するために必要最小限の範囲の関係者のみで共有し、各関係者には、秘密保持義務を課しています。
腐敗および贈収賄の防止
積水化学グループは、自主行動原則で「腐敗防止」を定めている国連グローバル・コンパクトに署名・賛同しており、その精神に基づいて腐敗および贈収賄を未然に防止するための取り組みを推進しています。
社内規則のひとつとして「贈収賄防止規則」を整備し、積水化学グループ全社で導入しています。また、積水化学グループの従業員が日本国内、アメリカおよび中国でビジネスを行う際に遵守すべき腐敗と贈収賄に関する事項をまとめた「贈収賄防止ガイドライン」を作成しています。これらの規定やガイドラインは、イントラネットを通じて周知を図っており、従業員はいつでも確認することができます。
腐敗と贈収賄に関する主な防止策
公務員等に対して接待・贈答を行う場合は、所定の事前申請書を管理者に提出し、承認を得なければならないなど、リスクの高いケースを特定し違反行為を未然防止する規則を設定・運用しています。さらに海外の公務員等との取引に関連して、代理店・コンサルタント等を起用する場合には、代理店・コンサルタント等に対する報酬の支払いが贈賄に該当する恐れがないこと、および合理的な理由があるため贈賄と疑われないことを確認し、なおかつ所定の決裁手続きを経た場合に限り、これを行うことができると定めています。
リスクの高い部門の特定と従業員教育
腐敗や贈収賄リスクが特に高い営業部門と購買部門に対し、腐敗と汚職防止に特化した研修を実施するなど規則やガイドラインの習得と申請書等の活用を促しています。
さらに、国内向けの「コンプライアンス・マニュアル」および海外グループ向けの「グローバル・コンプライアンス・マニュアル」においても、贈収賄防止に関する方針の周知を行っています。
「グローバル・コンプライアンス・マニュアル」は、英語、中国語・タイ語・インドネシア語・ドイツ語・韓国語に翻訳し、グループ従業員が自由にイントラネットから確認できるようにしています。
2020年度は、国内グループ会社の従業員を対象にe-ラーニングで贈収賄に関する問題を出題しました。また、「コンプライアンス特別強化月間」の取り組みとして、国内グループ会社を対象に贈収賄防止と社内ルールについての動画研修を配信しました。
海外事業に関しては、中国のグループ会社に対して行う商業賄賂についての研修、初めて海外に赴任する従業員を対象とした海外赴任前研修での贈収賄防止に関する注意喚起について、2019年度と同様に継続実施しました。中国グループ会社での研修には14社354名が参加しました。
会計コンプライアンスを強化する取り組み
積水化学グループでは、財務・会計に関するリスクを削減するため、全社的な会計スキル・財務知識の向上に取り組んでいます。
国内外の連結会社の経理責任者を対象に、会計関連のルールや会計コンプライアンス活動などを説明・共有する場として、経理会議を開催しています。また、経理研鑽会やe-ラーニングにより、会計スキル・財務知識に関する教育を実施しており、誤った会計処理や会計不正が発生するのを防ぐとともに、経理業務に携わる部門・従業員のコンプライアンス意識向上も図っています。
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、経理会議はオンラインで実施し、国内外合計で212名が参加しました。また、経理主催の研修・研鑽会もオンラインで開催し、延べ121名が参加しました。
2020年度の違反事例
2020年度における腐敗や贈収賄に関する重大な法令違反はゼロ件でした。
税務コンプライアンスの取り組み
積水化学グループは、納税を企業が果たすべき基本的かつ重要な社会的責任のひとつと考えており、事業活動を行うそれぞれの国または地域における税法を遵守し、適正な納税を行っています。
当社グループは、租税回避を目的としたタックスヘイブンの利用は行わず、事業活動を行っている国や地域において経済実態に応じた適正な納税を行い、それらの国や地域の経済に貢献し、ともに調和と安定的発展を目指します。
税務リスクのある取引については必要に応じて外部専門家に確認し、適正な処理と税務リスクの低減を図っています。さらに、移転価格リスクについては、当社グループ内の取引は各国・地域の法令およびOECD(経済協力開発機構)ガイドラインに基づく独立企業間価格に従って行っています。不安定な税務ポジションの解消のために、取引規模や税務リスクの程度に応じてAPA(事前確認制度)を活用し、各国の税務当局とも良好な関係を維持するよう努めています。
コンプライアンス特別強化月間
積水化学グループでは、すべての従業員がコンプライアンス意識・行動を振り返る機会として毎年10月を「コンプライアンス特別強化月間」と定めています。
2020年度は、国内を対象に、パワハラ、贈収賄、独占禁止法、個人データ保護の4つのテーマで研修を実施しました。新型コロナウイルス感染症拡大防止や、研修に参加できない従業員への学ぶ機会の提供のため、研修はオンラインによるリモート形式で行いました。パワハラについてはWeb会議システムを用いて行い、残りの3つは動画配信としました。
国内におけるコンプライアンス特別強化月間の取り組み(2020年度)
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1.コンプライアンス宣言2020年10月のグループ全社員への周知徹底
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2.各種コンプライアンス研修の実施/社員が自らの意思で参加するオープン型の法務セミナーの開催(Web会議システム中継研修全6回)、動画配信(3テーマ)
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3.グループ報でのコンプライアンス特別強化月間の活動紹介・研修の動画受講案内
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4.イントラネットを利用したe-ラーニングの実施(贈収賄や差別を含むハラスメントを中心に出題)
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5.フロンティアリーダーによる自組織へのコンプライアンスメッセージの発信とその報告
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6.北米・中国・東南アジア・欧州における取り組み(9月~3月)
グローバル法務体制の強化
積水化学グループにおける法務機能の拡充および法務部門間の連携を推進するとともに、法務人材の育成・活用を通じて法務体制の強化に努めています。
国内で実施している「コンプライアンス特別強化月間」の取り組みを拡大し、北米、中国、東南アジア、欧州エリアなどグローバル規模で水平展開を図っています。「コンプライアンス特別強化月間」で取り上げるテーマは、各地域の統括会社がそれぞれの地域でリスクが高いと判断したものを中心に選定しています。
2020年度の地域別「コンプライアンス特別強化月間」取り組みテーマ
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北米:LMS(学習管理システム)等を用いたオフサイト研修および社内通報制度説明を実施
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※テーマは以下の内容からの選択制。
プライバシーと情報セキュリティ
サイバーセキュリティ
職場での安全とセキュリティの促進
グローバルサイバーセキュリティ基礎
ハラスメント防止と尊重の促進 -
中国:以下のテーマにて研修を実施
商業賄賂
独占禁止法- 積水社内規則
広告コンプライアンス
セクハラ -
東南アジア:営業秘密の漏洩防止をテーマに研修を実施。また、秘密保持誓約書/ 契約書のひな型を周知
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欧州:情報漏洩に関する啓発活動
広告・表示等における法令遵守の状況
積水化学グループでは、事業活動を行うにあたり、各種法令を遵守し誠実な営業活動を徹底しています。2020年度における広告・製品表示等マーケティングコミュニケーションに関する景品表示法などの各種法令や自主的規範の重大な違反はゼロ件でした。
独禁法への対応
積水化学グループでは、独禁法遵守プログラムとして、事業者団体加入決裁制度、競合他社接触についての事前申請事後報告制度、価格改定委員会制度を運用しています。その運用状況について毎年監査も実施し、同プログラムの見直しも適宜行っています。
また、カルテルリスクの高い国内の事業会社にも同プログラムを導入しています。2020年度における独禁法に関する重大な法令違反はゼロ件でした。
e-ラーニング受講者数の推移
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e-ラーニング受講者数の推移

コンプライアンス研修実績一覧
2020年度コンプライアンス研修実績一覧
研修項目 | 研修内容 | 対象 | 受講数 | ||
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積水化学単体 | グループ会社 | ||||
国内 | 海外 | ||||
階層別研修 | 新入社員研修 | 〇 | 〇 | 59 | |
新上級職研修 | 〇 | 228 | |||
新任執行役員研修 | 〇 | 3 | |||
関係会社取締役研修 | 〇 | 259 | |||
関係会社新任監査役研修 | 〇 | 19 | |||
管理責任者研修 | 〇 | 〇 | 65 | ||
コンプライアンス責任者研修 | 〇 | 〇 | 67 | ||
分野別研修 | コンプライアンス研修 | 〇 | 〇 | 1645 | |
ハラスメント研修※ | 〇 | 17 | |||
輸出管理研修 | 〇 | 〇 | 274 | ||
下請法研修 | 〇 | 〇 | 472 | ||
独占禁止法研修 | 〇 | 80 | |||
労働法研修 | 〇 | 〇 | 31 | ||
個人情報保護研修 | 〇 | 〇 | 500 | ||
情報管理研修 | 〇 | 〇 | 306 | ||
会計研修 | 〇 | 138 | |||
秘密保持契約(NDA)研修 | 〇 | 360 | |||
情報セキュリティ研修 | 〇 | 29 | |||
グローバル | 海外赴任前研修 | 〇 | 〇 | 10 | |
コンプライアンス特別強化月間 | 国内向け研修 | 〇 | 〇 | 1863 | |
北米向け研修 | 〇 | 1605 | |||
中国向け研修 | 〇 | 349 | |||
東南アジア向け研修 | 〇 | 149 |
- ハラスメント研修には差別に関する内容も一部含まれています。
通報・相談件数
2020年度通報・相談件数
通報・相談 | 件数 |
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パワーハラスメント | 39 |
労働条件関連 | 29 |
セクシャルハラスメント | 2 |
職場環境配慮 | 11 |
経費の使い方 | 3 |
営業手法関連 | 2 |
業績偽装 | 3 |
取引先との癒着 | 0 |
その他 | 22 |
通報数合計 | 111 |