水資源の保全

重要な自然資本として水資源の保全に取り組んでいます

マネジメント・アプローチ

基本的な考え方水資源が事業継続に与える影響を把握し、事業計画に反映しています

積水化学グループは、2014年に公開した「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」の理念である「製品、環境負荷削減、環境貢献活動を通じて自然資本へのリターンを行う」という目標の実現のため、水使用量の削減やサプライチェーンおよび自然環境への影響を含む水リスクの把握、経営層・従業員の環境教育、ステークホルダーへの情報提供を重要課題と位置づけた環境中期計画を作成しています。
積水化学グループは、水の供給・貯留・排水を担うインフラに関連する製品の供給を事業としているため、安全な水の供給および水インフラの維持の重要性をお客様に伝えることが、事業を持続可能なものとしていく上で重要であると認識しています。また、水資源の保全に事業を通じて貢献することは、SDGs17目標のひとつである「安全な水と公衆衛生へのアクセス」につながる事を認識しています。
具体的な取り組みとして、水資源が事業継続に与える影響(リスクと機会)を把握し、事業計画及び環境計画に反映しているほか、水リスクのあるサプライヤーからの調達は持続可能性に難があると考え、調達時に水リスクを含めたサプライヤーと調達資材の調査を実施しています。

水リスクのアセスメント全ての生産拠点と研究所の水リスク調査を実施

積水化学グループでは、2013年度より水リスクのマッピング・ツール「アキダクト(Aqueduct Overall Water Riskmap)」 と当社独自の調査票を使用し、全ての生産拠点と研究所の水リスク調査を行っています。独自の調査票において、取水については将来の取水量の増減、断水の有無や頻度、水質の変動などについて、排水については排水先、排水の下流での使用状況、水質の規制動向、水質の測定値などについて現在の状況を取りまとめ、水源の状況やサプライヤーの供給制限などから、将来の水不足を予測できるようになっています。その他、コスト、排水処理設備、排水の水質、企業や人口増減、洪水可能性、水に関する投資の必要性などの項目が含まれています。調査の結果、水リスクが高いと判断された事業所については現地での聞き取り調査を実施しています。
また、自社工場の建設など大規模な開発や新規投資およびM&Aを行う前にも、設備投資審議に用いる「安全環境チェックシート」を運用し、環境側面を含めた設備投資の審議会を開催するなど、水リスクを含めた環境アセスメントを実施しています。
なお、新製品開発においても「製品環境影響評価書」を用いてデザインレビューを開催し、環境への影響評価を実施しています。

  • 世界資源研究所(World Resources Institute:WRI)が開発した水リスクを示した世界地図・情報ツール
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水リスク調査結果(リスクがあると判断した生産拠点と研究所の割合)

事業に対する水リスクの影響直接操業に対する影響

合成樹脂の製造を行う国内の事業場では、河川や海に直接排水しているため、現状の規制基準に沿った水質を確保しているものの、今後、排水の水質に関する法規制の変更・強化等が行われた場合、当社の事業継続に大きな影響を与える可能性があると考えています。
そのため、各事業場において所在地域の将来的な規制動向の確認を継続的に実施するとともに、より高いレベルで排水の水質向上を図っていくため、排水が生態系に及ぼす影響を評価するWET評価を実施しています。WET評価で、影響が確認された場合は、原因究明と原因の除去、影響の低減策を検討するなど、水リスクの影響を可能な限り低減するためのPDCAを回しています。

把握したリスク、操業に対する潜在的な影響とそれを軽減するための戦略サプライチェーンに対する影響

積水化学グループの原材料に関して、製造時に淡水を大量に消費するサプライヤーとしては住宅事業で使用する鋼材とプラスチック事業で使用する合成樹脂の製造事業者があげられます。これらのサプライヤーに対し直接的な働きかけはしていませんが、SEKISUI環境サステナブルインデックスにおいて原材料が製造される際に排水中に含まれる汚濁物質による環境への負荷を自然資本の利用として算出し、継続的にモニタリングしています。さらに自社の事業活動における水環境への負荷削減、水環境に貢献する製品・サービスの拡大等の項目による環境への貢献の度合いを自然資本へのリターンとして算出しています。SEKISUI環境サステナブルインデックスでは2030年には自然資本へのリターンを100%以上とすることを目指しています。

事業を通じた水リスク軽減への貢献

積水化学グループは、水の供給・貯水・排水などの水インフラに関する事業を展開し、水処理システムや下水管など、排水の質の向上に寄与する技術や製品だけでなく、強靭で災害に強い水インフラを構築することでも社会に貢献しています。
例えば、日本、インド、中国、台湾、他ASEAN 地域で展開している、環境貢献製品のひとつ、雨水貯留システム「クロスウェーブ」においては、慢性的な水不足、都市緑化及び防災を目的とした雨水の循環利用、洪水による災害対策などに対する水リスク軽減に、2010 年から継続的に取り組んでいます。
2018 年度は、「クロスウェーブ」によるインフラ事業へのさらなる貢献を推進し、インド政府のスマートシティプロジェクトなどへの参画をしています。

  • ※クロスウェーブ
    : 雨水貯留システム。再生プラスチックを原料とした成形品で、地下に埋設して空間を形成し、雨水を貯留するために使用される。豪雨時に下水道や河川に流れ込む雨水の量を調節し、雨水の再利用を可能にする。

活動方針と削減目標2016年度を基準年とし、毎年1%削減を目標に掲げています

積水化学グループは、事業を行う上で必要な水を「上水」「工業用水」「地下水」「周辺の河川」などから取水し使用しています。水は地域共有の貴重な資源のひとつであるという認識から、冷却水を循環使用するなど水の再利用および使用量の削減に努めています。
環境中期計画(2017~2019)では、水使用量(取水量)について、2016年度を基準年として毎年1%の削減を目標としています。同時に排水のCOD負荷ついても毎年1%削減することを目標に掲げています。

主な取り組み

水使用量の削減水使用量は、基準年度比で3.0%増加

2018年度の水使用量は、基準年である2016年度実績に対して3.0%増加しました。
これはM&Aによる事業所の増加や生産量増加に伴う使用量の増加分を削減活動でカバーできませんでした。
具体的な取組みとして、取水量と排水のCOD排出量が特に多い事業所に特化して、積極的な削減目標を設定し、設備改善の検討を始めました。そのために必要な投資は環境貢献投資枠を活用し、現場を支援することにしています。

水リスクのモニタリング継続生産事業所の取水、排水リスクを継続的に把握

2014年度から15年度にかけて国内外98ヶ所の生産事業所および研究所を対象に、取水源と排水先の状況、現在および将来の取水の継続性などについて把握を行いました。その結果、取水のリスクでは生産活動に影響を与えるレベルの取水制限やコストの増加等は認められませんでしたが、地域間で供給量や水質の状況に大きな違いがあることがわかりました。また、取水源として地下水を利用している事業所が多いことがわかりました。特に国内の事業所の35%に当たる18事業所が地下水(一部は工業用水に含まれる)または湧水を利用しており国内全生産事業所の取水量全体の44%を地下水または湧水に依存しています。
地下水は安価で非常に有効な水源ですが、何らかの要因で将来使用できなくなる可能性もあり、事業継続でのリスクと考えています。
2017年度は当社独自の手法で地下水リスクを定量的に評価できるツールを作成しました。評価ツールでは、影響の受けやすさ、地域の関心、将来の変化の3つの視点から、地下水の豊富さ、事業場の利用水量、周辺地域の環境変化、法令による規制、利用量と降水量の変化の5つの評価項目、12の評価指標で評価しています。
2018年度は作成した評価ツールを用いて、国内すべての地下水利用事業所でリスク評価を行い、リスクの大きい3事業所を抽出し、さらに比較的取水量の多い2事業所を加えた5事業所について、気候変動による温暖化を想定したシナリオ分析により、将来の地下水涵養量を推定しています。
排水リスクに対しては、排水による自然界への影響を把握する手段として、生産事業所から出る排水のWET評価を2013年度から実施しておりますが、2018年度は、これまでの調査で生物への影響が見られた事業所において引き続き原因調査を実施し、原因物質を特定することができました。

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地下水リスクの評価の例

水のリサイクルプラスチック成型の冷却水を循環使用

水源からの取水量を削減するために、生産工程で使用している水の再使用、リサイクル使用を進めています。環境・ライフラインカンパニーや高機能プラスチックスカンパニーの各製造工場では、製造工程で使用する大量の冷却水を循環使用しており、国内外生産事業所における2018年度のリサイクル使用量はおよそ104百万m3となります。これは、すべての水使用量の5倍に相当します。
また、武蔵工場がある蓮田市では、武蔵工場で環境基準に沿って浄化された排水が、埼玉県の自然保全地域に指定されている「黒浜沼」の主な水源として活用されています。

  • 黒浜沼について詳しくは以下ページをご覧ください。
パフォーマンス・データ

精度向上のため過去にさかのぼり一部数値を見直しています。

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  • 生産事業所の取水量推移/国内

  • 生産事業所の取水量推移/海外

  • 生産事業所の水源別取水量推移/国内・海外

    (千㎥)
      2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
    上水道 3,016 3,143 3,200 3,374
    工業用水 13,656 14,939 15,085 15,682
    地下水 2,172 1,788 1,803 1,908
    雨水 0 0 0
    その他 951 752 1,156 265
    合計 19,795 20,610 21,245 21,229

    ※「 その他」は、国内は河川水の直接水、海外は購入した精製水

  • 生産事業所の放流先別排水量推移/国内・海外

    (千㎥)
      2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
    河川 11,018 10,993 11,473 11,179
    農業用水路 564 248 176 194
    海域 2,741 2,892 2,503 2,277
    下水道 2,897 3,509 3,695 3,663
    その他 1,555 1,498 1,464 1,885
    その他 18,776 19,140 19,316 19,197

    ※「その他」は、工業団地等の排水処理施設への排水

2018年度生産事業所の地域別水源別取水量

(千㎥)
  日本 中国 アジア・大洋州 欧州 米州 合計
上水道 673 324 216 1,834 327 3,374
工業用水 12,547 0 729 32 2,374 15,682
地下水 1,798 0 110 0 0 1,908
雨水 0 0 0 0 0 0
その他 197 0 69 0 0 265
合計 15,214 324 1,125 1,866 2,700 21,229

2018年度生産事業所の地域別放流先別排水量

(千㎥)
  日本 中国 アジア・大洋州 欧州 米州 合計
河川 11,159 0 20 0 0 11,179
農業用水路 194 0 0 0 0 194
海域 2,277 0 0 0 0 2,277
下水道 615 308 760 1,860 120 3,663
その他 0 0 55 0 1,829 1,885
合計 14,245 308 835 1,860 1,949 19,197
指標 算定方法
取水量 取水量=上水道量+工業用水量+場内地下水量+雨水量+その他の取水量
  • その他取水量:河川からの直接取水等
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  • COD排出量の推移/国内

指標 算定方法
COD排出量 排出量=Σ[COD濃度(測定値の年間平均)×排水量]