ESG経営を支える基盤

グローバル規模で、事業活動によって影響を受けるあらゆるステークホルダーの人権尊重を目指し、取り組みを促進しています。

マネジメント・アプローチ

事業活動の影響を受けるすべての人々の人権を尊重

積水化学グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を擁護することを責務として認識しています。
また昨今、国内外で人権に関する法制化・ルール化が進み、人権課題に対する社会からの注目度が高まっている中、持続可能な経営基盤を強化するためには、グループ従業員に限らず、ビジネスパートナーを含む多方面のステークホルダーの人権尊重に取り組むことが必要であると考えています。

積水化学グループ「人権方針」の理解・浸透

当社グループは、2018年10月より積水化学グループ「人権方針」の策定に着手しました。その後、人権リスクアセスメントの実施および取締役会における承認を経て2019年5月に新たな人権方針を策定し、2019年6月に開示しました。
従来の積水化学グループ「人材方針」・「人権方針」が主にグループ従業員を対象にしていたものであったことに対し、新たな人権方針は国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、グループ外のバリューチェーンを含む広範な領域にわたる人権の尊重を謳っていることが特徴です。
2020年度は、方針内に記載の人権デューデリジェンスや教育に関する取り組みを開始しました。今後も、グループの全従業員およびサプライヤーなどビジネスパートナーに対して、本方針の理解・浸透を図っていきます。

  • 積水化学グループ「人権方針」は以下をご覧ください。
英国現代奴隷法への対応

積水化学グループは、これまでイギリスのグループ会社にて英国現代奴隷法に関する声明を出していましたが、グループ全体で人権課題へ取り組むことの必要性を踏まえて、2019年9月より「積水化学グループ 英国現代奴隷法に関する声明」を開示しています。

この声明は、英国で施行された2015年英国現代奴隷法第54条第1項に基づき、積水化学グループが、自らおよびそのサプライチェーンにおいて奴隷労働その他の隷属状態の下での労働ならびに人身取引が発生しないことを確保するために実施している取り組みを開示するものです。

今後は、英国以外の国・地域の人権に関する法規制についても、当社グループが適用対象となるものに関しては、適宜対応を行っていきます。

英国現代奴隷法に関する声明(PDFダウンロード)
https://www.sekisui.co.jp/csr/pdf/Modern_Slavery_Statement_for_FY2019.pdf(pdf:1.4MB)

人権デューデリジェンスの仕組み構築に向けた取り組み

積水化学グループは2018年11月より、人権デューデリジェンスの仕組み構築に向けた取り組みを開始しました。

その第一ステップとして、以下のプロセスを踏んで、グループ内の潜在的人権リスクの特定を行いました。

  • 専門機関に依頼し、主要事業における人権リスクアセスメントを実施
  • その結果に基づいた社内ヒアリングをグループ会社駐在経験者および社内関連部署に対して実施
  • ※人権デューデリジェンス:
    自社の事業活動において、人権に負の影響を与える可能性(人権リスク)がないかを分析・評価して特定し、もし可能性があれば、その影響を防止または軽減するための仕組みをつくり、対処する継続的なプロセス

主要事業における人権リスクアセスメントの実施

2018年11月、積水化学グループの主要事業における人権リスクアセスメントを外部専門機関(Verisk Maplecroft社※1)に依頼し、10の人権課題について「住宅」「自動車部品」「産業別機械および製品」「製薬」という4つの産業ごとの人権リスクスコアを算出しました。さらにグループ会社が所在する国ごとのリスクを加味した結果、積水化学グループの事業活動では主に海外(中国・インド・タイ・ブラジル)において労働安全衛生等の潜在的な人権リスクが高いことが確認されました。

主要事業における10の人権課題

①児童労働②適正賃金③適正な労働時間④職場における差別⑤現代奴隷※2⑥結社の自由と団体交渉権⑦先住民族の権利⑧土地、財産および住宅に関する権利⑨労働安全衛生⑩プライバシーの権利

産業 優先国 (潜在的な)優先課題
住宅 タイ ●現代奴隷
●労働安全衛生
●適正賃金
自動車部品 中国
インド
ブラジル
タイ
●適正賃金
●現代奴隷
●労働安全衛生
産業別機械および製品 中国
タイ
●労働安全衛生
製薬 中国 ●労働安全衛生
●プライバシーの権利
  • 人権・経済・環境リスクについての世界的視野と知見を有するリスク分析・リサーチ企業。
  • 英国現代奴隷法2015で定められた現代における奴隷の定義。主に(1)奴隷・隷属・強制労働(2)人身取引(3)搾取(性的搾取、臓器提供の強制等)を指す。

人権リスクアセスメント結果に基づいた社内ヒアリングを実施

2019年2月からは、第三者(経済人コー円卓会議日本委員会)による社内関係者へのヒアリングを実施しました。人権リスクアセスメントを通じて潜在的リスクが高いと提起された国および人権課題についてのヒアリングを、タイ・中国・インドのグループ会社駐在経験者および社内関連部署に対して行い、アセスメント結果と実際の弊社事業との間にギャップが生じていないかどうかを確認しました。
ヒアリングの結果、

  • 海外生産会社においては安全への意識が高く、安全活動が定着している
  • ヒアリング対象のグループ会社においては移住労働者の使用、外国人、女性への差別は見られない

など、ポジティブな状況が確認できた一方、

  • サプライチェーン対応として、コーポレート主導のCSR調達アンケートの実施が見られるものの、現場レベルでの人権の観点からのサプライヤーチェックは行われていない
  • 海外生産会社の中には派遣労働者(期間工)を多数使用する工場がある

など、さらなる現場状況の確認が必要とされる事案も浮かび上がりました。

これを受けて従業員の生の声を聞き、人権に関する負の影響の有無確認と、影響度の深刻さを把握することを 目的に、国内外の生産事業所にてインタビューを行うことが必要と考え、2020年度は環境ライフラインカンパニー東日本積水 工業株式会社にて従業員インタビューを行いました。

  • 企業のサプライチェーン内の人権リスクを低減する取り組みに対する支援実績が豊富であり、国内外のさまざまなCSRイニシアチブ団体とのネットワークを有する特定非営利活動法人

国内生産事業所にて人権インタビューを実施

  • 対象
    1)環境ライフラインカンパニー東日本積水工業で勤務する外国籍従業員(契約社員および派遣社員含む)
    2)上記外国籍従業員の人事労務管理担当者
  • 事業所選定理由
    国内の当社グループ事業所内では、比較的外国籍従業員数が多くなっています。日本は、上述のリスクアセスメントによって、潜在的リスクが高い国とされてはいないものの、一般的に国内の外国人労働者の労働環境に関する人権リスクの高さについては、頻繁に国内外から指摘されています。そのため、インタビューを実施する意義があると考えました。
  • 実施方法
    当初は対面でのインタビューを予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、事業所への出張は取りやめ、リモートでのインタビューを行いました。 経済人コー円卓会議日本委員会が、1~4名のグループに分かれた従業員に対して各1時間ほどのインタビューを行いました。
  • 結果
    大きな人権リスクは見受けられなかったものの、工場内での案内、告知文の多言語化の必要性など、改善すべき課題が抽出されたため、東日本積水工業に対して、フィードバック報告会を実施しました。
    今後は、課題の対処に関する追跡評価などを行うとともに、海外においても同様の人権インタビューを実施することで、人権デューデリジェンスの仕組みを構築していきます。

取引先とともに取り組む人権に配慮した事業活動

積水化学グループは、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、お取引先とともに、人権に配慮した事業活動を行います。全グループ従業員に対して「コンプライアンス・マニュアル」を提供し、人権尊重と差別の禁止、ハラスメントの防止、個人情報の保護などを厳格に求めており、ハラスメントの防止については、研修やe-ラーニングを併せて実施。従業員の理解促進に努めています。

ハラスメント行為を未然に防ぐための研修

積水化学グループは、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントなど各種ハラスメント行為を未然に防ぐため、新入社員研修や新任基幹職研修などの階層別研修において、ハラスメント防止に関する内容を継続的に取り上げており、それぞれの職階や立場に応じて、ハラスメント防止のための知識を提供しています。また、分野別研修においても定期的にハラスメント研修を実施しています。

お取引先の人権尊重状況の把握サプライチェーン全体で人権問題に配慮

お取引先に対してはCSR調達を通じて人権への配慮状況を確認しています。すべてのお取引先に当社グループの人権尊重を含む調達方針をご理解いただくため、日本語のほか英語と中国語の翻訳版を作成、日本語版と英語版をWebサイトに掲載するなど調達方針の多言語化を進めています。

調達基準に満たないお取引先に対しては、改善の申し入れを行うとともに、その実施をお取引先と協働で進めています。特に海外のお取引先には、現地統括会社を通じて改善を働きかける仕組みの構築を進めています。

現状は、直接のお取引先に対して調達方針を確認していますが、2次、3次以降のサプライヤーを含むサプライチェーン全体に当社グループの方針が行きわたるように、社外有識者の意見を聞きながら詳細な内容に落とし込んだ調達ガイドラインを作成中で、2021年度からはそれに沿ったお取引先への確認を行っていく予定です。

さらに、人権デューデリジェンスの質の向上のために、認定されたサプライチェーン関連のイニシアチブへの署名、参加を検討していきます。

主な取り組み

社外ステークホルダーとのエンゲージメント

積水化学グループは、2020年8月~11月に、企業、NGO/NPO、学識有識者など異なる立場の参加者が人権デューデリジェンスの取り組み推進に向けて意見交換を行う、ステークホルダーエンゲージメントプログラムに参加しました。参加企業はNPO/NGO、学識有識者等からの問題提起を受けた後、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)が策定した人権ガイダンスツールを参考に、業界ごとに重要な人権課題は何であるかを議論し、特定しました。

また、2020年10月には、海外有識者との個別ダイアログに参加し、人権に関する有識者(デンマーク人権研究所、国連開発計画(UNDP))に対して当社グループの人権取り組みについて説明を行ったうえで、今後どのように活動を発展させていくべきかについてアドバイスを受けました。

今後は、上記のエンゲージメントから得た社外からの意見を活用しながら、「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った体系的な人権取り組みを推進していきます。

  • ステークホルダーエンゲージメントプログラム、個別ダイアログともに、経済人コー円卓会議日本委員会による主催

取引先向けCSR調達アンケートの実施

調達方針に基づき、2007年より、お取引先の人権配慮、環境保全や社会的責任に関する取り組み状況をアンケート調査で確認しています。

これまで積水化学本体、グループ会社、海外地域ごとにアンケート調査を行っていましたが、2021年度からは、グローバル共通施策の迅速な対応に向け、グローバル一斉調査に変更します。

現在、持続可能な調達の推進強化に向け、グローバル・コンパクトの10原則を網羅する「持続可能な調達ガイドライン」を作成中です。2021年度実施のアンケートでは、ガイドラインの遵守状況を確認するために調査内容を大幅に見直し、調査項目も大幅に増やす予定で、調査対象のお取引先に電力の供給事業者や生産設備メーカーを追加し、調査範囲も拡大します。

従業員向けの人権に関する研修・教育

積水化学グループは、人権に配慮した経営を行うため、従業員に対して人権をテーマとした研修や教育を行っています。特に入社や昇進などの節目に実施される研修に、強制労働、児童労働、ハラスメントなど人権に関わる問題について意識を高める内容を取り入れています。

なお、2020年度から従業員向け人権教育の一環として、社内イントラネットを活用した「ビジネスと人権E-Learning」を開始しました。国内および海外従業員向けに内容を策定し、事業活動によって影響を受けるすべての人々の人権尊重を目指す姿勢の周知を進めています。

また、国内グループ向けの「コンプライアンス・マニュアル」、海外グループ向けの「グローバル・コンプライアンス・マニュアル」には、人権尊重やハラスメント防止について記載しているほか、ハラスメントの防止を目的としたハラスメント研修を毎年実施しており、2020年度は367名が受講しました。

紛争鉱物問題への対応

積水化学は、コンゴ民主共和国および周辺諸国で人権侵害や環境破壊などに関わる武装勢力の資金源となっている紛争鉱物問題について懸念し、CSRの観点からサプライチェーン全体にわたって紛争鉱物使用の調査を実施しています。

2017年4月より、「紛争鉱物調査ガイドライン」の運用を開始しています。このガイドラインは、お取引先から紛争鉱物の調査依頼を受け、調査を実施する当社グループの各担当部門を対象として新たに策定されました。

2020年度は、471件の紛争鉱物調査を実施しました。その中で、紛争鉱物に該当する事案は見当たりませんでしたが、うち1件については、製練所不明などがありました。2021年度も継続して調査を実施します。

  • 各カンパニーの工場の品質管理部門、関係会社または関係会社の工場の品質管理部門