安全
トップから現場最前線まで全員でリスク低減に取り組み「ゼロ災」を追求します
基本的な考え方一人ひとりが危険を危険と判断できる人材に
安全の基本は、「自分の安全は自分で守る」ことであり、従業員一人ひとりが危険を危険と判断できる感受性を持つことが大切です。設備面の安全を万全にしても、人の作業や行動に危険が潜んでいることを認識しておく必要があります。そのため、安全教育や危険への感受性を高めるための取り組みとともに、決めたルールを守り、守らせる風土づくりに力を入れています。
同時に、従業員が安全に、安心して働くことができる職場づくりは企業としての責任であり、経営における最重要課題の一つと考えています。積水化学グループでは、5つのテーマ※を柱とするトータルセーフティー活動(労働災害ゼロ、設備災害ゼロ、通勤災害ゼロ、疾病長欠ゼロ)に取り組んでいます。
※5つのテーマ
①「設備」の本質安全化、②OHSMSによる「安全管理」、③従業員の「安全教育」、④危険予知活動などの「リスク予防」、
⑤安全衛生・防災に関する「安全監査」
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活動方針と推進体制グループ外の協力会社を含めて安全方針を徹底しています
労働安全衛生に関するさまざまな取り組みは、CSR 委員会の下に設置された「安全分科会」において方針や活動指針が策定され、生産力革新センター安全環境グループが実際の活動を推進しています。
労働安全の基本理念である「積水化学グループ 安全方針」を制定し、グループ内のすべての従業員に共有させています。さらに、度数率など労働安全衛生に関する各種データも、積水化学グループの生産・施工現場での作業中や研究活動で発生したものについては、グループ外の協力会社を含めて集計しています。安全分科会は、2018 年度は9 月、3 月に計2 回開催しました。
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安全 推進体制

安全衛生委員会の開催労使共同での安全衛生に関わる調査・研究・立案
積水化学グループの各事業場においては、事業場単位で法定の「安全衛生委員会」を毎月開催しています。さらに、会社と労働組合双方のメンバーで構成された「中央安全衛生委員会」を年に1回の割合で開催しています。「中央安全衛生委員会」は、労働安全衛生について労使間で災害調査、対策立案等を行うために労働協約に基づいて設けられた組織です。なお、すべての従業員が「中央安全衛生委員会」の委員になりうる可能性を有しています。
安全衛生委員会での議論をもとに、労働安全衛生法等の法令遵守はもちろん、職場における従業員の安全と健康の確保、快適な作業環境の構築に努めています。中央および事業場単位の安全衛生委員会において、職場環境の調査、職場における課題解決の仕組みや取り決めなど、労働安全衛生に関する諸テーマに対し、ルールを定め運用を行っています。
安全活動の率先垂範各部門のトップが「私の安全行動宣言」を発表
安全活動では、各事業場のトップがリーダーシップを発揮し率先垂範することが最も重要であるという認識のもと、社長をはじめ各部門のトップが自筆の「私の安全行動宣言」を毎年度発表し、イントラネットに公開しています。
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イントラネットに掲載した「私の安全行動宣言」
安全監査労働安全衛生マネジメントシステム監査評価書にもとづく監査を実施
労働安全衛生マネジメントシステム監査評価書を整備し、各事業場での自己評価およびコーポレートによる監査に活用しています。2018年3月に発行されたISO45001の要求事項を取り込むなど、評価項目は毎年見直しされています。2018年度は国内32事業場でコーポレート監査を実施しました。今後は、安全管理活動状況や災害発生状況に応じたメリハリのある監査を計画、実施していきます。
労働安全アセスメント新規事業立ち上げ時に安全に関する事前評価を実施
積水化学グループでは、「安全管理規則」第14条で、新規事業などを立ち上げる際に、当該事業部長の責任で労働安全に関する総合的な事前評価を行うように定められており、この安全規則に基づいて事業を立ち上げるカンパニーがアセスメントを実施しています。
安全活動を率先する人材の育成安全活動のキーマンとなる資格取得を推進
安全活動を牽引する人材として、2018年度に18名(2017年度からの累計30名)の「セーフティリーダー(SL)」が認定されました。各自が所属する事業場でリスク発掘・改善を進めるとともに、グループ内のSLが集結して研鑽会を開催し、安全教育内容の標準化を推進しています。
また、設備本質安全化を推進する「セーフティサブアセッサー(SSA)」資格取得奨励を進め、2017年度以降で累計81名が取得しました。事業場を越えた横断プロジェクトをSSAで編成し、高所開閉柵、ピンチロール、台車持ち手等の安全化を進め、これらを事業場間で共有しています。
設備安全基準の見直し設備の安全基準を見直すとともに設備メーカーへの説明を実施
積水化学グループで使用する生産設備に必要な安全設計基準を示した「設備安全設計ガイドライン」を2017 年度に発行し、その順守状況のモニタリングを継続しています。設備機械メーカーからの見積書には、必ず安全仕様チェックシートの添付を義務付けています。コーポレート監査などにより、実際の現場において設備安全基準が順守され、本質安全化が進んでいることを確認しています。
リスクの早期発見リスク抽出力アップ実践研修を実施
「自職場のリスクを自分で発掘し改善する」ことができる人材を育成するため、リスク抽出力アップ実践研修を開催しています。2018年度は、武蔵工場、千葉積水工業(株)、セキスイハイム工業(株)近畿事業所で実施しました。受講した参加者による自職場におけるリスク発掘および改善状況をモニタリングしています。2016年度からの通算で、8事業場で開催され、これまでの受講者は194名にのぼります。また、本研修で1,600件以上のリスクが発掘され、受容できないリスクの改善が進められています。
火災・爆発防止対策外部の専門家を迎えて防災監査を開始
ひとたび起こると周囲の環境や事業の継続に大きな影響を与える火災・爆発災害を防止するため、これまでに実施してきた安全監査に外部の防災専門家を迎えて「防災監査」を実施しています。「危険物の保管・取扱状況」「自然災害等の被災時の復旧体制」等を確認し、災害リスクを早期に発見し、未然防止対策を進めています。
2014年度から2017年度に発生した火災(小火を含む)20件の再発防止策(147項目)の内、139項目が維持されていることを確認しました。残りの8項目についてはさらなる施策強化が必要であることを提案し、改善の完了を確認しています。
2017年11月に発行された「職長のための火災・爆発撲滅!防災ハンドブック」に基づき、火災・爆発リスクの発掘を国内全48事業場で実施しています。2018年度までに1,255件を発掘し、改善が必要なリスク923件のうち、2018年度末時点で687件(74%)のリスク低減が完了しています。
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監査の種類 | 監査の対象・狙い |
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安全監査 |
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防災監査 | 主に事業継続に関わる災害防止対策を監査
|
緊急事態対応災害発生時の想定外事態対応スキルを磨くために
積水化学グループでは、リスクの高い災害に対し、特に予防に注力すべき災害として、生産事業場における「挟まれ・巻き込まれ」、施工現場における「墜落・転落」、化学プロセスにおける「火災・爆発」を設定しています。特に化学プロセスを製造の軸とする工程では「頭上訓練」を実施しています。
「頭上訓練」とは、トラブルに遭遇した際の従業員一人ひとりの判断力を鍛えるための訓練です。具体的には、現場で長年勤務している指導担当者が「想定していた危険回避のための装置が機能しなかったらどうする?」などの質問を投げかけ、訓練を受ける側は対処法を頭の中で考え回答します。このように現場レベルで長年培った安全ノウハウを後進に伝えることで、災害発生時の想定外事態対応のスキルを向上させています。また、訓練を通して設備的対策の改善や、作業手順書の見直しも進めています。この訓練は、トラブル処置以外にも避難訓練や防災訓練などさまざまな機会に応用されています。
2018年度は、17事業場98部署で計273回実施し、延べ2,135名が参加しました。
安全基本原則の展開安全基本原則ポスターを作成
設備本質安全化により設備に起因する労働災害を防止する一方、働く人の行動に起因する労働災害の防止にも取り組んでいます。グループ内の事業場で実際に発生した過去の労働災害から得られた教訓をもとに、作業時の遵守事項・禁止事項を作業工程ごとにまとめた「安全基本6原則」を2017年度に制定しました。この原則を速やかに社内に浸透させるため、イラストを交えて解りやすく示したポスターを作成し、各事業場に配布しました。
2018年度のコーポレート監査での現場巡視で、各事業場の職場でこれらのポスターが活用されていることを確認しています。また、同様の内容で英語、中国語など外国語版のポスターを配信し、海外事業場でも活用しています。
海外事業場安全監査海外事業場の安全管理活動の実態を「見える化」
地域ごとに法規制や文化が異なる海外の生産事業場において、安全活動レベルの底上げのために安全に関するグローバル基準を定め2013年度から展開してきました。2014年度からこの基準に基づく安全監査を本格的に開始し、2018年度は12事業場で実施しました。また、地域の課題を共有して対策を議論する「安全研鑽会」を北米・中国地域で開催しており、以前の日本主導から地域統括会社現地スタッフの企画・実施にシフトしています。プログラムには、方針展開、事業場活動事例共有、有識者講話、災害原因探索手法などのテーマを年度ごとに組み込んでいます。
安全大会および安全表彰年度安全成績優秀事業場に社長表彰を授与
例年、全国安全週間の時期(毎年7 月)に合わせ「積水化学グループ安全環境大会」を開催しています。2018 年度は7 月13 日に社長をはじめとする役員と国内の生産事業場・研究所、施工会社の事業場長、安全責任者など241 名が参加しました。
また大会中、2017 年度の安全成績優秀事業場に社長表彰を授与し、その栄誉を称えました。
サプライチェーンにおける安全管理安全方針を共有するとともに研修機会を提供
住宅カンパニーでは、住宅の現地施工に関わる協力会社従業員の安全を確保するという考えのもと、協力会社と「セキスイハイム協力会」を組織し、定期的な会議等を開催して当社グループの安全方針を共有しています。また安全教育会など、労働安全に関する各種の研修機会も提供しています。
安全成績
国内
集計範囲:国内48 生産事業所、5 研究所
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労働災害発生件数
指標 算定方法 労働災害発生件数 当該年度(4月~翌年3月)に発生した労働災害(休業災害・不休災害)の件数 -
重大設備事故発生件数
指標 算定方法 重大設備事故発生件数 当該年度(4月~翌年3月)に発生した下記の①~③のいずれか一つ 以上の項目(積水化学グループ基準)を満たす設備に関する不具合事象(火災・漏洩等)の件数
①人的被害:損失日数30日以上の休業災害
②物的被害:10百万円以上
③機会損失:20百万円以上
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疾病長欠件数
指標 算定方法 疾病長欠件数 当該年度(4 月~翌年3 月)に国内生産事業所・研究所で発生した疾病や怪我で暦日30日以上休業したもので、新たに発生したものをいう。出勤開始後6 ヶ月以内の再発はカウントしない。ただし、労働災害が原因の場合は疾病長欠としない -
通勤災害発生件数
指標 算定方法 通勤災害発生件数 当該年度(4月~翌年3月)に、国内生産事業所・研究所で発生した通勤中の災害件数。自動車等の運転による加害・被害・自損・物損を含む -
度数率の推移
指標 算定方法 度数率 当該年度(4月~翌年3月)の総労働時間1,000,000時間当たりの休業災害死傷者数。計算式:(休業災害死傷者数/総労働時間)×1,000,000 -
強度率の推移
指標 算定方法 強度率 当該年度(4月~翌年3月)の総労働時間1,000時間当たりの労働損失日数。計算式:(労働損失日数/総労働時間)×1,000 -
休業を伴う災害発生率(LTIFR)
指標 算定方法 休業を伴う災害発生率 (休業災害発生件数/総労働時間)×1,000,000 -
業務上疾病発生率(OIFR)
指標 算定方法 業務上疾病発生率 (業務上疾病発生件数/総労働時間)×1,000,000
業務上疾病:熱中症、腰痛、化学物質中毒等、厚生労働省が定義する業務上疾病。
-
住宅カンパニー施工現場における安全成績
指標 算定方法 住宅カンパニー施工現場における安全成績 住宅カンパニー管轄施工事業所において当該年度(4月~翌年3月)に発生した労働災害(休業災害・不休災害)の件数 -
環境・ライフラインカンパニー、施工現場における安全成績
指標 算定方法 環境・ライフラインカンパニー施工現場における安全成績 環境・ライフラインカンパニー管轄施工事業所において当該年度(4月~翌年3月)に 発生した労働災害(休業災害・不休災害)の件数
海外
集計範囲:海外46生産事業所、1研究所
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-
労働災害発生件数
指標 算定方法 海外生産事業所、研究所における労働災害発生状況 当該年度(4月~翌年3月)に海外生産事業所、研究所で発生した労働災害(休業災害・不休災害)の件数
国内、海外
集計範囲:国内48生産事業所、5研究所、34施工事業所
海外46生産事業所、1研究所
労働災害による死亡者の発生状況
2014 年度 |
2015 年度 |
2016 年度 |
2017 年度 |
2018 年度 |
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社員 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
国内 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
海外 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
協力 会社 |
1 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
国内 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
海外 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
合計 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
安全衛生・防災コスト
集計範囲:国内48生産事業所、5研究所、コーポレート各部署、カンパニー間接部署
安全衛生・防災コスト
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項目 | 積水化学グループ※ | ||
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分類 | 内容 | 費用額 | 投資額 |
1)事業所エリア内コスト | 安全衛生対策、救護・保護具関係、作業環境測定、健康管理、労災保険など | 946 | 2,676 |
2)管理活動コスト | OHSMS構築・運用、安全教育、人件費など | 1,814 | − |
3)その他 | 安全表彰金など | 6 | − |
合計 | 2,766 | 2,676 |
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-
費用額・投資額の推移
指標 算定方法 投資金額 当該年度(4月~翌年3月)に承認された安全衛生・防災関連の投資金額 -
損失コストの推移
指標 算定方法 損失コスト 当該年度(4月~翌年3月)に発生した労働災害・設備災害・通勤災害・疾病長欠発生時の対応費用及び工数分費用