エスレックB,KX,KW 塗工性

1)エスレックB・Kの接着性は、主としてその重合度、ならびに組成によって異なります。一般に、低重合物ほど接着力は強く、また重合度のあまり均一なものよりも、適度な分布を持つものの方が接着剤として好適です。
2)エスレックB・K塗膜は、水中に浸漬しますと5~8%の水分を吸収しますが、長時間浸漬してもそれ以上は吸湿せず、乾燥すれば元の状態に戻ります。しかも、吸湿・乾燥を繰り返しても膜が脆化したり、剥離するようなことがありません。
このような性質は欠点でもありますが、反面繊維加工において風合・感触に与える効果は非常に大きく、また吸湿が飽和状態になったときの絶縁性は一定値を示すということが、ウォッシュプライマーの防錆作用に好結果を与えています。
3)エスレックB・K塗膜を各温度で焼き付けし、その性質を試験した結果を下図に示します。なお、クリヤーラッカーは比較のために行ったものです。

プチラール塗膜の性質

表

註1)BM-2・BMSは12%、BL-1は20%、イソプロパノール・トルエン溶剤(1:1)2回塗り
註2)試験方法は塗装便覧を参照してください。
++最も良い、+良い、+-普通、--最も悪い

塗膜としての性能はきわめて良好であって、耐熱水性も焼き付け温度の上昇により相当改善され、さらに他との相溶により一層向上されます。
次に、重合度の異なるブチラール樹脂の塗膜の厚さと描画硬度との関係を下図に示します。

ブチラール塗膜の厚さと描画硬度

表


註)n-ブタノール、トルエン(1:1)溶液を塗布、焼付100℃、60min


塗膜の厚さと硬度の関係


グラフ

低重合の樹脂(BL・BM)は、いずれも塗膜の厚さが0.02mm程度で、その描画硬度はほぼ一定になりますが、高重合度樹脂(BH)では、なお比例的に上昇します。塗膜としてエスレックBMが好適で、接着性と強度が良く調和しています。
次に、重合度の異なるブチラール樹脂、エスレックBM・BHを塗り重ねた場合の描画硬度を下図1に、BL・BM・BHのうち各2品種を組み合わせた混合塗膜の描画硬度を下図2に示します。


1.塗り重ね塗膜の描画硬度


表


註)n-ブタノール、トルエン(1:1)溶液を塗布、焼付100℃、60min


2.混合塗膜の描画硬度


表

重合度の異なる樹脂の重ね塗りの場合、下塗低重合度─上塗高重合度の方が、単一塗膜より描画硬度が高く、これは低重合度樹脂の接着性、高重合度樹脂の強度特性によるものだと思われます。
また、重合度の異なる樹脂を混合して塗布した場合、その描画硬度は、単独樹脂のいずれの場合より高く、とくにBL+BHすなわち重合度分布の最も広い場合が最高の値を示しています。