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【Column】自分らしく、早田ひならしくあるため、世界一に挑戦し続ける/早田ひな

June 16, 2022

自分らしく、早田ひならしくあるため、世界一に挑戦し続ける/早田ひな|SEKISUI×SPORTS「挑戦のTASUKI」|積水化学工業株式会社

早田ひな選手の最大の目標は世界一。そのためには海外の選手、特に卓球王国中国の強豪選手との対戦は避けて通れません。

最近の中国選手と日本選手の試合を見ると、日本選手の方が先に攻撃的なプレーを仕掛け、中国選手は受け身になっているようにも見えます。それでも最後には、日本選手の方が先にミスをして敗れる。そんな試合が目に付きます。

中国選手の強さの秘密とは、何なのでしょうか。

「本当に特に何もされてないのに点を取られる気がするんですが、サービスの出し方だったり、一つひとつのボールのコースの正確性だったりですね。もちろん、高く浮くと攻撃されるのでそういったプレッシャーをかけて追い込まれるっていうのもあると思います」

中国選手の中でも、シングルスで最大の強敵は誰でしょう?

「対戦したことがある選手の中では王芸迪(オウ・ゲイテキ)選手です。たぶん一番日本人に負けない、日本人キラーだと思います。他の選手なら自分の技術が通用するなど、まだ手応えがあるのですが、王芸迪選手って何かができるようになったとしても勝てそうにない感じがする(笑)。サービスのタイミングや出し方が独特で、レシーブがやり難いですし、ラリーになったらピッチが速くて早い段階で決められる。かといって、長いラリーに持ち込むと男子並のボールで絶対に1本多く返ってくる、マシンみたいな感じです(笑)」

中国選手に勝つために取り組んでいるフォームの改造

そんなマシンのような中国選手に勝つために、早田選手は「ピッチ、パワー、回転の変化と、何でもできるスタンダードな卓球を作り上げたい」と言います。そのために大きな挑戦を自らに課しています。

「東京オリンピックが終わってから、4歳から16年かけて作り上げたフォームを一から見直しています。勝つためには沢山練習しないといけないんですが、もともと私は怪我が多いんですね。何千本何万本と打つフォアハンドで、できるだけ身体に負担が少ないフォームにするために、どこに力を入れるか、どういう感覚で打てばいいのかを直しています」

フォームを変えることは大きな決断ですが、その不安はないのでしょうか。

「とても勇気がいります。大きな決断です。でも、ここで直さないとパリオリンピックはないと思っていますから。やっぱり慣れてないのでミスも多いんですが、これがよくなったらもっと勝てるようになるというのを楽しみに変えて頑張るしかない。最近、2週間とか長期の試合の後の疲労が少なくなってきているので、これでいいんだって思い始めています」

「不可能を可能にする練習」をいかに楽しんで挑戦できるか

フォームの改善という挑戦はまだ半ばと語る早田選手。挑戦し続ける上で大切なことは何でしょうか。

「いかに楽しんでできるかですね。技術を修正するときの目標は無意識でできるようになることなんですが、そこまでできなくても、試合で1回でもできたら進歩として楽しい。そのできるイメージを、どれだけ持って過程を楽しむかだと思います。1度試合で出来たら次は無意識にできるようになるまで練習しようと思いますし、まったくできなかったらその時は悔しいですけど次の試合までに絶対にできるようになることを楽しみにできるわけですから。そして、できるまで続けること、途中で止めないことが大事です」

早田選手が育った石田卓球クラブの練習場には「練習は不可能を可能にする」の文字が掲げられています。この考え方が早田選手の根幹となっているのでしょう。

しかし不可能を可能にするためには、膨大かつ厳しい練習が必要です。誰にでも耐えられるものではありません。

なぜ早田選手はそんな毎日に耐えて不可能に挑戦し続けることができるのでしょうか。

「試合の最後に自信を持ってプレーをするためには、どんなにきつくても納得がいくまで練習したいですね。自分のプレーを貫くためと言いますか。自分らしくいるために、早田ひならしくいるためにやっている感じですね」

早田選手の挑戦はまだまだ続きます。

Text by 伊藤条太