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【Column】2024パリ、さらにその先へ「自分が前の試合より成長できているか、軸はあくまで自分自身」/早田ひな

November 23, 2023

2024パリ、さらにその先へ「自分が前の試合より成長できているか、軸はあくまで自分自身」/早田ひな|SEKISUI×SPORTS「挑戦のTASUKI」|積水化学工業株式会社

歴史的勝利によって見えた次のステージ

2024パリの日本代表選考も、残すところあとわずかとなりました。選考ポイントで2位以下に圧倒的な差をつけ、代表入りをほぼ確実視されている早田選手。彼女の視線は、目の前に試合に集中しつつも、その先のパリでのメダルに向いています。

その中で避けて通れないのが、圧倒的な実力を誇る卓球王国・中国。ですが、早田選手は今年5月の世界卓球選手権大会(南アフリカ・ダーバン)で中国の王芸迪選手を破り、銅メダルを獲得しました。日本選手が女子シングルスで中国選手を破ってメダルを獲ったのは、実に58年ぶりのこと。それは、早田選手にとって計り知れない自信になったはずです。

「もちろんすごく嬉しかったですし自信になりました。でも、もう1回戦って勝てるかというとわからない。10回やって1回か2回勝てるような感じなので、毎回競って勝つか負けるかのレベルまで持っていかなければならないと思っています。1回勝って対策されて負けるようだと、パリでは対抗できないと思っているので」

この言葉通り、9月のアジア大会では王芸迪選手を再び破り、日本選手として29年ぶりに決勝の舞台に立ち、見事銀メダルを獲得しました。

しかし中国には、王芸迪選手よりも上の選手がまだ二人もいます。早田選手はその高く厚い壁と自身の距離を冷静に見つめ、挑もうとしているのです。そのためにも早田選手は、“自分を変えていくこと”を恐れません。日々進化し、新しい技術が出てくる卓球において、現状維持は後退を意味するからです。

「試合で負けると、その人のボールを取るために何かを変えなければいけないこともあります。常に進化して、昨日の自分よりも今日の自分は一皮剥けて、また新しい感覚を身につけて、それが上手くいったらまた次の課題が出てくる、そんな感じです」。

信頼するチームがいるから変わることも恐れない

このように自分を変えていくことは、アスリートにとって勇気が要ること。それまで身につけたものを失うかもしれない上に、新しいやり方が自分に合う保証もありません。早田選手には、そうした不安はないのでしょうか。

「2020東京が終わって、自分の卓球を一から見直そうと思ったとき、やっぱり不安はありました。でも、自分自身が『これで合っているんだ』と思える感覚と、チームひなへの信頼感から、新しいことに挑戦する怖さは無くなってきているのかな、とは思います」

意外にも早田選手は「私は器用なタイプではない」と言います。そのため、感覚だけで覚えることができず、一つ一つの技術を言葉にして覚えていくのです。そこで大きな役割を果たすのが「チームひな」。早田選手を支えるコーチやトレーナーたちです。

「全然フィーリングがなかったときに、練習パートナーや第三者からどう見えているのか、自分の感覚はどうで…というのを『チームひな』で話し合いながら進めています。私は、めちゃくちゃ考えて納得しないと、練習に入れないタイプ。だから、たとえ自分が感覚を忘れても、他の人が覚えていてくれれば、ミスを繰り返さないで済むこともある。自分の感覚に絶対の自信が持てないからこそ、こういうやり方をやっているんだろうと思いますし、その存在がすごく助かっています」

成長への尽きぬモチベーションこそ原動力

選考ポイントトップを独走しているとはいえ、代表が確定していない以上、まだまだ国内選考会もおろそかにはできません。よく、「国内の選手と海外の選手とでは戦い方が違う」と言われる卓球界。打倒中国を目指しながら、選考会に臨む難しさはないのでしょうか。

「日本のレベルが上がってきているのもあって、国内も海外もあまり変わらないですね。どちらかというと、自分が前の試合より上手くできたかとか成長できているかとか、自分を軸に考えているので、国内と海外は特に分けず、どうやったら相手に勝てるかを考えて試合をしています」

あくまでも判断基準は自分自身。自分の進化・成長へのモチベーションこそが早田ひなの卓球の原動力なのです。

「半年前とか 3ヶ月前からでも、少し大げさに言うと基本の全ての技術を変えています。だから、これで完成っていうのは、ないですね。多分、引退するまでないと思いますし、その気持ちでこれからも頑張っていきたいと思います」

早田選手にとって、2024パリでさえも、自分の卓球を成長させるための通過点なのかもしれません。