法務・倫理

基本的な考え方

コンプライアンス経営

積水化学グループでは、2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、当社グループの理念体系および企業行動指針に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきました。
現在、長期ビジョンVision2030のもと、持続的な成長を目指していますが、その根幹となるのがコンプライアンスです。現中期経営計画では、重大インシデントの抑え込みによる持続経営力の向上に資するため、各種コンプライアンスプログラムの推進によって従業員一人ひとりのコンプライアンス意識の底上げに努めてきました。
今後も、当社グループが広く社会から信頼されるよう、コンプライアンス経営のさらなる強化に取り組んでいきます。

  • 09-48
目標

現中期経営計画では、重大インシデント発生による企業価値毀損を防ぐことを目的とし、「重要コンプライアンス問題の発生件数ゼロ」をKPIとして掲げ、コンプライアンス活動を推進してきました。その結果、重大コンプライアンス問題の発生件数はゼロ件でした。主要実施策の結果は以下の通りです。

主要実施策 管理指標 現中期最終年度(2022年度)
目標
2022年度実績
海外グループ会社統制の
強化
海外グループ会社への重要
規制導入(独禁法、贈賄防止
などの重要規則)導入率
100% 96%
海外グループ会社の社内通
報体制の構築(地域数)
海外全地域(10地域) 9地域完了
体制

コンプライアンス経営を確実に実践していくため、現実的かつ効果的なコンプライアンス推進体制を構築しています。グループのコンプライアンスを統括する組織として、サステナビリティ委員会の下に法務部担当執行役員を委員長とする「コンプライアンス分科会」を設けて方針や実施策の立案を行うとともに、コーポレートおよび各カンパニーには「コンプライアンス推進部会」を置き、コンプライアンス推進実務責任者を任命して各施策の実施・展開を図っています。万が一、重要コンプライアンス問題が発生したさいには「コンプライアンス審議会」を開催し、事後対応や再発防止策の検討などを行います。
2022年度はコンプライアンス分科会を、2022年5月と11月の2回開催しました。

  • 09-52

コンプライアンス・推進体制

主な取り組み

コンプライアンス方針の策定

当社グループでは、2003年に、腐敗防止、利益相反、独禁法遵守、会計、ハラスメントなどの各コンプライアンス項目に関する行動指針とその詳細な解説によって構成される「コンプライアンス・マニュアル」を作成し、社内教育などに利用してきました。
2022年度は、当社グループのコンプライアンスに対する考え方を広くステークホルダーに知っていただくことを目的に、同マニュアルから行動指針部分を抜き出す形で「コンプライアンス方針」を策定し、Webサイト上に公開しました。

コンプライアンス意識の醸成

コンプライアンスの意識を従業員一人ひとりに根付かせるため、上述の「コンプライアンス・マニュアル」やその海外版である「グローバル・コンプライアンス・マニュアル」、携帯用の「コンプライアンス・カード」を作成し、全従業員に配布しています。
2022年度は、コンプライアンス・カードを更新し、改めて国内従業員に配布するとともに、グローバル・コンプライアンス・マニュアルを改訂し、海外全地域に周知しました。

  • 09-49
  • 09-50
  • 09-51
  • コンプライアンス・
    マニュアル

  • グローバル・コンプライアンス・
    マニュアル(英語版)

  • 携帯に便利な名刺サイズの
    コンプライアンス・カード

コンプライアンス教育

コンプライアンス経営の実践につながる取り組みの一環として、従業員のコンプライアンス教育にも力を入れています。新入社員研修や階層別研修などにコンプライアンスに関する内容を盛り込み、コンプライアンスに特化したe-ラーニングを毎年少なくとも4回は実施するなど、グループのすべての従業員を対象に、コンプライアンスの大切さについて学ぶ機会を継続的に提供しています。
2022年度も、製造現場勤務など個別にイントラネットを閲覧できる環境にない従業員に対しても同等の学ぶ機会を提供するため、グループ会社や事業所からの希望に応じて紙による受講機会を提供しました。

社内通報制度「S・C・A・N」の周知と運用

当社グループでは、社内通報制度「S・C・A・N(セキスイ・コンプライアンス・アシスト・ネットワーク)」を構築し、ハラスメントを含む当社グループ内のコンプライアンス問題の早期発見、是正および再発防止の仕組みとして、法務部担当執行役員の監督の下で運用しています。
当社グループの従業員は、匿名・顕名を問わず、この制度を利用することができ、社内窓口のみならず、社外の弁護士窓口に通報することも可能です。
社内通報規則では、通報者情報の秘匿、通報者への不利益扱いや報復の禁止など、通報者保護を厳格に定めつつ、従業員に対してコンプライアンス違反行為を知ったさいに報告・通報することを求めています。
通報を受信したさいは、通報者側だけでなく、被通報者側や必要に応じて関係者へのヒアリングを行います。さまざまな証跡をもとに事実確認と認定を行い、通報窓口として公平な立場での組織的課題の解決を図っています。
2022年度は、公益通報者保護法の改正を契機として、社内通報規則を改正し、窓口従事者に対する研修を行うなど、より一層の体制強化と社内通報制度の信頼性向上に努めました。グローバルでは、北米・中国・EU・ASEAN・韓国・台湾における通報窓口の設置が完了しました。
また、当社グループでは、お取引先からの相談・通報窓口も設置・運用しています。
この相談・通報窓口では、グループ各社と継続的に業務上の取引をしている日本国内のお取引先の役員・従業員の方々を対象として、グループ各社のWebサイトに用意している専用フォームより随時相談・通報を受け付けており、お取引先との協議を基本としながら、報告された「法令違反行為」などについて事実確認や是正措置などを進めています。相談・通報された内容は、当該「法令違反行為」などを解決するために必要最小限の範囲の関係者のみで共有し、各関係者には秘密保持義務を課しています。

腐敗および贈収賄の防止に関する状況

当社グループは、自主行動原則で「腐敗防止」を定めている国連グローバル・コンパクトに署名・賛同しており、その精神に基づいて社内規則のひとつとして「贈収賄防止規則」を整備し当社グループ全社で導入するなど、腐敗および贈収賄を未然に防止するための取り組みを推進しています。
また、当社グループの従業員が日本国内、アメリカおよび中国でビジネスを行うさいに遵守すべき事項をまとめた「贈収賄防止ガイドライン」を作成しています。これらの規則やガイドラインは、イントラネットを通じて周知を図っており、従業員はいつでも確認することができます。
腐敗と贈収賄の主な防止策として、公務員などに対して接待・贈答を行う場合には、所定の事前申請書を管理者に提出して承認を得なければならないなど、リスクの高いケースを特定して違反行為を未然防止する規則を設定・運用しています。さらに海外の公務員などとの取引に関連して、代理店・コンサルタントなどを起用する場合には、代理店・コンサルタントなどに対する報酬の支払いが贈賄に該当する恐れがないこと、および合理的な理由があるため贈賄と疑われないことを確認し、なおかつ所定の決裁手続きを経た場合に限り、これを行うことができると定めています。
また、腐敗や贈収賄リスクが特に高い部門に対しては、腐敗と汚職防止に特化した研修を実施するなど規則やガイドラインの習得と申請書などの活用を促しています。
さらに、コンプライアンス方針、コンプライアンス・マニュアルおよびグローバル・コンプライアンス・マニュアルにおいても、贈収賄防止に関する方針の周知を行っています。
2022年度は、海外の公務員などを招聘する場合には管理部門または法務部門の事前承認を必要とするルールを設けるとともに、国内グループ会社の従業員を対象とするe-ラーニングで贈収賄に関する問題を出題しました。

利益相反取引の防止に関する状況

当社グループは、会社の利害と役員・従業員個人の利害が相反する場合は、「会社の利益になるか」という視点で判断し、「会社に損害を与えない」という方針を掲げています。2022年度は、上記方針を徹底するため、「利益相反の懸念が生じうる外注取引ガイドライン」を制定し、利益相反の懸念が生じうる外注取引を事前にチェックするためのルールを設けました。

独禁法および広告・表示などにおける法令遵守の状況

当社グループでは、独禁法遵守プログラムとして、事業者団体加入決裁制度、競合他社と連絡をする場合の事前申請制度および価格改定委員会制度を運用しています。毎年、同プログラムの運用状況について監査を実施し、適宜プログラムの見直しを行っており、カルテルリスクの高い国内事業会社にも同プログラムを導入しています。
また、事業活動を行うにあたり、広告・表示などにおける景品表示法などの各種法令を遵守し、誠実な営業活動を徹底しています。

会計コンプライアンス強化の取り組み

当社グループでは、財務・会計に関するリスクを削減するため、全社的な会計スキル・財務知識の向上に取り組んでいます。
国内外の連結会社の経理責任者を対象に、会計関連のルールや会計コンプライアンス活動などを説明・共有する場として、経理会議を開催しています。また、経理研鑽会やe-ラーニングにより、会計スキル・財務知識に関する教育を実施しており、誤った会計処理や会計不正が発生するのを防ぐとともに、経理業務に携わる部門・従業員のコンプライアンス意識向上も図っています。
2022年度も2021年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から経理会議はオンラインで実施しました。国内外合計で261人が参加しました。また、経理主催の研修・研鑽会もオンラインで開催し、延べ122人が参加しました。

税務コンプライアンスの取り組み

当社グループは、納税を企業が果たすべき基本的かつ重要な社会的責任のひとつと考えており、事業活動を行うそれぞれの国または地域における税法を遵守し、適正な納税を行っています。
当社グループは、租税回避を目的としたタックスヘイブンの利用は行わず、事業活動を行っている国や地域において経済実態に応じた適正な納税を行い、それらの国や地域の経済に貢献し、ともに調和と安定的発展を目指します。
税務リスクのある取引については必要に応じて外部専門家に確認し、適正な処理と税務リスクの低減を図っています。
さらに、移転価格リスクについては、当社グループ内の取引は各国・地域の法令およびOECD(経済協力開発機構)ガイドラインに基づく独立企業間価格に従って行っています。不安定な税務ポジションの解消のために、取引規模や税務リスクの程度に応じてAPA(事前確認制度)を活用することとしています。税務当局による調査などに対しては誠実かつ適切に対応するとともに、調査結果は取締役会に報告し適宜改善を図っています。これらを通じて税務当局と良好な関係を維持するよう努めています。

コンプライアンス特別強化月間

国内における取り組み

当社グループでは、すべての従業員がコンプライアンスの重要性を再確認するための機会として、毎年10月を「コンプライアンス特別強化月間」と定めています。
2022年度は、国内を対象に、労務管理、表示・表現に関する規制、社内通報制度、個人データ保護の4つのテーマで研修を実施しました。新型コロナウイルス感染症拡大防止や、研修に参加できない従業員への学ぶ機会の提供のため、研修はオンラインによるリモート形式で行いました。労務管理についてはWeb会議システムを用いて行い、残りの3つは動画配信としました。

国内におけるコンプライアンス特別強化月間の取り組み(2022年度)

  • 1.
    コンプライアンスに関するトップメッセージ2022年10月のグループ全社員への周知徹底
  • 2.
    各種コンプライアンス研修の実施/社員が自らの意思で参加するオープン型の法務セミナーの開催(Web会議システム中継研修全9回)、動画配信(3テーマ)
  • 3.
    Webグループ報「SWITCH」でのコンプライアンス特別強化月間の活動紹介・研修の動画受講案内
  • 4.
    イントラネットを利用したe-ラーニングの実施(独禁法や贈収賄、労務管理を中心に出題)
  • 5.
    グローバルリーダーによる自組織へのコンプライアンスメッセージの発信とその報告
  • 6.
    北米・中国・東南アジア・欧州における取り組み(10月~1月)

海外における取り組み

2022年度も2021年度に引き続き、北米、中国、東南アジア、欧州エリアにおいて「コンプライアンス特別強化月間」の活動を実施しました。各エリアで取り上げるテーマは、各エリアの地域統括会社が自社の管轄エリアでリスクが高いと判断したものを中心に選定しています。

海外における「コンプライアンス特別強化月間」取り組みテーマ(2022年度)

  • 北米:
    1)内部通報制度のポスターコンテストの実施・コンテスト優勝作品の掲示
    2)トップメッセージの発信
    3)内部通報制度に関するトレーニングビデオを管轄する現法全社に配布
    4)研修の実施
    ・10月中の実施事項:緊急時の対応トレーニング、SAC作成のサイバーセキュリティー研修、ハラスメント防止などその他コンプライアンス研修
    ・その他実施事項:贈収賄防止研修、Success Factorsでの研修提供
    5)内部通報制度の周知度合いに関するアンケート
    6)強化月間中の活動に対するフィードバックを受けるためのアンケートを実施
    7)積水化学が2022年11月に実施するコンプライアンス意識調査の紹介
  • 中国:
    以下の形式で研修を実施
    ・研修形式:対面またはWeb研修
    ・テーマ:情報漏洩対策、契約書ひな形説明、個別テーマ
  • 東南アジア:
    日本でのインシデント紹介、秘密情報管理、独禁法遵守プログラム、内部通報制度周知をテーマに研修を実施。
  • 欧州:
    SEBV European Newsletterの記事による啓発や、強化月間についてのメッセージ付き“Anti Skimming Card”の配布、コンプライアンスに関する意見交換を実施。
パフォーマンス・データ

e-ラーニング受講者数の推移

  • 09-53
  • e-ラーニング受講者数の推移

    • 年4回実施した平均値。ただし、2022年度は第3回、第4回が受講期間中のため、第1回と第2回の平均値。
    • e-ラーニング受講対象者は、海外現地採用者を除く、積水化学および積水化学グループ会社の従業員。

コンプライアンス研修実績一覧

2022年度コンプライアンス研修実績一覧

研修項目 研修内容 対象 受講数
積水化学単体 グループ会社
国内 海外
階層別研修 新入社員研修   497
新上級職研修   101
新任基幹職研修     62
新任執行役員研修   6
関係会社取締役研修     44
管理責任者研修     63
分野別研修 コンプライアンス研修   806
ハラスメント研修   79
輸出管理研修   708
下請法研修   3,742
独占禁止法研修     129
個人情報保護研修   43
情報管理研修   531
関係会社機関運営研修     18
産業廃棄物処理研修     28
スタートアップ事業連携研修     56
グローバル 海外赴任前研修   25
コンプライアンス
特別強化月間
国内向け研修   3,084
北米向け研修     3,243
中国向け研修     564
東南アジア向け研修     1,060

通報・相談件数

2022年度通報・相談件数

通報・相談 件数
パワーハラスメント 25
労働条件関連 40
セクシャルハラスメント 4
職場環境配慮 18
経費の使い方 4
営業手法関連 2
業績偽装 5
取引先との癒着 1
その他 33
通報数合計 132

政治団体への寄付金

積水化学グループは、違法な政治献金をしません。
社会全体の利益になる公共政策の策定を促すべく実施している政治団体への寄付の金額(積水化学連結)は以下の通りです。

(単位:千円)
年度 金額
2018年度 14,429
2019年度 16,936
2020年度 8,705
2021年度 10,690
2022年度 12,562