マテリアリティ融合(イノベーション)

サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来につづく安心”を創造しつづけるために、積水化学グループは技術プラットフォームをベースとして、社内外のさまざまなステークホルダーや企業と融合し、イノベーションを加速していきます。

基本的な考え方

当社グループは、長期ビジョンのビジョンステートメントに「Innovation for the Earth」を掲げ、ビジョン実現のための重要なドライバーとしてイノベーションを重視しています。気候変動をはじめとした非常に難しくかつ喫緊の社会課題が山積する中、新たな課題解決手段を創出するイノベーションの重要性はますます高まっています。
現中期経営計画では、長期ビジョン「Vision 2030」に基づき、各事業ドメインにおいて既存事業のさらなる成長を目指す強化領域と、新たな事業基盤を創出する革新領域を定め、それに合わせて技術プラットフォームの見直しも行いました。また事業ドメインをまたいだ事業機会の発掘や技術の掛け合わせを定常的に検討する全社創発座談会を発足し、全社総合力としてのイノベーション力強化に取り組んでいます。次期中期経営計画においては、全社一体となったイノベーションの強化、加速をさらに進めるとともに、社外との連携・オープンイノベーションに注力し、迅速に新たな価値を創出することで社会課題解決力を高めていきます。

目標

現中期経営計画において、強化領域におけるイノベーションの指標として、新製品や新プロジェクトの件数をKPIとして定めました。2022年度は一部の事業ドメインでの製品開発に苦戦し、全社として前年度実績をやや下回る実績となりました。次期中期経営計画では引き続き新製品、新プロジェクトの創出を強化するとともに、革新領域におけるイノベーションのKPIを定め、長期ビジョンの実現に向けたイノベーションの加速を図っていきます。

体制

イノベーションを推進するための体制

当社グループでは、イノベーションの源泉は当社が保有するコア技術にあるととらえ、その中でも特に競争力のある技術や強化すべき技術を技術プラットフォーム(TPF)として定義し、継続的に技術強化を進めています。TPFは中期経営計画ごとに見直しており、次期中期経営計画に向けて26のTPFを定めました。また、各TPFの技術強化を牽引するリーダー人材をスペシャリティ職(S職)として任命する制度を設けています。S職はS1職からS4職までの4段階のグレードで構成され、2022年度は全社で38名の技術者をS職として任命しました。S職は各TPFの継続的な技術強化を牽引するとともに、次の技術リーダーを育成する役割も担っています。

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また、イノベーションの取り組み状況はR&D委員会において定期的にモニタリングしており、経営トップを交えて、さらなるイノベーション強化に向けた議論を進めています。

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R&D委員会の目的

  • 次世代事業創出に関する全社R&D基本方針の策定
  • 次世代事業創出に関する全社R&Dテーマおよび実行計画の策定
主な取り組み

社内外の技術融合

イノベーションにおいては社内の各部署や社外との連携が重要と考え、当社グループでは社内外の技術連携を「融合」と表現して、積極的に取り組んでいます。
社内融合については、当社グループのR&Dセンターが社内の関係部署と連携して、「コア技術融合」「企画融合」「開発融合」の3つの観点から、各カンパニーとの融合を進めています。
コア技術融合についてはR&Dセンターに一本化した基盤技術のひとつである情報科学において、全社向けのセミナーを複数回開催したほか、マテリアルズインフォマティクスを用いたカンパニー開発テーマの支援を推進して、データサイエンスの底上げを進めました。
企画融合については、カンパニー企画部門とR&Dセンターの企画人材が連携することで、新たな開発テーマを創出することができており、融合強化の効果が現れてきています。
開発融合については、カンパニー横断の開発テーマをコーポレートが支援する仕組みを通じて、融合の促進を図っています。
社外との技術融合であるオープンイノベーションも積極的に取り組んでいます。近年は特徴的な技術を持つスタートアップ企業との連携も進めており、専任部署を設けて多くのスタートアップ企業と接点を持つプログラムに参加するなど、さらにオープンイノベーションを強化、加速していくことを目指しています。
重要な開発テーマにおける社外との融合も積極的に進めており、当社グループが開発を進めているペロブスカイト太陽電池は、東京大学や立命館大学との連携により国の開発プロジェクトに採択されており、実用化に向けた開発をさらに加速していく予定です。
また、カーボンリサイクル技術においても、世界最大級の製鉄企業であるArcelorMittal社とパートナーシップを締結しました。当社グループの革新的技術を活用して、製鉄時のCO2排出量削減に向けた取り組みを進めていく予定です。

パフォーマンス・データ
  • 09-01

研究開発費・研究開発費売上高比率