戦略

基本的な考え方

積水化学グループのESG経営では、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる「①際立ち」「②社会課題解決」「③未来につづく安心」の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいます。

前中期経営計画では、まず「持続経営力の強化、資本コストの低減」に焦点をあてて取り組みました。2023年度よりスタートした現中期経営計画では、さらに成長戦略に資する取り組みに発展させていきます。

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3つのステップ

①際立ち
社会に信頼される企業体制を、「ガバナンス(内部統制)」を通じて実現し、際立つ「人材」の挑戦を原動力に、「環境」「CS品質」で圧倒的な差異を持つ製品・サービスを生み出していく

②社会課題解決
「際立ち」をもとに、3つのアプローチ(貢献の量を増やす、貢献の質を高める、これらを持続的に提供していく)で社会課題解決を加速

③未来につづく安心
未来の世代も含めたあらゆる世代に安心してもらえるよう「未来につづく安心」という価値を、4事業領域(レジデンシャル、アドバンストライフライン、イノベーティブモビリティ、ライフサイエンス)で創出・拡大

長期ビジョンとESG経営

2020年に策定した、2030年までの長期ビジョン「Vision 2030」では、「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来につづく安心”を創造する」をビジョンステートメントとして掲げ、「ESG経営を中心においた革新と創造」で、現有事業の拡大と新たな事業創出を通じ、社会課題解決への貢献拡大を目指しています。

積水化学グループの理念体系

積水化学グループの経営に対する理念体系は、企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、「社是」を受けて中長期でグループが目指す姿を示した「グループビジョン」、「グループビジョン」を実現していくための具体的な「経営戦略」によって構成されます。

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社是〜3S精神〜

Service(サービス):企業活動を通じて社会的価値を創造する

Speed(スピード):積⽔を千仭の谿に決するスピードをもって市場を変⾰する

Superiority(スペリオリティ):際⽴つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する

  • 社会:「5つのステークホルダー」(「お客様」「株主」「従業員」「取引先」「地域社会・地球環境」)をはじめとした社会全体

グループビジョン

積⽔化学グループは、際⽴つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。

理念体系の「社是」「グループビジョン」などの詳しい内容は、以下のWebサイトをご覧ください。

長期ビジョン「Vision 2030」

積水化学グループは、「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来に続く安心”を創造していく」ためにイノベーションを起こすという強い意志を込めたビジョンステートメントを掲げています。
「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸に、「製品・事業の革新による現有事業の拡大」と、「新事業基盤の創造・獲得による新たな事業の創出」を両立させ、イノベーションを起こすことで、これまで以上に社会課題解決への貢献を図っていきます。このサイクルによって2030年には当社グループの業容そのものを倍増(売上2兆円、営業利益率10%以上)させるビジョンを描いています。

  • 現有事業:レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4事業領域
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長期ビジョンの全体像

長期ビジョン「Vision 2030」についての資料は以下よりご覧ください。

(本リンクの中期経営計画説明会は、前中期計画「Drive 2022」についての開示情報です)

ESG経営

「ESG経営を中心においた革新と創造」とは、「Vision 2030」の実現の鍵となる3つの推進力「社会課題解決貢献力」「利益創出力」「持続経営力」を強化し、「サステナブルな社会の実現」と「積水化学グループの持続的な成長」の両立を目指すものです。

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「持続経営力」

持続経営⼒の強化に向けたKPIとしてROIC導⼊

効率性の指標としてROICを導⼊し、中長期的に向上を図ります。そのために、限界利益の拡⼤や⽣産性向上などにより“利益率”を向上させ、適切な資本投下や⼯場稼働率向上、在庫適正化などにより“回転率”を⾼めていきます。

資本効率向上と⻑期的な資本コスト低減により、企業価値を向上

「セキスイ・サステナブル・スプレッド(ROIC スプレッド)」をROICと長期的資本コストの差と定義し、その拡⼤により企業価値を⾼めていきます。

中長期的な資本コストを抑制し持続経営⼒を向上

重⼤インシデントにつながるリスク軽減に向けたガバナンス(内部統制:安全、品質、会計、法務・倫理、情報管理)、DX(デジタル変⾰)、環境、人的資本などへの投資を、ESG 投資枠の設定により拡大し、中長期的な資本コスト抑制に取り組み、持続経営⼒を⾼めていきます。

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中期経営計画「Drive 2.0 - The 2nd Phase for 2030 - 」

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長期ビジョン「Vision 2030」に向けた第2段階目となる中期経営計画「Drive 2.0 - The 2nd phase for 2030 -」の基本戦略は、「企業価値向上への3つの取り組み」です。「戦略的創造」「現有事業強化」「ESG経営基盤強化」の3つに取り組み、“持続的成長”と“仕込み充実”を両立させていくというものです。
最終年度の2025年度には、売上高1兆4,100億円、営業利益1,150億円、ROIC8.5%の達成を目指しています。なお、2023年度の実績は、売上高が過去最高の1兆2,565億円、営業利益944億円でした。

戦略的創造(Strategic Innovation)

新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化を進めています。
具体的には、長期ビジョン実現への羅針盤として策定した、戦略領域マップにおける「革新領域でのイノベーション創出と主要7テーマの事業化推進」を目指しています。
ペロブスカイト太陽電池については社長直轄組織の立ち上げや外部連携による実証を推進しており、次世代通信部材については透明フレキシブル電波反射フィルムにおいてLATYS社へ出資するなど、事業化へ向けた動きが本格化しています。

詳細については以下よりご参照ください。

現有事業強化(Organic Growth)

現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げを進めています。
具体的には、戦略領域マップにおける「強化領域の拡大」、「ポートフォリオマネジメントによるメリハリある資源配分の実行」、「成長ドライバーの拡大と弛まぬ構造改革」を行っています。
ポートフォリオでは各事業に期待する役割を設定し、収益性や資本効率などの観点から役割に応じたKPI管理を進めています。成長を牽引する事業や、将来的な成長が期待できる事業に対して、経営資源を重点的に投入するべく投資状況などのモニタリングを強化しています。

ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)

持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化を進めています。
ESG強化費として550億円(設備投資+ 費用)を設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減活動や、DX(デジタル変革)・人的資本・環境など中長期的な施策に積極的に取り組んでいます。特にGHG削減については2025年度目標の水準に前倒しで到達するなどの成果が出ています。

中期経営計画「Drive 2.0」の資料は、以下よりご覧ください。

重要課題(マテリアリティ)の特定

長期ビジョン「Vision 2030」の実現の鍵となるESG経営をさらに強化していくため、重要課題を見直し、ガバナンス(内部統制)、DX、環境、人的資本、イノベーション、に軸足をおいて取り組みを進めています。

重要課題の抽出と特定

下記のプロセスに基づき、重要課題を特定しています。

ステップ1:課題の抽出
以下の観点から、短・中・長期※の課題を網羅的に抽出しました。

  • 期間:短期1年、中期3年、長期10年以上
  • 積水化学グループ
    • 企業理念体系(社是、グループビジョン、2030年長期ビジョン)
    • 各種方針
    • 中長期戦略
    • ビジネスモデル
    • 従業員意識調査
    • 各会議体での議論内容
  • 社会要請
    • 各国の法規制・ソフトロー・開示指令
    • 社外のステークホルダーの意見・期待(お客様アンケートおよびダイアログ、持続可能な調達調査、株主・投資家ダイアログ、NPO)
    • 地球環境、消費者などに関する社外有識者の意見(アドバイザリーボード)※アドバイザリーボードメンバーについては、こちらを参照
    • 評価機関、お客様によるESG調査項目・内容
    • グローバルガイドライン(国連グローバルコンパクト、ISO26000、GRIスタンダード、SDGs、TCFD、IIRC、SASB、OECD多国籍企業行動指針)
  • 他社動向
    • 統合報告書、サステナビリティレポート
    • グローバルコンパクト分科会などでの意見交換

ステップ2:「リスクと機会」の特定
全社リスク検討部会で、インパクト、起こりやすさ、バリューチェーン上における波及効果の3軸から、リスクまたは機会となりうる事象を特定

ステップ3:重要課題の特定
「A.ステークホルダー(お客様、株主、従業員、取引先、地域社会・地球環境)にとっての重要性※1」と「B.積水化学グループにとっての重要性※2」の両軸で優先順位付けをし、サステナビリティ委員会で審議のうえ、特定しました。

  • 「SEKISUI環境サステナブル・インデックス」を活用し、地球・社会へのプラス・マイナスの影響の大きさを考慮
  • 将来財務インパクトの大きさを想定、ROICや資本コストの考え方を反映させた「セキスイ・サステナブル・スプレッド」を活用

ステップ4:重要課題の承認
サステナビリティ委員会で審議された重要課題を、取締役会にて最終承認。
なお、重要課題については、自社グループの状況、社会情勢などの変化などを踏まえ、変更の必要性を毎年検討します。

積水化学グループの重要課題(2023-2025)

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ESG経営概念図における重要課題の位置づけ

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