挑戦する風土の醸成

戦略

基本的な考え方

中期経営計画で掲げている「Vision 2030」の実現には、積水化学グループの従業員一人ひとりの「挑戦」が欠かせません。従業員が挑戦意欲を持ち行動に移すには、上司による適切な目標設定と動機づけや、挑戦が評価され、失敗が許容される組織風土の醸成等、さまざまな環境整備が必要不可欠です。そのため、中期経営計画における人的資本戦略では「挑戦する風土の醸成」に向けて「挑戦の“場づくり”」と「挑戦の“後押し”」に焦点を定め、それらを達成するための施策を推進しています。

重要人事施策

1.挑戦の“場づくり”
  • 手挙げによるキャリア実現の加速
  • チャレンジ機会の提供
2.挑戦の“後押し”
  • 挑戦風土醸成活動の更なる強化
  • キャリア自律に向けた風土醸成
指標・目標

中期経営計画に基づいた新たな人的資本戦略のもと、2 項目の方針、12 項目のKPI(うち重点KPI:3 項目)で構成される、14 の指針を定めました。そのうち、「挑戦する風土の醸成」の達成に向けて「挑戦の“場づくり”」と「挑戦の“後押し”」の2 点を推進し、下記の項目を設定して評価しています。

指標

重点KPI:挑戦行動の発現度

2021年度より、積水化学グループでは人的資本の重点KPIとして「挑戦行動の発現度」を設定しています。従業員の挑戦行動について毎年アンケート調査を行い、職場単位の改善に繋げています。

挑戦行動発現度に関するアンケート調査における設問

私は「Vision 2030」の実現に向けた具体的な挑戦行動を起こしている
2023年度以降:「あてはまる」または「どちらかというとあてはまる」を対象
2022年度以前:「あてはまる」を対象

主要KPI:エンゲージメントスコア

毎年、海外のグループ会社も含めエンゲージメント調査を行っています。そのうち、「仕事に対する情熱」と「会社に対する愛着」をはかるエンゲージ関連行動質問6問(各6点満点)の平均が4.5点以上の従業員の割合を主要KPIと定めて測定しています。

設問
  • 1.
    もし、私に職を探している友人がいたら、迷わずこの会社を薦めると思う
  • 2.
    もし機会があれば、私はこの会社で働くことの素晴らしさを他の人たちに伝えると思う
  • 3.
    もし、私がこの会社を辞めるとすれば、相当の決心が必要だろう
  • 4.
    私は、この会社を辞めて他の会社で働く事について、ほとんど考えていない
  • 5.
    この会社は、日々、私に最良の仕事をしようという気を起こさせている
  • 6.
    この会社は、与えられた仕事をやりとげるだけでなく、それ以上貢献しようという意欲を与える会社である

目標

挑戦行動の発現度(グループ)

中期経営計画の最終年度である2025年度に、60%を超えることを目標と定めています。

エンゲージメントスコア(グループ)

エンゲージ関連行動質問6問において、前年度比維持・向上を目標と定めています。

2023年度の実績は、挑戦する風土の醸成の主な取り組み参照。

主な取り組み

新たな挑戦が自発的に生まれ、波及する組織風土の醸成を測定しています。

挑戦行動発現度(積水化学グループ)

  2021年度 2022年度 2023年度
挑戦行動発現度(%) 51 47 48
回答率(%) 62 81 88
  • 2023年度より指標の再定義を行っており、2021年~2022年の結果も再定義後の基準で記載

挑戦の“場づくり”

1.手挙げによるキャリア実現の加速

「従業員個人の自己実現」と「会社の成長」を目指す制度として、2000年に人材公募制度を開始しました。年4回の実施を通じて、従業員と部署のマッチングを実現しています。
従業員は自身のキャリアを考え、それに向けた能力開発、自己研鑽を行います。そして自ら活躍する場(機会)に対して手を挙げ、挑戦する人がステップアップのチャンスを得ることができます。会社は手を挙げた意欲のある人材の中から、必要な人材を決定することができます。

グループ内人材公募 実績

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
募集件数(件) 45 31 55 56 78
募集人数(人) 62 54 80 101 122
応募人数(人) 135 155 236 159 138
異動人数(人) 28 28 70 45 41

キャリアパス支援実績(積水化学)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
コース転換制度 男性(人) 10 14 2 6 6
女性(人) 1 2 4 3 1
正社員転換制度 男性(人) 2 1 4 3 0
女性(人) 11 14 10 11 4

2.チャレンジ機会の提供

従業員一人ひとりが「会社を変える、一人ひとりの行動を変えていく」などの意欲向上のため執行役員自らが教育者となり、研鑽する場として変革塾を実施しています。また、定年延長の実施に伴い、60歳以降を対象に兼業制度を新設しました。60歳以降において、当社における自身の求める活躍機会を広げるため、働き方の選択肢を増やすことで、一人ひとりの活躍機会の拡大や、セカンドライフへの助走に繋げています。

主なグループ内公募型研修実績

研修名 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
変革塾(人) 69 実施なし 102 102 54

挑戦の“後押し”

1.挑戦風土醸成活動のさらなる強化

挑戦の土台となる会社に対してのエンゲージメント、「仕事に対する情熱」「会社に対する愛着」を測定するため、毎年、従業員へのアンケート調査を実施しています。2023年度は、過去最高の回答率となり、スコアは133と、前年に比べて改善することができました。調査結果は、カンパニー、グループ会社、各組織単位で分析し、各組織の課題に応じた改善施策を立案・実施しています。
また組織横断での取り組みとして、国内グループ会社の人事部門が集まって、「エンゲージメントDriveプロジェクト」活動を行っています。このプロジェクトでは、先進他社事例や社内好事例の共有、組織開発手法のセミナーなどを実施しています。

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エンゲージメント調査

  • 精度向上のため過去にさかのぼり一部数値を見直しています
  • スコアは、2019年度を100として算出
  • 調査対象範囲:対象としたグループ会社160社のうち、調査を実施した157社のすべての従業員(正社員および非正規社員、派遣社員を含む)
  • カバー率:国内外グループ会社数に対して、調査を実施した会社の割合
  • 回答率:調査を実施した会社の全従業員に対して、調査に回答した従業員数の割合
  • 2020、2021年度は、中間調査として希望組織が調査を実施(参考値)

2.キャリア自律に向けた風土醸成

従業員の挑戦意欲をより一層引き出していくためには、「自律的なキャリア開発」という視点が重要であると考えています。この「自律的なキャリア開発」の促進を目指して、積水化学では全従業員に対して「キャリア面談制度」を運用しています。この制度では、「今までの経験」「コミットメントや役割遂行」「キャリアや業務に対する志向」を上司部下で話し合ったうえで、人事システムでその内容を一元的に管理し、情報を組織的に活用しています。
2022年度の導入以降、定着に向けた取り組みの推進により、キャリア面談実施率は2022年度の75.4%から2023年度は81.2%に改善しました。従業員一人ひとりのキャリア志向について、直属上長に加えて部門長や人事部門も把握できるようになり、異動を含めた業務のアサインや研修機会の提供など、より効果的に従業員のキャリア開発を検討できる素地が整ってきました。
また、キャリア面談をより効果的に運用するため、キャリア自律上司研修、キャリアプランの立て方を学ぶ基礎研修を実施しています。さらに、キャリア教育の機会は、従前の年齢ごとの実施から役割ごとの実施に枠組みを変更しました。このような研修は、一人ひとりのキャリアを自律的に考える機会であり、「自律的なキャリア開発」を通じて主体的な挑戦をより一層引き出していくと考えています。

キャリア研修受講実績(積水化学)

研修名 2021年度 2022年度 2023年度
キャリア自律上司研修(人) 393 252 134
キャリアプラン基礎研修(人) 17 62
新任基幹職キャリアプラン研修(人) 203 204
上級昇格者キャリアプラン研修(人) 89
新入社員キャリアプラン研修(人) 78 95