適所適材の実現
基本的な考え方
役割軸の人材マネジメントへの転換による「適所適材」の実現を目指しています。
従来の、個々の能力に役割をあてていく「適材適所」ではなく、当社グループにおける一つひとつの重要な役割のそれぞれに、一番相応しい人に就いてもらう「適所適材」を狙いとしています。これを実現するために、前中期に人事制度とマネジメントの仕組みを刷新しました。
- 資格制度の見直し:管理職への新グレード制度導入、登用の見極め期間廃止、後継者候補育成制度
- 定年延長:60歳から65歳へ定年を延長(2021年に積水化学ならびに特定のグループ会社で実施。2025年度までに全グループ会社で完了)
- システム:人事システムによる従業員の定性情報の可視化と活用
この考えのもと、「新規事業の創出(探索)」と「現有事業の着実な成長と磨き上げ(変革)」を両利きで推進するビジネスリーダーの育成に注力します。また、企業価値の源泉となる高度な専門性と実行力を有するプロ人材の確保を進めています。
主要人事施策
1. “両利き”のビジネスリーダーの育成
- 経営幹部候補の抜擢・育成強化
- 経営幹部の役割見える化と多面評価
2. “際立つ”プロ人材の確保
- 高度専門人材の確保強化
- 事業ニーズに即したリスキル強化
中期経営計画に基づいた新たな人的資本戦略のもと、2項目の方針、12項目のKPI(うち重点KPI:3項目)で構成される、14の指針を定めました。そのうち、「適所適材の実現」に向けて「 “両利き”のビジネスリーダーの育成」、「“際立つ”プロ人材の確保」の2点を推進し、下記の項目を設定して評価しています。
指標
重点KPI:後継者候補準備率※
多様な事業の持続的な発展に向けて、各ポジションの後継者の育成を重点課題として位置づけています。各カンパニーの人事担当者と連携し、ポジション数と後継者数のモニタリングを行っています。
- ビジネスリーダー最上位ポストの後継者候補率
開示方法:ビジネスリーダー最上位ポストの後継候補者数÷同ポスト数
主要KPI:研修時間
ビジネスリーダーには、多角的な視座と高いマネジメント能力が求められます。またプロ人材には、専門性とそれを具現化する実行力が必要となります。これらの能力を開発するため、役割に応じた研修とともに、手挙げ式の研修を用意し、人材育成の基盤を構築しています。
開示方法:年度における従業員一人当たりの研修受講時間
目標
中期経営計画最終年度である2025年度目標
- 後継者候補準備率(グループ)
100% - 研修時間(単体)
10時間以上- 積水化学コーポレート人事部で開催している研修
2023年度の実績は、適所適材の実現の主な取り組み参照。
“両利き”のビジネスリーダーの育成
1.経営幹部候補の抜擢・育成強化
経営幹部候補の抜擢・育成強化を推進するため、「人材コミッティ」を設置しています。経営戦略の実現に必要な役割を適切に管理し、それを担う人材と後継者が継続的に育成されている状態を目指しています。
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役割型制度全体像

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育成体系図

-
A ビジネスリーダー育成研修:グレード1〜2の現任者・候補者として相応しい能力を獲得するための選抜型能力開発
-
B 役割別能力開発 :自己が目指す役割実現に向けた選択型能力開発
-
C リスキル :事業ニーズに即したリスキルプログラム
-
D 組織基盤強化 :積水化学グループ社員として必須のESG経営リテラシー強化プログラム(知識、意識、姿勢)
後継者候補準備率(積水化学)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
後継者候補準備率(%) | 50.5 | 67.7 | 92.4 |
グループ共通研修実績
研修名 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
新任基幹職研修受講者数(人) | 252 | 220 | 199 | 213 | 210 |
正社員一人当たり研修時間(積水化学)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
研修受講時間(時間) | 9.4 | 6.3 | 7.1 | 6.1 | 6.2 |
評価者研修実績(積水化学)
研修名 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
評価者研修(評価制度理解)(人) | 941 | 75 | 164 |
評価者研修(評価制度理解+評価の基本)(人) | 493 | − | − |
評価スキル強化研修①(評価の基本+目標設定)(人) | − | 146 | 62 |
評価スキル強化研修②(日常マネジメント+面談演習)(人) | − | 148 | 64 |
2021年度は新評価制度導入というタイミングだったため、「評価制度理解」と評価経験が少ない方を対象に「評価制度理解+評価の基本」という2本立てで研修を実施しました。
2022年度からは「評価制度理解」の研修と「評価の基本」の内容を発展させた「評価スキル強化研修」を実施しています。
2.経営幹部の役割見える化と多面評価
「役割の見える化」を推進するため、人事システムを活用して、各ポストの役割・ミッション要件を定義し、順次公開を進めています。これにより、社内でのキャリアの見える化を図り、目指すべき領域の特定と自律的なキャリア形成の促進を目指します。
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役割見える化イメージ図

“際立つ”プロ人材の確保
1. 高度専門人材の確保強化
高度専門人材は、業務を通じた育成が難しいうえ、あらゆる業界において需要過多な現状があります。社内に人材を確保し続ける仕組みとして、弁護士などに対する専門資格手当の導入や、DXや法務などスタッフ部門における専門人材の再定義による高度専門職の確保を実施しています。
スペシャリティ職者数の推移(積水化学)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
スペシャリティ職者数(人) | 32 | 38 | 39 |
- 当社の競争力の源泉となる高度な専門性を発揮するプロ人材
2.事業ニーズに即したリスキル強化
1)グローバル人材の育成
Eメールライティングやプレゼンテーション、ネゴシエーションといった実務に直結するスキル習得の研修や、グローバルな仕事をより具体的に身近に感じてもらうため、駐在員から直接話を聞くグローバルキャリアイベントを開催しています。
半年間に及ぶ「グローバルアカデミー」では、必要なスキルを習得できるプログラムを受講後、1週間海外現地に赴き、現地の協力者にプレゼンを行います。2023年度の参加者は14名でした。語学力はもちろん、現地の人と協力関係を築くためのスキルや、日本との仕事の進め方、価値観の違いを学び、グローバルで働くことを直接肌で感じる機会としています。部署や世代を超えた参加者同士のネットワーク形成にも繋がっています。
なお、国内での研修だけでなく、短期トレーニーや海外研究機関への学術派遣等、海外で働く機会を多く提供してグローバルに活躍できる人材の育成に取り組んでいます。
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「グローバルアカデミー」現地での
フィールドワークの様子(ホーチミン)
日本人の海外駐在員数(積水化学グループ)(2023年度)
地域別内訳(人) | |
---|---|
北米・中南米 | 54 |
欧州 | 36 |
アジア・大洋州 | 94 |
2)DX人材の育成
ビジネスプロセスの変革を推進するため、DX人材の育成を推進しています。必要なデジタルスキルを身につける支援として、全従業員に対するリテラシー教育や公募型のデジタルスキル研修を活用し、業務課題を解決する意欲を持つ人材のスキル向上を実施しています。
3)モノづくり専門人材の育成
モノづくり専門人材の育成に向けて、管理職と若手従業員に教育を実施しています。
モノづくり管理者研修は、役職(製造課長、製造係長、現場リーダー)ごとに実施しています。各役職に求められる役割を理解し、実践できるよう、積水化学グループのモノづくりの考え方を学び、グループディスカッションを通じて、各役職の職務を行うに当たっての課題や自己のレベルアップを、自職場に戻ってからのリーダーシップを修得することを目的としています。2023年度は49名が受講しました。
またモノづくり基礎研修は、モノづくり現場の最前線で活躍する若手従業員を対象に、安全、品質、生産性といったモノづくりに関連する全方位の基礎的知識を学習する機会を設けています。積水化学グループ独自のe-ラーニングコンテンツを活用し、各動画視聴後には、より理解度が定着するよう、理解度テストも実施しています。2023年度はのべ1万名以上が受講しました。