人的資本全般

戦略
(姿勢・考え方、リスクと機会)

基本的な考え方

積水化学グループは、「あらゆる世代が豊かな“Life”を享受できる」社会の実現を目指した「“Life”を支える世界にかかせない企業グループ」になるべく、長期ビジョン「Vision 2030」を掲げています。この長期ビジョンの実現に向け、「全従業員が挑戦したくなる活力ある会社」、すなわち「革新や創造がなされ、社会課題解決への貢献が拡大する姿」の実現を目指します。

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「全従業員が挑戦したくなる活力ある会社」の実現に向け、人的資本の投資として、役割軸の人事制度や挑戦の促進など、人材マネジメントの転換を推進しています。また、長期ビジョンの実現に不可欠な人材の獲得や抜擢・育成の計画的な実行など、事業の成長スピードや変化に対応する人材を育成し、適所適材を実現させることを重視しています。なお、従業員のキャリア拡大や労働条件改善など、人的資本への重点的な投資(中期経営計画3年間で120億円規模)も開始しました。

リスクと機会

事象 リスク 機会
新卒採用の競争激化 ・少子化、業界人気低下による計画人員数未達 ・DX化を通じた生産性向上
・必要人員不足による新事業展開の遅延 ・キャリア採用拡大による労務構成補完
人材流動性の高まり ・離職増による工数不足、専門技能の不足 ・キャリア採用拡大を通じたダイバーシティの推進
・エンゲージメント低下による更なる離職増 ・システム活用による業務標準化
幹部人材の不足 ・大量役職定年によるライン長ポストでの欠員発生 ・年齢・性別・国籍によらない抜擢の実施
・育成過程にある人材の任命による組織力の低下 ・組織活性化、イノベーションの牽引
保有スキルの陳腐化 ・環境変化への対応不足による事業拡大遅延 ・リスキルを通じた従業員の市場価値向上
・成長意欲の減退による従業員のエンゲージメント低下 ・グローバル展開拡大、新製品の創出

人的資本戦略

中期経営計画(2023〜2025年度)における人的資本戦略では、「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」という3つの柱に基づき、各施策を展開しています。
“挑戦のたすきを個に繋ぎ、未来を紡ぐ”。挑戦の風土を醸成し、個と組織の力を最大化することで、経営戦略である「戦略的創造」と「現有事業強化」の実現を目指します。

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ガバナンス

体制

人的資本戦略の実現に向け、「ダイバーシティ推進委員会」を設置しています。委員会は年2回開催され、人的資本経営による戦略・情報開示やダイバーシティ推進の強化を目的に、監督側と執行側の役割を明確にし、取り組んでいます。
監督側は、人的資本経営や人材の多様性確保に関する事項について、人的資本の監理ならびに執行に関する助言を行います。
執行側は、サステナビリティ委員会のもと、各カンパニーの人事部門長で構成された「人材分科会」を設置し、監督機関で決定した人的資本経営施策の執行内容を決定しています。そして、コーポレート・カンパニーの人事部門が労働組合と連携しながら、迅速に取り組みを執行しています。

ダイバーシティ推進委員会

  • 委員長 :
    野崎治子 社外取締役
  • 委員 :
    社外取締役(5名)、取締役会長、代表取締役社長、
    代表取締役専務執行役員、取締役執行役員人事部長
  • 事務局 :
    人事部
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人材・推進体制

リスク管理

人的資本に関して4つの事象(新卒採用の競争激化、人材流動性の高まり、幹部人材の不足、保有スキルの陳腐化)のリスクと機会(こちらを参照)を認識しています。
各事象におけるリスクと機会の内容に紐付けて設定したKPIをもとに、リスク低減に向けた各施策を推進しています。また、半期に1度開催される人材分科会においては、この施策とともにリスクと機会も評価しています。
このような取り組みに関するPDCAサイクルを展開することで、リスクの低減や再発防止、機会の拡大に繋げ、人的資本戦略を推進しています。
また「全社リスク検討部会」においても、人的資本に関するリスクと機会の評価を行っており、起こりやすさ(頻度)とインパクト(結果)をモニタリングしています。あわせて、社会の情勢や要請に対する施策の整合性を確認し、課題の抽出および対応の検討を行い、一歩先のリスク低減と問題発生時の迅速な対応、ならびに機会に転じさせるための戦略を検討しています。

指標・目標

積水化学グループでは、2023年度よりスタートした中期経営計画に基づいた新たな人的資本戦略のもと、14の指針を定めました。この指針は2項目の方針、12項目のKPI(うち重点KPI:3項目)で構成されています。

積水化学グループの人的資本戦略における目標は、以下の14の指針です。

人的資本における14の指針
方針
1 人材育成
2 社内環境整備方針
KPI
No 項目 区分 目標(2025年)
1 挑戦行動発現度 重点 60%
2 後継者候補準備率 重点 100%
3 定着率 重点 前年比維持・向上
4 エンゲージメントスコア 主要 前年比維持・向上
5 研修時間 主要 10時間
6 女性基幹職比率 主要 5%
7 採用者数 主要 女性採用比率35%
8 男女賃金格差 主要 前年比維持・向上
9 男性育休取得率 主要 75%
10 障がい者雇用率 主要 2.5%(法定雇用率以上)
11 総実労働時間 主要 2000時間以下/年
12 メンタルヘルス不調による長期休業率 主要 1.0%