資源循環の実現に向けた対応
ライフサイクルを通じた廃棄物の削減とリサイクルに取り組んでいます。
サーキュラーエコノミーの実現を目指し、資源循環のための再資源化を推進
積水化学グループは、2050年サーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な社会を目指しています。この長期ゴール実現のために、2020年度に資源循環方針とその戦略を策定しました。
サプライチェーンと連携し、化石由来のバージン原料の使用量を最小化するとともに、再資源化による資源循環を推進し、事業を通じたサーキュラーエコノミーの実現を目指します。そのためにグループ方針として、下記の3点を掲げ取り組みを強化していきます。
グループ方針
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①資源循環に資するイノベーションを推進する
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②事業活動で使用する非化石由来および再生材料の使用を拡大する
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③ライフサイクルにおいて排出される廃棄物においてはマテリアルへの再資源化を最大化する
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資源循環方針に基づく取り組みの推進
当社グループは、「Vision 2030」において、戦略的に4事業領域を拡大し、社会課題解決を通じて業容を倍にすることで持続可能な社会の実現と企業成長を目指しています。これらの事業領域において、プラスチックはこれからも重要な材料の一つと考えています。これまで生産工程では廃棄物排出量を削減するために生産量原単位を指標に毎年削減する努力を継続してきており、発生した端材等を原料に戻して再利用する内部リサイクルを行い、廃棄物として処理する際には、エネルギーを含む再生原料として活用する処分を実施してきました。
新たに策定した資源循環方針では、使用するプラスチック原料については、バイオプラスチックなどの非化石由来や再生原料の使用を拡大していきます。生産工程については、これまで以上に内部リサイクルを進め、施工においては現場における廃棄物の発生量を最小化するよう取り組みを推進します。さらに使用・回収段階においても、廃棄される際の分離分別が徹底できるような製品設計やサプライチェーンへの働きかけを行い、メカニカルリサイクル、ケミカルリサイクルなどマテリアルへの再資源化を最大化する取り組みを推進しています。
これらのライフサイクルで資源循環を推進していくドライブは製品設計段階のイノベーションが重要と考えています。新製品の設計あるいは既存製品の各プロセスを見直すことで、資源循環を加速するイノベーションとなるよう取り組みを推進しています。
長期目標達成のためのロードマップ
2020~2022年 | ~2025年 | ~2030年 | ||
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ビジネス戦略 | 資源循環に資する サステナビリティ 貢献製品の売上高 |
1.1倍 | 1.3倍 | 2倍以上 |
原料の資源転換 | 非化石由来および 再生原料使用製品の 売上高 |
30億円 | 100億円 | 1,000億円 |
廃棄物の再資源化 | 廃プラスチックの マテリアルへの 再資源化率 |
現状把握と ベンチマーク設定 |
2倍 | 100% |
プラスチック廃棄物問題への対応
近年、「海洋プラスチックごみ」に代表されるプラスチック廃棄物が大きな環境課題となっています。当社グループでは、溶出を前提とした用途での一次マイクロプラスチックの製造販売は行っていません。ただし、販売した製品の使用、あるいは使用後に廃棄されるプラスチック加工品や製品中に含まれるプラスチック素材に関しては、適切な処理が行われない場合に自然環境の中で劣化し、マイクロ化する可能性があると認識しています。
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1.従業員教育
つくり出す製品、製品を製造するプロセス、いずれにおいてもこのような問題を正しく認識し、解決に対して行動を起こすことができる人材を育成するため、従業員教育、環境や社会貢献活動の推進を行っています。 -
2.社会の変革への寄与
プラスチックの適正な使用、処理を行うためには社会システムの構築、個々人の意識の変革・教育が必要であると認識し、産官学でさまざまな連携を図っています。
例えば、海洋プラスチック問題に関しては、経済産業省主催の企業連携イニシアチブ「CLOMA」に参画し、根本的な解決のため、サーキュラーエコノミーの実現をめざして資源循環スキームの社会実装に必要な共通課題に取り組んでいます。 -
3.循環型社会およびサーキュラーエコノミーの実現に資する製品、技術およびサービスの創出と普及
積水化学グループでは、可燃ごみをガス化し、そのガスから微生物の力でプラスチックの原料となるエタノールをつくる技術を開発しました。現在、実用化に向けて岩手県久慈市に商用10分の1規模(処理量約20トン/日)の実証プラントを建設し、今春から稼働を開始しています。 -
4.マテリアルへのリサイクルの推進
積水化学グループは、自社の生産事業から排出される廃棄物に関しては、廃棄物業者とマニフェストを交わし、適正な処理を行ってきました。今後も、適正な処理は行った上で、マテリアルへのリサイクル率を向上させるよう努めていきます。
省梱包化の推進
当社グループでは、従来より梱包における環境配慮として、梱包材の減容、通い箱※、無梱包化などに取り組んできました。
この省梱包化は、2000年代初頭から積極的に取り組んだ結果、一定の成果を挙げています。今後もそれらの活動を維持継続し、梱包材の廃棄削減に努めていきます。
省梱包関連製品では、通い箱を実現するための「折りたたみコンテナ」や「各種プラスチックコンテナ」を販売しています。
- 拠点間を行き来して材料や部品、製品を輸送する循環型の箱
建築資材リサイクルの促進
住宅業界では、業界全体で建築資材の有効活用・再資源化に取り組んでいます。当社グループもその一員として、住宅を建築する際に発生する建築廃材の発生量を低減するとともに、リサイクルを進めています。
外壁パネルの端材を製品原料化
セキスイハイムの外壁パネルを製造しているセキスイボード(株)群馬事業所および水口事業所では、製造過程で端材が発生します。できる限り端材の発生量を抑制するよう取り組むとともに、発生してしまった端材については自社内でのマテリアルリサイクルを進めています。
具体的には、外壁パネル製品化過程で発生するカット端材を破砕・分級し、取り出した木チップとセメントをリサイクル原料として活用しています。
事業を通じた資源循環への貢献
2050年のサーキュラーエコノミーの実現なくして、脱炭素社会の実現はありえません。当社グループは、資源循環戦略およびロードマップにもとづき、プラスチック原料については非化石由来もしくは再生材など循環が可能な原料への転換や既存製品の資源循環に資する製品設計の見直し、事業を通じた貢献を加速させるよう、サステナビリティ貢献製品の創出や市場拡大を推進しています。
【資源循環に資する製品例】
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<建築・土木>原料として再生プラスチックを使用している製品
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例)集中豪雨の際の雨水の一時貯留を可能にする製品(雨水貯留材「クロスウェーブ」)
資源循環性を有するインフラ(発泡三層管)
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<モビリティ>お客様の端材を引き取り、原料として活用するバイバックシステム(SEKISUI KYDEX社の製品)
[他社連携の取り組み] BR技術の社会実装に向けた取り組み
製品を資源循環させるには、ライフサイクルの各プロセスを担う企業や団体と連携することが必須だと考えます。
当社は米国ベンチャー企業ランザテック社と共同開発し、微生物を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術を確立しました。この資源循環の要となるケミカルリサイクル技術としての実証事業および事業展開を行うため、当社および、株式会社INCJ、積水バイオリファイナリ―株式会社は、岩手県久慈市にて1/10スケールの実証プラントの建設を進め、2022年4月にこのプラントを完工させました。ここで製造されたエタノールは、すでに連携を始動している住友化学株式会社によってプラスチック原料として再生される計画です。
イニシアチブとの連携
CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)
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主催・・・・・・・・経済産業省、環境省、農林水産省
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意義/目的・・・地球環境の課題である海洋プラスチックごみの問題解決
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活動・・・・・・・・プラスチック製品のより持続可能な使用、ならびにプラスチック廃棄物の削減につながる革新的な代替品の開発および導入普及をはかっています。
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当社の役割・・・プラスチックの循環を目指すための企業連携による活動を推進する5つのキーアクションワーキンググループのうち、ケミカルリサイクルの技術確立と社会実装を主題とするWG3の座長会社として、関連企業の推進における課題を抽出し、クリアするための活動を推進しています。
循環経済パートナーシップ (J4CE)
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主催・・・・・・・・環境省、経済産業省、および(一社)経団連
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意義/目的・・・循環経済への流れが世界的に加速化する中で、国内の企業を含めた幅広い関係者の循環経済へのさらなる理解醸成と取り組みの促進を目指す
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活動・・・・・・・・事例集を通じた事例の紹介や、社会への発信、企業間連携を後押ししています。
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当社の役割・・・事例の発信や、最新情報の把握による社内技術や施策へのフィードバックによって新しい循環ビジネスの創出や社会実装を加速しています。
J-CEP(ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(略称:J-CEP)
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意義/目的・・・すべてを資源と捉え、関係性のデザインによって「ものと情報と気持ちがめぐる社会」をつくる。
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活動・・・・・・・・「1.日本国内における資源の最適循環」「2.持続可能社会の実現に資するビジネス創出」に取り組みます。
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当社の役割・・・企業連合の一員として、事例発信や技術協力を行いサーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。
生産事業所の廃棄物関連データ
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(注1)精度向上のため過去にさかのぼり一部数値を見直しています。
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(注2)2019年度より、メディカル事業の高機能プラスチックスカンパニーからの独立に伴い、メディカル事業実績はコーポレートとして集計表記しています。
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生産事業所の廃棄物発生量・原単位(指数)の推移/国内
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生産事業所の廃棄物発生量・原単位(指数)の推移/海外
⽣産事業所の廃棄物発⽣、処理状況/国内・海外
廃棄物総発⽣量 | リサイクル量 | ⾮リサイクル量 | |
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2017年度 | 68,777 | 63,654 | 5,123 |
2018年度 | 73,299 (2022年12月修正) |
68,000 (2022年12月修正) |
5,298 |
2019年度 | 69,767 | 63,844 | 5,922 |
2020年度 | 61,392 | 55,043 | 6,348 |
2021年度 | 64,293 | 58,067 | 6,225 |
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生産事業所の2021年度1年間の廃棄物発生・処理状況/国内・海外

( )内は前年度比増減、〈 〉内は総発生量に対する比率
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生産事業所の発生廃棄物の内訳/国内
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生産事業所の発生廃棄物の内訳/海外
指標 | 算定方法 |
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廃棄物発生量 | 廃棄物発生量=外部処分委託量+再資源化量(焼却熱利用+マテリアルリサイクル+有価売却)+場内焼却量、但し以下を除く 住宅施主の旧邸解体時の廃棄物、事業所で施工の工事残材、設備・OA機器等の廃棄、診療・医療行為で発生する感染性廃棄物 |
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有害廃棄物発生量/リサイクル率(国内・海外)2021年度

指標 | 算定方法 |
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有害廃棄物発生量およびリサイクルされた割合 | リサイクル率=リサイクル量/有害廃棄物発生量 有害物:廃油、廃酸、廃アルカリ リサイクル:マテリアルリサイクル |
住宅新築現場の廃棄物関連データ
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住宅新築時の廃棄物発生量の推移(1棟当たり)/国内

指標 | 算定方法 |
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住宅新築時の廃棄物発生量 | 住宅新築時の廃棄物発生量=住宅外壁工場の廃棄物発生量+住宅組立工場の廃棄物発生量+新築現場の廃棄物発生量 住宅新築時の1棟当たりの廃棄物発生量=住宅新築時の廃棄物発生量/販売棟数 国内住宅事業を対象 |
オフィスの廃棄物関連データ
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オフィスのコピー用紙使用量原単位(指数)の推移
