体制

環境マネジメントシステム

積水化学グループは、これまで各生産事業所、研究所において、拠点ごとにISO14001に則った環境マネジメントシステムを構築し、環境活動を推進してきました。この方向性は、目線を2030年から2050年の長期に移し、環境課題の解決に向けた取り組みを展開する中でも変わりません。
長期ゴールを目指した環境課題解決のためには、トップマネジメントのもと、中期や年度ごとのマイルストーンの着実な達成が重要と考えています。定常的に法令遵守や環境側面への影響を把握することで、あらゆる環境課題へのインパクトを低減するよう努めるとともに、災害や事故などの非定常時にも環境側面への負荷を可能な限り抑制できるよう、未然の対策や事後の対応の検討とそれに基づく教育・訓練を定期的に実施しています。サプライチェーン全体を視野に入れて取り組みを行うことも必要と考え、サプライチェーンマネジメントの強化に向けて持続可能な調達ガイドラインや体制を見直しました。サプライヤーへの働きかけと連携により環境課題の解決を加速していきます。

環境経営推進体制

2020年度より、当社グループの環境側面はサステナビリティ委員会のもとで管理・推進し、同委員会は社会および当社グループのサステナビリティ向上に向けた方針・戦略を審議する場としています。
サステナビリティ委員会の下部委員会として、当社グループがマテリアリティに設定している課題ごとの分科会を設置し、環境課題については環境分科会を設置しています。
サステナビリティ委員会で審議された、環境を含むサステナビリティに関する主な取り組み、活動方針などは取締役会に報告・承認され、経営に反映される体制で進めています。そして、環境に関する具体的な活動計画の策定や実施は、カンパニー・コーポレート間の課題別の環境責任者会議を通じて実施しています。
2022年度は、環境分科会を11月、3月の計2回開催しました。現環境中期計画最終年度の進捗を確認するとともに、来年度から始動する3ヶ年の環境中期計画(2023~2025年度)における方向性や、温室効果ガス排出量削減、水リスク課題への対応、廃棄物発生量削減など各課題での取り組みや推進策なども審議しました。また、施策の展開を急ぐ案件は、ESG経営推進部担当、経営戦略部長が議長となる経営会議(1回/月開催)においても適宜審議し、取締役会に報告しています。
例えば、気候変動課題は、2021年度の温室効果ガス排出量削減の実績がマイルストーンの前倒しで達成したことを受け、従来の2℃目標から1.5℃目標への見直しを行い、温室効果ガス排出量削減のロードマップを見直すことを、7月の経営会議で審議し、決議しています。これによって早期の目標の見直しを行うことができ、取り組みの加速に向けた施策の検討を始めました。

  • 11-08

環境経営 推進体制

サプライチェーンにおける環境マネジメント

サプライヤーに対しては、取引開始あるいは継続にあたり、ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムの整備や環境負荷低減の取り組みなどをお願いしています。中でも気候変動課題に関しては、削減目標を設定して取り組みの進捗を確認しています。
当社グループが使用している原料は、マテリアルバランスとして使用量の把握を行うとともに、環境への負荷を把握しています。気候変動課題においてはSCOPE3のうち原料の占める割合が最も大きいことを認識し、特に温室効果ガスの排出量低減に関しては、原料サプライヤーへの働きかけを強化しています。
原料の中でも、購入量が多く、温室効果ガス排出量が大きい主要4樹脂に対しては、製造企業10社強を対象に、原料生産時の温室効果ガス排出量データの提示を求め、将来に向けたSCOPE3における温室効果ガス削減の取り組みを進めています。この排出量は使用している原料由来の温室効果ガス排出量のIDEAデータベースを使用して算出した排出量の2.2%に当たります。
直接サプライヤーから入手しているデータ量は多くありませんが、データべースを活用することで平均的であったとしてもライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を把握し、削減すべき対象と認識した上で対策を検討し、サプライチェーンにおいても削減活動を推進しています。
さらに、より低炭素なバイオマス由来原料や再生材料の提供可能性についてもサプライヤーに確認しながら、代替の検討を開始しています。
生物多様性課題への影響が大きいと考えられる木材については、持続可能な森林からの調達を100%にするため、木材に特化した調達ガイドライン※を策定し、サプライヤーアンケートを通じてリスクの把握、リスク低減のためのDDなども実施していきます。

詳細は「木材調達方針」を参照

グループ環境マネジメントシステム(EMS)に沿ったオフィスの環境活動

当社グループでは、各オフィスにおける環境活動も環境マネジメントシステム(EMS)に沿って取り組んでいます。全国各拠点のオフィスでは、EMSを参考にしながら、昼休みの一斉消灯など省エネルギー活動や紙の使用量削減などの各種環境活動を実施しています。

環境法規制より厳しい自主管理値の設定

当社グループは、大気・水域への環境負荷排出などについて、法律の規制より厳しい自主管理値を設定し、事業所ごとに遵守しています。併せて社内環境監査を実施することで潜在的な環境リスクを洗い出し、環境事故の未然防止に努めています。
また、新しい法規制の動向、他社の事故事例などをグループ内で共有し、包括的な活動を展開しています。
2022年度は廃棄物処理、排水、大気放出、土壌汚染などの環境に関する法規制の違反や行政からの指導はありませんでした。

EMSの海外への運用拡大

海外各拠点では、国内で培った環境マネジメントシステム(EMS)を拡大運用することにより、環境負荷データの取得体制を整え、データに基づいた負荷の低減に取り組んでいます。
2023年3月末時点で、国内48事業所、海外36事業所がISO14001などの認証を取得。当社グループの全生産事業所および研究所数に対し、これら認証取得事業所の割合は、88%となっています。
また、生産事業所すべてにおけるISO14001認証取得を目指しています。

環境マネジメントシステム第三者認証取得事業所

指標 算定方法
EMS認証取得事業所数 EMS外部認証を取得している事業所数
EMS外部認証:ISO14001、エコアクション21など
積水化学グループ全体の生産事業所および研究所数に対する、EMS外部認証取得事業所の割合 EMS外部認証取得事業所の積水化学グループ全体に占める割合=
EMS外部認証取得生産事業所および研究所数/積水化学グループの全生産事業所および研究所数

環境監査

当社グループでは、法令の遵守と事故の未然防止を目的として環境監査を行っています。監査にあたっては事前に法令、ハザードマップなどを確認し、継続的な法順守と各事業場の事業活動に応じた環境リスク低減や事故防止に重点を置いています。すべての事業所で自主監査し報告を求めるとともに、生産事業所・研究所について3年ごとに監査を行っています。2022年度は、国内18事業所、海外12事業所で実施しました。
なお、罰金、罰則をともなう違反はありませんでした。

社会課題解決貢献力向上のための教育

環境課題のゴールを実現するため、その解決策を検討し、施策を推進、実行できる人材を育成するため、社会課題解決貢献力向上のための教育において、環境教育には特に注力しています。
社会課題を理解し、解決するためのアクションをとること、担当業務や働く環境などによって自分ごとととらえて、考え、実践していくことを教育や研修で後押ししています。

環境パフォーマンス・データ集計範囲

環境パフォーマンス・データ集計範囲について、積水化学(連結)の全事業所(生産売上高100%)を環境報告対象としています。