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戦略領域マップ&ライフサイエンス事業説明会質疑応答(2022年06月29日開催)

2022年7月1日更新

次世代通信部材

  • 次世代通信部材が、戦略領域マップの中で大きく取り上げられた背景や、その期待はどの様なものか?

    次期中期以降への一例として紹介した電波反射フィルムは、社外との融合で5G、6Gの電波環境改善に取組み、事業化を目指すテーマである。通信の高速化にともなって、例えば病院や工場などでは建物内の死角や、通信障害による微妙なタイムラグが問題となることもあると想定され、今後、更に重要で有望な成長市場であると認識している。

  • 透明フレキシブル電波反射フィルムに期待する規模感と、その時期をどう想定しているか?

    本製品での2026年売上は60億円を目標としている。

戦略領域マップ

  • 戦略領域マップの策定にあたり、既存事業やコア技術とのシナジーについて、どの様に考えているか?

    過去事例から、極端な飛び地や、当社の技術から遠いところはうまくいかないことを学んできた。コア技術や、加工のノウハウが活かせられる領域では、当社に優位性がある領域をまずは設定している。さらにその少し外側については、他社や大学の技術、ベンチャーへの投資などオープンイノベーションで技術を獲得し、成功の確率を上げられる領域を検討して設定した。

長期ビジョンその他

  • 4つのドメインに含まれていないネクストフロンティアとは何か?

    「ごみからエタノール」のBR事業はここに入っている。実証試験が順調に進捗すれば、25年以降には実機サイズでのビジネスとなる。自治体のゴミだけでなく、廃プラ問題や、石油ゼロのプラスチック製品など様々な、大きなソリューションにつながり、ひとつの事業の柱になると期待している。また、「ペロブスカイト太陽電池」事業も現在はここに入っている。

  • 「ごみからエタノール」のBR事業は、どの様なビジネスモデルを想定されているか?

    自治体のゴミ焼却炉が50年前後で老朽更新される際に、基本の設備ガス化炉までは自治体で用意していただき、その先の、エタノールに変換するところを当社が準備するというのが、もともと想定しているビジネスモデルである。その他、化学メーカーと組んで廃プラからエタノールにし、そこからまた原料をつくって当社の石油ゼロのプラスチック製品づくりに活かすといったことも可能性として考えている。

  • ペロブスカイト太陽電池については、建造物の屋根と一体となったシリコン系とは違って、どの様な使われ方を想定しているか?

    まずは耐震、耐荷重強度のない屋根で使われることが増えると想定している。その他に、大きなビルの壁面など。軽量である程度の柔軟性があるため、用途はかなり広がるものと考えている。

メディカル

  • 医薬分野の2030年度売上目標に向けて、大きく伸長する新事業に比べ、現有事業の伸長が緩やかな理由は何か?

    大手製薬メーカーからの一部製品については受注が終了していく一方で、新しい分野を開拓してトータルとしては伸ばしていく。例えば、英国工場でのGMPに対応したプロセスで生産するバイオ関連原料については、新事業の位置付けのほうでカウントしているため、現有事業があまり伸長しないような見え方となっている。

  • 検査分野における過去のM&Aについて、どの様に評価しているか?

    第一化学薬品、Genzyme、エーディアでは、検査領域の拡大や、開発スピードアップ、機器の開発、更には新たな販路獲得等で、シナジーが発揮されている。いずれも事業貢献しており、M&Aの効果は充分に出ていると認識している。

ライフサイエンス

  • 細胞培養ソリューションにおける足場材について、競合の状況はどうか?

    これまでIPS細胞の培養に用いられているのは天然の生物由来の培地や足場材であり、いくつかの難しさやリスクがある。当社がもともと強みとするPVB樹脂をもって、安定した均一な品質で、感染リスクの低い安心の足場材を提供できると考えている。現時点で同等以上の機能をもった競合素材は認識していない。

  • 医薬分野の2030年度売上目標において、M&Aと新事業の割合はどの様な想定か?

    新領域としている800億円は、およそ2/3がM&A領域での獲得によるもの、1/3が細胞培養ソリューションなど自社開発での展開によるものとして考えている。

  • ライフサイエンス事業において、2030年ターゲット達成のために必要なM&Aの規模感と方向性はどうか?

    今中期は3,000億円の枠を設定してスタートしたが、現時点ではCVCの少額出資に留まっている。次期中期では全社で3,000億円か、それを上回る枠を検討する。資本を重点的に配分する分野はライフサイエンスとイノベーティブモビリティ分野であり、ライフサイエンスのM&Aの対象は、CDMOが中心となる。

  • CDMOのより具体的な方向性について

    当社はCMOとして長い歴史と実績があり、もう一段のレベルアップには「D」の機能をもって、大手製薬メーカーとの関係を構築していくことが重要となる。これを一から育てるよりも、M&Aにより社外から獲得することが、より適している部分もあると考えている。まずは実績のある低分子原薬の分野でCDMOとしての事業基盤を構築し案件獲得により成長をしつつ、細胞培養ソリューションとの組み合わせや、ペプチド、遺伝子治療といった、まだ安定技術が確立されていない分野で、特長のあるCDMOに展開していく。バイオCDMOの競合環境は、色々な分野があり得意の技術で棲み分けが可能と見ており、長期ではこの分野でも存在感を発揮していくことを企図している。