「Accelerate 2028」で
挑戦を成果へ結びつけ、
「Vision 2030」を実現




メッセージ 統合報告書より
1987年に入社した私は、段ボール包装用粘着テープの技術者としてキャリアをスタートし、以来、高機能プラスチックスカンパニーで業務を推進してきました。転機となったのは、2006年に赴任した米国です。当時、業績が低迷していた現地子会社の社長として、「再建か撤退か」という厳しい判断を迫られました。社員と共に事業再建に向けた改革を進めた結果、10年ぶりの最高益を更新することができたことは大きな自信となりました。帰国後は、中間膜・フォーム事業の事業部長を務め、2019年からは高機能プラスチックスカンパニーのプレジデントとして、SEKISUI Aerospace社の買収とPMIにも携わりました。事業再建と買収・統合を通じて得た貴重な経験は、今後の経営にも大いに活かせるものと考えています。
「Vision 2030」の折り返し、「Accelerate 2028」始動に向けて
当社グループでは、2020年に2030年度に業容倍増を目指した「Vision 2030」を掲げ、現在、「Vision 2030」実現に向け、社員一丸となり、業務に邁進しております。前社長の加藤のもと、2020年からの5年間は成長にドライブをかけ、結果、過去最高益を更新するなど、その勢いを確実なものとしてきました。そして2026年は、「Vision 2030」のちょうど折り返し地点にあたり、また新しい中期経営計画をスタートさせる重要な節目となります。このタイミングで経営の舵取りを担うこととなり、その責任の重さを強く感じています。新中期経営計画「Accelerate 2028」は、その名のとおり「Vision 2030」の実現に向け、成長を加速させるための3年間です。バトンを引き継いだ私の役割は、これを確実に実行していくことだと考えております。
「Accelerate 2028」で挑戦を成果へ結びつけ、「Vision 2030」でビジョンステートメントとして掲げた「Innovation for the Earth」を本気で実現していきます。
「Innovation for the Earth」の実現
「Innovation for the Earth」を本気で実現するために、3つの重点施策に取り組んでいきます。1つ目は「現有事業の拡大加速と仕込みの強化継続」です。当社グループは住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルの4つのセグメントで事業を展開しています。各セグメントの成長牽引事業と成長期待事業に経営資源を集中させ、事業拡大を加速させるとともに、その先の成長を支える新たな事業や技術への投資も着実に進めていきます。2つ目は、「フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業の立ち上げ」です。まずは堺工場での量産化に全力で取り組み、本格事業化することで、再生可能エネルギーの普及と脱炭素社会の実現に貢献していきます。そして3つ目は、「挑戦し続ける人・集団作り」です。前社長の加藤が掲げた「活力あふれるいい会社」のマインドを引き継ぎながら、壁に直面しても挫けず挑戦し続ける人・集団をさらに育んでいきます。具体的には、戦略を描き、実行できるリーダーや高度な専門性を持つスペシャリスト人材を育てる人材育成プログラムを進めるとともに、一人ひとりが挑戦に踏み出せる環境を整えます。そして、成功失敗にかかわらず、挑戦そのものやそこから得た経験を適切に評価することで、一人ひとりが成長し続ける企業文化を醸成していきます。
「Innovation for the Earth」を本気で実現したい。その想いを一人でも多くの方々と共有し、共感いただくすべてのステークホルダーの皆さまと共に、社会課題の解決に取り組みながら、「未来につづく安心」を共創していきたいと考えています。
積水化学グループが社会に提供する価値
創業以来、当社グループは、世界のひとびとの安全や健康に影響を及ぼす社会課題、気候変動や自然災害のように社会の存続に深刻な影響を与える地球環境課題に対して、一貫して取り組んできました。
当社のグループビジョンは、「積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。」であり、そのためにも、「Innovation for the Earth」を本気で実現し、地球規模でイノベーションを起こして、様々な社会課題解決に貢献していくことが当社グループが社会に提供する価値だと考えております。
社会課題解決に貢献するために、「サステナビリティ貢献製品」を継続的に創出することに注力しています。その中でも、私が特に大きな可能性を感じている事業の一つが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業です。
皆さん、是非、これが普及した世の中をイメージしてみてください。屋根や壁、街のいたる所にフィルム型ペロブスカイト太陽電池が設置され、街全体が発電所になります。森林を伐採し、太陽電池を設置する必要はありません。火力発電所を動かして、CO2を出すこともありません。そのような街を、世界中に私たちの力で創れたら、これは、まさに地球規模での「Innovation for the Earth」だと思います。
イノベーションの源泉「先取り・加工・変革」
「先取り・加工・変革」は当社の強みです。当社は、「先取り・加工・変革」を中心に価値創造プロセスを回しイノベーションを生み出します。具体的には、まず、社会課題や市場のニーズを先んじて捉えます。そして、27の技術プラットフォーム(TPF)と定義した競争力の高いコア技術を掛け合わせて加工し、独自のソリューションを創出します。これによりサステナビリティ貢献製品の創出を始めとした新たな価値を創造し、それらを社会に実装することで、社会の変革を実現していきます。
このサイクルを回す際に、「レジデンシャル」「アドバンストライフライン」「イノベーティブモビリティ」「ライフサイエンス」の4つのドメインをもつ当社の独自性が生きてきます。幅広い事業領域の中から新たなニーズやシーズを探し出すことができる上に、化学メーカーとして素材を軸に生み出したソリューションを住宅やインフラといった社会基盤に直接実装できるのです。
具体例を紹介させていただきますと、気候変動で激甚化する「自然災害」という社会課題に対し、当社は災害に強い「まちづくり」を展開しています。埼玉県朝霞市の東京工場跡地に開発した「あさかリードタウン」は、豪雨や地震に対応するインフラ技術と、耐震性に優れたエネルギー自給自足型のセキスイハイムを組み合わせ、街のレジリエンス(回復力)を高めています。「電力・エネルギー問題」については、フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業があります。フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、高機能プラスチックスカンパニーの先端技術が活用されており、柔軟性が高く、薄くて軽いことが特徴です。また、環境・ライフラインカンパニーで培ってきたエンジニア力を組み合わせながら、まずは、災害発生時の避難所となる小中学校の体育館のような耐荷重性の低い屋根などへ設置を進めていきます。将来的には住宅カンパニーの技術やネットワークを活用しながら一般住宅への導入についても検討して行きたいと考えております。この様に、「先取り・加工・変革」のプロセスを回しながら、当社にしかできない形での「Innovation for the Earth」を実現し続け、社会と共に成長していきます。
長期ビジョン「Vision 2030」のこれまでの成果と課題、達成に向けた道筋
長期ビジョン「Vision 2030」に向けた前半5年間での成果は、成長牽引事業と成長期待事業への投資と今後の成長につながる投資の意思決定や仕込みをしっかりやってきたことです。具体的には、タイにおける中間膜新ライン増設や、半導体生産工程用テープ「SELFA」の国内生産能力増強、オランダにおけるまくらぎ工場の新設等を始め、様々な能力増強投資を推進してまいりました。また、将来の成長に大きな期待がかかるフィルム型ペロブスカイト太陽電池については3,000億円超の設備投資計画を策定しました。2030年には売上高1,000億円規模、営業利益150~200億円の実現を目指しており、長期ビジョン達成には必要不可欠な事業となり、期待が膨らんでいます。
M&Aについては、前中期では投資枠を残しましたが、検討自体はしっかり推進してきました。これは、M&A枠の消化ありきではなく、内容をしっかり吟味し、推進してきた結果でもあり、これはこれで評価できるものと私は考えています。
課題は、成果創出のスピードだと思っています。前中期経営計画「Drive2.0」では、前述の通り成長投資の意思決定・仕込みをしっかりやってきましたが、成果創出スピードが期待ほど得られず、結果、営業利益が目標に届かず悔しい結果となりました。
「Vision 2030」の達成には、引き続き成長分野への投資を行いながら、投資効果の顕在化をスピード感もって行い、成長の傾きを上げていくことが必要です。
そのためには、まず、成長事業に向けた投資やM&Aをやり抜くことが必要であり、新中期経営計画である、「Accelerate 2028」でも積極的な投資枠を設定しております。そして、私にとって大きな挑戦であるフィルム型ペロブスカイト太陽電池事業も立ち上げてまいります。

次に、スピードアップです。そのためには、経営基盤を強化していく必要があります。一つは、DXの強化です。デジタル変革を通じて、生産性を向上させていきます。
当社が力を入れている、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)も、開発効率や新製品創出への貢献が期待でき、さらに注力して行きます。
そして、何よりも人材です。「Vision2030」達成の原動力は人材です。一人一人の挑戦と成長が欠かせません。現在取り組んでいる挑戦風土を定着化させ、挑戦を通じ社員の成長を支え、その力をグループの成長へとつなげていきます。後半5年間については、これら活動を通じて、成長を加速させ、「Vision 2030」の実現につなげていきます。
資本コストを意識した経営の実践
当社グループでは、投資判断や事業評価において資本コストを前提とすることが定着しており、ROEやROICをKPIに組み込み、従業員の評価にも反映しています。経営陣だけでなく社員の間でも資本効率への意識が高まり、ROICスプレッドの考え方も着実に浸透してきました。私自身も、以前に比べてROEやROICに対する意識が大きく高まり、投資家・株主の皆さまの期待に応えていかなければならないという思いを強くしています。企業価値の向上に向けて、当社グループは「成長加速」、「資本効率の向上」、「信頼性の向上」の3点の取り組みを進めています。

「成長加速」には、ポートフォリオマネジメントを徹底し、成長牽引事業と成長期待事業に経営資源を集中させ、引き続き稼ぐ力を強化していきます。
「資本効率の向上」については、市場環境や事業の将来性を踏まえ必要に応じて事業の縮小や撤退を判断します。株主還元方針の見直しに加え、あるべきバランスシートを意識した資本政策にも取り組んでいます。
「信頼性の向上」については、安全とコンプライアンスを経営の基盤に置き、DXも活用しながら品質やリスク管理の強化を進めています。事業リスクを低減し、安定的に成果を生み出す経営基盤を構築することは、社会や市場からの信頼を高め、資本コストの低減にもつながります。
株価の指標となるPBRは足元で約1.2倍にとどまっており、ROE、PERとも改善余地があると認識しています。



重要経営指標と位置付けるROEについては、「売上高純利益率」「総資産回転率」「財務レバレッジ」の3つの要素に分解し、それぞれの改善に取り組んでいます。

まず売上高純利益率についてですが、ベースとなる営業利益率は前中期経営計画「Drive 2.0」において高付加価値品へのシフトを進めたことで改善してきました。一方で、積極投資の反面となる部分もありますが、減損損失等もあり営業利益率に比べ売上高純利益率を十分に高めることができていません。最も重要なのは純利益を増やすことであり、成長への打ち手を確実に実行するとともに、経営基盤を一層強化し、純利益率の改善につなげていきます。
総資産回転率については、フィルム型ペロブスカイト太陽電池や高機能プラスチックスカンパニーの成長牽引分野などで、成長に向けた設備投資を積極的に進めてきたこと等から足元では低下しています。今後、これらの設備から売上を生み出し、投資効果を発現させることで、改善を目指していきます。
財務レバレッジについては、負債を中心とした成長投資の資金調達や積極的な株主還元を実施してきましたが、為替等の評価差額により自己資本が増加し、足元では低下しました。引き続き、資本効率を意識した、適切な資金調達手段の選定と、株主還元を継続していきます。
次に、PERについては、エレクトロニクス、中間膜、管路更生、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を始め、当社には多くの魅力的な事業があり、これらの成長性や競争優位性、投資進捗についても積極的に開示し、市場から適正な評価を得られるよう努めていきます。
株価を直接コントロールすることはできませんが、これら企業価値向上に向けた取り組みと、丁寧な対話と開示を続けていくことで、ROEやPERは持続的に改善していくものと考えております。
投資家・株主の皆さまからは、「まだ十分な成果が出ていない」と厳しいご指摘をいただくこともあります。そうした声を真摯に受け止め、市場との対話を重ね、資本効率と企業価値の向上という結果でお応えしていきたいと考えています。
ポートフォリオマネジメントについて
当社のポートフォリオマネジメントは、収益性(営業利益率)や資本効率性(ROIC)と成長性(売上高成長率)の観点から事業を分析・評価し、各事業の戦略上の役割(成長牽引・成長期待・収益基盤・体質強化)を明確にしたうえで、経営資源を配分していきます。ROICスプレッドが十分に確保できない場合や、営業利益率が低迷し、期待する水準への道筋を立てるのが難しい場合等には、速やかに事業戦略を見直します。
例えば、微生物を活用して可燃性ごみから資源を生み出すバイオリファイナリー事業につきましては、非常に先進的な技術であり、期待の新事業ではありましたが、外部環境が想定と異なり、スプレッド確保が見通し難かったため、戦略を見直す意思決定を致しました。
ポートフォリオマネジメントを推進していくためには、ROICスプレッドの確保と、資本コストを下げる活動が重要となります。ESG経営の実践を通じて経営基盤を強化し、また、IR活動等もしっかりと行い、ステークホルダーの皆さまからの信頼を得ていくことが必要です。引き続き、しっかりと取り組んでまいります。


次に、全社の事業構造としてのポートフォリオマネジメントについてです。当社グループは、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックスの3つのカンパニーと、メディカル事業で構成されております。こうした事業の多様性は、コングロマリット・ディスカウントを招く要因と指摘されることもありますが、むしろ私は、多様な事業ポートフォリオは当社グループの強みだと考えています。各事業が異なる市場で収益基盤を築くことで経営の安定性を高めるとともに、事業間シナジーを生み出せることが、当社グループならではの価値です。今後も、ポートフォリオマネジメントの考え方や現状等を丁寧に発信し、「コングロマリットだからこその強み」を評価いただける企業を目指していきます。
住宅事業を保有する意義
当社におけるポートフォリオの安定感において重要な役割を担うのは、住宅事業と考えています。住宅事業は、「国内主体」、「BtoC」と、当社の他の事業と抱える市場やリスクが異なるため、経営リスクの低減につながります。また、長年積み重ねてきた工場生産のノウハウがありますので、引き続き住宅市場における高いプレゼンスは確保できると考えています。いずれは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池とのシナジーを打ち出しながら、当社ならではの価値を提供し、より一層付加価値の高い製品を提供していきます。
今後も現有住宅生産設備の最大活用に向け、営業力・エンジニアリング力強化を目的としたM&Aを継続的に行っていきますが、住宅事業が全社の安定感を形成する位置付けであることに変わりはありません。むしろ、安定感を形成する幹を太くすることで、より多くの挑戦をする土台が形成できると考えております。
不確実性の時代に求められる「変化対応力」
近年、外部環境はこれまで以上に不確実性を増しており、企業に求められる対応力も一段と高まっていると認識しています。直近の大きな変化としては、中東情勢の不安定化や、AIをはじめとする技術革新の加速が挙げられます。中東情勢に関しては、サプライチェーンへの影響を通じて、エネルギーや原材料の安定確保の重要性を改めて認識しました。当社は社会課題の解決に貢献する企業として、製品・サービスを安定的に供給し続ける責任があります。そのために、調達・生産体制の強靭化やリスク分散の取り組みを一層強化していきます。
また、AIを中心とした技術革新は、当社にとって大きな機会であると同時に、競争環境を大きく変える要因でもあります。当社ではマテリアルズ・インフォマティクス(MI)をはじめとする取り組みを進めており、開発スピードや付加価値創出力の向上につなげています。今後はこれらをさらに進化させ、競争優位性を高めてまいります。外部環境の変化に振り回されるのではなく、起きている変化の中からリスクと機会を見出すことに加え、リスクについては適切に見極め、許容しながら、必要に応じて転嫁・回避しつつ、機会へと転換していくことが重要だと考えています。
不確実性が高い状況であるがゆえに、現状を肯定することなくゼロベースで見直し、そのうえで、ありたい姿を設計して、それに向かって変革を進めていくことを徹底していきます。日々の業務管理を基盤としつつ、中長期で事業を変えていくこと、また、これらの推進を通じて、一人ひとりが成長する強い組織を作っていきたいと思っております。
挑戦する文化を次のステージへ
挑戦行動については、失敗しても再挑戦する機会を提供し、私自身「失敗しても咎めない」というメッセージを繰り返し発信してきました。KPIとしている挑戦行動発現度も2025年度には62%となり、現場で「小さなことですが、挑戦できるようになった」と声をかけられることが増えるなど、挑戦文化は着実に浸透してきていると感じています。一方で、まだ過渡期であることも事実です。これまでは「今までと違うことに挑戦する」こと自体に価値がありましたが、ここからは挑戦の質とスピードを高め、成功確率を上げていく段階に入ったと考えています。そこで重要だと考えるのが、リーダーのマネジメントです。メンバーの挑戦を促し、「こんな挑戦がしたい」という思いを受け止め、長期ビジョンの実現につながる挑戦へと導きながら、一人ひとりが力を付けていけるようなマネジメントを実践してほしいと思っています。結果として失敗しても、「そこから得た学びや経験は必ず次につながる」と長い目で支えていくことも大切です。イノベーションは、社員一人ひとりの挑戦から始まります。
当社グループには、もともと挑戦を後押しする文化があります。私自身も、技術者時代にクラフトテープの新たなプロセス設計に携わり、環境負荷の低減と品質向上、コスト削減を実現しました。このプロセス改善には高額な設備投資が必要となりましたが、やりたい気持ちをしっかり伝えることで、上司や会社が私の想いに応えてくれ、背中を押し、予算をつけてくれたからこそ実現できました。
この良い社風を引き継いでいきたいと思います。
監督と執行の役割分担を明確化し、企業価値をより一層意識した経営の実践
取締役会の体制は、会社の状況や目指す姿に応じて常に最適な形へ進化させていく必要があると考えています。事業のグローバル化や多様化が進む中で、取締役会には個別案件の審議だけではなく、中長期の経営戦略やESG経営基盤など、企業価値向上につながる重要テーマについてより質の高い議論を行う役割が求められています。
そこで今回、社外取締役を過半数とし、監督と執行の役割をより明確に分離するとともに、女性取締役比率も30%を超える体制へと見直しました。独立性と多様性を高めることで、より客観的で多角的な視点から経営を監督する体制を整えました。

今後は、強化された監督機能のもとで執行への権限移譲を進めて行きます。そして、取締役会では持続的な企業価値向上に向け、中長期の事業戦略やESG経営基盤に加え、ROICスプレッドやROE、WACC等の資本効率に関する議論を一層充実させていきます。
執行のパフォーマンスを引き出す監督機能を追求することで、スピード感のある経営とガバナンスの強化についても両立をさせることで、持続的に企業価値を向上させていきます。
株主・投資家との対話を、企業価値向上へ
株主・投資家の皆さまとの対話は、企業価値向上および適正な株価形成において極めて重要であると考えています。まずは情報発信を強化し、当社の現状や成長戦略、将来性について正しくご理解いただくことに努めます。そのうえで対話を通じて、当社への期待と現状とのギャップを把握し、いただいたご意見やご提言を経営に反映することで、企業価値の向上と適正な株価形成につなげていきたいと考えています。
私自身も、株主・投資家の皆さまと直接対話する機会を大切にしています。先日、欧州で投資家の皆さまとお話しした際には、20年以上当社株を保有してくださっている株主の方から、「これからも頑張ってほしい」という励ましの言葉をいただきました。当社の目指す方向性をご理解いただけたからこその言葉だと受け止めており、大変心強く感じました。こうした対話を通じて相互理解を深めることの重要性を改めて実感しています。
もちろん、期待だけでなく厳しいご指摘をいただくこともありますが、それらも中長期的な成長に向けた重要な示唆と受け止めています。今後も建設的かつ率直な対話を重ね、株主・投資家の皆さまとの信頼関係をより一層深めていきます。
積水化学グループ社長としての挑戦
社長としての私の最大の挑戦は、人材を育てることです。一人ひとりの成長こそが事業を強くし、企業価値向上の原動力になると考えています。社員一人ひとりが挑戦し、成長できる環境を整えることが、私の最も重要な役割です。
「Vision 2030」の実現はもちろん、その先も見据えれば、世界で活躍できる次世代リーダーを今から計画的に育成していかなければなりません。そのために、人材育成には時間も投資も惜しまず取り組んでいきます。社員一人ひとりの成長が、積水化学グループの未来を切り拓く力になると信じています。