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セルサイドアナリスト向け 社長Small Meeting質疑応答(2026年06月24日開催)

2026年07月02日更新

開催趣旨 当社は2020年5月に長期ビジョン「Vision 2030」を発表しました。そしてこの長期ビジョン実現に向け、更なる成長の加速を目指す3rdステップとして中期経営計画「Accelerate 2028」を 2026年5月21日に発表しました。中期経営計画の方向性、社長の想いなど、当社の経営、事業について、より広く、深くご理解いただける機会とすべく、本ミーティングを開催しました。
日時 2026年6月24日(水)
場所 積水化学工業 東京本社
出席者 当社:代表取締役社長 清水 郁輔、代表取締役専務執行役員 西田 達矢、執行役員 コーポレートコミュニケーション部長 西本 直矢、コーポレートコミュニケーション部IRグループ長 岡田 邦彦
セルサイドアナリスト:9名

中期経営計画 「Accelerate 2028」(FY2026-2028)の方向性について

  • 社長就任後初めての中期経営計画となるが、新社長になり何が変わるのかについて教えて頂きたい。

    (清水)前中期経営計画は、特に高機能Pを中心とした増産設備投資や、ペロブスカイト太陽電池等を始めとした新事業などの仕込みが進んだ。セグメント別では、高機能Pはエレクトロニクス分野・モビリティ分野が着実に成長し全社をけん引した。環境・ライフラインは売値改善を推進し、営業利益率を10%近くまで押し上げることができたため、今後は量的拡大を目指していく。住宅は新築事業の収益性改善を1年前倒しで達成することができたため、今後はシェア拡大を目指す。メディカルは苦戦しており、新社長のもとで構造改革を推進している。また、ペロブスカイト太陽電池事業は100MWの生産設備立ち上げに向け、順調に推移した。今中期においても、リソースを集中させ、全力で進めていく。一方、バイオリファイナリー事業は、市場が期待する価格と目線が合わず、今後は開発ステージに戻し、コストが合えば、再度挑戦を検討するという決断をした。M&Aは3,000億円の枠に対し実績は400億円程度だったが、枠にとらわれることなく、案件次第で適切に検討し、判断した結果だと認識している。M&Aの対象は事業・技術シナジーがあるもの、今の事業領域の近傍を考えている。今中期においても3,000億円の枠を設定している。引き続き、案件次第で適切に判断する。今中期経営計画は成果を創出し、成長を加速していくステージ。営業利益1,500億円には、自信を持っている。長期ビジョン2030年度売上2兆円、営業利益率10%以上達成に向け、アクセラレートしていく。

ペロブスカイト太陽電池事業について

  • ペロブスカイト太陽電池事業の売上高目標を見直した背景は?中国の技術も立ち上がってきている中で、競争力は維持できるのか?

    (清水)売上目標を1,000億円に見直した組み立ては、販売量を変えず、売値をシリコン型太陽電池並みの水準に設定したことによるもの。利益額の水準は変えていない。技術革新により効率を上げることや、コスト削減をする等、品質とコスト競争力を上げ、利益率を向上させ利益水準を維持していくものである。尚、ターゲットをビル壁面や体育館屋根などシリコン型太陽電池が使えない場所と想定し、棲み分けを予定していることからシリコン型太陽電池の売値・コストとは戦わない。しかしながら、その先の将来を見据えた際に、シリコン型太陽電池に対して優位性が無い状態で良いのだろうかと考え、今回の決断をした。シリコン型太陽電池と競合しないことで、利益率を上げられる可能性もある。

  • 技術革新への投資は50億円で十分か?

    (清水)現時点では、50億円程度の投資で十分と見込む。

  • 100MWの900億円の内訳は?

    (清水)900億円のうち450億円が政府からの補助金。900億円の内訳は、半分が土地・建屋。
    (西本)残りはユーテリティと設備。生産設備だけで言えば、全体の1/3程度となる。

  • ペロブスカイト太陽電池事業における1GW生産体制への投資額2,200億円の内訳は?

    (清水)2,200億円は、1GW供給体制構築に必要な設備投資総額3,150億円の一部、半分は国からの補助金。必要額は、先ほど申し上げた生産革新によりさらに下がる見込み。

設備投資・M&Aについて

  • 新中計で掲げた7,000億円の投資計画の内訳は?今年度の大型投資案件は?

    (清水)7,000億円のうち3,000億円はM&A、設備投資枠4,000億円のうち1,000億円はペロブスカイト太陽電池事業の1GW供給体制構築に向けた投資。残り3,000億円は、戦略投資と通常投資で1,500億円ずつ。カンパニー別では高機能Pが1,500億円、その他カンパニーとコーポレートで残り1,500億円。大部分はこれからの検討となる。
    (西田)例年、1,000億円弱の設備投資を行っており、ペロブスカイト太陽電池事業以外の設備投資は微増程度。ペロブスカイト太陽電池事業以外で、100億円を超える案件はないものと想定している。

  • 投資の採算基準は?

    (清水)リターン型投資、合理化投資、それぞれに基準を設定している。

  • 過去のM&Aで現在シナジーにつながっているものは?

    (清水)最も成功したのはセラニーズからのポバール事業買収と認識しており、ポバールは今も中間膜の原料として使っている。ポリマテックは、放熱事業・技術を手に入れたかった。今は半導体向けで受注がしっかり取れている。AEROSPACE社はモビリティ分野の自動車一本足から、自動車産業リスクも踏まえ、新たな柱を増やすために買収した。コロナもあり一時苦戦したが、現在は順調に回復・拡大、今後はさらに拡大させ、柱にしていきたい事業。

  • 住宅の木軸M&Aの狙いは?

    (清水)新築事業は、今後、住宅マーケットの縮小以上に大工不足が進むことが想定され、中小工務店の後継者不足が深刻化すると見込む。また、国交省のZEH規制強化もあり、対応が難しい工務店も出てくる。これら外部環境の変化に対し、当社の住宅は在来工法と比較して、必要な職人数が半分程度であり、競争優位と言える。加えて、ZEHは当社の得意領域であり、これらからも残存者利益が取れる領域と考えている。その為、中小の工務店等をM&Aするなどして、棟数を伸ばし、シェアを増やして行く戦略を検討している。北海道エリアで、アーキテックプランニングやクレアストの株式を取得し、成功したことからも、北関東エリアの業容拡大に向けて木造注文住宅会社のノーブルホーム社の全株式を取得した。ノーブルホーム社の営業力の活用、ユニット工法では建てられない土地への木造住宅の提供、施工力の活用、土地仕入れ力の強化を狙う。今後も地域を絞りながらM&Aを続けることはあり得る。鉄骨と合わせて2020年度水準の1万1,000棟まで戻して行きたい。

ポートフォリオマネジメントについて

  • 現状のコングロマリット経営をどの様に評価しているか?

    (清水)当社が仮に半導体事業単独の会社であれば、足元株価は上がっていると想定される一方、シクリカル要因の影響を踏まえればいずれは厳しい時期が来る。以前、液晶に注力した結果、ある年、急速に液晶スマホの販売が落ち込み、業績が大きく悪化したことがあった。この時に、安定した経営の重要性を肌で感じた。複数の事業を保有することは、安定性の向上につながると考えている。エレクトロニクス事業の様に、液晶市場から親和性の高い半導体市場に展開し、事業の安定性を向上させることが理想ではある。住宅事業は高機能P等の事業とは少し距離がある様に見えるが、堅調に推移しており、ROICスプレッドを十分に確保できている。安定性の観点からもROICスプレッドの観点からも、しっかりと事業を推進して行きたい。1つ1つの事業をしっかりと成長させて行くことが大切だと認識している。分かりにくくなる面もあるが、当社を正しく理解頂くためにも、丁寧なIRが重要だと思っている。
    (西田)今回の中期経営計画の様に、それなりの水準で積極的に投資を行っても、一定のバランスシートがキープできるのは確実に住宅事業があってこそと考えている。

  • コングロマリットは、業績変動の抑制やシナジー(技術・営業力)が期待できる一方、事業運営の難しさ(公正な事業間評価、資本分配)等のデメリットも多い。デメリットを打ち消すメリットはあるか?

    メリットについては、ペロブスカイト太陽電池事業を例に挙げると、高機能Pの封止やロール・ツー・ロール製造プロセス等の技術に、環境・ライフラインの施工技術を組み合わせたもの。また、将来的には戸建の太陽電池への展開も検討していくことができる。これらは当社グループだからこそ成し得る事業展開だと思っている。また、当社はカンパニー制を敷いており、一定の裁量は事業側に権限委譲をしている。また、ホールディング制に比べ、横断的なコミュニケーションが取りやすい。2022年度には、カンパニーを超えた、全社での事業最適化も円滑に行うことができた。デメリットは限定的と考えている。デメリットを打ち消すようなメリット等については、今後しっかりとIR活動を通じて示していきたい。

  • 今後、不採算事業をやめる仕組みについて、どの様に取り入れるのか?

    明確な基準はないが、ROICスプレッドが確保できない、若しくは、営業利益率が一定の水準を下回り、更には成長シナリオが描けないといった事業は整理していく。

DXについて

  • 内部統制や様々な部署とのコミュニケーションコストを大幅に下げるのがDX、AIと考えている。DX・AI戦略で全社横断的な管理コスト削減やシナジー創出は?

    (清水)個々のオペレーションの合理化の活用は進んできた。また、ERPシステムの強化に伴い、会計不正へのガバナンスも効きつつある。しかしながら、生成AIを活用した全社事業への貢献については、プロジェクトを立ち上げ、これから更に力を入れていく。MI(マテリアルインフォマティクス)は、有効に活用できており、開発のスピードアップ等に一定の貢献をしているが更なる活用の余地はあり、今中期で力を入れて取り組んでいく。

事業運営について

  • 御社の勝ちパターンとは?どのような戦い方が強く利益を出して行けるのか?

    (清水)テクノロジープラットフォームにある27の技術を基に新商品を開発し、ニッチなマーケットを目指す。そして、高収益を維持しながら、競合よりも先手を打ち、技術で差別化を図りながら、競争優位を常に保つ戦略が当社の勝ちパターン。機能性樹脂材料を例に挙げると、79年前に祖業であるチッソから引き継いだブチラール樹脂の技術がある。フィルムにしたものが中間膜、樹脂の精度を上げたものが、高い世界シェアを持っているMLCC用バインダー樹脂、また、細胞培養足場材である「Ceglu」にもこの樹脂技術が展開されている。また、中間膜は、ニッチな市場を主戦場とし、その中でも世界シェアNo.1のHUD用中間膜を展開したり、最近では、高性能遮音膜を提供したり、競争力が高い製品を他社に先駆け開発し、新商品を提供し続けてきたことで、強い事業となった。