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2023年度決算および2024年度経営計画説明会質疑応答(2024年04月26日開催)

2024年04月30日更新

高機能プラスチックスカンパニーについて

  • エレクトロニクス分野について。半導体関連は、先端半導体は伸びているが、それ以外はあまり伸びていない。どういった製品で伸長する計画か。

    (清水)高接着易剥離のテープが、先端半導体の工程材として強みを発揮する。パワー半導体にも積極的に採用されている。加えて、MLCCの在庫調整がほぼ一巡し、バインダー用の樹脂が、スマホ用途、車載用途の両方で巡航速度に戻ってきている。これらの製品が非液晶分野の伸長を牽引する。

  • 非液晶分野の、それ以外の製品についてはどうか。

    (清水)バイオテープは22年度から23年度にかけて10~15%程度の伸長をしている。24年度も引き続き伸ばしていく。ビルドアップフィルムは、23年度は半導体の回復が非常に緩やかだったことから売上は苦戦したものの、複数の顧客へのスペックインに注力しており、今後しっかり売上を増やしていきたいと考えている。

  • モビリティ分野について。新しい「N-HPP」という定義が示された。どういった内容か。

    (清水)従来の「高機能膜」から遮音膜を除き、今回からHUD用、遮熱、カラー、デザインという中間膜を「N-HPP」と定義している。

  • HUD膜の伸長が23年度は大きく、24年度に小さくなるのは、単に搭載車種の販売動向によるものであり、中長期的な成長性が鈍化していくわけではないという理解で良いか。

    (加藤)ご理解の通り、中長期的な成長性に変化はないと考えている。もともとの中長期の予想と比較すると、EVが一部ハイブリッド車に変わっている傾向はあるが、EVと同様のデザイン性を求める需要は強く、全体としては、当社への影響はほぼないと見ている。

  • 伸長に地域的な特徴はあるか。

    (清水)どの地域も伸びているが、当面は、EVが多い中国と、欧州が主力の市場になると考えている。

  • 中国と欧州は、短期的には少し苦戦しているとの報道もあるが、実際に事業をしている中での感触はどうか。

    (清水)22年はグローバルでEVが900万台強から950万台ほど生産されていたところ、23年では1,200万台を超えるレベルになっている。EVの市場が鈍化しているとの話はあるが、もともとの予測が1,300万台だったところから、100万台弱落ちたというレベルの話と認識している。ルーフの圧迫感を防ぐためにガラスが大きくなっている中で、当社の中間膜を使っていただくケースが非常に増えてきている。

  • 固定費の増加について。資料に記載された人的資本投資以外の、成長の仕込み、事業基盤の強化とは、具体的にどういった内容か。

    (清水)人員増にともなう増分が、昇給分44億円とは別に約15億円。償却費の増分が約10億円。成長への仕込みとして、開発やマーケティングの強化に25~30億円。また事業基盤の強化として、防災や安全を含む設備のメンテナンス等に約20億円を計画している。これらが、人的資本投資以外の約70億円の内訳となる。ただしこれらの増分については、利益との見合いでしっかりハンドルしていく。

住宅カンパニーについて

  • 24年度の建築種別受注棟数の計画に関し、新築(土地施主手配)の前年比105%について、来店の回復や、新商品の投入などとの関係性と、その確度はどうか。

    (吉田)105%は高く見えるかもしれないが、22年度と比較するとまだ低い水準であり、また、23年度4Q実績と同水準で推移すれば到達可能な計画。収益性強化策により創出した利益の一部を商品・販売戦略に充てていく。例えば、地方では平屋や集合住宅、都市部では、特に首都圏では強い需要のある3階建や集合住宅などの高額商品等、各エリアの需要にあった商品開発や価格施策に充てる。また、展示場リニューアルなどの販促投資にも充て、受注棟数増を狙っていく。展示場来店者数は、23年度4Qは前年比106%と回復してきており、24年度の受注に直結してくると考えている。

  • 中期計画では、25年度で400億円の営業利益目標になっている。現状の施策でオンラインか。来年まだ追加の施策が必要か。

    (吉田)現在は収益性強化策の実行途上であり、中期計画の営業利益400億円にはまだ距離がある。現時点では1年遅れで400億円を目指したい。

全社利益計画、資本配分等について

  • 24年度計画の確度はどうか。

    (加藤)全体として、各分野の市況予想を当社独自に少し厳しく見ているという点においては、保守的な計画である。円高リスクについては、ある程度のバッファを見ている。

  • 中期計画の進捗として、23年度の戦略投資の実績が220億円とある。枠に比較して低く見えるが、どういった状況か。

    (加藤)M&A等の3,000億円が発現しなかった。設備投資については中期で1,500億円、年平均にして500億円を想定していたが、市況の回復が遅いことから24年度以降に延期している案件が複数ある。24年度は、特に後半からの緩やかな市況回復を見込んでおり、いくつかの成長投資、能力増強等の案件を着実に進めようと考えている。

  • 戦略投資として使えなかった資金はどこに回るのか。

    (西田)中期計画の終了時点で結果として投資枠が大幅に残った場合には、その時点での株価等の状況にもよるが、追加的な株主還元も含めて検討をしたいと考えている。

  • 24年度の配当は1円増配の計画になっている。現状程度の利益水準が継続する中で、株主還元を強化する余地はないか。

    (西田)配当については、配当性向40%以上を約束している。最終利益が上振れた場合に40%に見合う分の配当を増やすこと、および総還元性向50%以上は、確実に実行する。また、資金や株価の状況をふまえて自己株式の取得も含めたプラスアルファでの還元を行っていくことは、方針として持っている。