2024年11月01日更新
高機能プラスチックスカンパニーについて
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【資料P.18】エレクトロニクス分野について、4Qは1ドル140円の円高の前提とされている割に、上期対比の下期、3Q対比の4Qとも、売上の見通しが強い様に見受けられる。具体的にどういった製品が伸びるのか。
(清水)今年度は、エレクトロニクス関連の需要の時期が例年とは少し異なっている。例年であれば2Qに新機種用の売上が増えるところ、今年は新機種の時期がずれるなどして、2Q、3Qの売上が比較的なだらかになっている。このところ増えている製品は、半導体製造工程用の高接着易剥離テープのセルファで、これは主にハイバンドメモリの生産に使われ、需要が非常に強い。当社が大きなシェアを持っているMLCC用のバインダー用途の樹脂も、順調に伸びている。加えて、新機種への搭載という点では、スマホ、タブレット、PCなどで、例えばバイオテープや、フォームテープ類がスペックインできている。新機種の発売にともなって、当社の売上も増えていく。
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モビリティ分野の中間膜について、上期のHUD膜の数量が少し減ったのは、中国での数量減とのご説明があった。理由は、中国の自動車産業全体の話か、それとも他の理由によるものか。
(清水)上期のHUD膜は99%伸長で、主に中国での数量が減ったことによる。これは欧州系と日系の自動車の販売の市況によるところと、一部顧客における当社シェアによるところの、両方の理由によるものである。
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上期が伸び悩んだ割に、下期は数量が戻る見通しになっている。その理由は何か。
(清水)上期に落ち込んだ中国市況が下期から緩やかに回復すると見込んでいる。また4Qからは新車種、新モデルへの採用増を見込んでいる。
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N-HPPでのHUD向け以外の中間膜は、どの様なトレンドになっているか。
(清水)HUD膜以外の、カラー/デザイン膜、遮熱膜について、欧州やアメリカではEVにしっかり搭載されていることから、数量ベースで110%を超える水準で伸長した。中国でも100%を超えている。日本では認証問題の影響を受けて少し減少した。下期も、いくつかのEV車種で採用されることなどもあり、引き続き110%を超える伸長を見込んでいる。
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下期は、N-HPPの量が増えて、全体としても伸長するという計画か。
(清水)N-HPPは、しっかり伸ばしていく。デザイン膜採用のトレンドは不変で、モデルチェンジする車種への採用などもあり、数量が増える見通しとしている。
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Aerospace社について、顧客の品質問題や、ストライキの影響はどうか。
(清水)大手顧客における品質問題によって、生産レートが想定を下回り、上期はその影響を受けた。ストライキは続いているが、当社製品に大きく影響する機種ではないことと、またサプライチェーン自体は稼働していることから、現時点で当社の売上に大きな影響は出ていない。今後、影響が出てくる可能性はあるが、追加の合理化等により、カバーできる範囲内であろうと見ている。4Qからはプラスに転じて、下期黒字化の見通しとしている。
住宅カンパニーについて
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新築住宅の受注については、棟数が少し厳しい一方で、単価は上がってきている。その内容は何か。
(吉田)地域差としては、東京、大阪などの大都市圏を中心に、需要が戻りつつあり、また物件も大型化、高額化している。地方では平屋の割合が増えるなど、金額面でそれほど強くはないが、全国トータルでは上がってきている。構成差では、建売の割合が減少し、面積や、設備等の金額が大きい請負受注が増加していることも要因の一つになっている。
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請負と建売の受注金額について状況はどうか。
(吉田)請負金額は各エリアで違いがあるが、特に首都圏などでは1棟あたりの受注金額は確実に上がっている。単価の上がり幅について言えば、建売の単価上昇は請負に比較すると相対的に少ない。
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【資料P.23】住宅のコストダウンについては、今年度で着実に進捗している様だが、来年度の想定はどうか。積み増しもあるのか。
(吉田)収益性強化策として100億円の改善を目標に取り組んでおり、オンラインで進んでいる。来年度の達成はほぼ見えていて、目標を上回ることも考えられる。新築事業の固定費を下げながら、需要の強い領域に戦力をシフトし、数量が戻れば大きく利益が出るという姿へ着実に近づいている。
ペロブスカイト太陽電池について
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ペロブスカイト太陽電池について、NEDOのGI基金に採択されたとのこと、28年まで実証試験とあるが、一方で25年には量産化との情報もあった。どういった状況か。
(加藤)この度公表したものは実証のほうがメインで、施工方法の検証などを含めて進めていく。ビルの壁面に取りつける際の施工技術の開発や、壁面での実証などで、東京電力様とも一緒にやっていく。施工技術の開発や、どういった施工業者をパートナーとして選んでいくかなどの検討に、1年程度はかかるのではないかと見ている。今後、ビジネスモデルの構築と合わせて、設備投資も含めた決断をしていく状況になっていく。
株主還元について
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株主還元について、過去には中間期においても株主還元、自己株式の取得を発表したことがあった。今回はキャッシュフローもあり、利益も想定以上に好調である割に、自己株式の取得は発表されなかった。株主還元についてはどの様に考えているか。下期に向けて業績が上振れしてくれば、追加還元の可能性もあるのか。
(西田)自己株式購入については、今後の投資資金の需要等にも鑑みて、この中間期では意思決定をしなかった。総還元性向あるいは配当性向については、通期の決算に基づいて、株主還元方針に沿って実施していく。それ以外の追加的な株主還元については、株価や、資金需要等を見合わせて検討し、今後いろいろな意思決定をする可能性はあると考えている。