ESG基盤強化

更新日:2021年8月31日

ESG基盤強化(経営基盤Drive)

長期ビジョン「Vision 2030」実現のため、2020-2022年度の中期計画「Drive 2022」では、利益創出力、課題解決貢献力、持続経営力の観点から、内部統制、DX、環境、人材、融合を重要課題と定め、ESG経営を進めています。

ESG経営の重要課題
(マテリアリティ)・KPIと目標値(2020-2022年度)

※ 2021年4月27日公表の決算説明会資料から一部変更しています。

ESG経営推進の流れおよび全社展開

ESG経営推進体制は、サステナビリティ委員会と7つの分科会(「環境」「CS品質」「人材」「安全」「コンプライアンス」「サイバーセキュリティ「」DX」)で構成されています。サステナビリティ委員会では将来当社グループが直面する可能性のあるリスクや機会の抽出、全社方針や戦略について審議し、決定された主要事項や全社リスクは取締役会で報告・審議され、各分科会を経てグループ全体に展開されます。

サステナビリティ委員会・分科会体制

サステナビリティ貢献製品
およびプレミアム枠
― Vision 2030 実現のために

積水化学グループは本業である製品を通じてSDGsをはじめとする社会課題解決への貢献を高め、地球・社会のサステナビリティ向上とともに当社グループとその製品、製品を使用されるお客様すべてのサステナビリティを向上させるためにサステナビリティ貢献製品の創出と拡大に取り組み、企業としての成長を目指しています。

「サステナビリティ貢献製品」評価制度を始動

サステナブルな社会の実現と企業としての持続的な成長を目指す「Vision 2030」実現のため、従来の「環境貢献製品」制度を「サステナビリティ貢献製品」制度へと進化させ、2020年度から始動しています。新制度では持続経営力向上のため、内部統制・サプライチェーンマネジメント・顧客満足度・収益力の観点から持続性確認評価を追加実施しています。また、収益力向上のため、ビジネスポートフォリオと一致させて戦略的に拡大を行う「プレミアム枠」を新設しました。

サステナビリティ貢献製品は社内基準を基に認定登録を行っています。その基準および考え方やその結果の妥当性に関して、産官学のさまざまなバックグラウンドを持つ社外アドバイザーよりご意見、アドバイスをいただき基準の高さや透明性を担保しています。

サステナビリティ貢献製品の売上高・売上高比率

貢献製品評価制度の進化

貢献製品評価基準変更点

持続性確認評価

参考:
サステナビリティ貢献製品の認定

サステナビリティ貢献製品の定義

社会環境貢献認定基準(抜粋)

※社会環境製品については、上記の3基準への貢献効果が多く、それ以外は必要に応じてSDGsの17の目標に沿った社内判定基準で審査を行う。

自然環境貢献認定基準(抜粋)

サステナビリティ貢献製品の概念

サステナビリティ貢献製品制度の運用・認定方法

社内認定審査会:ESG経営推進部を中心としたコーポレート各部で構成

製品環境影響評価の実施

積水化学グループでは、製品の企画・開発時に、製品のライフサイクルすべての段階で、環境影響評価を実施しています。これを前提とし、上市後、サステナビリティ貢献製品の認定に関しては、社内基準を基に社会課題解決への貢献度の判断を行っています。

環境 ― 気候変動課題に対応する

積水化学グループは自然資本を利用して事業を行っています。地球環境の保全と持続可能な事業の両立のため、気候変動に対応するリスクと機会の分析、温室効果ガス(GHG)排出量の削減、再生可能エネルギーの導入のほか、資源循環や水資源の保護など環境負荷低減を目指す取り組みを進めています。

環境長期ビジョンと環境中期計画

積水化学グループはサステナブルな社会の実現に向けて、長期的な視点で環境課題に取り組んでいます。「生物多様性が保全された地球」の実現のため、環境長期ビジョン「SEKISUI 環境サステナブルビジョン2050」で2050年のあるべき姿を描き、その姿からバックキャスティングして策定した環境中期計画ごとに目標を設定し、各施策を実施しています。2020-2022年度までの環境中期計画「SEKISUI 環境サステナブルプランAccelerate II」では、「気候変動」「水リスク」「資源循環」を重要な環境課題と定めました。そして課題解決を加速するため、製品のライフサイクルにわたるサプライチェーンマネジメントを強化し施策を展開しています。またROIC向上を意識するため、環境に関してかける投資やコストの抑制・生産性向上について環境会計を活用しています。

総合指標 SEKISUI環境サステナブルインデックス

気候変動課題への取り組み

気候変動課題の緩和と適応に関する対策の迅速化と長期的な目線でのリスク評価の強化のため、2019年に賛同したTCFD(気候関連財務情報開示)の提言に基づいた情報開示において、2℃・4℃の気候変動と、全社事業において共通性が高い分散・集中という軸での4つのシナリオを想定し、各々のシナリオにおけるリスクと機会の分析を行いました。

そして、GHG排出量ゼロを目指し、購入電力の再生可能エネルギーへの転換によるリスク低減やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)仕様住宅など低炭素製品の販売強化などのリスクの機会への転換など2020年度より取り組みを加速しています。2050年に事業活動におけるGHG排出量をゼロとする長期目標を立てており、さらにバックキャストを行って、2030年には購入電力を100%再生可能エネルギーに転換していくマイルストーンを設定しています。そのために「スマートハイムでんき」のビジネスを活用するとともに2020年度から新たに設けたESG投資枠を活用し、再生可能エネルギーへの転換を推進していきます。

GHG排出量削減のための中長期目標

サプライチェーンのGHG排出量(SCOPE3)の推移

事業活動によるGHG排出量の推移

GHG排出量削減のロードマップと取り組み

前環境中期計画(2017〜2019)では、「エネルギー消費革新」としてモノづくり、生産設備の老朽化更新に主眼を置いて、取り組みを推進してきました。2020年度からは「エネルギー調達革新」の段階に移行しています。2030年に購入電力を100%再生可能エネルギーとすることで2013年度比26%削減の達成を目指します。太陽光発電設備設置は2020年度には国内外の10事業所となり、総発電出力は6.3メガワットに達しました。また、外部購入電力は国内外8事業所で100%再生可能エネルギーに切り替えが完了しており、2020年度の購入電力の再生可能エネルギー比率は太陽光発電による自家消費電力を含めて7.2%となりました。

GHG排出量削減のロードマップ

また2017年より3年間で環境投資枠を戦略的に設定し、特にGHG排出量削減に関しては「環境貢献投資促進策」を設け推進しました。これはインターナルカーボンプライシングの一つであり、投資によって削減されるGHG排出量1t-CO2あたり3万円で換算し、コーポレート組織から投資部門へ経済的支援を行う仕組みです。投資案件により削減されるCO2排出量は設備が完成するにつれ年々高まっており、当社グループのモノづくりにおけるGHG排出量の削減に継続的に貢献しています。

サプライチェーンのGHG排出量(SCOPE3)は2030年に2016年度比で27%削減することを目指しています。GHG排出量はSCOPE3カテゴリーである原材料調達および購入した製品・サービスの使用段階で多く、原材料調達に関しては化学メーカーとしての事業特性によると認識しています。そこで2018年からは、原料サプライヤーに対して、GHG排出量削減目標の設定とその進捗を問うよう調達基準を見直すとともに、CDPサプライチェーンプログラムを通じて原料サプライヤーのGHG排出量を把握することで、対話の機会を設け、削減に向けた連携が行えるような活動を開始しています。原料サプライヤーとは、GHG排出量の算出やデータ開示にとどまらず、長期目標や削減施策などに関して、実務的な情報交換を積極的に行い、互いの削減を推進する関係を構築しています。さらにバイオ素材やリサイクル原料への転換により2030年に20%の削減を目指しています。またSCOPE3の50%以上を占める購入した製品・サービスの排出については、ZEH仕様住宅の販売を拡大することで2030年に50%の削減を目指しています。

気候変動問題がビジネスと戦略に対して与える影響

気候変動によるリスクは、機会にもなり得ます。中長期にわたる気候変動リスクに対し、製品・サービス、サプライチェーンまたはバリューチェーン、研究開発への投資、操業に関してリスク低減し、機会に転換できるよう、戦略、計画を立案しています。

事例「スマートハイムでんき」

〈リスク〉
FIT制度終了によりソーラーパネル搭載の普及に歯止め
〈機会への転換策〉
「スマートハイムでんき」事業を立ち上げ

ソーラーパネル搭載のセキスイハイムにお住まいのお客様から太陽光発電の余剰電力を買い取り、グループの国内工場・事業所での活用および、ほかのセキスイハイムのお客様に電力販売を行います。余剰電力買取サービスは 2019年12月末時点で申し込み数が13,000件を突破しました。また、2020年3月から、北海道セキスイハイム工業株式会社とセキスイハイム工業株式会社中部事業所へ卒FIT電力の供給を開始しています。

事例「原料サプライヤー」

〈リスク〉
気候変動関連規制強化による原材料費変動。自然災害等による供給リスク。
〈機会への転換策〉
2018年度より原材料サプライヤーに対してGHG排出量削減推進の働きかけを実施。また災害リスクを考慮し、複数原料サプライヤーからの購買体制を構築し、さらに甚大な自然災害等のリスクが予想される地域にある生産拠点の移転も検討しています。

気候変動の取り組みが経営に与えている影響

気候変動の緩和や適応に資する取り組みが経営にどのような影響を与えているのかを確認するため、炭素効率(環境性)と経済性とを比較しました。まず、GHG排出量と売上高およびEBITDAとの相関を“炭素あたりの売上高”および“炭素あたりの収益”の推移によって示します。その結果、事業活動によるGHG排出量あたりの売上高およびEBITDAはともに増加傾向が見られ、意欲的な脱炭素戦略に基づく経営が良い方向に向かっていることが確認できました。 今後、2050年GHG排出ゼロに向かって、2030年のマイルストーン を前倒しにしていく検討も始動しています。サプライチェーン 全体における炭素効率は、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、少し落ち込みが確認されましたが、事業活動による炭素効率と比較すると増加率は小さいものの、サプライチェーン全体の環境負荷(GHG排出量)を削減しながら、収益を拡大している傾向が確認できました。SCOPE3のGHG排出量削減のためSBT認証を取得し、長期目標を設定して取り組んでいますが、その継続が炭素効率向上に有効だと考えています。

事業活動による炭素効率

※1 炭素あたりの売上高:売上高(億円)/GHG排出量(千トン-CO2)
※2 炭素あたりの収益:EBITDA(億円)/GHG排出量(千トン-CO2)

サプライチェーン全体における炭素効率

※1 炭素あたりの売上高:売上高(億円)/GHG排出量(千トン-CO2)
※2 炭素あたりの収益:EBITDA(億円)/GHG排出量(千トン-CO2)

EBITDA/売上高(経済性)と売上高/GHG排出量(環境性)の相関をとると、2020年度までは収益の安定性を保持しながら、“炭素あたりの売上高”を向上させていることが確認できました。物理リスクや規制リスクが高まることが予想される中、この“炭素あたりの売上高”の向上分を経済的な収益性に反映した戦略を展開できれば、さらにリスクは大きな機会に転換することが可能となり、現行の収益性に対して将来の収益性のポテンシャルが向上していることが再確認できました。2030年度の長期ビジョンに基づく目標に向けては、さらなるイノベーションや取り組みによって炭素収益性の向上を加速する必要があることも示唆されており、 2030年には購入電力を100%再生可能エネルギーへの転換に取り組んでいますが、取り組みの前倒しによる炭素収益性の向上が脱炭素経営の実現に向けては重要になると考えています。

経済性と環境性の相関

※ 炭素あたりの売上高:売上高/事業活動によるGHG排出量(億円/千t-CO2)

資源循環への取り組み

2020年度に資源循環方針を立案し、2050年サーキュラーエコノミーの実現に向けて、資源循環戦略およびロードマップを策定しました。気候変動の緩和をライフサイクルで後押しする低炭素製品へとシフトするためにもこれは重要な戦略と考えています。資源循環に資する製品は、低炭素製品となることから、気候変動課題に資する製品の核となる戦略と考えています。この指標としては、2022年には2020年度ベンチマークの資源循環に資する売上高2,960億円を10%拡大し、2030年度には2倍以上にする目標を描いています。また、資源循環に資する製品のイノベーションにおいて加速すべきは、プラスチック原材料の非化石由来および再生材料への転換であると考え、この売上も2020年度の30億円から、2022年度は10%増、2030年には30倍とする目標も設定しています。

水リスク課題への取り組み

水リスク課題に関しては、「積水化学グループの水リスク最小化」と「地域の水課題解決への貢献」の2つを目指す姿として設定し、グループ全体で取水量を削減し、循環利用を進めるとともに、河川に放流する水質についてもCOD指標向上に注力し取り組んでいます。具体的な施策としては、事業影響の大きい拠点・調達先や水リスクが顕著な拠点を選定し、2030年までに環境負荷を最小化していきます。

水資源の状況や課題は地域性が高く、グローバルで一律の目標に向かって取り組むことに矛盾が生じており、事業所が立地している流域の水資源に対して、リスクが事業継続に与える影響を把握したうえで、地域共有の資源である水を持続的に使用していることを念頭に、事業活動を行っています。

2020年度の生産事業所の取水量は、基準年である2016年度実績に対して3.7%減少しました。また河川に放流している排水のCOD負荷も11.8%減少となりました。これはコロナ禍により生産量が減少したことにもよりますが、取水量が国内全事業所の約30%を占める滋賀水口工場をはじめとした取水量、排水のCOD負荷の最も高い3事業所を対象に削減策を検討し、2019年度より「環境貢献投資枠」を活用して設備投資を行った効果が発現しています。

環境貢献投資枠による設備投資事例

参考 積水化学グループの水ビジネス

当社グループは水の供給・貯水・配水などの水インフラに関する事業を展開し、水処理システムや下水管など、排水の質の向上に寄与する技術や製品だけでなく、強靭で災害に強い水インフラを構築することでも社会に貢献しています。

建物配管用 ポリエチレン管
「エスロハイパーAW」

優れた柔軟性で、地震や地盤沈下による破損、漏水を防ぎ、水を安定的に供給。

大型高排水システム

サイフォン式雨水排水システム。配管口径をUPすることなく、集中豪雨に対応する排水量確保。

強化プラスチック複合管
「エスロンRCP」

軽量で地盤が緩い場所でも施工可能。農業・空港施設・水力発電等に幅広く使われる。管内に雨水の貯留が可能でまちや建物の集中豪雨対策にも貢献。

下水管路更生工法「SPR工法」

既設管の内側に施工し道路を掘り返さずに、老朽化した下水道をリニューアル。少人数・短工期で施工可能で廃棄物の大幅な削減も実現。

雨水貯留システム「クロスウェーブ」

豪雨時、下水道等に流れ込む雨水の量を調節。アジア諸国での慢性的な水不足への対策、都市緑化および防災を目的とした雨水の循環利用、洪水における災害対策に貢献。

水関連事業の売上高推移

環境の詳細はCSRレポートおよびTCFDレポートをご参照ください。

人材 ― 従業員が挑戦したくなる、活力あふれるいい会社を目指す

積水化学グループは、革新や創造がなされ、従業員と会社が一丸となって社会課題の解決に挑戦し、貢献する姿を目指します。そしてその考え方をグループ全体で共有し、活力あふれる職場づくりを進めています。

人材に関する考え方

「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、一人ひとりのキャリア自律と得意技の研鑽を支援するさまざまな機会を提供するとともに、社会的意義のある多様なミッションと挑戦の場をつくることで、従業員と会社が一丸となって社会課題解決に挑戦し貢献する姿を目指し、多様な人材が挑戦し活躍できる、活力あふれる職場づくりを推進しています。

人材マネジメント理念

人材の推進体制

サステナビリティ委員会のもと、人材分科会は人事担当役員が委員 長となり、各カンパニーから選抜された執行役員・人事部門長で構成されています。2020年度は重要人事戦略(ダイバーシティ・働き方改革・健康経営)について、審議・決定・モニタリングを実施しました。

ビジョンマネジメントとKPI

長期ビジョン実現のため、ESG中期計画(2020-2022年度)では「従業員が挑戦したくなる、活力ある会社」、「挑戦を生む組織・風土の実現」に向けて下記の施策に取り組んでいます。

  • 長期ビジョンの展開、ESG経営浸透
  • 挑戦を生む組織風土への変革
  • 適材適所の人材マネジメントへの転換

長期ビジョン実現のためには、何よりも従業員一人ひとりが力を発揮し、従来のやり方にとらわれず、挑戦し続けることが大切です。そこで、人材におけるKPIを「挑戦行動の発現度」とし、アンケート等で測定し、その向上を目指します。

また長期ビジョン展開のため、各職場のキーパーソンである組織長 が、自組織のビジョンを描き、「職場ワークショップ」という形でメンバーと対話、各部署のビジョンに落とし込み、年度の事業計画に反映しました。メンバーとの対話で出た反応や意見は経営層にフィードバックし、経営層からの継続的なメッセージ発信に活かす「双方向のコミュニケーション」を、3年間のロードマップに沿って実施しています。

エンゲージメント向上への取り組み

当社グループでは全従業員を対象に定期的にエンゲージメント調査を実施しています。2019年度に実施した調査結果は、経営戦略部門と人事部門とで分析・考察を行い、本長期ビジョン・中期計画策定のベースとしています。またエンゲージメント向上のために2020年度に各組織の人事部門をメンバーとして、「エンゲージメントDrive プロジェクト」を発足し、各組織で生産性向上や制度改革などのテーマに取り組みました。

ミッション・役割の明確化と役割基軸の人事制度への転換(2022年度改定)

ありたい姿の実現に向けて必要なさまざまなミッションや役割をバックキャスティングして明確化し、年齢や入社年次にかかわらず、それに向け挑戦・自己研鑽する従業員を支援、登用し、適所適材を実現する仕組みへと人事制度を転換するため、2022年度の制度改定に向け、準備を進めています。

また人事制度改定の趣旨に合わせて、年齢によらない活躍の機会を増やすべく60歳から65歳への定年延長を2021年10月より実施します。

積水化学(単体)人事制度改定ロードマップ

育成の取り組み

グループ経営を牽引するビジネスリーダーの育成と、現場を支える人材の育成を両輪として、グループ全体で多様な人材の育成に取り組んでいます。

新たな人事制度では、従業人一人ひとりが、各役割での積極的・挑戦的な貢献を求められます。キャリア教育は、従来の年齢軸から役割・職務軸の枠組みへと転換していきます。また、従業員が主体的に自らのキャリアを形成する「キャリア自律」を支援していきます。

※「キャリア自律」:会社が従業員に期待する役割に向けて、一人ひとりが自分にとって相応しい場所で活き活き働いている状態を目指し、自律的にキャリアを形成していくこと

ダイバーシティの取り組み

当社グループが社会に貢献し続けるためには、従業員一人ひとりの志向や持ち味を最大限発揮することが不可欠であるとして、女性活躍を含むダイバーシティの取り組みの重要性について、経営トップのコミットメントを社内外に発信しています。「多様性」については、性別、年齢、人種等で捉えるだけでなく、経歴、価値観、性格などを含めた違いにも着目しています。従業員の一人ひとりの違いを理解し、認め、強みとして活かしていくという考えに基づき、2015年に「ダイバーシティマネジメント方針」を策定しました。2020年度からは「活力ある会社」への変革に向けて、多様な人材の活躍を引き出す働き方改革や挑戦機会の拡大などに取り組んでいます。

多様な人材の活躍(ジェンダー)

女性活躍推進については「定着と活躍」「管理職創出」の2段階に分けて、2007年から取り組みを進めています。新入社員〜入社4年目までの女性社員を対象に経験学習サイクル・キャリア形成などの研修プログラムを実施し、早期からリーダーシップや自ら学び挑戦しながら成長する意識の醸成を図っています。また、女性管理職候補とその直属上司を対象に実践型の研修を実施し、活躍の場の拡大に取り組んできた結果、女性社員の定着率、女性管理職数が増加しています。これらの取り組みが評価され、2020年度の「なでしこ銘柄」 に選定されました。2016年度、2017年度、2019年度に続き、4度目の選定となります。

今後は、「女性採用の強化」「管理職登用後の育成」にも注力していきます。

女性管理職推移(積水化学単体)

多様な人材の活躍(グローバル)

長期ビジョンを実現するためには、特に海外での事業拡大が鍵となります。そのためには、国内従業員のグローバル化はもちろん、外国籍社員の採用や活躍、そして何より、世界各国で働く従業員がそれぞれの国や地域にあった製品やサービスを提供していくためにその持ち味を発揮することが重要です。こうした考えのもと、世界4エリア(アメリカ、欧州、中国、ASEAN)に人材育成基盤の一つとなるLearning Management Systemを導入し、その運用を開始しています。また2020年度は長期ビジョンへ向けた初年度として、各エリアでビジョンキャラバンを実施し、世界各国の従業員へのビジョンの展開と浸透に注力しました。

働き方改革の推進

限られた時間で成果を最大化する生産性の高い働き方を追求するため、2018年に「働き方改革宣言」を制定し、「業務改革」「人事制度改革」「就業環境改革」の3つの改革に取り組んできました。その改革のために2020年までの3年間で70億円の投資を実施し、生産ラインの自動化や省人化、セキスイハイムミュージアムによる営業革新、生産管理やリモートワークなどのシステム導入など、全社累計で約17万時間の労働時間削減につなげることができました。

2018年度より、働く場所にとらわれない柔軟な働き方の実現に向けて、環境整備を進めていました。このような中でコロナ禍を迎え、一部で展開していたリモートワークやWeb会議システムの利用が急速に拡大・浸透、ペーパーレス化も進み、移動時間や準備工数の大幅な削減が実現しています。システムなどのインフラ整備や、各職場で従業員が知恵を絞って従来の業務のあり方を見直した結果、緊急事態宣言における各種制限下においても、大きな影響なく事業活動を継続することができました。

健康経営の推進

「従業員は社会からお預かりした貴重な財産」という考え方をベースに、多様な人材が活躍できる、健康で働きがいのある職場づくりを推進しています。2019年に当社グループが目指す健康経営の理念やあり方をまとめた「健康宣言」並びに「健康経営基本方針」を制定しました。2020年度の「健康経営」に関する社内認知度は64.3%(前年度比+12.1%)となり、健康経営がグループ全体に確実に浸透してきています。

長期ビジョン実現のため、最も大切な「人」を健康の面から支援する体制整備を進め、中長期KPIを設定して健康増進を推進しています。2020年度からは生活習慣病対策として7つの健康習慣応援プログラムを展開しています。健康促進アプリも導入し主体的な健康づくりのサポートを開始しました。2020年度にグループ内で7つの健康習慣のうち4つ以上実施している人は59%でした。 2022年度までに100%を目指します。

グループ会社を含め全社的な視野で従業員の健康に関する課題解決に取り組んでいることが認められ「健康経営銘柄2021」に選定されました。また、当社グループ国内関係会社30社とともに5年連続で「健康経営優良法人2021 大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されています。

人材の詳細はCSRレポートをご参照ください。

デジタル変革(DX) ― 業務プロセスやビジネスモデルの変革ドライバーとする

積水化学グループにとってのデジタル変革(DX)のミッションは、長期ビジョン実現のための成長戦略・構造改革を加速、下支えすることです。不確実さを増す経営環境において持続的な成長を維持するために、従来のガバナンス(内部統制)、ビジネス、業務プロセスを見つめ直し、 「見える化・標準化」「生産性向上」「高度化」の視点で変革を進めていきます。

※「見える化・標準化」:業務標準化、ERP導入、インフラ・ネットワーク刷新

DX推進の取り組み

DX推進体制

積水化学グループでは、全社一体となってDXを推進するため、 2020年4月にデジタル変革推進部を新設しました。多様な事業を展開している当社グループにおいて、業務の標準化・高度化は容易ではなく、場合によっては効率低下につながる恐れもあります。それを防ぎ、全社における最適解をもって推進するため、社長および担当役員をトップとする推進体制を敷いています。デジタル変革推進部はこの体制におけるプロジェクトリーダーとして機能します。なお、2021年度からは、サステナビリティ委員会の下に、デジタル変革推進部担当役員を委員長とした「DX分科会」が新しく設置されました。DX分科会では、デジタル戦略に関する基本方針の審議やデジタル変革の進捗と効果を確認するとともに、全社業務プロセスの標準化や全社基幹システムの刷新などの重要施策について経営の観点から審議し、判断を行います。

DX推進体制(2021年度〜)

融合 ― 技術、事業機会の社内外融合推進

積水化学グループは技術プラットフォームをベースとして、社内外のさまざまなステークホルダーや企業等と融合し、イノベーションを加速していきます。これまでも取り組んできたカンパニー横断のプロジェクトの実施にとどまらず、技術開発や人材育成、また社外機関等との連携やオープンイノベーションなども含む、より幅広く効果的な融合の実現を目指します。

社内融合を通じて生まれたサステナビリティ貢献製品例

『スマート&レジリエンスまちづくり』

全邸蓄電池搭載のZEH仕様住宅に加え、豪雨対策に貢献する雨水貯留システムや、断水時にも数日分の飲料を確保できる飲料水貯留システムなど、災害に強い積水化学グループの際立つインフラ資材を結集した積水化学グループならではのまちづくりです。安心して住み継がれるサステナブルなまちを、日本全国へ展開していきます。

あさかリードタウン 完成イメージパース

住宅用換気・空調システム『快適エアリー T-SAS』

高機能プラスチックスカンパニーの製品である抗ウイルス加工剤「ウィルテイカー™」を使用した換気・空調システムです。日常生活への不安軽減と快適な室内環境を実現します。

技術開発の融合

技術開発は新しい事業を生み出す源泉であり、融合においても非常に重要です。積水化学のR&Dセンターでは組織のミッションとして「カンパニーとの融合強化」を掲げ、「コア技術融合」「企画融合」「開発融合」の3つの観点から、各カンパニーとの融合を進めています。具体的には、カンパニーで行っていた基盤技術の検討をR&Dセンターで一本化する、企画にあたる人材を相互にローテーションすることでカンパニー横断の企画が生まれるきっかけをつくるなどの施策を進めています。

「ESGタスクフォース」社内融合を通じたサステナビリティ貢献製品創出

コロナ禍のように、課題解決に向けた迅速な対応が社会から企業に要求される状況において、イノベーションを検討し早急にアクションをとる必要があるのはもちろんのこと、長期目線で解決していく社会課題においても、課題解決につながるイノベーションの提案や検討を加速させ早期にアクションを起こすことは非常に重要だと考えています。この早期のアクションによって、サステナビリティ貢献製品の創出を促進させるために、積水化学グループ内の28の技術プラットフォームを融合させ、組織の垣根を越えて社会課題を考える場として「ESGタスクフォース」を始動させました。今後も、社会課題を切り口にした開発、事業提案が可能な社内横断型の体制の定常化を図るとともに、コロナ禍のような緊急時でもイノベーションを加速できるような体制の整備に努めていきます。

社外との融合

積水化学グループでは、R&Dセンター発の製品・サービス・技術の事業化を加速する組織として、2019年度に新事業開発部を設立しました。ごみからエタノールをつくる技術(バイオリファイナリー)等、社内開発技術の事業化検討に加え、2021年にはイノベーションの推進を目指した新組織を立ち上げ、社外との融合にも取り組んでいます。米国最大規模のイノベーション集積地 Cambridge Innovation Center の東京拠点であるCIC Tokyoなど、社外にも活動の場を求め、企業の新規事業部門や有望なスタートアップ企業と連携をしながら、新規事業の創出にチャレンジしています。このような社外の「出島」を上手く活用し、社内だけでは得られにくい技術、アイデア、イノベーション文化を社内と融合させ、取り込むことで、社会課題解決への価値創造を加速していきます。

また、新事業開発部では、Plug and Play Japan株式会社の運営する「New Materials」領域のアクセラレータープログラムにパートナーとして参画し、素材・材料分野におけるスタートアップを広く世界から探索しており、以下の様な技術を有するスタートアップとの協創を通じ、事業創造を進めていきます。

  • バイオマテリアル
  • 電池・半導体材料
  • メタマテリアル
  • マテリアルズ・インフォマティクス
  • 二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS: Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)

※新たなテクノロジーを探している大企業と、新素材に関連するスタートアップ企業を結び、新たなイノベーションをうむための3ヶ月間の事業創出加速支援プログラム

内部統制 ― 重大インシデント発生による企業価値毀損を防ぐ・影響を極小化する

積水化学グループは持続性経営力向上のため、リスクマネジメント強化および全社的に大きく影響する可能性のある5つの領域(安全、品質、経理、法務・倫理、情報管理)を5領域重大インシデントと定義し、中長期的な優先順位を決定したうえでリソースを集中的に投入し、「発生頻度を減らす」「発生時の影響度を低減させる」の両輪で施策を進めています。

BCP(事業継続計画)

リスクマネジメント(ERMとBCPおよびBCM)

積水化学グループでは、リスクを未然に防ぐ「リスク管理」と、重大な危機事象に対処する「危機管理」を一元化したリスクマネジメントを実施し、組織の状況に応じて、常に変化するリスクや危機的事象に適応できる体制を構築しています。

リスク管理活動では、各組織で全社リスクおよび「積水化学グループリスク管理要領」に基づき特定したリスクについて、分析・評価のうえ対策を講じ、随時レビューしながら是正を繰り返すリスクマネジメントサイクル(PDCA)を回しています。2020年度からこの組織別活動と全社リスク管理活動を融合したERM(全社的リスクマネジメント)で推進しています。国内外で組織別活動の展開を加速し、そのうえでERMとして全社重大リスクアセスメントおよび地域別のリスクアセスメントを新たに実施し、全社視点での重大リスク対応を強化していきます。

組織別リスク管理活動状況

※ 大規模M&Aによる一時的な低下

重大インシデントが発現した場合は、「積水化学グループ危機管理要領」に基づき、危機管理活動を行います。常に迅速かつ的確な対応を実施するために、コーポレート各専門部署とカンパニー担当者からなる危機管理連絡会を定期的に開催し、事例研究や訓練を重ねています。

2020年度からは、インシデント発生時の企業価値への影響を極小化するため、BCP(事業継続計画)の作成とそれを踏まえたBCM(事業継続マネジメント)サイクル (PDCA) の定着の取り組みを本格化させています。2020年度は初動対応計画および災害対応・管理計画策定が必要な143組織を確定し、BCP(BCM)ガイドラインの改定や当社グループの標準テンプレートを作成しました。2021年度はその143組織でのBCP策定(設定率100%化)とともに、BCP策定活動を通じた従業員の「リスク感性の向上」を図ります。

積水化学グループのリスクマネジメント(広義)

BCPに対する基本的な考え方

事業内容が多岐にわたる当社グループは、事業責任者(事業部長、事業会社社長等)それぞれが事業の内容に応じてBCPの必要性を個別に判断することを基本姿勢とし、BCMの構築方法を規格化したISO22301に準拠してBCPの策定とBCM の構築を推奨していました。しかし、さまざまな脅威が増大している昨今、主要な経営資源が中長期間にわたり喪失した場合の業務継続方法の決定や備えの必要性が高まっている状況を踏まえ、2021年度よりグループのすべての組織において、「人命保護」を第一とした初動対応計画(ERP)を整備するとともに、国内外の事業ごとにその特性に合わせたBCM構築を目指し、企業の存続を揺るがす緊急事態においても、迅速な初動対応と重要業務の早期復旧により、自社・顧客の損失を最小限に抑え、企業としての社会的な責務を果たしていきます。

5領域重大インシデントの抑制

企業を取り巻く事業環境が不確実性、複雑性を増す中、当社グループでは、各々の組織の事業目的に関わるさまざまなリスクを網羅的に洗い出しています。そのリスクを「起こりやすさ(頻度)」と「インパクト(結果)」の観点から定量化し、「重大インシデント」につながる可能性が高い領域を2019年度に抽出し、2020年度からは、安全、品質、経理、法務・倫理、情報管理を「5領域重大インシデント」と定義し、全社視点で中長期的な優先順位を決定したうえでリソースを集中的に投入し、発生頻度を減らす・発生時の影響度を低減させる施策を進めています。インシデント抑制のための方針や活動指針は「安全分科会」「CS品質分科会」「コンプライアンス分科会」「サイバーセキュリティ分科会」の4分科会でそれぞれ策定し、取り組みを進めています。

5領域重大インシデント

安全

安全の基本は、「自分の安全は自分で守る」ことであり、従業員一人ひとりが危険を危険と判断できる感受性を持つことが大切です。そのため、安全教育や危険への感受性を高めるための取り組みとともに、定めたルールを守り、守らせる風土づくりに力を入れており、5つのテーマを柱とするトータルセーフティ活動(労働災害ゼロ、設備災害ゼロ、通勤災害ゼロ、疾病長欠ゼロ)に取り組んでいます。実際に労働災害が発生した際には、被災者の雇用形態を含めて情報を収集し、事業場における管理に問題があれば必要な改善を求めています。

2020年度からは安全・安心な工場・現場をグローバルで構築するための仕組み・設備・人の3つの変革に取り組んでいます。

労働災害発生件数

5つのテーマと主な取り組み
  1. 設備の本質安全化

    • 設備安全設計ガイドラインの設定とそのモニタリング実施
    • 設備安全のための「セーフティアセッサー」「セーフティサブアセッサー」資格取得奨励と事業場間の情報共有による設備安全向上

  2. OHSMSによる安全管理


  3. 従業員の安全教育

    • トップの安全活動の率先垂範
    • 安全活動を牽引するキーマン「セーフティリーダー」の育成と各拠点への配置を推進
    • グループ内の安全教育の標準化
    • サプライチェーンとの安全方針共有および労働安全研修提供 (住宅カンパニー)

  4. 危機予知活動などのリスク予防

    • 緊急事態対応スキル向上訓練実施(安全ノウハウの伝承)
    • リスク抽出力アップ研修によるリスクの発掘と改善

  5. 安全衛生・防災に関する安全監査

    • 労働安全衛生マネジメントシステム監査評価書に基づく監査実施(ISO45001の取り込みなど評価項目は毎年見直し)
    • 火災・爆発災害防止のための外部専門家による防災監査実施

品質

積水化学グループでは、品質コンプライアンスの遵守を重視しています。特に品質不正やデータの改ざんについては、品質改善に関する投資不足、サプライチェーンからのプレッシャーなどリスクの高いケースを想定し、その発生を根本から断つために、 2020年からは品質マネジメントシステム体系の再構築、品質データのデジタル化・堅牢化に取り組んでいます。

当社グループでは、商品開発の段階から設計・生産・販売に至るプロセス全般にわたる品質保証体系を構築しています。各プロセスで品質保証の体制を整え標準を重視した日常管理を推進すると同時に、品質を支えるのは現場でのモノづくりであると認識し、生産活動革新に注力しています。製品の開発や改良に際しては、品質保証・安全等の観点から厳格な設計審査を行い、販売後もお客様へのサービスを維持管理できる体制を構築しています。

また、品質マネジメントシステムの再構築のため、ISO9001:2015への認証移行時に、プロセスアプローチ対応強化のため、日常管理のチェック、是正処置、内部監査、品質教育等の管理フローが一目で分かる「SPMC(セキスイ・プロセス・マネジメント・チャート)」を考案しました。2020年度以降はその活用と内部監査の質向上のための研修を行うなど運用レベル向上に取り組んでいます。

品質保証体系

2020年度の状況

2020年度は、重要品質問題※1が2件発生しました。

その影響により外部損失費※2は2016年度比で25%増となりました。グループ全体の品質保証システムの強化および設計開発プロセスに着目し、開発未然防止手法(FMEA,DRBFM等)※3の活用を推進することによって外部損失費の削減を目指します。2020年度の開発未然防止手法活用率は94%でした。

  • ※1 重要品質問題:「製品・技術・サービスの品質」に関し、緊急に根本解決を図らなければ、お客様・社会・積水化学グループに対し重大な損害を与える問題として、各カンパニープレジデントが決定。
  • ※2 外部損失費:製品に関するクレーム対応の費用。
  • ※3 FMEA:Failure Mode and Effects Analysis(故障モード影響解析)
    DRBFM: Design Review Based on Failure Mode(変更点、変化点に着目して新設計の問題を発見し、解決する未然防止手法)

外部損失費

品質データ不正や改ざん防止の取り組み

2020年度からのCS品質中期計画に基づき、データの不正や改ざん防止を徹底するための体制づくり、仕組みづくりを進めています。2020年度は、お客様との仕様の取り決めの遵守を目的に、特に製品検査および成績書作成に関するデータ信頼性と透明性の確保を進めました。データ入力ミスや改ざんができないようなシステム構築や日常管理業務の見直しとともに、検査データのデジタル化による活用にも力を入れています。また品質保証力向上のため、コンプライアンス意識の再徹底と社内品質管理強化を継続していきます。

品質問題の未然防止

品質問題の効果的で効率的な未然防止手法習得のための「開発未然防止セミナー」、Design Review のスキルアップのための「DRレビューア育成セミナー」、新製品開発に関する情報の整理方法取得のための「Quality Function Deploymentセミナー」を開催しています。また新規事業を立ち上げる際に、設計審査時の議論のポイントを明確化し、厳格な設計審査を実施する仕組み「ゲートレビュー」(GR)を構築し、2020年度より試行運用を開始しています。

コンプライアンス(法務・倫理/経理)

2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、積水化学グループの理念体系および企業行動憲章に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきました。2020年度からはグローバルで重大コンプライアンスリスクの統制と内部統制強化によるコンプライアンス経営基盤の強化に取り組んでいます。

コンプライアンス意識を従業員一人ひとりに根付かせ、コンプライアンス経営を推進するため、コンプライアンス・マニュアルの配布や継続的な教育を提供しています。コンプライアンス・マニュアルには、汚職・賄賂の禁止、人権尊重と差別の禁止、情報の管理と保護、独占禁止法の遵守、インサイダー取引の禁止、地球環境の保全や労働関係法規の遵守などを掲載し、グローバル現地従業員向けに現地語化も進め、全従業員への周知徹底を促進しています。

社内通報制度「S・C・A・N」

2002年に構築した社内通報制度「S・C・A・N(セキスイ・コンプライアンス・アシスト・ネットワーク)」は、当社グループ全従業員・取引先が利用でき、特定の行為がコンプライアンス違反であるか否かの助言などを受けられる相談窓口としての役割も担っています。社内窓口以外に社外法律事務所に直接通報することができ、通報者情報の秘匿や不利益扱いの禁止など通報者の保護を規定しています。通報内容については通報者・非通報者のそれぞれの主張および事実確認をしたうえで、公平な立場に立った組織的課題の解決を図っています。2020年度は米国・中国・欧州・タイの地域統括会社と協力のうえ、海外における社内通報制度の適用範囲の拡大に取り組みました。

2020年度通報・相談件数

会計・税務コンプライアンスの取り組み

盤石な会計コンプライアンス体制に向けて、モニタリングの強化や経理業務効率化のための取り組みを推進しています。また経理研鑽会やe-ラーニングにより、会計スキル・財務知識に関する教育を実施しており、誤った会計処理や会計不正が発生するのを防ぐとともに、経理業務に携わる部門・従業員のコンプライアンス意識向上を図っています。

当社グループは、租税回避を目的としたタックスヘイブンの利用は行わず、事業活動を行っている国や地域において適正な納税を行い、それらの国や地域の経済に貢献し、ともに調和と安定的発展を目指します。税務リスクのある取引は、必要に応じて外部専門家に確認し、適正な処理と税務リスクの低減を図っています。移転価格リスクについては、当社グループ内の取引は各国・地域の法令およびOECD(経済協力開発機構)ガイドラインに基づく独立企業間価格に従って行っています。不安定な税務ポジション解消のために、取引規模や税務リスクの程度に応じてAPA(事前確認制度)を活用し、各国の税務当局とも良好な関係を維持するよう努めています。

腐敗および贈収賄未然防止の取り組み

国連グローバル・コンパクトの精神に基づき、腐敗・贈収賄未然防止のための取り組みを推進しています。社内規則「贈収賄防止規則」をグループ全社で導入するとともに、日本、米国、中国でビジネスを行う際に遵守すべき事項をまとめた「贈収賄防止ガイドライン」を作成、周知を図っています。公務員等への接待・贈答のための事前申請書による承認や、海外公務員等との取引においてコンサルタント報酬等が発生する場合は合理的な理由の確認と決裁による承認など、リスクを想定し違反行為を未然に防止するための規則の設定と運用を行っています。また営業や購買部門に対し、腐敗と汚職防止に特化した研修を実施しています。

独禁法への対応

2007年以降、独禁法遵守プログラムとして、事業者団体加入決裁制度、競合他社接触についての事前申請事後報告制度、価格改定委員会制度を運用しており、その運用状況について毎年監査を実施し、同プログラムの見直しも適宜行っています。

グローバル法務体制の強化

法務機能の拡充および法務部門間の連携によりグローバル法務体制を強化しています。また毎年、国内で実施している「コンプライアンス特別強化月間」を北米、中国、東南アジア、欧州エリアなどに展開しています。その際、取り上げるテーマは各地域の統括会社がそれぞれの地域で高いと判断したリスクを選定しています。

情報管理

サイバーセキュリティ対策への取り組み強化のため、情報セキュリティ方針を策定し、情報漏洩リスクや自然災害リスクなどへの対策を講じています。サイバーセキュリティ対応体制として、CSIRT※1を設置し、実働部隊としてサイバーセキュリティセンターを配置しています。サイバーセキュリティセンターでは、SOC※2と連携し、ネットワークやデバイスを24時間365日体制でセキュリティ監視し、インシデントの早期発見・早期復旧に努めています。今後は国内での運用を高度化させるとともに、海外のグループ会社においてもCSIRTの構築を進めていきます。

  • ※1 CSIRT(シーサート)は「Computer Security Incident Response Team」の略。企業などの組織内でコンピュータセキュリティインシデントに関する報告の受け取り・調査・対応活動などを担う専門チームの総称。
  • ※2 SOC(ソック)は情報システムへの脅威の監視や分析のための専門組織。いち早く脅威を検知し、CSIRTの対応・復旧活動を支援する役割を担う。
自然災害リスクへの対策

自然災害により基幹システムがダメージを負った場合でも業務が継続できるよう、耐震・免震等の対策が施されたデータセンターを複数ヶ所に分散設置し、また重要業務システムを完全二重化することで、業務の完全復旧までのリードタイム短縮を図っています。

情報漏洩リスクへの対策

個人情報を含むお客様の情報および機密を含む社内情報の安全を確保するため、データセンターの要塞化・監視強化などのシステム対策と、全従業員への定期的なe-ラーニング実施などの人的対策の両面で取り組んでいます。外部からの脅威に対しては、SOCが中心となり、ウイルスなどの新しい脅威を常に把握して、適切な対策を迅速に実施しています。個人情報については「Webサーバの構築と管理に関するガイドライン」を設け、各社・各部署にて管理されているサーバの保護にも努めています。

「導電性微粒子」技術情報の漏洩事件後の再発防止策(抜粋)
  • 重要度別情報管理の徹底
  • 機密情報別接触可能者の限定、アクセスログ記録
  • R&D部門の組織リスク管理活動
  • 技術開発業務従事者へのモラル教育・研修の充実
  • 退職者、採用者向け守秘義務徹底

サイバーセキュリティ体制

積水化学グループとしてマネジメントすべきリスクの特定

組織別リスク管理・全社リスク管理ともに、グループ全体で備えるべきリスクを明確にするため、大分類として経営環境・戦略・業務リスクに大別し、さらにそれを細分化することで、網羅的にリスクを特定しています。そして、「起こりやすさ(頻度)」と「インパクト(結果)」のリスクマトリクスで定量化し、「全社重大インシデント」につながる可能性が高いリスクについては、定期的に不確実要素を確認し、ERM の有効性を検証しています。

2020年度には地政学的リスク、新しい社会要請などの変化を踏まえ、2019年度に特定した重大リスクの是正・修正、リスクマトリクスにおける変化を検討しました。その審議結果およびリスク低減に向けた各種施策は、サステナビリティ委員会で審議後、取締役会に報告され、経営判断の際に考慮されています。

経営環境リスクの詳細は事業等のリスクをご覧ください。